• 作成日 : 2024年6月6日

芸能プロダクション開業の事業計画書とは?テンプレートを基に解説

芸能プロダクションの開業には、芸能関係の経験や人脈を活かした将来性のある事業計画書が不可欠です。所属する人材がいわば商品となる特殊な事業であるため、開業前に得意先の確保や実現可能な資金計画などを行い、現実的な見通しを立てなければなりません。本記事では、芸能プロダクションの事業計画書の書き方や作成のポイントを解説します。

芸能プロダクション開業に必要な事業計画書とは?

事業計画書を作成することで、事業内容やビジネスプラン、資金計画が明確になります。芸能プロダクションの開業では、設備投資の必要がないことは多いものの、当面の運転資金は必要です。

タレントの活動場所は東京や大阪などの大都市が多いため、事務所やオフィスも都市部に構えようとすると、高額な家賃を支払わなければなりません。タレントを育成するためのレッスン費用などを負担する場合もあるでしょう。以上のような費用を賄うために、金融機関に融資を申請する場合には、事業計画書が不可欠です。

金融機関からの融資を得るには、問題なく事業の継続や借入金の返済ができることを事業計画書によってアピールする必要があります。そのためには、しっかりとしたビジネスプランや資金計画を立てなければなりません。

一口に芸能プロダクションといっても、俳優やタレント、ミュージシャン、声優、お笑い芸人など、さまざまな分野があります。近年は、YouTuberやライバーが多く所属する芸能プロダクションも増えてきました。経験や人脈を活かして自社の強みや得意分野を明確にし、売上や費用の現実的な見通しを立てて、説得力のある事業計画を立てましょう。

芸能プロダクションと芸能事務所の違い

芸能プロダクションと芸能事務所の違いは、所属する人材との関係性にあります。

芸能プロダクションは、人材と独占契約や雇用契約を結んでプロダクションに所属させ、月給制や歩合制によって報酬を支払うという形態が一般的です。所属する人材に対して指揮命令権を持つ一方で、育成やスケジュール管理、プロモーションや仕事のあっせんなどを行って全面的なサポートを行います。

一方、芸能事務所は人材とエージェンシー契約を結び、営業活動や仕事の契約に関することのみを請け負う場合が一般的です。契約を結んだ人材は芸能事務所に対して、仕事に関する部分は委託しますが、それ以外のスケジュールやお金の管理、移動などはすべて自分で行います。

ただし、芸能プロダクションと芸能事務所が同じ意味で使われていることも多いです。本記事では、人材を自社に所属させる形態の芸能プロダクションについて考えていきます。

芸能プロダクションの事業計画書のひな形、テンプレート

芸能プロダクション開業の事業計画書とは?テンプレートを基に解説

事業計画書を作成するには、無料のひな形やテンプレートを使うことをおすすめします。記載すべき項目がわかるため、初めてでもスムーズに事業計画書を完成させられるでしょう。以下のリンクからダウンロードして、ぜひご活用ください。

芸能プロダクションの事業計画書の書き方・記入例

事業計画書に説得力を持たせるには、記載するポイントを押さえておく必要があります。以下では、事業計画書のそれぞれの項目について見ていきましょう。

創業の動機・目的

なぜ創業するのか、事業によって社会に対してどのようなことをしていくのかを記載します。経験や実績を活かした創業であることや、他社にない独自性や新規性もアピールポイントになるでしょう。

職歴・事業実績

芸能関係の仕事に携わった経験など、事業に関連した経歴を記載します。金融機関が融資の判断をする際に重視するのは、事業を継続していけそうか、借入金を返済できそうかという点です。記入欄には限りがあるため、経歴が多くある場合は事業に関係する過去の経歴や実績をピックアップして記載しましょう。

取扱商品・サービス

取扱商品・サービスの欄には、どのようにして売上を立てていくのかを記載します。芸能プロダクションの売上は、所属する人材のイベントや広告への出演などによるものが多いものです。競合と比較した自社のセールスポイントや独自性、人脈を活かした戦略などを記載することで、説得力が増すでしょう。

