• 更新日 : 2023年11月1日

好立地の店舗を開業するには?業種による立地条件の違いや選び方を解説

好立地の店舗を開業するには?業種による立地条件の違いや選び方を解説

店舗の開業では立地も戦略のひとつです。好立地で開業できるかどうかも、お店の将来性にとって重要な要素になります。立地条件に開業するにはどうすればよいのか、業種別の好立地の特徴や立地調査の方法などを解説していきます。

店舗開業に好立地が重要な理由は?

店舗開業は立地が重要といわれます。なぜ好立地にする必要があるのでしょう。好立地が重要な理由を3つ取り上げます。

店舗の存在を広く周知できる

立地条件のよい場所に店舗を開業できれば、より多くの人の目に店舗の存在を認識してもらえるようになります。店舗を目にした人の自然な流入も期待できるでしょう。存在を知ってもらえる点で重要性は高いです。

ただし、通行人が多ければよいわけでなく、通行人が多くても店舗が密集していると、ほかの店舗に埋もれてしまうこともあります。見つけやすいことも重要です。

販促・広告費用の削減につながる

存在を広く知ってもらえるということは、店舗の認知度を高めるための広告宣伝にそこまで力を入れなくても客足が期待できるということです。好立地でなければかかるはずだった販促・広告費用に割くコストを削減できるメリットもあります。

集客効果が高い

お店のコンセプトに合った立地のよい場所に店舗を開業すると、集客効果を期待できます。ターゲット層の多いエリアを選ぶことで、ねらった客層にアプローチしやすくなるためです。

また、好立地はターゲット層だけでなく、潜在顧客、つまりなんらかのきっかけがあれば利用してくれる可能性のある層にもアプローチしやすくなります。

店舗立地の種類と特徴

店舗立地の種類には、駅前・駅近、ビジネス街、住宅街、郊外、ロードサイドがあります。それぞれの立地や特徴を紹介します。

駅前・駅近

駅前は駅からすぐの立地、駅近は駅から徒歩で移動できるような駅に近い立地のことです。駅前・駅近の特徴は、交通インフラの整った都心や地方都市などであれば利用者が多く、通勤や通学で利用する層が多いことにあるでしょう。場所にもよりますが、マンションやオフィスビル、ホテルなどの宿泊施設が集まりやすい傾向にあります。

また、駅の近くには繁華街があることも多く、買い物客などでにぎわいやすいです。駅近の繁華街には、美容室や雑貨店、アパレル、飲食店などが集まる傾向にあります。

いずれも人通りが多く人目につきやすいことでメリットがありますが、家賃が高く、業種によっては競合が集まりやすい点に注意が必要です。

ビジネス街

オフィスビルが立ち並ぶビジネス街は、ビジネスマンが多く、利用者が固定されやすいのが特徴です。利用者がある程度絞られることから、行動をイメージしやすいメリットがあります。

例えば、飲食店であれば、ランチタイムの利用や退勤後の飲み会の利用などが想定できるでしょう。ビジネスマンのスケジュールに沿った戦略が立てやすいです。

一方、土日が休日の会社が多く、ビジネス街だと土日の客足が落ちてしまいやすいなどの課題もあります。

住宅街

住宅街は、周辺住民の利用を想定したビジネスに適した立地です。人通りが少ないため集客効果は駅前やビジネス街などと比べて落ちるものの、住人のニーズとマッチすれば固定客を得やすいなどのメリットがあります。

人通りの多い人気エリアと比べると家賃が高くなく、競合も少ないのも特徴として挙げられるでしょう。飲食店の開業などで選ばれることも多いです。

なお、住宅街だと小規模店舗の開業になることもあり、車の乗り入れが多い地域はどのように駐車場を確保するかなどの課題もあります。

郊外

郊外は、市街地から離れたエリアをいいます。郊外は市街地と比べて家賃が安く広い土地を確保しやすいことから、大型商業施設や物流倉庫、ショールームなどが建てられることが多いです。

小規模店舗であれば、ある程度の集客が見込める大型商業施設のテナントに出店する方法が考えられるでしょう。大型商業施設は数多くの店舗が立ち並ぶことからファミリー層などの利用も多く、他店利用のついでなど相乗効果が期待できます。イベントの開催もあり、イベントついでに流入を期待できるのも特徴です。

ロードサイド

ロードサイドは、幹線道路や生活道路沿いの立地を表します。メインのターゲット層は、車やバイクなどを使用する人たちです。

徒歩と異なりターゲットはすぐに通り過ぎてしまうことから、いかに認識してもらえるように看板などを設置するかが重要なポイントになります。駐車場の広さや入りやすさも重要です。ホームセンターや家電量販店、ディスカウントストアなどの立地としてよく選ばれます。

ロードサイドは往来の多い道路では集客が見込めますが、商圏が広まり競合も多くなりやすいこと、カーブのある場所では集客に差が出やすいことなどの課題もあります。

業種別:店舗開業で好立地を選ぶポイント

ここまで紹介したように立地にも種類があり、それぞれ特徴があります。出店する店舗によっては合う合わないがあるでしょう。例えば飲食店であればどのような立地が好立地といえるのか、いくつかの例を取り上げて立地の選択について考えてみましょう。

飲食店・カフェの開業

飲食店やカフェの開業は、利用するターゲット層によって好立地の条件が変わってきます。

例えば、ランチタイムのビジネスマンをメインに飲食店を開業する場合は、ビジネス街や移動中のビジネスマンが利用しやすい駅前などが考えられるでしょう。回転率を重視する場合は、人目に付きやすい繁華街などが候補に挙げられます。

