• 作成日 : 2024年8月30日

畜産業の事業計画書の書き方・無料テンプレート【簡単解説】

事業計画書は、畜産業の開業にあたり、販売する食肉の種類や販売先、収支計画を示す重要な書類です。畜産業を長く安定して継続するためには、ターゲット層や仕入先を確保し、適切に運営することが求められます。本記事では、畜産業の事業計画書について、テンプレートを基にした書き方や、作成のコツなどを解説します。事業計画書のテンプレートが必要な場合は、以下からダウンロード可能です。

畜産業の事業計画書はなぜ必要?

事業計画書は単なる形式的な書類ではなく、経営を成功させるための重要な書類です。

特に畜産業は、自然環境や市場の変動に影響を受けやすいため、リスク管理や販売戦略をしっかりと考慮することが重要です。長期的に安定した経営を実現するために、具体的な事業計画書を作成し、経営方針を明確にしてください。

また、資金調達のために金融機関から融資を受ける際にも、事業計画書は重要です。金融機関は、事業が継続的に成長できるかを判断するため、経営者のビジョンや事業の準備状況、他社との差別化戦略などを精査します。実現可能な計画を示すことで、事業の信頼性を高め、資金調達の成功につながるでしょう。

畜産業の事業計画書のひな形、テンプレート

事業計画書 畜産業

マネーフォワード クラウドは、畜産業向けの事業計画書のひな形、テンプレートをご用意しております。事業計画書作成の参考として、ぜひダウンロードして、ご活用ください。

畜産業の事業計画書の書き方・記入例

事業計画書を作成する際には、自社の強みや独自性を示し、安定経営できる企業であることを示すことが重要です。本章では、わかりやすい事業計画を作成するため、各項目の書き方やポイントを解説します。

創業の動機・目的

「創業の動機・目的」は、畜産業を始める理由や目標を明確に記載します。「なぜ畜産業を選んだのか」「どのようなビジョンを持っているのか」を具体的に示してください。

たとえば「社会情勢が日々変動していくなかでも変わらず需要のある畜産業に強い関心を抱くようになった」といった具体的な動機を挙げると良いでしょう。また「地域の農業を支え、持続可能な畜産を目指す」といったビジョンに基づく想いを述べることで、事業への熱意と方向性が伝わります。

職歴・事業実績

「職歴・事業実績」は、過去の職歴や関連する経験・資格を詳しく記載します。畜産業での実績や技術的なスキルを示し、経営能力や強みを強調することが大切です。

たとえば「株式会社〇〇で品質管理部長に就任」といった具体的な実績を挙げると、経験の深さが伝わります。

また「行政の支援を受け、畜産経営に関する情報収集や基礎知識の学習、候補地の選定などを進める。」など、開業に向けて取り組んできたスキル習得や準備の内容を明示することで、計画性や熱意がより一層強く伝わります。

取扱商品・サービス

「取扱商品・サービス」は、提供する商品やサービスの内容、セールスポイントなどを記載します。ターゲット層や販促方法を明示し、自社の独自性や強みを強調することが重要です。

たとえば「事業者への豚肉の提供、一般消費者へのオンライン販売を行う。」「大自然の良い環境のなかで豚を育て、高品質な食材を提供する。」といった内容を挙げると、事業の具体性が伝わります。

また、競合との差別化を図るサービスの提供も重要です。「定期的にイベントを開催し、楽しみながら自社商品について知ってもらう機会を設ける」といった独自性のあるサービスを強調することで、消費者や取引先の関心を引きやすくなります。

取引先・取引関係

「取引先・取引関係」は、販売先や仕入先、外注先を記載します。

畜産業の場合、販売先には「とんかつ〇〇」「〇〇市場」など、顧客となる事業者名を明確に示すと事業の安定性を強調できます。また、事業運営の信頼性と安定性を強調するため「〇〇株式会社(飼料業者)」「株式会社〇〇(食肉加工業者)」など、仕入先や外注先の具体的な取引関係を示しましょう。

従業員

「従業員」は、3か月以上雇用する予定の従業員数を記載します。従業員に家族やパート従業員が含まれる場合は、それぞれの人数も明示してください。

記載方法は以下のような例が挙げられます。

  • 常勤役員の人数:1人
  • 従業員数(3か月以上継続雇用者):1人
  • うち家族従業員:1人

畜産業は、生き物を相手にするため専門知識や経験が不可欠であり、栄養学や獣医学などの知識・経験をもつ従業員の確保が必要です。命を扱うという責任をもち、大切に育てるため、従業員の雇用を慎重に行いましょう。

借入の状況

「借入の状況」は、経営者の個人的な借入金額をすべて記載します。借入金の記載方法は、以下の通りです。

借入先借入額年間返済額
〇〇銀行〇〇支店住宅ローン900万円100万円

借入状況に記載すべき借入金は、以下の一例が挙げられます。

  • 住宅ローン
  • 自動車ローン
  • カードローン
  • 事業ローン
  • 教育ローン

畜産業の開業にあたり新たに融資を受ける場合は、現在の借入状況も重要な判断材料になります。記載漏れや記載ミスがあると信頼性を損なう恐れがあるため、注意してください。

必要な資金と調達方法

「必要な資金と調達方法」は、事業を運営するために必要な資金と調達方法を記載します。設備資金と運転資金それぞれの必要金額と使用目的を明記してください。

畜産業では、畜舎の建設や土地購入など、設備資金に多額の費用がかかります。また、家畜の仕入れや飼料費、治療費など、商品である家畜を健康に育てるための継続的な運転資金も必要です。

さらに、家畜は仕入れてから育てるのに時間がかかるため、収入が得られるまでの運転資金を多めに見積もり、計画的に調達する必要があります。

自己資金と借入額を考慮し、資金計画の信頼性と現実性を示す内容で記載しましょう。

事業の見通し(月平均)

「事業の見通し」は、売上高や原価、経費などを月単位で記載します。畜産業では、季節や市場の変動を考慮した予測が特に重要です。

たとえば、次のように記載すると良いでしょう。

  • 売上高:1頭あたりの想定売上高×月あたりの想定出荷数など具体的な根拠で計算
  • 売上原価:素畜費や飼料費、畜舎の光熱費などが該当。

    事業の見通しの欄に内訳を記入。(例)売上原価 〇〇円(素畜費、飼料費、光熱費を想定)

  • 人件費:自身や家族従業員に支払う給与を記載。

飼育員を雇うのであればその分は売上原価に含めて記載。

  • 支払利息:借入額×年利率÷12月でおおよその金額を記載。
  • その他:荷造運賃など、その他想定される経費があれば記載。

さらに、事業が軌道に乗った後の収支計画を具体的に示すことで、事業の成長性や計画性を強調し、安定した経営が可能であることを伝えましょう。


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