• 更新日 : 2024年6月28日

合同会社設立登記申請書の書き方を簡単に解説!必要書類について

合同会社設立登記申請書は、合同会社を立ち上げるための登記申請で作成が必須となる書類です。商号や本店などの事項を記載するとともに、各種添付書類も一緒にして申請書を提出する必要があります。

この申請書はどのように書けばいいのか、また必要書類についてもここで解説しております。合同会社の設立を考えている方はぜひ参考にしてください。

合同会社設立登記申請書とは?

「合同会社設立登記申請書」とは、その名の通り、合同会社を設立するための登記申請書です。

会社などの法人を立ち上げるには設立登記を行う必要があり、本社の所在地を管轄する法務局(この場合「登記所」とも呼ぶ)にはこの申請書を提出しないといけません。

申請書の様式は法務局の方で公開されています。こちらのWebページからダウンロードすれば直接法務局に出向くことなく、簡単に作成することができるでしょう。

商業・法人登記の申請書様式|法務局

なぜ登記申請が必要なのか

設立登記が行われることによって法人格が与えられますので、会社を立ち上げるなら登記が欠かせません。この点は合同会社も株式会社も、その他の会社でも変わりはありません。

登記申請が必要とされる理由は、「安全な取引、円滑な取引を実現するため」と説明することができます。

登記によって会社の基本的な情報は公表されますし、申請にあたっては登記事項に関する裏付けの資料も提出しますので、実態に即した登録がなされます。取引の相手方も登記を確認すれば「会社が存在していること」「会社や経営者の概要」について知ることができますので、少しは安心して契約をすることができるでしょう。

逆に登記制度がなければ架空の会社の見分けが難しくなってしまい、取引に対して必要以上に慎重になってしまうことも考えられます。

 合同会社設立登記申請書の書き方

登記申請書にはいくつかの記載項目があります。合同会社を立ち上げる場合どのような書き方をする必要があるのか、各項目について具体例とともに解説をしていきます。

「商号」を記載する

最初に「商号」についての記載欄が設けられていますので、次のように商号を記載しましょう。

“1.商号 〇〇合同会社”

設立登記の段階ではすでに定款を作成しているはずですので、定款で定めた商号と一致する形で記載します。もし定款を作成していないのなら、先にそちらを作っておきましょう。

また、以下の点にも注意してください。

  • 商号にはフリガナも必ず併記する
  • “合同会社”に対するフリガナは不要
  • カタカナで記載する
  • 左詰めで記載する

なお、登記事項証明書にフリガナは表示されませんが、「法人番号公表サイト(国税庁)」で検索をかけた際には表示されます。

「本店」を記載する

次に「本店」の記載欄の横に、本社の所在地を記載します。

“1.本店 〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号”

定款で定めた「本店の所在地」と同じ場所を書く必要がありますが、完全に一致するとは限らないことに注意してください。
というのも、定款では詳細が省略できるのに対して、登記事項としては詳細の省略ができないのです。

次のように、定款だと最小行政区画までの記載で問題ないのですが、登記の際はすべて記載しないといけません。

  • 定款:“〇〇県〇〇市〇〇町”
  • 登記:“〇〇県〇〇市〇〇町〇〇丁目〇〇番〇〇号”

※同じ市区町村内で移転をしても、この場合定款を変更する手間がかからない。そのためあえて詳細までは定款に記載しないケースがある。

「登記の事由」を記載する

「登記の事由」とは、「登記申請を行う理由」を意味します。

設立登記にあたっては、次のように決まった文言を記載しておけば問題ありません。

“1.登記の事由 設立の手続終了”

「登記すべき事項」を記載する

合同会社における登記事項は次の通りで、これらの事項を記載していきます。

  • 商号
  • 本店
  • 公告をする方法
  • 目的
  • 資本金の額
  • 社員に関する事項
    • 資格(「業務執行社員」または「代表社員」)
    • 氏名
    • 住所

※公告の方法や会社の存続期間、解散事由について定款で定めているときは、その定めについても登記事項となる。

※法人の場合は“氏名”の代わりにその“名称”が登記事項。

社員については注意が必要です。

原則として合同会社の社員はすべて会社を代表する存在であり、かつ業務執行権を持っています。

しかし定款に定めを置くことで業務執行権を持つ者と持たない者に分けることができ、このときの前者を「業務執行社員」と呼びます。同様に定款に定めることで特定の社員を「代表社員」とすることもできます。
こういった社員の区別があるときは登記の仕方も変わってくるのです。