取引先・取引関係

取引先・取引関係の欄には、どのような取引先と取引をしていくかを記載します。「販売先」で考えられる主なものは、所属する人材の出演するイベントを企画する会社や、人材を広告宣伝に起用したい会社などです。

「仕入先」には、レッスンを依頼する会社などを記載します。開業前から取引先が確保できている場合は、取引先名を具体的に記載するといいでしょう。

従業員

従業員の欄には、経営者以外のスタッフの人数を記載します。業員を雇用する場合は給与の支払いが必要となるため、開業当初の過剰な人員は経営を圧迫しかねません。金融機関を納得させられる、無理のない人員計画が不可欠です。

借入の状況

借入の状況の欄には、家族・友人や金融機関からの借入金についてすべて記載します。融資を受けたいがために借入の状況を偽ることは、信用を失う原因となるため避けましょう。借入がなければ記載する必要はありません。

必要な資金と調達方法

開業にあたって、どのような用途に資金がいくら必要なのか、どのように調達するのかを記載します。一般的な開業資金には設備資金と運転資金がありますが、芸能プロダクションの場合は運転資金が多くを占めるでしょう。

オフィスや事務所の家賃、人件費、タレントのレッスンなどにかかる費用について、見積書を取り寄せるなどしてそれぞれ具体的に試算します。3~4ヶ月分の運転資金を記載するのが一般的です。

事業の見通し

事業の見通しの欄では、売上から経費を差し引いて、最終的にひと月にどれくらいの利益が出るかを予測します。芸能プロダクションの売上高は、「客単価×人数×営業日数」という一般的な計算方法では予測できません。

先を見通すことが難しいからこそ、開業前に得意先を確保しておくことが重要です。経験によって培った人脈を活かして得意先を見つけておき、発注書や契約書を交わす段階まで持っていければ、事業計画書の信頼性はより高まります。

芸能プロダクションの事業計画書の作成ポイント

芸能プロダクションは、モノではなく所属する人材の起用や出演によって売上を立てる点で、特殊な業種といえます。顧客となるのは広告宣伝を行いたい企業やイベントを企画する企業など、ある程度限定されるため、開業前の戦略が大切です。また、キャッシュフローの管理も欠かせません。

以下では、芸能プロダクションの事業計画書を作成する際に注意すべきポイントを紹介します。

芸能プロダクションの開業について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

入金のタイミングを考慮してキャッシュフローを考える

芸能プロダクションの売上は、売上の計上から実際の入金までの期間が長くなりやすい傾向にあります。そのため、売掛金が十分にあっても、現金や預金がショートしてしまう可能性があることは考慮しなければなりません。

キャッシュフローを管理して余裕を持たせたり、所属する人材への報酬支払いのタイミングを調整したりする必要があります。

人脈や経験から実現可能なビジネスモデルを想定する

芸能プロダクションは飲食店や店舗に比べると、開業後の広告や宣伝で顧客を集めるのは簡単ではありません。顧客は個人ではなく企業である場合が多く、人材を起用したい得意先の候補は限られてくるでしょう。

そのため、人脈や経験のない状態で芸能プロダクションを立ち上げることは困難です。加えて、芸能プロダクションは金融機関の信用を得にくい業種でもあります。人脈や経験から得意先をあらかじめ確保して、現実的なビジネスモデルを策定しておくことが大切です。

芸能プロダクション開業には現実的な事業計画が不可欠

芸能プロダクションは「仕入れて売る」「製造して売る」という一般的な事業形態でないため、先の見通しが立てにくく金融機関の信用を得にくい傾向にあります。そのため、事業の見通しを楽観視するのではなく、現実的な事業計画を立てておかなければなりません。

確実に事業を継続できるよう、得意先の確保や費用の見積もりなどを開業前から行う必要があります。融資を希望する場合はもちろん、安定した経営を目指すためにも事業計画書を作成しましょう。


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