• 更新日 : 2023年11月1日

金券ショップの開業方法!個人ならフランチャイズ・独立どちらが良い?

金券ショップの開業方法!個人ならフランチャイズ・独立どちらが良い?

商品券、ギフト券、ビール券、切手、収入印紙、あるいは鉄道チケットやレジャーチケットなどの販売・買取を行う金券ショップ。今ではすっかりおなじみですが、金券ショップの開業を志す人が少なくないようです。本記事では、金券ショップについて、開業・経営を成功させるポイントなどを含めて解説します。

金券ショップとは?

金券ショップはチケットショップとも呼ばれ、諸説ありますが、昭和50年代に古銭販売商や切手販売商が高速道路回数券やビール券などの買取販売を開始したのを皮切りに本格的な歴史が始まったとされています。ビジネスマンなどの個人の利用に加えて、法人の利用も多く、都市部の繁華街などにおいて多数の金券ショップが営業しています。

金券ショップの定義

金券ショップとは、文字通り「金券」を売買する店舗(ショップ)のことです。では、「金券」とは何でしょうか。「金券」とは、デジタル大辞泉によると、「特定の範囲内で、金銭の代わりに通用させる券」です。商品券、旅行券、ギフトカード、ビール券などの買い物で使える金券のほかに、鉄道乗車券、切手、収入印紙、宿泊券、飲食券、コンサートチケット、映画観賞チケットなど、さまざまな金券が存在します。そうした一連の金券を売買する店舗が「金券ショップ」です。

金券ショップは個人でも開業できる?

金券ショップは個人でも開業できるのでしょうか。結論から言うと、金券ショップは個人でも開業できます。ただし、金券ショップの運営には仕入れなどのために相応の運転資金が必要で、ある程度の規模や店舗数で金券ショップの運営を目指す場合、法人で運営した方が資金調達面や経営管理面などにおいて優位になる可能性があります。開業当初は個人で運営し、多店舗展開フェーズへ進んだ際に法人化するといった方法も考えられます。

金券ショップ開業は儲かる?年収の目安

金券ショップが儲かるかという問いに対しては答えるのが難しいですが、一般論として、金券ショップは総じて利益が少ない業種であるとされています。独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する「J-Net21」によると、一般的な金券ショップの金券の買取価格は額面の94%から96%程度で、販売額との利幅はわずか1%から3%程度しかないとしています。また、金券ショップの開業シミュレーションでは、初年度の売上高8,312万円に対し、営業利益は40万7千円としています。

金券ショップの利益率は低く、薄利多売が基本となります。一定以上の売り上げと利益の確保を目指すのであれば、店舗の大型化や、複数店舗展開が求められることになります。

金券ショップ開業に必要な資格・手続き

金券ショップの開業に必要な資格や手続きは何でしょうか。金券ショップの開業に特別な資格などは必要ありませんが、金券ショップは「金券」という「古物」を扱う仕事であるため、「古物商許可」の取得が必要です。また、個人で金券ショップを開業する場合は、所管の税務署へ開業届を提出する必要があります。

「古物商許可証」が必須

古物商許可証は、金券ショップの営業所の所在地を所轄する警察署の防犯係へ「許可申請書(古物営業法施行規則別記様式第1号)」を提出し、取得します。個人で申請する場合、添付書類として

  • 略歴書
  • 本籍(外国人は国籍など)が記載された住民票の写し
  • 誓約書
  • 身分証明書
  • URLの使用権限があることを疎明する資料

の提出が必要です。また、「破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない者」「禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることのなくなった日から起算して5年を経過しない者」などの欠格事由に該当する人に対しては許可証が発行されないので注意してください。

「開業届」の提出

開業届は、事業を開始したときに税務署に提出する書類です。個人で金券ショップを開業する場合、事業開始の日から1カ月以内に所管の税務署へ提出する必要があります。開業届を提出することで青色申告を行うことが可能になり、最大で65万円の所得控除を受けることが可能になります。また青色申告の場合、身内への給与を全額「青色申告事業専従者給与」として経費扱いにすることが可能になります。また、事業所得や不動産所得などで損失が生じた際、総所得金額から損失分を控除できるといったメリットもあります。

