- 作成日 : 2022年12月22日
カンボジアで起業・会社設立する方法は?商号登録などにかかる費用も解説!
「カンボジアで起業するにはどうしたらいいの?」「カンボジアで会社設立できる」「カンボジアで起業する際の諸費用は?」とお悩みではありませんか?
カンボジアは起業しやすい国といわれていますが、ビジネスを始める多くの人の理由の一つに日本の100%資本で会社を作れることが挙げられます。実は、海外における100%資本での法人設立が可能な国は多くはありません。
この記事では、カンボジアでビジネスを始めたい方へ向けて起業・会社を設立する方法から、商号登録などにかかる費用まで解説します。
目次
起業・会社設立にカンボジアがおすすめの理由
起業・会社設立にカンボジアがおすすめの理由は、以下4点です。
- 日本の100%資本で会社を作ることができる
- 豊富な労働力がある
- 就労ビザが取りやすい
- 米ドルが流通している
カンボジアでは、外国資本100%で起業できるため、日本の100%資本で会社を作ることができます。また、高い経済成長率のため、事業を発展させやすいです。
さらに、日本が学校設立などの支援を行ってきたことなどから、カンボジアは親日国家といわれています。日本人が外国で起業するには最適な環境といってもよいでしょう。
カンボジアで設立できる会社の種類
カンボジアで設立できる会社の種類は、「私的有限会社」と「公開有限会社」の2種類です。
「有限会社」という点ではどちらも同じですが、出資範囲の責任しか負わないので、もし会社が倒産した場合でも出資した個人資産に損害はありません。
そして、2種類のうち日本人がカンボジアで会社を設立する際のおすすめの設立方法は「私的有限会社」です。
「私的有限会社」は株式を公開しないため新たな第三者に介入される心配がなく、一人からでも会社を設立することができるからです。
カンボジアで起業・会社設立する方法
カンボジアでの会社設立は「商業省へ商業登記」「経済財政省租税総局への税務登録」「労働商業訓練省への事業所開設申告」「国家社会保障基金(NSSF)」が必要です。
「国家社会保障基金(NSSF)」以外の3つに関しては、2020年6月10日よりオンライン申請にてワンストップで設立手続きを行うことが可能になりました。
カンボジアで起業・会社設立する際に必要となるものは、以下の5つです。
- 企業名の確保
- 定款などの必要書類の準備
- カンボジア公認銀行の残高証明書の取得
- 会社設立申請
- 会社設立証明書の取得
企業名の確保
会社設立の手続き前に、希望する企業名が存在しないか調べた上で、企業名の候補をいくつか考えてておきましょう。
会社設立のオンラインシステム(Registration Services)では、「クメール語」「英語」が用意されており、予約後に問題がないかの通達がきます。
会社登録は、申請後の3営業日以内には完了し、その後は法人設立証書(Certificate of Incorporation)が発行されます。
定款などの必要書類の準備
社名の申請が完了したら、法人登記に必要な書類の準備を行います。必要な書類は、以下の5つです。
- 基本定款
- 設立申請書(商業省で取得)
- 株主と取締役全員のパスポート・商用ビザのコピー
- 株主と取締役全員の証明写真(3.5cm×4.5cm)
- カンボジア公認銀行発行の残高証明書
さらに日本の会社の出資などで、子会社としてカンボジアに法人を設立する場合は、追加で以下の7つが必要です。
- 親会社の基本定款のコピー
- 親会社の登記証明書のコピー
- 登録住所地の土地登記か賃貸借契約書、郵便書類などの住所確認書類
- 取締役の証明写真(3カ月以内に撮影、背景白、jpgまたはjpegファイル)
- 取締役のIDカード
- 該当時の参考書類(既存と類似する会社商号を使うとき、使用許可書、その他のライセンスなど)
- 申請権限授与書(代理人申請用)
定款は3通用意し、申請時に定款を1通、商業登記証明書が発行されてから30日以内に残りの2通とカンボジア銀行の証明書を提出する必要があります。
定款は、「クメール語」でフォーマットに従って作成しますが、もし申請が通らない場合は作り直しとなるので注意が必要です。
そのため、設立代行業者を利用することをおすすめします。
設立証明書は商業省でダウンロード、残高証明書はカンボジア公認銀行で発行してもらい、それぞれ申請しましょう。
カンボジア公認銀行の残高証明書の取得
書類の準備に残高証明書の発行が必要になるため、あらかじめ法人用の銀行口座を用意しなければなりません。法人用の仮口座を開設するほか、取締役の個人口座を先に開設しても問題ありません。口座を開設したら資本金を送金し、残高証明書を発行してもらいましょう。
会社設立申請
