• 更新日 : 2022年1月21日

会社設立時における事業年度の決め方とポイント

会社設立時における事業年度の決め方とポイント

事業年度は、会社における決算の対象となる期間。会社設立時に定款で定めるのが一般的です。事業年度は一般的な1年の区切りである1月から、4月からとは異なる期間で定められることも。定款では事業年度をどのように定めれば良いのか、この記事では事業年度の概要から、事業年度の決め方とポイントまで解説していきます。

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事業年度とは

事業年度とは、決算書類を作成する対象となる一定の期間のことをいいます。法人の場合、会社設立登記をした日を事業年度開始日といい、開始日から1年以内を事業年度として設定します。

会社法に基づいて定められた会社計算規則第59条2では、事業年度は前事業年度末日の翌日(前事業年度がないときは成立の日)から1年以内の期間です。半年や9ヶ月など、1年ではない期間での設定が認められています。なお、事業年度の変更を行う場合に限り、例外として1年6ヶ月以内で設定できます。

一方、法人税法(法人税法第13条)での扱いは、定款に定めがあるときは定款で定めたもの、定めがないときは会計期間を定めて所轄の税務署長に届け出るか、所轄の税務署長が指定した期間となります。いずれも最長1年ごとに区切った期間で、事業年度変更時の期間の延長は認められません。

事業年度と決算期

法人は、会社の事業年度終了時点での財務状況、一定期間の経営成績を確定するために、事業年度ごとに決算を行わなくてはなりません。決算を行う事業年度の最後の月を決算期と呼び、この期間に決算報告書が作成されます。

定款への事業年度の記載は任意であるため、必ずしも記載しなくても良いとされています。しかし、決算や法人税の確定申告のため、定款に事業年度を記載しない場合には、設立から2ヶ月以内に所轄の税務署長へ事業年度を届け出る必要があります。また、会社設立時に、1年を基本に事業年度を定款に定めるのが一般的です。

決算期の概要と決算期の決め方は以下の記事で詳細を解説していますので、こちらもご覧ください。

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事業年度を決めるときのポイント

事業年度は任意に決められると説明しましたが、どのように決めるのが良いのでしょう。事業年度を決めるときのポイントをいくつか紹介します。

最初の事業年度末は設立日から離す

事業年度は、会社の設立日から1年以内であれば自由に設定できます。事業年度を設定する際は、最初の事業年度末が設立日からできるだけ遠くなるようにすると良いでしょう。

設立日と最初の事業年度末が近いと、すぐに決算が到来してしまい、決算手続きを行わなくてはならないためです。初年度は、創業から会社が軌道に乗るまで、何かと忙しくなるはずです。開業から間もなく決算になると、初年度の忙しさに加え、決算の忙しさが加わります。

資金繰りを考慮する

事業を行っていく中で、毎月安定した売上が立つとは限りません。業種によっては、閑散期や繁忙期の差が大きく、毎月安定した売上を計算できないときもあります。

事業年度終了日の2ヶ月後には法人税などの納税が控えていますので、資金繰りが悪くなりそうな時期に決算月が被らないよう考慮することも大切です。

売上が落ち込む時期はもちろん、売上分の入金が少なくなると見込まれる時期、ボーナス支給の時期、借入金の一括返済の時期、労働保険料の納付時期など、一時的に資金が減る時期は避けるのが無難です。

消費税の免税を活用する

会社を新たに設立する場合、資本金または出資金の額が1,000万円を超えない法人については、一定期間、消費税の課税が免税されます。消費税課税の基準期間は法人の場合、前々事業年度であって、設立したばかりの法人は基準期間が存在しないことになるためです。

つまり、基準期間を見ると、消費税が課税されるのは、事業期間の初年度が基準期間になる第3期からで、資本金や出資金の額が基準を超えなければ、第1期と第2期は消費税が免税されることになります(ただし、特定期間の判定により、法人であれば事業年度開始日から6ヶ月の期間に、課税売上高と支払給与額の両方で1,000万円を超えるときは、事業年度の第2期から消費税が課税される)。

消費税の課税時期を考える上で注意したいのが、法人は事業年度単位で考えるため、事業年度2期=2年には必ずしもならないことです。以下の図のように、事業年度の設定次第で消費税が課税されるまでの期間が変わってきます。
免税機関

図のように、設立日から初年度の事業年度終了日が近ければ近いほど、消費税の免税期間は短くなってしまいます。資本金または出資金が1,000万円を超えないようであれば、消費税の免税期間も考慮して事業年度を設定すると良いでしょう。

決算期と繁忙期の重複について考慮する

業界の繁忙期と決算期を重ねてしまうと、繁忙期で通常の業務負担が増えるのに加え、決算業務の負担も増えて、業務過多になってしまいます。業務負担が過度に増えないように、決算期と繁忙期をずらすのもひとつの考え方です。

繁忙期よりも前に決算期を設定すれば、繁忙期に思いのほか売上が上がって納税負担が大きくなったとしても、次の決算期に向けて納税資金を確保する策を講じることができます。反対に、繁忙期の後に決算期を設定すれば、繁忙期で大きく上がった売上を今期の成績として反映させることができるでしょう。

以上のように、業務負担や調整のしやすさを考えると決算期と繁忙期を重ねない方が無難ではありますが、あえて繁忙期と重複させるケースもあります。時期を重ねることで、最後の踏ん張り時だと従業員を鼓舞することによって、従業員の仕事へのモチベーションも上がり、相乗効果を期待できるためです。

