• 更新日 : 2023年9月27日

理系の将来像に起業という選択肢。経営者になるために必要なものは?

理系の将来像に起業という選択肢。経営者になるために必要なものは?

理系出身者や理系学部在籍者の中には「起業で成功したいが、文系学部で経済学や経営学を学んだ人でないと無理なのではないか?」と考えている方がいるかもしれません。しかしそれは本当なのでしょうか。

この記事では、理系学部出身者の起業について解説します。MBAなど経営学を修めていない人でも起業家になれるのかについてもご紹介しますのでぜひ参考にしてください。

理系は文系よりも起業しやすい?

「起業」というと、経営についてのノウハウを持った人や文系学部出身で経済に詳しい人でないと難しいというイメージを持っているかもしれません。ただ、理系には文系にはない強みもあります。具体的に見ていきましょう。

専門知識を活かせば起業できる可能性は高い

理系では専門知識を学ぶ機会が多くあります。例えば、プログラミングや工業・科学技術を大学や大学院で詳しく学んだという方もいるでしょう。専門知識を使った事業を始めたいというならば、理系出身者の方が有利といえます。

理系の論理的思考は起業にも役立つ

理系の学問では、物事を体系的に理解することや、根拠をはっきりさせ、そこから結論を導き出す「論理的思考」が重視されます。企業の採用活動で理系出身者の論理的思考に注目する企業は多くあります。起業する場合でも「飛躍した結論を導き出さない」「筋の通らない考え方をしない」という論理的思考を持って事業を行えば成功する確率は高いといえるでしょう。

著名な経営者にも理系出身者は多い

起業で成功するのは経済や経営に詳しい文系出身者だけではありません。著名な経営者にも理系出身者が多くいます。

例えば、「ジャストシステム」や「パソナグループ」などは創業者が理系出身者です。世界に目を向けてみても、Apple社のスティーブ・ウォズニアック、Facebook(現Meta)のマーク・ザッカーバーグなどは理系出身の起業家として知られています。

有名企業からユニークな事業を行う企業まで、理系出身の起業家は幅広い分野で活躍しているのです。

理系が起業する際に必要なもの

理系出身者・在籍者が起業する際に必要なものについて確認してみましょう。

起業する目的と行動する力

文系・理系問わずですが、起業を考えるのであれば必ず目的を定めることが必要です。例えば以下のような目的があるのではないでしょうか。

  • 得意分野を活かして、教育サービス事業を立ち上げたい
  • 世界中の人に使ってもらえるソフトを開発したい
  • 年商○億円の事業に育てたい  など

また、目的を考えるだけでは起業にはつながりません。実行力も重要になります。その際は具体的な事業計画、資金計画を立てることも大事ですが、必要に応じて同じ目的を持った仲間を集めることも考えましょう。

不足している知識はビジネススクールなどを利用する

理系出身者は、科学や工学の専門知識は持っていても経済や経営についての知識がないという場合もあります。不足している知識がはっきりしている場合は、ビジネススクールに通うことも考えましょう。ビジネススクールを選ぶ際は「自分の起業したいジャンルに合ったスクールなのか」「実績のあるスクールなのか」を必ず確認しましょう。

なお、自分に不足している知識を持つ仲間がいるのであれば、共同で起業するという方法もあります。

状況が整ったらビジネスコンテストに挑戦するのもアリ

全国で起業を目指す人や事業を拡大したい人向けのビジネスコンテストが開催されています。入賞者には事業資金の提供があるコンテストもありますので、チャレンジしてみましょう。ご参考までに「Tokyo ものづくり Movement―未来のものづくりベンチャー発掘コンテスト―」(※終了したコンテストです)の詳細をご紹介します。

対象
  • 都内に登記簿上の本店又は支店があり、かつ、法人登記を行ってから原則3年以内のベンチャー・中小企業など
  • 東京都に納税し、主たる事業所などとして個人事業の開業の届出を行っており、かつ、開業の届出から原則3年以内の個人事業主
  • 2023年度末までに都内での創業を具体的に計画している個人

コンテスト内容金融機関などの前でのピッチを披露する
支援内容最終の採択者に最大1,000万円の開発資金を提供
特徴
  • コンテスト前のピッチ指導
  • コンテスト前の試作支援
    など

