• 更新日 : 2023年6月27日

企業経営は難しい?会社設立後の考え方や、経営課題の捉え方を解説

企業経営は難しい?会社設立後の考え方や、経営課題の捉え方を解説

企業経営では、財務体制や経営体制の強化、生産性向上や人材育成などの施策を講じて組織を成長させることが必要です。企業経営に成功するためには、まずは課題を把握し、必要な経営戦略を立てましょう。今回は、企業経営とは何か、ビジネスの基本や成長のために重要なこと、経営課題への取り組み方などを経営者向けにわかりやすく解説します。

現在の企業経営を維持するために必要なこと

企業経営とは、企業を継続し、発展させていくことです。ここでは、企業経営のために必要なことを、「企業経営を維持するために必要なこと」と「収益を増やすために必要なこと」そして「将来の企業経営に向けて必要なこと」に分けて解説します。

まずは、企業経営を維持するために必要な3つについて理解しましょう。

  • 事業の継続性を最優先に考える
  • 売上や利益を正しく管理・把握する
  • 組織体制の構築・人材を確保する

事業の継続性を最優先に考える

事業の継続性とは、不測の事態が発生した場合でも事業を継続していけることです。昨今、天災の発生や感染症の拡大のように、どのようなトラブル・リスクが発生してもおかしくない環境下に置かれています。ビジネス環境の不確実性が高まっている中で、事業の継続性を優先的に考えることは非常に重要です。

テレワークや在宅勤務ができるよう環境を整備する」「テレワークでもシステムの安全性を高められるようサイバー攻撃対策を講じる」「サイバー攻撃や天災が発生してもデータを復旧できるようシステム構成を見直す」などは、事業継続のための取り組みの1つといえます。

事業を継続させるための方針やプロセスを計画にしたものが、BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)です。企業経営にあたって、BCPの策定は欠かせません。

売上や利益を正しく管理・把握する

企業を維持するためには、黒字経営を目指し、維持する必要があります。赤字だからといってすぐに倒産するわけではありません。しかし、赤字経営が続くと、資金がショートしてしまいます。融資を受けるのも難しくなり、やがて倒産に陥ってしまう可能性が高まるでしょう。

黒字経営を目指すためには、売上やコスト、利益、キャッシュフローを正しく管理・把握する「財務会計」を理解することは必須です。財務会計では、損益を把握するのはもちろん、キャッシュフローを安定させ、資金繰りを管理することも求められます。資金繰りを把握して経営しないと、黒字であるにもかかわらず資金が不足し、黒字倒産してしまうリスクがあります。

また経営に活かすため、社内向けにまとめる「管理会計」も大切です。管理会計では、予算管理や予実管理(予算と実績を比較して課題を明らかにする)、経営課題の分析などを行います。管理会計によって、経営状況を定量的に把握できたり、コストや資金繰りの管理ができたりするため、財務会計と同様に重要な指標です。

組織体制の構築・人材を確保する

事業やお金だけでなく、組織体制を構築・整備することも欠かせません。人材・人的資源は、経営資源のなかでも非常に重要な要素です。必要な人材を確保できなかった場合や、組織体制が崩壊してしまった場合、業務を遂行できません。

日本では、少子高齢化によって生産年齢人口が減っています。多くの企業が人手不足に陥っており、優秀な人材を確保することは、企業経営における大きな課題の1つです。

人的資源について考える際は、自社の従業員はもちろん、取引先の担当者や業務委託先、ビジネスパートナーなど、幅広い人材に目を向けましょう。

収益を増やすための企業経営に必要なこと

企業を存続させるためには、企業経営を維持させようとするだけでなく、収益を増やすための取り組みを積極的に行うことが不可欠です。現状維持のみを考えていては、衰退は避けられないでしょう。

続いて、収益を増やすために企業経営に必要な3つのことを解説します。

  • 経営戦略や経営ビジョンを共有する
  • 拡大戦略と集中戦略の両軸で実施する
  • 継続して人材育成に取り組む

経営戦略や経営ビジョンを共有する

企業が掲げる経営戦略や経営ビジョンは、全社的に共有し、浸透させることが大切です。一部の経営層が理解しているだけでは、形骸化してしまうリスクがあります。

従業員が戦略やビジョンを理解したうえで、それに基づいた行動を自主的に取るようになってはじめて、戦略やビジョンが形になるでしょう。そのためには、経営層が経営戦略や経営ビジョンを積極的に発信することが求められます。

