- 作成日 : 2023年1月20日
起業型地域おこし協力隊とは?起業支援補助金のメリットや活用事例も解説!

「地域おこし協力隊員」は、2009年度に制度化されました。地方自治体が都市部から住民を受け入れ、地域協力活動に従事してもらいながら、定住・定着を図る取り組みです。近年は、地域での就職、就農のほか、起業する隊員が増えてきました。本稿では、起業型地域おこし協力隊について、起業支援補助金とメリット、起業の事例などについて解説します。
目次
地域おこし協力隊で起業ができる?
地域おこし協力隊は、都市地域から過疎地域などの条件不利地域に住民票を異動し、生活の拠点を移した者を、地方公共団体が委嘱するという制度です。
隊員は、おおむね1~3年、地域に居住して「地域協力活動」を行いながら、その地域に定住・定着していきます。2021年度時点で約6,000人の地域おこし協力隊員が全国で活動しています。
地域行事やイベントなどのコミュニティ活動の応援、インターネットを使った情報発信、地域ブランドや地場産品の開発・販売・プロモーションなど多彩な活動が行われています。
活動内容は「都市地域から地方への移住・定住」につながる準備という位置付けで、特に制約はなく、起業もできます。
近年の特徴としては、起業が増加しており、任期が終了した地域おこし協力隊員がそのまま事業を続けて定着する割合が4割を占めています。
引用:令和3年度 地域おこし協力隊の定住状況等に係る調査|総務省
起業型地域おこし協力隊のメリットは?
地域おこし協力隊は、総務省が地域力の創造・地方の再生を目指して実施している制度です。従って、主たる目的が起業というわけではありません。しかし、結果的に起業が増えていることは事実です。その理由は、2つ考えられます。
1つ目の理由は「起業」そのものにあります。起業は、何より自分のやりたいことを実現でき、人に束縛されない自由があり、成功すれば多くの収入を得ることができます。もちろん、定年もありません。
そして、もう1つは地域おこし協力隊がソーシャルビジネスであることが理由になっているといえます。ソーシャルビジネスについては、経済産業省が担い手を育成するために「村おこしに燃える若者等創出事業」など、さまざまな取り組みを進めてきました。
同省の「ソーシャルビジネス研究会」は、ソーシャルビジネスの定義を次のようにまとめています。
「ソーシャルビジネス(SB)とは、障害者支援、子育て支援、貧困問題、環境保護、まちづくり・まちおこし等の社会的課題の解決を目的とした持続的な事業活動である」
経済産業省では、起業型地域おこし協力隊もソーシャルビジネスの担い手育成の取り組みとして捉えています。
社会的課題を解決することで社会貢献できることは、大きなやりがいとなるでしょう。起業でありソーシャルビジネスであることの2つが起業型地域おこし協力隊の長所です。そして、そのことが多くの隊員を惹きつけているのでしょう。
起業型地域おこし協力隊に必要な支援は?
日本における起業希望者は欧米に比べるとかなり少なく、起業が活発とはいえない状況にあります。
その要因としては、起業を知る機会がないこと、失敗したときに支払うコストが大きいこと、事業資金・ノウハウ・人脈が足りないこと、見返りが少ないことなどが考えられるでしょう。
起業型地域おこし協力隊は、見返りについては、少なくとも非金銭的な「やりがい」が得られますが、他の要因については何らかの支援が必要となります。
そこで、総務省では地域創生と地域におけるさまざまな人材育成に向けた取り組みとして、地域課題の解決や地域活性化を目指す起業型地域おこし協力隊に対して、ビジネスサポート事業を行っています。
現役の地域おこし協力隊員だけでなく、OB・OGも対象にビジネスプランを広く募集し、採択された場合には、専門家による現地指導などを通じて、プラン実現に向けた支援を受けられます。
起業型地域おこし協力隊の起業支援補助金とは?
起業支援補助金という名称が一律で使用されているわけではなく、自治体によって呼称は異なります。
この補助金は、総務省が地域おこし協力隊に取り組む自治体に対し、必要な財政需要を支援するために特別交付税として交付するものです。特別交付税を財源として使用し、自治体は起業支援補助金を支給しています。
総務省が支給を認める補助金の要件は、次の通りです。
- 地域おこし協力隊の任期終了の日から起算して前1年以内または任期終了の日から1年以内に地域おこし協力隊員としての活動地と同一市町村内で起業すること
- 100 万円(1人)を上限
また、特別交付税を財源とするのではなく、クラウドファンディング型ふるさと納税を活用して資金調達を支援する自治体もあります。
起業支援補助金の活用事例は?
補助金を活用し、どのようなソーシャルビジネスを起業しているのでしょうか。
総務省の「令和3年度 地域おこし協力隊の定住状況等に係る調査」では、任期終了後に定住した隊員の起業について、以下のデータを公表しています(開業準備中を含む)。
- 飲食サービス業(古民家カフェ、農家レストランなど) 265人
- 宿泊業(ゲストハウス、農家民宿など) 198人
- 美術家(工芸含む)、デザイナー、写真家、映像撮影者 169人
- 小売業(パン屋、ピザの移動販売、農作物の通信販売など) 145人
- 6次産業(猪や鹿の食肉加工・販売など) 112人
- 観光業(ツアー案内、日本文化体験など) 99人
- まちづくり支援業(集落支援、地域ブランドづくりの支援など) 91人
業種が非常に多岐にわたっていることがわかります。
起業支援補助金を活用するときの注意点は?
総務省が認める地域おこし協力隊の起業に要する経費は、具体的には以下のものが対象となっています。
- 設備費、備品費、土地・建物賃借費
- 法人登記に要する経費
- 知的財産登録に要する経費
- マーケティングに要する経費
- 技術指導受け入れに要する経費
自治体の地域おこし協力隊担当課のほか、財政担当課も含めて検討を行った上で対象の可否の判断をします。その検討結果および見解を、各都道府県または総務省地域自立応援課に問い合わせることになっています。そのため、自治体に補助金申請したからといっても必ず認められるとは限りません。
特別交付税による補助金の対象については、「生活の拠点を3大都市圏をはじめとする都市地域等から過疎、山村、離島、半島等の地域に移し、住民票を異動させた者」という地域要件が設けられています。
「3大都市圏」とは、首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)、中京圏(岐阜県、愛知県、三重県)、関西圏(京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)を指します。
移住する前にこうした条件をよく確認しておきましょう。また、起業支援補助金を受給するには、起業する事業が地域課題の解決や地域活性化につながることが不可欠です。
起業型地域おこし協力隊とは何か知っておこう!
起業型地域おこし協力隊について、起業支援補助金とメリット、起業の事例などについて解説しました。
地域おこし協力隊のうち、約4割の人が起業しているというのは注目すべき事実です。補助金だけでなく、自治体におけるほかの支援体制も充実してきているということでしょう。
ソーシャルビジネスとして起業を考えている方は、起業型地域おこし協力隊を検討してみてはいかがでしょうか。
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よくある質問
地域おこし協力隊で起業ができる?
起業できます。地域おこし協力隊は「都市地域から地方への移住・定住」につながる準備という位置付けで、特に制約はなく、起業もできます。実際に約4割の隊員が起業しています。詳しくはこちらをご覧ください。
起業型地域おこし協力隊の起業支援補助金とは?
総務省の特別交付税を活用して、自治体が起業型地域おこし協力隊を支援する補助金です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。