参照)東京都創業NET「ビジネスプランコンテスト」

起業以外の働き方との比較

起業以外の働き方にはどのようなものがあるのでしょうか。以下の働き方と比較してみましょう。

会社員として働く

大学や大学院を卒業して働く、といった時の選択肢として多く挙げられるのが会社員という働き方です。専門分野にもよりますが、理系出身者が会社員となる場合、どのような就職先があるのかをご紹介します。

  • 機械業界
  • 自動車業界
  • IT業界
  • 半導体業界
  • 化学系業界
  • 医薬品業界
  • 建設業界

上記以外に「保険業界」「コンサルティング業界」も理系出身者の就職先として選ばれる業界です。

会社員として働くと、会社組織や仕事の仕方などについて学べます。部署によっては経営について詳しくなる可能性もあるでしょう。社内・社外で人脈もできますので起業の際に役に立つ場合もあります。

ただし、将来的に起業を考えているのであれば、目的を見失わないようにすることも大事です。目の前の仕事に忙殺されて起業のことを考えられなくなったという事態に陥らないようにしましょう。

フリーランスとして働く

企業などに属せずフリーランスとして働くという方法もあります。スケジュールやお金の管理、営業も自身で行うため、起業の練習にもなるでしょう。理系出身者のフリーランスに選ばれる職種には以下のようなものがあります。

  • プログラマー
  • ライター
  • 動画配信者  など

フリーランスは会社員とは異なり、組織や仕事について学ぶ機会はほとんどありません。将来的に起業したいのであれば、ビジネススクールに通うなどして足りない知識を自分で補う必要があります。

研究者になる

大学に残って研究者になるという道もあります。専門分野を活かして起業したいのであれば、事業のための人脈づくりもできるでしょう。中には研究室で「共同経営者」を見つける方もいるかもしれません。

ただし、会社員やフリーランスで働く場合とは異なり、「利益を出す」「儲ける」といった部分が軽視されがちです。起業を目指すのであれば、利益やコストについての意識をしっかり持っておく必要があります。

理系が起業する際に気をつけたいこと

理系出身者・在籍者が起業する際に気をつけたいことを確認しておきましょう。

資金計画は現実的に

将来的に利益が期待できそうな事業であっても、資金計画は現実的に立てましょう。金融機関からの融資が実現しても、それは返済しないといけないお金です。また、ベンチャーキャピタルからの融資であっても、何にでも使っていいとは限りません。事業を長く続けるためにも資金計画をしっかり立て、コスト意識を持つようにしてください。

組織づくりや人脈はとても重要

起業では組織づくり、人脈づくりは非常に重要です。理系の専門分野での起業の場合、事業内容によっては大学や在籍した会社の人脈とつながり続ける必要も出てくるでしょう。

特に大学・大学院在籍中の起業は気をつけてください。起業のために休学した場合、学内の知り合い、教授・講師陣とのつながりが途切れる恐れがあります。

会社員として働きながら起業を目指す、という方法も

卒業後すぐの起業や、会社を辞めての起業はリスクが高い、と考えるならば、会社員として働きながら起業するという方法もあります。給与の受け取りが継続できるため、生活の不安はありません。また、会社員という信用があると、金融機関の融資も受けやすくなるでしょう。

ただし、会社によっては副業禁止の場合もあるため注意してください。また、強い意志がないと、日々の仕事に追われて起業するという夢を忘れてしまう恐れもあります。

「やりたい!」という気持ちがあるなら理系も起業してみよう

「理系だから経営のことがわからない」という理由で起業に二の足を踏んでいる方もいるかもしれませんが、理系には専門知識や論理的思考を兼ね備えた人材も多くいます。考え方によっては、文系よりも起業に向いているともいえるでしょう。

もし、やりたいことがあって起業してみたいと考えるのであれば、具体的に検討してみてはいかがでしょうか。ただし、その際は資金をどう工面するか、経営についての知識をどのようにして身につけるかということもしっかり考えるようにしましょう。

よくある質問

出資者がいれば起業は簡単にできそうですか?

資金があるだけでは起業することが難しいといえます。事業のアイデアはもちろん、経営についての知識もある程度必要です。詳しくはこちらをご覧ください。

起業のために大学を休学するとデメリットはありますか?

起業で忙しくなり、そのまま退学する可能性もあります。また、学内の友人や教授・講師陣とのつながりを失ってしまう場合もあるため、よく考えてから結論を出しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談していただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事