ただ単に伝えるだけでは、不十分です。従業員一人ひとりの行動変容につながるよう、戦略やビジョンに沿った行動をする従業員を評価したり、戦略やビジョンをもとに、とるべき行動を考えるよう促したりしましょう。

拡大戦略と集中戦略の両軸で実施する

企業の戦略にはさまざまな種類がありますが、拡大戦略と集中戦略の双方に目を向けることが大切です。

拡大戦略は、扱う製品や市場を拡大させ、売上拡大や新たな顧客の開拓を狙うことです。自社が保有している経営資源を活用し、新たな製品や新たな市場に踏み出していくことを多角化戦略といいます。多角化戦略をとることで、既存事業が衰退した際に備えて新たな収益の柱を作り、リスク分散できるのがメリットです。

一方、集中戦略とは、顧客や市場、流通チャネルを限定して経営資源を集中投下させる戦略のことを指します。市場での優位性を高めるために行われるのが特徴です。限られた経営資源を効率的に活用し事業展開を図ります。経営資源が限られている中小企業が勝つための戦略として採用することが多いです。

成長のためには、拡大戦略と集中戦略のどちらかに偏るのではなく、事業環境の変化に応じ必要な戦略を迷わずに実施できるようにしましょう。

継続して人材育成に取り組む

売上・利益アップのためには、人材育成も欠かせません。人材育成は、経営戦略に貢献できるような人材を育成し、将来的には経営の中核を担ってくれるような人材へと成長させることを目的に行われます。OJTやe-ラーニング、資格取得補助といった施策はもちろん、一定の配属期間ごとに人材を異動させる「ジョブローテーション制度」や、個人が立てた目標の達成率に応じて評価する「MBO(目標管理制度)」なども、人材育成の1つです。

前述のとおり、ヒトは重要な経営資源であり、人の成長なくしては企業の成長は実現しません。人材育成を行い、離職率を下げ、組織体制を整備することが必要です。

将来的な企業経営のために必要なこと

企業を発展させるためには、現在や近い将来について考えるだけでなく、将来を長く見据えて企業経営を進めなければなりません。

ここでは、将来的な企業経営のために必要なことを4つ紹介します。

  • 企業の将来像を常に描く
  • 社会から求められる事業を続ける
  • いつでも新規事業に飛び込める準備を怠らない
  • 権限委譲を行い部下の裁量で業務を進める

企業の将来像を常に描く

企業が将来的に生き残っていくためには、目先の売上や利益、近い将来の姿を考えるだけでは不十分です。企業のあるべき姿である、将来像・ビジョンを常に描き、それに沿って経営を進める必要があります。

将来像・ビジョンを描きながら意思決定を行うことで、実現のために企業が向かうべき道筋がわかり、経営を正しい方向に向けられます。

将来像・ビジョンは、市場環境の変化や組織体制の変化などに応じて、柔軟に変えていくことも大切です。

社会から求められる事業を続ける

企業が長きにわたって存続するためには、社会から求められる事業を続けることが大切です。

そのためには、まずは自社を取り巻く市場環境を分析し、将来の社会課題やニーズを予測しましょう。そして、社会から必要とされる事業は何か、その未来に対して自社がどのような価値で貢献できるかを考えることで、自社が行うべきビジネスが明らかになります。

いつでも新規事業に飛び込める準備を怠らない

企業を将来的に存続させるためには、既存事業だけでなく、新規事業に挑戦することも重要です。時代背景や社会のニーズに合わせて新規事業を展開し、収益の柱を増やすことで、不測の事態やリスクを回避できるようになるでしょう。

新規事業で先行者利益を確保するためには、いち早く参入し、有利なポジションを築くことがポイントです。ビジネスチャンスはどこにあるかわかりません。日頃から広い視野を持ってチャンスを探し、ビジネスチャンスを見つけたらすぐに飛び込めるよう、常に準備しておきましょう。

権限委譲を行い部下の裁量で業務を進める

経営者が「自分ではやらないこと」を決め、従業員に任せる体制を整えることも大切です。経営者の中には、部下に任せるのが不安でなかなか業務を割り振れない方や、すべてを自分で巻き取る方も多いでしょう。

