• 更新日 : 2023年12月11日

美容室開業の事業計画書の書き方!テンプレート・記入例を基に解説

美容室開業の事業計画書の書き方!テンプレート・記入例を基に解説

美容室を開業する場合、融資を受けるために事業計画書は重要です。事業計画書の作成により、自分自身も事業収支の把握が可能となります。ここでは、事業計画書の概要や作成ポイント、収支の算出方法などを説明します。加えて、融資担当者が注目するポイントもご紹介しましょう。美容室開業や経営のために、ぜひ参考にしてください。

美容室開業のための事業計画書とは?

美容室を開業するためには、事業計画書の作成が必要です。そもそも事業計画書とは、どのようなものでしょうか。ここでは、事業計画書の概要や必要な理由、いつから作成準備にとりかかるべきかを解説します。

事業計画書とは

事業計画書とは、事業を行う際の収益見込みや事業運営を数字や言葉で表したものです。美容室だけでなく、あらゆるビジネスの土台となるものです。開業にあたって、金融機関や公的機関から融資や補助金を受ける場合は、必ず提出を求められます。

類似した書類に創業計画書がありますが、創業計画書は、どのような事業を始めるのかを説明した書類です。創業計画書は事業計画書の一部のため、同じ意味で使われることが多いでしょう。

事業計画書が必要な理由

事業計画書は、融資や補助金を受ける際に必要な書類ですが、自分自身が客観的に事業そのものを把握するのにも重宝します。

美容室開業を具現化し、売上高や利益、経費、資金繰りなどを細かく算出します。日単位から月単位、年単位と予測しながら事業計画書を作成することで、現実に近い数字の算出が可能です。

事業計画書を作成すると、いくらくらいの物件を借りられるのか、何人雇えるのかなど、開業時のお金の流れを見える化できるでしょう。説得力のある事業計画書であれば、融資を受ける際にも有利です。また、ビジネスパートナーや協力先への説得材料としても利用できます。

事業計画書は、対外的にビジネスプランを説明するためだけのものではなく、自分自身が経営者として事業を理解するためのものでもあります。経営方針に迷った際には、事業計画書を見直すことで、解決の糸口が見つかることでしょう。

事業計画書はいつから作成するべき?

開業のための準備は、遅くても1年前から始めるべきでしょう。理想とする美容室の形や場所、スタッフの数などを具体的な数字に落とし込んでいくには時間がかかります。開業のための流れや必要なことを洗い出したうえで、事業計画書の作成に取りかかることが大切です。

美容室開業の場合、物件が決まってからオープンするまでの期間はおおよそ3ヶ月です。そのため、融資スケジュールを考慮すると、物件が決まってから事業計画書を作成し始めるのでは遅すぎます。事業計画書は、予定のオープン日時から逆算して3ヶ月前までには仕上げておきましょう。

美容室の開業を成功に導く事業計画書の作成ポイント

ここでは、事業計画書を作成するためのポイントをご紹介します。事業計画書をどのように作成すればよいのかと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。

事業計画には5W2Hを活用する

事業計画を立てるときには、5W2Hというフレームワークが有用です。5W2Hとは、次の7つの要素を指します。

  • what(何を)
  • why(なぜ)
  • when(いつ)
  • who(誰に)
  • where(どこで)
  • how to(どのように)
  • how much/how many(いくら、いくつ)

それぞれの要素を明確に定めることで、目標達成までの道筋を具体化できます。このフレームワークは、ビジネスを効率的に進めるためのものです。上司や部下、同僚に企画などの状況を順序立てて説明するときや課題を探る際に役立ちます。

目標達成までにやるべきことや課題を明確にできるため、事業計画書を作成する場合にもおすすめです。ビジネスのコンセプトや期間、ターゲットなどを明らかにすることで、事業戦略がより現実的になるでしょう。

数字には根拠を持たせ具体的に表す

説得力のある事業計画書を作成するには、根拠のある売上や経費の算出が必要です。根拠のない数字では、現実性を欠き、融資や補助金を得るのは難しくなります。金融機関の融資担当者は、ただなんとなく数字を入れただけの事業計画書を信用しません。

