- 更新日 : 2023年8月29日
年収200万円の個人事業主の税金はいくら?住宅ローンの審査についても解説!
個人事業主で年収200万円の場合、所得税・住民税はいくらかかるのでしょうか?家の購入を検討している方は、住宅ローンの審査も気になるでしょう。本記事では年収200万円の個人事業主が支払う税金の計算方法や青色申告特別控除などの節税対策、ローン審査についてお伝えします。
目次
年収200万円の個人事業主が支払う税金はいくら?
年収200万円の個人事業主の「手取り」の考え方、所得税・住民税の計算方法を解説します。
個人事業主の年収とは
「1年の収入=売り上げ」という考えの方もいらっしゃるかもしれません。個人事業主と一口に言ってもWebデザイナー・エンジニアなど仕入れがほぼない業種もあります。しかし、例えば飲食店を経営している方は店舗を借りている場合、賃料を支払いながら食材や飲み物・調味料等を仕入れるなど必要経費が生じます。
個人事業主は、売り上げから経費や社会保険料・税金を差し引いた額が、いわゆる手取りです。税制上は、事業収入から必要経費を差し引いた金額が事業所得、不動産収入から必要経費を差し引いた金額が不動産所得となります。
所得税の計算方法
所得税は、個人の所得に対してかかる税金です。まずは1年間の収入から経費などを差し引いた所得に対して、定められた方法で損益通算を行い「所得金額の合計」を算出します。なお、複数の所得がない場合には損益通算はできません。
所得金額の合計から所得控除を差し引いた残りの金額(課税所得金額)に該当する税率を乗じ(税率10%以上の際は控除額を差し引き)計算します。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円から1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円から3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円から6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円から8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円から17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円から39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
4,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
所得税の税率は、所得が多くなるに従って、段階的に高くなる累進課税方式です。なお、2013年から2037年までの各年の確定申告では、所得税に「復興特別所得税(原則としてその年分の基準所得税額の2.1%)」をあわせて申告・納付することが定められています。
例えば年収が200万円で課税される所得金額が120万円の方は、所得税「120万円×5%=6万円」復興税「6万円×2.1%=1,260円」で、合計の所得税額は6万1,260円です。
住民税の計算方法
住民税は所得に応じて負担する「所得割」と定額の負担である「均等割」の合計額を納めます。
均等割は市町村民税が3,500円、道府県民税が1,500円で合計5,000円です。均等割には地域差があります。所得割の計算式は、「所得金額×10%」です。上記と同様に課税される所得金額が120万円の方は「120万円×10%」で12万円、均等割の5,000円をあわせて12万5,000円を納めます。個人事業主は、区・市町村から送付される納税通知書で住民税を納めます。
年収200万円の個人事業主の手取りはいくら?
年収200万円の個人事業主の手取りはいくらになるのでしょうか?売り上げが200万円の個人事業主は、売り上げから事業のために必要となる経費や社会保険料、納めた所得税・住民税額を差し引いた金額が手取りとなります。
年収200万円で年間の経費が10万円、課税される所得が120万円、単身世帯の40歳未満のケースで試算してみましょう。
年間の社会保険料と税金 | |
---|---|
国民年金の保険料 | 19万9,080円(2022年度の国民年金保険料16,590円×12=19万9,080円) |
国民健康保険の保険料 | 13万円程度(自治体によって異なる) |
所得税 | 5万4,500円 |
住民税 | 11万9,000円 |
合計額 | 50万2,580円 |
※取引先や顧客が源泉徴収を行っている場合には、税金の計算結果が異なります。
200万円から必要経費10万円と社会保険料・税額の約50万3,000円を引いた139万7,000円が手取りです。
所得税・住民税に加え、自動車を持っている人は自動車税、土地などの固定資産を所有している人は固定資産税などが課されます。
年収200万円の個人事業主におすすめの節税対策は?