金券ショップの開業方法

実際に金券ショップを開業するにはどのような方法があるでしょうか。また、それぞれどのようなメリットやデメリットがあるでしょうか。ここでは、金券ショップを独立型で開業する方法、フランチャイズで開業する方法、オンラインで開業する方法について説明します。

独立型

独立型で開業する方法は、文字通り自前でゼロベースから金券ショップを開業する方法です。金券ショップのコンセプトを構築し、店舗物件を探索・決定し、レイアウトを決め、販売する金券を仕入れるといった、全て自分で自由に決められる経営の自由度の高さがメリットです。他にもフランチャイズで開業する方法と違い、フランチャイザーにロイヤリティーを支払う必要がないというメリットもあります。

一方で、仕入や販売などのノウハウがない、集客などのマーケティングのノウハウがないといったデメリットがあります。

フランチャイズで開業する

フランチャイズで金券ショップを開業する方法もあります。フランチャイズで開業する最大のメリットは、フランチャイザーから経営ノウハウを教えてもらえることと、フランチャイズのブランドが利用できることです。特に初めて金券ショップを開業するケースにおいては、フランチャイズ全体のブランドが利用できるのは大きなメリットです。

一方で、フランチャイズで解消するデメリットはフランチャイザーに一定のロイヤリティーを支払う必要があることです。売り上げや利益が少ないケースにおいては、ロイヤリティーが大きな負担になる可能性が生じます。

ハイブリッドで開業する

また、実店舗で金券ショップを開業する際に、オンラインとのハイブリッドで開業する方法もあります。ハイブリッドで開業することで、営業エリアと買取エリアの双方を全国に広げることが可能になります。オンライン店舗は営業時間の制約もなく、各種のインターネット広告やソーシャルメディア、YouTubeなどのオンラインメディアとの連携も可能です。実店舗だけでの営業よりもマーケティング活動の範囲が桁違いに大きくなります。

金券ショップの開業資金

金券ショップの開業資金はどのくらいでしょうか。上述の「J-Net21」は、ショッピングセンターの一角に7坪の店を開業する場合の必要資金として、768万円の初期費用が必要と見積もっています。そのうち物件取得費・設備費と商品仕入れ費用の割合が高く、それぞれ212万4千円、500万円と見積もっています。

物件取得費・設備費

金券ショップは、他の小売店などと比較すると比較的小さいスペースで開業が可能ですが、それでも一定の物件取得費と設備費が必要です。特に市街地の繁華街や駅前の一等地などに出店する場合、相応の物件取得費が生じます。また、金券類を陳列するためのショーケースなどの備品購入費や、看板などの内外装工事費も必要です。また、フランチャイズで金券ショップを開業する場合は、フランチャイズ加盟金が必要になる場合があります。

商品仕入れ費用

金券ショップの開業資金で最も大きな割合を占めるのが商品仕入れ費用です。金券ショップの商品は金券なので、金券を仕入れる相当の費用が必要です。一般的な金券ショップの金券の買取価格は額面の94%から96%程度で、販売額との利幅はわずか1%から3%程度しかないと上述しましたが、開業当月に500万円の売上を目指す場合は470万円から480万円の仕入費用が、1,000万円の売上を目指す場合は940万円から960万円の仕入れ費用が必要になる計算です。

集客・宣伝広告費

金券ショップの開業に際しては、一定の集客・広告宣伝費が必要です。実店舗の場合、開業を知らせる宣伝ビラやチラシ、販促ティッシュなどの費用がかかります。実店舗とオンラインのハイブリッドで開業する場合、さらに検索広告などのインターネット広告や、ソーシャルメディア広告などの宣伝広告費が必要になります。また、最近はYouTubeを集客に使う金券ショップも増えてきており、YouTubeを活用する場合は動画作成コストなども加わります。

金券ショップ開業に活用できる助成金・補助金

金券ショップは、飲食店や他の小売業などと比べて低コストで開業できますが、それでも一定の費用は必要です。ここでは、金券ショップ開業に活用できる助成金・補助金として「創業助成金」と「小規模事業者持続化補助金」の2つを紹介します。