代表社員業務執行社員社員
概要合同会社の代表者業務執行権を持つ社員業務執行権を持たない社員
定款の記載事項氏名
住所
代表社員の指名業務執行社員の指名
登記事項氏名
住所
※法人の場合は職務執行者の氏名と住所

申請書に直接各種登記事項を記載してもかまいませんが、別紙にまとめて“別紙の通り”と記載したり、CD-RやDVD-Rに記録して“別添CD-Rの通り”と記載したりしてもかまいません。

また、登記・供託オンライン申請システム(法務省)を使ってオンライン申請する方法もあります。この場合、画面上の表示された入力欄に従えば登記すべき事項も埋めていけます。

「課税標準額」を記載する

「課税標準金額」には、次のように資本金の額を記載します。

“1.課税標準金額 金100万円”

「登録免許税」を記載する

上記の課税標準金額に対応する「登録免許税」を記載します。

“1.登録免許税 金60,000円”

このとき以下の点に注意しましょう。

  • 合同会社設立にかかる登録免許税は、資本金の額に7/1000を乗じた値(最低額は6万円)
  • 100円未満の端数は切り捨てる

資本金の額が100万円なら「100万円×7/1000=0.7万円」となりますが、最低額が6万円と定められていますので、このときは6万円と記載します。

「添付書類」を記載する

何の書類を何通添付するのかを一覧にして記載します。

定款や代表社員などの決定書、その他提出しないといけない添付書類を明記しましょう。

※添付書類の詳細は後述。

申請人などの氏名や住所を記載する

最後に、申請人や代表社員、必要に応じて職務執行者や司法書士などの代理人を特定する情報を記載します。

以下の点に注意しましょう。

  • 申請人は合同会社自身であるため、商号と本店所在地を記載する
  • 代表社員については氏名と設立時の住所を記載し、登記所に提出する代表者印で押印する
  • 代表社員が法人であるときは当該法人の商号と本店所在地を記載し、さらに職務執行者の欄を設けて氏名・住所・押印を行う
  • 代理人がいるときは代理人の氏名・住所・押印(認印でいい)を行う。このときは代表社員の押印が不要。

また、氏名などに併せて「申請書の提出年月日(会社設立日)」「連絡先の電話番号(必須ではないが記載するが一般的)」「申請書を提出する法務局」も間違いのないよう記載してください。

 合同会社設立時に必要なその他の書類【一覧表】

合同会社の設立登記を行うときは次の書類を準備する必要があります。

  • 合同会社設立登記申請書
  • 定款
  • 代表社員、本店所在地および資本金の決定書
  • 代表社員の就任承諾書
  • 払い込みがあったことを証する書面
  • 登記すべき事項を記載した書面など
  • 代理申請する場合の委任状
  • 法人が社員になる場合の添付書類
    • 当該法人の登記事項証明書
    • 職務執行者の選任に関する議事録など
    • 職務執行者の就任承諾書
  • 金銭以外を出資する場合の添付書類
    • 資本金の額の計上に関する証明書
    • 財産引継書

必須のものとそうでないものもあります。必要になる条件や各書類の内容について紹介します。

定款

定款は会社の商号や目的、本店所在地など基本的な事項や根本的なルールをまとめたものです。すべての社員を有限責任社員とすることで合同会社となることができますし、代表社員と業務執行社員、単なる出資者を区別する場合も定款に定めを置いておく必要があります。

設立登記を行う前に社員同士で話し合い、作成を済ませておきましょう。

※合同会社では、株式会社のように公証人による認証を受ける必要はない。

代表社員、本店所在地および資本金の決定書

代表社員、②具体的な番地などまで定めた本店所在地、③資本金の額について定款作成時に定めを置かなかったときは、それらの事項について決定する書面の作成が必要です。

そこで社員が1人のときは「本店所在地および資本金決定書」、社員が複数人いるときは「代表社員、本店所在地および資本金決定書」を作成しましょう。作成にあたってのポイントは次の通りです。

  • 「〇丁目」の部分は漢数字で表記する
  • 記載する同決定書の作成日は定款作成日以降の日とする
  • 各社員の氏名とその個人の実印を押す
    • 法人の場合は代表者が記名押印し、代表者印を押す

