• 作成日 : 2024年9月20日

バッティングセンター経営で起業するには?必要な手続きや注意点を解説

バッティングセンターは、野球の試合にむけて練習をする人だけでなく、一般の人も気軽に運動を楽しむ場所としても利用される施設です。日本の野球人気は根強いですが、バッティングセンターで開業、経営するためにはどんな点に気をつければよいでしょうか。市場の動向や開業手続き、資金などにつき以下に解説します。

バッティングセンター経営で起業できる?

バッティングセンターは1965年に日本で初めて施設が誕生して以来、少年野球や部活動、有志の打撃練習の場として、幅広い年齢層に利用されてきました。気軽に運動をしたい人やストレス解消策として通う人がいるため、一定の人が訪れます。

日本国内のプロ野球の人気は高いものの、近年の野球人口は減少傾向です。中学で野球部(軟式)に所属する生徒数はピークであった2009年から約15年でほぼ半減しました。その理由として、サッカーなどの他のスポーツの人気が注目されていることや、保護者の負担の大きさなどが挙げられます。加えて、大人が楽しむスポーツとしても野球の実施率はここ20年間で大幅に減少しているのです。

また、バッティングセンターが閉店する理由として、経営者の高齢化、後継者不足、施設の改装・改修ができないという理由も挙がっており、必ずしも経営不振だけが理由ではありません。バッティングセンターとして安定した経営をしたいなら、時代のトレンドを踏まえながら、家族やグループで楽しめるエンタメ要素を取り入れた戦略が鍵となるでしょう。

バッティングセンターの主なビジネスモデル

市街地型

会社帰りや買い物のついでに立ち寄れるよう、駅ビルまたは駅から徒歩圏内に、数打席ほどの小規模なバッティングセンターを開業するビジネスモデルです。バッティングの練習に励むというよりはバッティングを楽しむ層をターゲットとし、ゲーム感覚で行える最新の機械を導入するなどの工夫を凝らした店舗づくりが好まれるでしょう。

郊外型

広い敷地に打席数の多い施設を構え、車で来場する利用者をターゲットにしたビジネスモデルです。バッティングをスポーツとして行う人と一緒に、実際の試合を想定しながらバッティング練習をしたり、子どもの練習に親が付き添ったりと、比較的じっくり利用したい層に向けた経営を行っています。

とはいえ、バッティングの設備を提供するだけとよいといった浅はかな運営は、新規客やリピーターが増えない可能性があるかもしれません。そのためには、オートテニスや卓球場といった他のスポーツを楽しむスペースを設けたり、カフェやレストハウスに力も入れたりするなどの、利用者の心を満たすプランを考えておく必要があります。可能であればスパ(※)を併設するといったことも視野に入れてもよいでしょう。

バッティング施設以外の提供を自分たちで行わなくとも、郊外型レジャー施設の一角にバッティングセンターを構える方法もあります。

※ スパなど入浴施設を設置するには「公衆浴場営業許可」の取得が必要

フランチャイズ型

上記の立地・規模における2つのモデルには、さらに経営方法として個人として行うか、フランチャイズ形式で行うかの選択肢があります。本部に登録して加盟店となることで、大手のブランド力による信頼感と、運営や集客のノウハウを得られます。また、ショップや野球スクールなどへの事業展開も、大手のネットワークにより、個人より取り組みやすくなるでしょう。

一方で、フランチャイズとして展開する場合、最初に加盟料が必要です。売上においては本部に支払うロイヤリティーが発生するため、同じ売上でも個人経営より利益率が低くなるという点があります。

バッティングセンターを開く際に必要な手続き

バッティングセンターは、開業にあたり取得が必要な許認可や資格はありません。基本的には、適切な物件と開業資金があれば誰でも始められます。

しかし、立地には用途地域による一定の制限があり、バッティングセンターやボウリング場などの「遊戯施設」は、低層(第一種)または中高層(第二種)住居専用地域、工業地域などには建設できません。駅近くの市街地型であれば、原則的に商業地域か住居地域になるので、あまり問題はありませんが、例えば、自己所有地で郊外型を計画している場合は、該当地の用途地域を念のため確認しておきましょう。

用途地域に問題がなくとも、付近に住宅がある場合は注意が必要です。バッティングセンターは騒音が大きくなりがちであり、ボールの管理問題も発生します。営業時間にも関わってくるため、事前の調査を必ず行いましょう。

物件が決まれば事業計画に即して施設を建設します。個人事業主の場合、施設が完成して人員の確保ができれば開業届を提出して手続き完了です。

一方、税金などの見地から施設の経営を会社単位で行うのであれば、会社設立の手続きを併行して行います。会社設立に関する詳細は以下をご参考ください。

バッティングセンターを開く際に必要な資金

バッティングセンターを開業するために必要な資金は、場所や規模、付帯施設の有無などで異なります。ここでは、自己所有地に10打席程度の規模、郊外型とするケースを例にして、内訳を見ていきましょう。

  • 工事費:約3,000万~3,500万円  施設建設、電気や空調、ネットの設営など
  • 設備費:約1,500万~2,000万円  バッティングマシンおよび周辺機器など
  • 備品・什器:約200万~300万円  待合室の椅子やボール代など
  • 広告宣伝費:約30万円

上記の費用以外にも、求人費、調査費、手続き費用などが発生します。また、バッティングマシンを最新のバーチャルシステムにしたり、付属施設の充実を図ったりすると、開業費用はさらに高くなります。当座の運転資金の準備も必要なので、開業資金にも余裕を持たせることを意識しましょう。

バッティングセンターを経営する際の留意点

開業後のバッティングセンターの経営をできるだけ早く軌道に乗せるためには、とにかく利用者数を増やし稼働率を上げていくことで、固定客として定着させる戦略を考えなければなりません。ここでは経営にまつわる留意点について解説します。

常に市場動向をチェックする

開業前に立地条件や市場の調査を入念に行い、経営面で改善点があれば見直し、第三者に自分のバッティングセンターの強みを伝えることが大切です。併せて、利用客のニーズを考え、ターゲットを定めていきましょう。

連携を意識する

地域や野球関係者との連携は、事業の継続に良い影響をもたらすことがあります。例えば、バッティングセンターを経営しながら、地域の野球大会に参加する、自ら公認野球指導者資格を取得して少年野球の指導に携わるなどで、人脈も増え、ひいては利用客の増加につながることが期待できるでしょう。

これからのバッティングセンターは個性が大切

野球人口の減少により、バッティングセンターの経営は、いかに幅広い層の利用者を取り込めるかが一つの試金石になります。また、ビジネスモデルが、市街地型か郊外型か、野球が盛んな地域かどうかなどで経営戦略はそれぞれ異なるでしょう。開業前に事前調査をしっかり行い、ニーズと自分のオリジナリティーがうまく合致する施設を考えましょう。


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