• 更新日 : 2024年10月31日

電気工事の事業計画書・創業計画書の書き方は?テンプレート・記入例つき

電気工事の事業計画書や創業計画書は、創業融資を受けたり、資金繰りの見直しを行ったりする際に重要な書類です。今回は、電気工事の事業計画書の重要性や書き方、日本政策金融公庫や補助金などの開業時の資金調達方法、事業計画書作成のポイントについて解説します。

電気工事の開業に必要な事業計画書とは

電気工事を開業する場合、事業計画書の作成が必要です。ここでは、事業計画書の概要や電気工事で必要になる理由について解説します。

事業計画書とは

事業計画書とは、今後の事業運営について、基本的な情報や戦略を整理し、事業の成長性や資金調達を説明するための書類です。事業計画書には、経営者の経歴や取引先の情報、開業に必要な資金や調達方法などが記載されます。

電気工事など建設業の開業に事業計画書が必要な理由

電気工事には、発電設備や送配電線、照明設備、太陽光発電など、幅広い分野があります。これらの電気工事にかかわる事業を開業する場合、電気工事業の登録が必要です。

また、電気工事は、受注する工事の規模によって、建設業の許可を要します。例えば、500万円以上の請負工事をする場合は一般建設業許可が必要です。一般建設業許可を得るには、財産面での要件として、自己資本500万円以上を満たさなければなりません。

開業資金が多額になる可能性もあるため、電気工事の開業では融資を検討することもあるでしょう。事業計画書は、金融機関から融資を受ける場合に必要な書類です。

資金繰りの改善にも事業計画書の作成が効果的

電気工事は、契約によっては、資金回収まで時間がかかることがあります。そのため、仕入と売掛金のバランスがよくないと、経営に問題が生じる可能性もあるでしょう。資金繰りを改善するには、売掛金の割合や支払い、キャッシュフローについて整理しておくことが重要です。事業計画書には、取引先の掛取引の割合や支払情報、収支見込みについて記載する項目があります。状況を整理できるため、資金繰りの改善に役立つでしょう。

電気工事の事業計画書の書き方・記入例

電気工事の事業計画書はどのように作成するのか、この記事で紹介する事業計画書のテンプレートに沿って、書き方を解説します。

創業動機・目的

電気工事で開業するには、電気工事業の登録が必要です。登録するためには、第一種電気工事士の資格などが必要になります。そのため、電気工事の仕事の経験がすでにあり、独立開業をするケースが一般的です。創業の動機や目的には、これまで電気工事の中でどのような分野の経験があり、開業後の仕事にどのように生かせるかを具体的に記載しましょう。保有する資格やマネジメント経験などもアピール材料になります。

職歴・事業実績

職歴や事業実績では、特に電気工事に関連する部分を中心に詳しく記載します。電気工事には、発電設備工事や照明設備工事、仮設工事など、多岐にわたる種類があり、設計、現場施工、施工管理といった職種もさまざまです。これまでの経歴において、どのような工事に携わってきたか、どの職種でどのような経験を積んできたかを明確に記載し、専門性をアピールします。また、専門性をアピールするために、取得した資格があれば、「○○年○月○日 ○○資格 取得」のように、資格についても記載しておくとよいでしょう。

取扱商品・サービス

「取扱商品・サービスの内容」「セールスポイント 販売ターゲット・戦略」「競合・市場などの分析」について記載する項目です。

取扱商品・サービスの内容では、対応できる工事の種類と金額の目安(○○万円~などのように記載)を記載します。

セールスポイントでは、同業他社と比較した強みを記載しましょう。例えば、「○○工事に特化」「○○認証を取得」などの記載が考えられます。

競合・市場などの分析には、営業エリアの競合やニーズ、今後のニーズの予測などを記載します。IoT機器や新電力など、事業に関連する電気業界の状況も交えると説得力がより増すでしょう。

取引先・取引関係

販売先、仕入先、外注先について、シェアや掛取引の割合、支払条件を記載します。販売先は、下請けが中心の場合は法人、一般家庭の工事が中心の場合は個人の割合が高い傾向です。仕入先は電気資材などの仕入先を記載しましょう。

