
会社経営の心強いサポートとなる「助成金」「補助金」。ここではそのうち、特に会社設立の際に利用出来る助成金「地域中小企業応援ファンド」と、補助金「創業・事業承継補助金」について紹介します。
うまく活用すれば会社設立直後のスタートダッシュにもなるはずです。ぜひ参考にしてください。
目次
会社設立前に知っておきたい助成金
「地域中小企業応援ファンド」とは?
地域中小企業応援ファンドは地域経済活性化を目的に、地域コミュニティに対する貢献度の高い新規事業や会社設立への取り組みを支援するための助成金です。地域に根ざした工芸や特産品、観光資源等を活用した新規事業や会社設立も助成対象になります。
支援が受けられるのは新商品の開発だけにとどまりません。販路の開拓など幅広い経費について、ファンドから助成金を受け取ることができます。またファンドによって異なりますが、単年だけでなく複数年の助成も可能なほか、助成対象が中小企業だけではないという点も特長です。
「地域中小企業応援ファンド」の助成対象
この助成金の対象は中小企業以外にも、中小企業やベンチャー企業の創業・経営革新のための支援事業を展開する企業等も含まれます。また自ら事業を展開するNPO法人等でも適用を受けられます。
この助成金制度のうち、農林漁業に特化したものが「農商工連携型地域中小企業応援ファンド」です。この助成金制度の対象は「地域中小企業応援ファンド」の対象となる中小企業等と、農林漁業者の連携体となっています。
実際に地域中小企業応援ファンドの適用を受けて事業化されたものの中には、角館の伝統技術「樺細工」を現代風にアレンジした製品の国内外の販路開拓や、地元大学との連携で機能性金魚餌の事業化に成功した鳥取の企業などがあります。
「地域中小企業応援ファンド」の仕組み
地域中小企業応援ファンドは独立行政法人中小企業基盤整備機構と都道府県が連携して作り上げたファンドから、助成金を支給しています。
都道府県別にファンドが存在するため、支援が受けられる年数が変動したり、助成対象が変動したりと、ファンドによって違いが生まれるのです。
会社設立前に知っておきたい補助金
「創業・事業承継補助金」とは?
創業・事業承継補助金は中小企業庁が始め、株式会社電通によって実施される補助金で、創業及び事業継承に必要な経費の一部を補助してくれる制度です。
平成27年度の募集では「産業競争力強化法に基づく認定市区町村」での創業のみを対象としていました。そのためこの補助金を今後受けようとする場合は、これから創業したり会社設立をしようとする市区町村が、補助対象に含まれるかどうかをあらかじめ確認しておく必要があるでしょう。
「創業・事業承継補助金」の補助金額の範囲と補助率
創業・事業承継補助金のうち、「創業補助金」の補助率は1/2で、補助金額の範囲は50万円以上~200万円以内(外部資金調達がない場合100万円以内)となっています。
新たに創業する場合に受けられる創業補助金とは違い、「家業を活かす」という視点で事業継承する場合に受けられるのが「事業継承補助金」。補助率が2/3、補助金額の範囲は100万円以上200万円以内(事業所の廃止・既存事業の廃止・集約を伴う場合100万円以上500万円以内 ※経営革新等に要する費用として上限200万円、事業所の廃止等に要する費用として上限300万円)となっています。
「創業補助金」の採択事例
平成27年の創業促進補助金の適用を受けた事業の中には、「ICT(情報通信技術)を活用した通訳サービス事業」や、「フクロウとの触れ合いで癒される『ふくろうカフェ』の創業」、「日本国内向けボードゲーム企画、製造、販売、SNSコミュニティ運営 」などがあります。
対して同年の第二創業促進補助金の適用を受けた事業は、印刷会社が行う「地域の多様な少量需要に向けたデジタルオンデマンド印刷事業の展開 」や、生花店の「プリザーブドフラワーを活用した卸売事業への展開」などです。
助成金と補助金はどう違うのか?
助成金「地域中小企業応援ファンド」、補助金「創業・事業承継補助金」について解説しましたが、そもそもこの助成金と補助金にはどんな違いがあるのでしょうか。これは「手間」です。多くの助成金は資格要件を満たしさえすれば、たいていの場合は助成を受けることができます。
対して補助金は、補助を受けられる企業の数が決まっているため、必ずしも受けられるとは限りません。補助金を受けるためには補助金の申請をする事業の必要性を、事業計画書等を提出してアピールする必要があります。
申請する補助金分のお金を、事業に使ったことを証明する書類の整備や、会計検査院の検査への対策なども必要になるため、これらがない制度が多い助成金と比べて、「手間」がかかるというわけです。
まとめ
「地域中小企業応援ファンド」と「創業・事業承継補助金」は会社設立の際に非常に心強い助成金・補助金です。この2つの制度に限らず、助成金・補助金制度にはそれぞれの制度に強みや弱みがあります。特徴をよく理解して、会社設立後のスタートダッシュのために役立てましょう。
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