一方、ペットを連れて気軽に立ち寄れるカフェや静かな雰囲気でゆっくりコーヒーを楽しめるカフェなどを開業したい場合は、周辺住人の利用を想定した住宅街が選択肢として挙げられるでしょう。

このように、飲食店やカフェの開業に適した立地は、メインターゲットやお店のコンセプトでも変わってきます。ターゲットの選定やコンセプトを重視した立地の選定が重要です。

居酒屋の開業

居酒屋のメインターゲットは、仕事終わりのビジネスマンなどです。仕事後に立ち寄りやすいオフィス街、駅近くの繁華街などが好立地といえます。

さらに、仕事帰りにふらっと立ち寄れるだけでなく、飲酒する人も多いことから帰宅しやすい場所が好まれます。帰宅がおっくうにならない駅に近い物件などが出店には適しているでしょう。

クリニック・医院の開業

クリニックや医院における好立地は、患者層や診療科で異なります。

例えば、休憩時間の合間や退勤後の時間などに来院することの多いビジネスマンをメインターゲットにする場合は、駅前やビジネス街などの通いやすい場所が好立地になるでしょう。

一方、診療圏で数が少ない診療科は、できるだけ競合と被らないような立地にした方がよいこともあります。診療圏が被らなければ、それだけ多くの患者の来院が見込めるためです。また、診療科自体が少ないため、多少遠くても来院してもらいやすいことから、あえて駅近などの物件を避けることもあります。

ホームセンターの開業

店舗面積が1,000㎡超となる場合など、スーパーやホームセンターの大型店舗の新規開店や売り場の拡張は、大規模小売店舗立地法の規制対象になります。大規模小売店舗立地法は、周辺の生活環境に大きな影響を与える来客や物流の往来が激しい大型小売店について、一定のルールを守って営業してもらう目的で定められた法律です。

規制の対象であるホームセンターは、出店する店舗面積が一定以上を超えていること、十分な駐車場の収容スペースがあること、景観に配慮して営業を行うことなどが求められます。

法律に準じた土地で営業するためには、一定以上の広さがある場所で自動車の出入りがしやすい、郊外やロードサイドの出店が候補になるでしょう。わかりやすい場所にあることも重要なポイントです。

店舗開業する立地調査の方法

店舗を開業する場合は、出店場所を選定するための立地調査は重要とされています。販売する商品や提供するサービスは開店後に変更できますが、立地は容易には変えられないためです。

また立地調査に力を入れるかどうかで、開店後の集客に差が生まれます。開業する業種やお店のコンセプトに合った立地を見極めて事業を成功に導くには、立地調査が重要です。ここでは立地調査の基本について解説します。

店舗周辺の需要の程度を把握する

店舗周辺はどのような場所なのか、どのくらいのニーズが見込めるのか、立地調査で把握できるようにします。地図上ではわからないことも多いため現地調査を行い、詳細をチェックしていくのが好ましいでしょう。

需要を確認するためにも、通行人に多い属性(どのようなライフスタイルを送る人が多いのかなど)、人通りの多さ、通行人の動線などを確認します。

人が多い場所でも、立地によっては動線から外れてしまう物件もあります。また、場所によっては通行人が足を止めにくいところもあるでしょう。需要がありそうか、目視でしっかり確認することをおすすめします。

立地周辺がコンセプトに合うか確認する

よい条件の物件があっても、かけられるコストとのバランスを考えると出店が難しい場合もあるかと思います。すべての条件をクリアできない場合でも、できるだけ妥協せずに、条件に近いコンセプトに合った立地を選択することも重要です。

地図上の情報や現地調査での情報をまとめて候補地を絞ったら、条件に優先順位を付けて、優先順位の高い条件を満たせるコンセプトに合った立地を候補として挙げられているか確認しましょう。

近隣店舗から情報を集める

現地調査を行っても、目視だけでは把握できない情報が隠れていることもあります。これから開業する店舗にとって好立地を選定できるようにするためにも、店頭調査や聞き込みなどで近隣から情報を集めておくことも重要なポイントです。

具体的には、周辺店舗への入店や聞き込みで、ほかの客がどのような商品を購入しているのか、どの時間帯に人が集まりやすいかなど、周辺の店舗の様子を確認します。

好立地の店舗が見つかったら?いち早く開業するために

店舗用物件を探す方法には、知人などから紹介を受ける方法、インターネット上で募集中の物件を探す方法、地域密着型の不動産会社に相談する方法などがあります。

なお、好立地の物件や条件のよい物件ほど、市場に出回る前に契約締結となってしまうことが多いです。出店を決めたら早い段階から未公開情報を取得できるように、不動産会社などに具体的な相談をするなど働きかけておきましょう。

また、よい物件は契約締結までのスピードも早いです。未公開情報の段階で情報を取得できたとしても、条件に合う物件かどうか検討に時間がかかると物件を逃してしまうこともあります。

物件探しの前に、お店のコンセプトや、希望する条件の優先順位などを決めておき、条件に合いそうな物件があったらすぐに返答できるように準備しておきましょう。

好立地かどうかは業種やコンセプトで異なる

一般的に好立地といわれるような物件でも、開業する業種やお店のコンセプトによって好立地とはいえないこともあります。

開業する店舗で集客を成功させるためには、業種やコンセプトに合わせて立地を選定することが重要です。立地調査などの事前調査に力を入れて、これから開業する店舗に合った立地を見つけられるようにしましょう。

また、人気の立地は契約までのスピードも速いです。好立地を逃さないためにも、常に新しい情報を仕入れられるようにしておく、よい物件があったらすぐに返答できるように優先順位を決めておく、などの準備も周到に済ませておきましょう。


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