従業員

従業員の項目には、常勤役員の人数、従業員の人数(家族従業員とパート従業員の内訳を含む)を記載します。従業員数を明らかにすることで、どれくらいの規模で電気工事業を営んでいくのかイメージしやすくなるでしょう。

借入の状況

借入の状況については、住宅ローンや自動車ローンなど、開業をする方の個人の状況を記載します。借入状況が必要なのは、融資後に無理なく返済ができる状況か金融機関が確認するためです。返済予定明細表などを取得することで、書類作成時点での借入残高などの詳細を確認可能です。

必要な資金と調達方法

電気工事業を開業するには、計器類や作業工具、ビニールパイプや配線用の器具などの電気資材が必要になるため、1,000万円から3,000万円程度が必要です。他にも資材の運搬のために、軽トラックなどの事業用の車両も用意しなくてはなりません。

電気工事の種類によっては特殊車両を取得する必要もあるでしょう。例えば、送配電線の工事には高所作業車、電柱の工事には穴掘建柱車が使われます。一般建設業の許可を得るためには、500万円以上の資本要件も満たさなければなりません。

必要資金を調達するには、開業に必要な資金を十分に洗い出しておくことが重要です。必要な資金の項目を列挙したら、それぞれの金額や調達方法を記載します。

事業の見通し

電気工事は、材料や人件費にコストがかかる業種です。また、下請けで仕事を受注するケースも多いため、利益が少なくなることもあります。電気工事の開業で融資を受けた場合、利益の中から返済していかなければなりません。

事業の見通しは、月単位での売上や売上原価、経費を記載する項目です。採算性があるか確かめるためにも、現実的な数字に落とし込んで作成するようにしましょう。

電気工事の事業計画書・創業計画書に使える無料テンプレート

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電気工事業を開業するときの資金調達方法

電気工事業の開業にあたり資金面に不安がある場合は、融資制度や補助金制度をうまく利用することをおすすめします。主な調達方法として、日本政策金融公庫からの融資や補助金・助成金があるので、ここでは詳細を紹介しましょう。

日本政策金融公庫の創業融資を活用する

電気工事で特殊車両が必要になる場合、購入すると中古でも数百万円は必要です。また、高額な契約をする場合、材料費や人件費なども受注金額にともない多く必要になるでしょう。開業時の資金が不足する場合、十分に融資を受けられる金融機関を選択することは重要です。

日本政策金融公庫は、民間の金融機関を補完する政策金融公庫です。新たに事業を始める方向けの「新規開業資金」の融資限度額は7,200万円(うち運転資金4,800万円)で、設備資金と運転資金の融資を受けられます。まとまった資金を借りられる可能性があるため、資金調達先のひとつとして検討してみましょう。

補助金・助成金を活用する

補助金や助成金は、国や地方自治体が設備導入にかかる費用の一部を支援したり、人材雇用の促進を支援したりする制度です。

電気工事業が利用できる補助金や助成金として、厚生労働省の人材確保等支援助成金(建設分野)があります。これは、電気工事を含む建設業者の、技能実習・認定訓練の経費や賃金、若年層や女性の職場の定着に積極的に取り組む事業者などを支援する制度です。

電気工事業は、電気工事にかかわる技能などが必要です。新たに人材を雇用し、人材を育成して事業としての成長を図るためにも、助成金などの制度をうまく活用していきましょう。

電気工事の資金調達を成功させる事業計画書のポイント

電気工事業で融資を受けるには、事業計画書を十分に作り込む必要があります。独立開業の多い電気工事の開業には、保有する資格やこれまでの経験・実績も重要です。事業計画書には、資格や経験について詳細を記載するように心がけましょう。

また、電気工事業は、時代のニーズによって、収益化しやすい工事の分野が変化する業種です。需要が変化する可能性を見据えて、これからどのような工事に力を入れていくか、今後ニーズのある分野についてどのような強化を図るかなど、将来的なことも事業計画書に落とし込んでいきましょう。

電気工事業の事業計画書は資金繰りにも重要

電気工事業の開業にあたり、事業計画書は融資に必要な書類として作成が求められます。融資だけでなく、事業計画書は開業後の資金繰りの予測にもなるため、実現可能な数値を使ってしっかりと作り込むようにしましょう。


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