創業助成金

東京都内で金券ショップ開業を予定している人は、東京都の創業助成金が活用できる可能性があります。都内で創業を予定されている人または創業後5年未満の中小企業者などのうち、「TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援修了者」「東京都制度融資(創業)利用者」「都内の公的創業支援施設入居者」などの条件を満たす人が対象です。賃借料、広告費、器具備品購入費、産業財産権出願・導入費、専門家指導費、従業員人件費などが助成の対象になります。助成限度額は300万円で、助成率は助成対象と認められる経費の2/3です。

小規模事業者持続化補助金

金券ショップをすでに開業した人の場合、小規模事業者持続化補助金が活用できる可能性があります。小規模事業者持続化補助金とは、小規模事業者などが、地域の商工会または商工会議所の助言などを受けて経営計画を作成し、その計画に沿って地道な販路開拓などに取り組む費用の2/3(補助の上限額:50万円)が補助されるものです。個人事業で金券ショップを開業した人も補助対象となります。すでに実店舗を開業していて、新たにオンライン販売とのハイブリッド開業を行う場合などに活用できる可能性があります。

金券ショップ開業・経営で失敗しないために

金券ショップは、開業に必要な資格などがなく、比較的低コストで開業できることから参入障壁が低いとされています。参入障壁の低さゆえ競争が激しく、最近はインターネットオークションやフリマアプリなどの普及により、売り上げが低迷傾向にあるとされています。そうした厳しい経営環境の中、金券ショップの開業と経営で失敗しないためにはどうすればいいでしょうか。

駅前など立地にこだわる

金券ショップ開業・経営の成功の最大のポイントは立地です。例えば東京都の場合、金券ショップは東京駅八重洲口、新橋駅烏森口、渋谷センター街、新宿駅西口、池袋駅東口などに集中しています。いずれもビジネスマンを中心とした移動人口が多いビジネスエリアです。そうした移動人口が多い繁華街に出店することが成功の必要条件です。地方で開業する場合も、ショッピングモールやスーパーマーケットといった、人が集まりやすく金券に対する一定の需要が見込める場所に出店するのがポイントです。

ターゲットに合わせた品ぞろえ

ターゲットに合わせた品ぞろえを用意することもポイントです。例えば、東京駅の場合、ターゲットのニーズが多いと予想されるのは新幹線の格安チケットや、羽田空港を発着する航空便の株主優待券などです。そうした商品を数多くそろえるとともに、在庫を切らさないようにするのが重要です。

また、百貨店がそばにあればその百貨店のギフト券、映画館がそばにあれば映画鑑賞チケット、野球場がそばにあれば野球観戦チケットといったふうに、それぞれのエリアのニーズによって対応することが重要です。

仕入・買取ルートの確保

金券の仕入・買取ルートを確保することもポイントです。繁盛している金券ショップの多くが、独自の仕入先や買取ルートを確保されています。特に新幹線回数券や航空会社の株主優待券などの仕入れについては、法人からの買取ルートを確保しているといわれています。そうした独自の買取ルートを確保できれば、同業他社に大きく差をつけることができ、非常に有利になります。また、最近はインターネットによる買取を強化する金券ショップも増えてきているようです。

オンライン販売を活用する

また、最近はインターネットのオンラインでの金券買取に加えて、オンラインで金券を販売する金券ショップが増えてきています。オンラインであれば店の立地に関係なく、基本的に日本全国を相手に販売できます。また、金券ショップの利用者の中には店頭での購入をためらう人もおり、オンラインで販売することで利用者のプライバシーを守ることも可能になります。また、オンラインで実店舗の在庫状況などを情報発信できるので、オンラインの活用は非常に重要です。

リピーターを確保して金券ショップの経営を成功させよう!

以上、金券ショップ開業の方法について、金券ショップの開業・経営を成功させるポイントなども含めて解説しました。インターネットオークションやフリマアプリの普及や、コンサートやイベントなどのチケットの電子化の進行などの影響で、金券ショップの経営は簡単ではなくなりつつあるようです。一方で、リアルとオンラインとのハイブリッド経営を上手に展開し、経営を拡大しているケースも見られます。ニーズにしっかりと対応し、着実に金券ショップの開業・経営を成功させてください。


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