代表社員の就任承諾書

社員が複数人おり、互選によって代表社員を定めたときは、その方自身が就任について承諾した旨を証する書面「代表社員の就任承諾書」を作成します。

代表社員として定められたことに関して承諾する旨を記載した簡単な書面です。以下のポイントを押さえて作成します。

  • 就任承諾書の作成日は定款作成日または決定書作成日とする
  • 代表社員となった方の氏名と住所を記載し、個人の実印を押す
  • 個人の印鑑登録証明書にある住所を記載する
    • 代表社員が法人のときは法人の代表者が記名押印し、代表社員で押印する

払い込みがあったことを証する書面

資本金の全額につき払い込みがされた証明する書面も作成します。

「金〇〇円」の払い込みを受けたことと代表社員の氏名の記載。登記所に提出する代表者印による押印をします。

また、この書面には取引明細表や口座名義人が分かる預金通帳のコピーを合わせてとじておきましょう。

※資本金の振り込みに関する部分をマーカーするなどしてわかりやすく表示する。
※同じ代表者を使って契印する。

登記すべき事項を記録したCD-Rまたは書面

オンラインで申請するときまたは申請書に直接「登記すべき事項」を記載したときは作成が不要ですが、そうでない場合は「登記すべき事項」を一覧にした書面またはCD-R、DVD-Rの添付が必要です。

ここに記載した内容が登記事項証明書に記載されます。

代理申請するときの添付書類

登記の専門家に司法書士がいます。弁護士が対応することも可能です。

これら専門家に登記申請を依頼するときは「委任状」を作成しましょう。

“設立登記を申請するための権限”を委任したことと、代理人として定めた者の氏名・住所を明記し、代表社員の氏名と代表者印による押印を行います。

また、原本還付の請求を行う場合は“原本還付の請求および受領をするための権限”を委任したことについてもここで併記しておくとよいでしょう。

法人が社員になる場合の添付書類

個人が代表社員になるときは「代表社員の就任承諾書」を作成するだけですが、法人が代表社員になるときは以下三つの書類を準備します。

  1. 当該法人の登記事項証明書
    1. 当該法人の登記が申請先と同じ登記所にあるときは添付が省略できる。
    2. 設立登記申請書に当該法人の法人番号を記載することでも添付を省略できる。
  2. 職務執行者の選任に関する書面
    ※当該法人にて、職務執行者として選ばれたことを証明するため、「取締役会議事録」や「社員の過半数をもって選任されたことを証する書面」を添付する。
  3. 職務執行者の就任承諾書
    ※「代表社員の職務執行者としての就任を承諾する旨」を記した承諾書を、当該職務執行者が作成する。

金銭以外を出資するときの添付書類

資本金の払い込みは金銭以外で行うことも可能ですが、現物出資をしたときはその価額を確認するためにも「資本金の額の計上に関する証明書」を作成しないといけません。

※出資金の全額を資本金としない場合も作成する必要がある。

このときは、①払い込みを受けた金銭の額「金〇〇円」と②金銭以外の価額「金〇〇円」(出資時の価額)、そしてこれらを合計した額「金〇〇円」を明記します。定款上の金額と一致した額の記載、会社の本店所在地や商号、代表社員の氏名の記載、代表者印の押印も忘れないようにしましょう。

また、現物出資なら「財産引継書」も作成します。

現物出資の目的となる財産について、種別や具体的な型式などの情報を記載。またその金額についても「金〇〇円」と具体的に記載しておきます。そして現物出資した日、現物出資を行った者の氏名と個人の実印を付して完成です。

合同会社の定款のテンプレート-無料ダウンロード

合同会社の定款を作成する際は、テンプレートの活用が便利です。以下より、定款の業種別テンプレートを無料でダウンロードいただけます。
自社に合わせてカスタマイズし活用ください。

また、マネーフォワード クラウド会社設立でも、合同会社の電子定款の作成が可能です。

漏れのないように記載・添付して申請しよう

合同会社設立登記申請書は、法人格を得た合同会社として成立するため、法務局への提出が欠かせない書類です。合同会社を立ち上げるなら必ず作成しないといけないもので、申請書を提出するときは定款などいくつかの添付書類も準備が必要となります。

合同会社は株式会社に比べて設立手続きにかかる負担が小さいとよくいわれますが、それでも法律にのっとった厳格な手続きによらなければ設立ができません。申請書の作成、添付書類の作成についても一つ一つ着実に進めていきましょう。


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