経営者が業務に携われば、確かに効率よく業務を遂行でき、短期的に企業が成長するかもしれません。しかし、将来の企業経営を担う人材を育成できなかったり、経営者が担当しきれる範囲でしか仕事ができなかったりするため、ゆくゆくは組織の成長がストップしてしまいます。

部下に権限委譲を行い、部下の裁量で業務を進められるようにしましょう。

企業経営を成功に導くための経営課題の取り組み方

企業経営に成功するためには、以下の5つの論点について考え、適切な取り組みを講じる必要があります。

  • 生産性向上と効率化
  • 人材の採用と育成
  • ブランド戦略
  • 財務体制の強化・見直し
  • 経営体制の強化・見直し

いずれも、企業経営を進めるにあたって欠かせない、重要なポイントです。

ここでは、企業経営を成功に導くための、経営課題の取り組み方について解説します。

生産性向上と効率化

生産性向上とは、少ない経営資源で多くの成果物を生み出すことを指します。また、効率化とは、無駄な工程を削減し、業務効率を高め投下する経営資源を有効活用することです。

つまり、効率化は生産性向上のための1つの取り組みといえます。

生産性向上や効率化は、企業に以下のようなメリットをもたらし、企業の成長に貢献します。

  • 従業員のエンゲージメントを高める
  • 顧客満足度を向上させる
  • コスト削減につながる

現在の業務プロセスや組織体制を見直し、無駄な工程はないか、アウトソーシングを活用して効率化できる業務はないかなどを検討しましょう。

人材の採用と育成

人材採用は、組織の活性化や事業課題の解決のために必要です。単なる人員補充としてではなく、企業経営の根幹を支える人的資源を確保する、という意識で人材採用を進めましょう。

人材を採用して終わりではなく、育成にも力を入れることも大切です。新卒社員や中途社員、中堅社員、管理職それぞれに対して適切な人材育成施策を講じることで、企業経営を

担う次のリーダー育成や組織力の活性化、離職率の低下などにつながります。

ブランド戦略

顧客から選ばれる企業になるためには、ブランド戦略にも注力しましょう。顧客が商品やサービスを選ぶうえで、ブランドは判断基準の1つです。顧客がブランドを認知する要素としては、ネーミングやロゴマーク、ブランドメッセージ、ブランドデザインなどが挙げられます。

ブランド力は、すぐに強化できるわけではありません。中長期的にブランド戦略に取り組み、「〇〇といえば〇〇社」という独自のポジションを築くことが大切です。

財務体制の強化・見直し

経営を安定させるためには、財務体制の強化・見直しが必須です。一般的に財務体制が良いと言われるのは、自己資本比率が高く、少ない負債で経営をしている状態のことです。

財務体制を改善することで、金融機関から資金調達をしやすくなったり、資金も事業成長につながる投資にも回しやすくなります。

財務体制の強化・見直しでは、財務諸表から自社の現状把握と課題の明確化を行ったうえで、短期間で解決できる課題から改善を進め、財務体制を構築しましょう。

経営体制の強化・見直し

健全な経営を行うためには、経営体制の強化・見直しを行うことも欠かせません。

特に、不祥事や情報漏えいといったトラブルが相次いでいる現在、コーポレートガバナンス(企業統治)強化の重要性が叫ばれています。コーポレートガバナンスとは、組織での不正や不祥事を防ぎ、公正で、透明性のある健全な企業経営がなされるよう監視・統制する仕組みであり、社外取締役や社外監査役などを置いて対応する場合もあります。

コーポレートガバナンスの強化には、以下のようなメリットがあります。

  • 企業価値の向上につながる
  • 不正を防止できる
  • 財務体制の強化につながる

企業価値やステークホルダーの利益を守り、適切な企業経営を実現するためには、コーポレートガバナンスの強化が求められます。

先を読む力をつけて安定した企業経営を目指す

企業を存続・成長させるためには、企業経営を維持することだけでなく、収益を増やして発展させることが大切です。経営ビジョンの策定と共有、財務会計や管理会計、組織体制の整備や人材育成など、会社を設立した後にやるべきことは多々あります。

企業経営に成功するためには、現在だけでなく、数年後、数十年後を見据えて然るべき取り組みを講じることが欠かせません。先を読む力をつけて、不確実性にも耐えうる安定した企業経営を目指しましょう。


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