個人事業主におすすめの節税対策には、青色申告を選択し青色申告特別控除を活用する、iDeCo・小規模企業共済で将来に備えながら掛け金を所得控除するなどがあります。
青色申告特別控除の活用
不動産所得、事業所得、山林所得がある個人事業主は、管轄の税務署に青色申告承認申請書を提出し承認されることで青色申告が可能となります。
青色申告は一定の要件を満たすことで、最大65万円の青色申告特別控除を受けることができる制度です。加えて赤字になった際は、損失を3年間繰り越すことができる、一定の家族への給与を全額経費に算入できるなど、白色申告より税制上有利な措置があります。
ふるさと納税
ふるさと納税は自身が選んだ自治体に寄付を行い、翌年に確定申告をすると、寄付額のうち2,000円を超える部分が所得税(控除しきれない部分は住民税)から控除されます。確定申告が不要な方は、行わなくても寄付金控除が受けられる「ふるさと納税ワンストップ特例制度」が利用可能です。
所得によって控除できる上限額は異なります。また、ふるさと納税は支払った分とほぼ同額の税金の支払いが控除されるものであり、直接的な節税対策とはならないことは押さえておきましょう。
iDeCo
iDeCoは任意で加入できる「個人型確定拠出年金」です。原則、20歳以上65歳未満の全ての方が加入することができ、自身で掛け金を運用します。
個人事業主が加入する公的年金は国民年金のみで、厚生年金に加入する会社員より将来受け取る年金額が少ないという現状があります。iDeCoに加入し掛け金を運用することで将来に備えることができ、掛け金は全額所得控除が可能です。
さらに、運用益に対しては通常の投資は20.315%の税金が課されますが、iDeCoは非課税で再投資ができます。基本的に有期年金(期間が定められている年金)ですが、一部の金融機関では終身年金(一生涯受け取る年金)として受け取ることが可能です。
国民年金基金
国民年金基金は1991年に創設された国民年金法に基づく公的な年金制度です。iDeCoと同様に任意で加入できますが、国民年金基金は20歳以上60歳未満で自営業者と家族、個人事業主・自由業・学生など、国民年金の第1号被保険者のみが加入できます。
また、iDeCoのように自身で運用することはできず予定利率は1.5%です。日本銀行は1年に2%の物価上昇を目指していますので、インフレに対応できないリスクがある点には注意しましょう。ただし、国民年金基金も掛け金の全額が所得から控除できます。
小規模企業共済
独立行政法人「中小企業基盤整備機構」が運営する小規模企業共済は個人事業主や小規模企業の経営者・役員の方が、廃業・退職時に備えて積み立てるものです。
全国で約159万人(2022年4月時点)が加入しており、掛け金は全額を所得から控除できます。月の掛け金は1,000~7万円まで設定でき、加入後も増・減額が可能です。
共済金は、退職・廃業時などに受け取ることが可能で一括・分割を選べます。例えば、掛け金月額1万円で加入し、5年(60カ月)後に廃業した場合には62万1,400円の共済金を受け取ることができます。
共済金の金額は請求事由によって異なり、廃業あるいは契約者が亡くなった場合が最も多く給付されます。任意解約、掛け金を12カ月以上滞納した際には「解約手当金」となり掛け金の納付期間が20年未満の受取額は、元本割れとなってしまいますので注意しましょう。
年収200万円の個人事業主でも住宅ローンの審査は通る?
年収200万円の個人事業主は住宅ローンの審査を通過できるのでしょうか?住宅ローンを取り扱う金融機関の中には、個人事業主の住宅ローンについて「事業開始後3年を経過しており、過去3年の平均または直近年のいずれか低い方の所得金額が100万円以上ある」などと条件をホームページに記載している所があります。
そのため年収200万円でも、所得が100万円以上で開業してから3年以上経過している方は住宅ローンの審査を通過できる可能性があるでしょう。ただ、希望する借入額に満たない可能性もあります。赤字の年がある、国民健康保険の保険料や税金を滞納しているケースでは融資が難しくなる傾向です。ローンを検討している方は収入に占める返済の負担率も考慮しておきましょう。
また住宅ローンの審査に落ちた場合でも、配偶者や家族に安定した収入があるケースは契約できることもあります。
節税対策だけでなく収入アップも目指しましょう
個人事業主で年収200万円の方が支払う税金の計算方法、節税対策5つ、住宅ローンの審査などについて解説してきました。
節税対策で税金の負担を抑えることも重要ですが、個人事業主で年収200万円の場合は住宅ローンの審査に通る金融機関も限られてしまいます。収入を上げることで手取りが増え、生活費に余裕が生まれ社会的信用も上がる可能性があります。
よくある質問
個人事業主で年収200万円の場合の所得税はいくら?
課税される所得金額が120万円のケースでは6万1,260円です。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主で年収200万円でも住宅ローンの審査は通る?
金融機関によっては審査に通過できる可能性があります。詳しくはこちらをご覧ください。
年収200万円の個人事業主ができる節税対策とは?
青色申告特別控除、iDeCo、小規模企業共済などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主で年収200万円の場合の所得税はいくら?
課税される所得金額が120万円のケースでは6万1,260円です。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主で年収200万円でも住宅ローンの審査は通る?
金融機関によっては審査に通過できる可能性があります。詳しくはこちらをご覧ください。
年収200万円の個人事業主ができる節税対策とは?
青色申告特別控除、iDeCo、小規模企業共済などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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