必要な申請書類が全てそろったら、オンラインで商業省商業登記事務所に提出します。申請書類の提出時には、申請手数料の支払いが必要ですが、書類が全てそろっていない場合は受け付けてもらえないためしっかり準備しましょう。
もしご自身でオンライン申請ができなかった場合は、商業省にて直接担当係の人に代わりにオンライン申請をしてもらうことも可能です。
会社設立証明書の取得
申請書類が無事に承認されると、商業省商業登記事務所から、「会社設立証明証」「認可レター」「会社定款」「社印」が発行されるので、それぞれ確認を行いましょう。ただし、発行された設立証明書の内容にミスや不備があるケースもあるため、発行されたものは必ずチェックしてください。
不備についてよくわからない人は、不備を確認した上で手続きも一緒に対応してくれる代行業者に任せることで、スムーズに手続きできます。そして、会社登記完了後は、必ず15日以内に税務登録も忘れずに行ってください。
カンボジアで起業・会社設立するときに必要な費用
カンボジアで起業・会社設立に必要な費用を解説していきます。カンボジアの、流通通貨は「リエル」と「米ドル」の2種類あり、どちらで支払いしても問題ありません。
資本金
資本金は口座を開設してから送金するので問題ありません。会社法において最低資本金と最低株式発行(1,000株)が決められており、最低資本金は約 1,000ドルです。
商号予約費用
商号の登録とは、会社で使用するために商号を予約することです。そして、その商号予約にかかる費用が約6.25ドルになります事前に考えた商号がすでに登録されていた場合、あらためて別の商号を決めなければなりません。先に商号を予約しておくことで、他社が同じ商号を申請することを防げます。
商業登録費用
会社の設立に必要な商業登録費用は、オンライン申請をする際に支払いが発生します。商業登録費用として、約252.5ドルが必要です。
税務登録費用
納税者登録ともいわれる税務登録は、その費用として100ドルが必要となります。ビジネスを行うということは、カンボジアに限らず売上にかかる納税義務が発生しますが、税務登録をしておくことで納税状況を把握することが可能です。どの国でも納税は必須のため、必ず手続きを行いましょう。
パテント税登録費用
カンボジアで事業登録をする場合は、パテント税と呼ばれる事業登録税を納税する必要があるため必ず納めましょう。パテント税の登録費用は、以下の通り事業規模により変動します。
- 小規模:約50ドル
- 中規模:約150ドル
- 大規模:約375ドル
登録後、「パテント証明書」「VAT登録証明書」「税務登録IDカード」「税務申告通知書」がそれぞれ発行されます。VATとは日本でいう消費税のようなもので、日本語では付加価値税と訳されます。
労働職業訓練省への登録費用
カンボジアで労働許可証(ワークパーミット)を取得するためには、労働職業訓練省へ事業所開設申告(Declaration of the Opening of the Enterprise)の提出が必要です。そして、事業所開設申告には、30ドルの費用がかかります。
カンボジアでのビジネスに失敗しないための注意点
カンボジアはアジア圏でも中心に位置しているため、ビジネスが拡大したときに他国への展開はとてもスムーズに行えます。一方で、需要のあるビジネスでうまくいった場合でも気をつける注意点はあります。
それは、カンボジアは経済成長が早すぎるため、資金力がある海外の企業が参入してきた場合など、あっという間に市場が飽和状態になることがある点です。
カンボジアの市場は確かに魅力的ですが、業種や業界によってはすぐ天井を迎えてしまうので参入する市場をよく見極める必要があります。
リスクを踏まえてカンボジア進出に挑戦しましょう
カンボジアは親日国であり、日本人が起業・会社を設立するにはとても良好な環境でしょう。また、ビジネスを始めるには最適かつ理想的な環境がそろっているので、今後は日本企業が続々と進出をしていくものと予想されます。
もしカンボジアで起業・会社設立を考えているのであれば時代に乗り遅れないように、今のうちに準備を進めましょう。「手続きはわかったけれど、自分ではやるのは難しい」と感じた人は、現地の代理業者に依頼することもできるので、確認してみてください。
よくある質問
カンボジアで起業・会社設立する方法は?
カンボジアで起業・会社を設立するには、カンボジア商業省ホームページからオンライン申請が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
カンボジアで起業・会社設立するときに必要な費用は?
カンボジアで起業・会社設立する場合は、商業登録費用として約252.5ドルが必要です。オンライン申請時に支払いをします。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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