業務負担を考えると、決算期と繫忙期は重ねない方が良いですが、重複させるメリットとデメリット、会社の方針も踏まえて事業年度を決めることをおすすめします。

法人税の納付時期を考慮する

法人税や消費税の納付期限は、事業年度終了日の翌日から2ヶ月以内です。決算月が3月末だとすると、5月末までには納付しなければなりません。

法人については、最初の事業年度や納付額が少ない場合は中間納付の対象から除外されますが、通常は中間申告による納付または予定納税によって、複数の期間に分けて法人税や消費税を納めます。法人税や消費税の納期限に一時に納付するわけではないため、納税負担を分散できます。

しかし、予想よりも大きく売上が上がった場合は、確定申告の納付期限までに多額の納税が必要になることもあります。納税額が予想よりも大きくなる可能性があることも考慮して、資金繰りには注意しましょう。

役員報酬の決定時期を考慮する

会社の従業員ではなく、会社の役員に支給する報酬を役員報酬といいます。役員報酬は納税額の調整に利用される可能性があることから、法人税法上、損金に計上するためには一定の要件を満たす必要があります。

法人税法上認められるのは、定期同額給与(一定期間同額を支給するもの)、事前確定届出給与(所定の時期に支払う額が確定した金銭や株式など)、業務連動給与(業務に連動した報酬)の3つです。

業務連動給与は一定の条件を満たす必要があるため、通常は定期同額給与で毎月一定額を役員報酬として支給するのが一般的です。

定期同額給与については、事業開始日(初年度は会社設立日)から3ヶ月以内に金額を確定させなければなりません。以降、法人税の計算上、事業年度終了までは定期同額給与として確定した分しか損金に算入できませんので、事業年度終了まで見越して設定する必要があります。

法人成りでこれまでの事業を継続する場合などは、ある程度、報酬の目処が立ちやすいですが、創業したばかりで目処が立ちにくいときは、初年度の事業年度を長くし過ぎないのもポイントです。

事業年度終了時の決算の公告

決算公告とは、利害関係者に限らず、決算書を一般に公開することをいいます。上場しているかどうか、会社が公開されているかどうかなどを問わず、すべての株式会社は法律によって決算公告を行うことが義務付けられています(ただし、有価証券報告書提出義務のある会社など、一部の会社は決算公告が不要です)。

決算公告は、事業年度終了後の定時株主総会終結後、すみやかに行わなくてはなりません。会社の定款で定めた方法で公告することになりますが、定款に記載のない場合は、官報に掲載する方法で公告することになります。

公告の方法

決算公告の方法には、以下、3つの方法があります。

  • 官報に掲載する
  • 官報とは、国が発行する機関紙のことです。政策の周知や権利義務に関する重要な情報などを周知するために発行されています。官報への掲載は、国が発行するという点で信頼性が高いことと、決算公告の内容が簡素なもので済む点がメリットです。前述したように、定款で公告の方法を記載しないときは、官報による公告になります。

  • 日刊新聞紙に掲載する
  • 毎日発行される新聞を日刊新聞紙といいます。日刊新聞紙であれば、幅広い層の読者がいる新聞紙、業界専門の新聞紙などが選択できるため、公告する対象を選ぶことが可能です。官報と比べると公告の費用がかかりますが、官報と同じように簡素な内容で公告できます。

  • 電子公告する
  • 電子公告とは、自社ホームページなど、インターネット上で行う公告です。自社ホームページで公告する場合は、ホームページを訪問する人に向けて、広く情報を開示できます。ただし、電子公告については簡素な内容ではなく、全文を公告しなければなりません。さらに、定款に電子公告する旨を記載しなければならないほか、適切に公告することを証明するために電子公告調査機関への調査委託も行わなければなりません。多くの株主を抱える企業でない限りは、官報や日刊新聞紙への掲載で済ませるのが無難でしょう。

会社設立時に定款に記載する事業年度はよく検討しよう

事業年度とは、会社が決算の対象とする一定の期間をいいます。会社設立時に事業年度を定款に定める必要はありませんが、定めない場合は設立から2ヶ月以内に所轄の税務署長に事業年度を届け出なければならないため、多くの会社では設立時に定められています。

また、事業年度は設立から1年以内であれば自由に決められますが、ほかの企業もその時期の決算が多いからという理由で決めてしまうのは早計です。会社の資金繰りや消費税の課税時期、繁忙期との兼ね合いなど、さまざまな点を考慮して決めるようにしましょう。

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よくある質問

事業年度とは?

決算書類を作成する対象となる一定の期間のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

事業年度と決算期の関係は?

決算期とは事業年度の最後の月を指します。事業年度を定款に定めないときは、決算のために所轄の税務署に事業年度を届け出なければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岩波 竜太郎 (公認会計士 / 税理士 / 経営学修士)

公認会計士・税理士・経営学修士。大手監査法人、ベンチャー企業を経て、2015年に独立開業。大手監査法人での海外経験や管理本部長としての幅広い経験を武器に会計アドバイザリー業務を主たる業務として行うとともに、東証1部上場企業である株式会社OrchestraHoldingsの社外役員をはじめ、経営アドバイザーとして複数の企業に関与。Webメディア等の記事執筆・監修業務も積極的に行っている。

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