具体的な数字を算出するためには、1ヶ月単位で収支計画を立てるのがおすすめです。客数や客単価、売上、経費などを計算することで、損益の見通しをたてやすくなります。

また、より現実的な数字をもとに資金準備にあたれば、オープン時から安心して経営に集中できます。具体的な数字の算出方法については後述するため、ぜひ参考にしてください。

お店の強み・コンセプトを明確にする

事業計画書を作成するためには、お店の強みやコンセプトを明確にする必要があります。セールスポイントとなる強みや専門性を前面に押し出すことで、他店舗との差別化が図れます。

たとえば、「ショートカットが得意」だったり「シニア向けのカラー品質がよい」だったりと、お店を構える地域の特徴にあったコンセプトを探してみるとよいでしょう。コンセプトを決める際に、単純に「安さ」を売りにするだけでは差別化は図れません。なぜなら、他店舗も簡単に安いメニューを用意できるためです。

他店舗が真似できない自分の得意な技術は何か、またどのようなコンセプトが求められているのかをよく考える必要があります。

サービスや商品の将来性を伝える

サービスや商品の将来性を伝えることも大切です。美容業界の市場動向から、物販する商品やターゲット、戦略などをきちんと伝えましょう。

たとえば、以前は多くの方が白髪染めを目的に美容室を訪れていましたが、今は、白髪を楽しむ年配の方が増えています。隠すのではなく、元の髪の毛をより素敵に見せるための整髪料やサービスがあれば、売上増加を期待できます。

時代にあったサービスや物販への注力を、数字やグラフをもとにアピールすることで説得力が増します。

美容室向けの事業計画書のひな形、テンプレート

事業を始める場合、日本政策金融公庫から融資を受ける方が多いでしょう。そのため、ここでは日本政策公庫のものをご紹介します。美容業の記入例もあるため、参考になります。

日本政策金融公庫では、事業計画書を創業計画書と呼んでいるため注意してください。

また、日本政策金融公庫以外からの借入の場合、次のひな型が便利です。使いやすく、必要な事項がすっきりとまとめられています。ぜひ活用してください。

参考:日本政策金融公庫 国民生活事業

美容室の事業計画書の書き方・記入例

ここでは、美容室の事業計画書の書き方や記入例をご紹介します。必要事項をただ埋めるだけでなく、融資担当者が納得できる事業計画書を作成しましょう。

創業の動機・目的

事業計画書を作成する場合、必ず創業の動機や目的を問われます。上述した5W2Hのwhyにあたるところです。創業の動機が「ただ、なんとなくやってみたい」だと、融資を受けられる可能性はほとんどないでしょう。

美容室開業を目的とする場合、美容関連の内容でなければなりません。たとえば子どもをターゲットにする場合、「子どもが怖がらないカットを提供したい」は、一つの案として考えられるでしょう。また時間のないサラリーマンがターゲットの場合、「30分で仕上げるカットメニューを提供したい」が人気になるかもしれません。

大事なことは、自分の実務経験に基づいた動機や目的を記入することです。すでにターゲット層の顧客を獲得していれば、より信頼性が増します。

一つの具体例をご紹介しますので、参考にしてください。

美容師として10年の勤務経験の間、技術や経営ノウハウを身につけてきました。お客様とのやり取りのなかで、自分で思ったようなセットができないと悩む方が多くいることがわかりました。自分でセットしても、短時間で想像通りの仕上がりになるカットメニューを中心にサービスを提供したいと考えています。ターゲットとする若い女性が多く働く〇〇中心街によい物件を見つけ、創業を決意しました。

経営者の職歴・事業実績

美容室を開業する場合、開業にあたりどのくらいの時間をかけてきたのかは重要なポイントです。美容関連の資格をもれなく記入するのはもちろんのこと、働いた勤務先での役職や役割、スキルをきちんと記入します。職場以外で獲得したスキルや知識があれば、より信頼性があがります。

チームリーダーとして働いた経験がある場合、肩書や実績、マネジメントスキルなども記入しましょう。経営者としての資質があると認めてもらえます。ただし、記入するスペースに限りがあるため、事業に関連する内容に特化することが大切です。

取扱商品・サービス

取扱商品やサービスを記入する場合、明確に商品やサービスの魅力を伝えることが必要です。こちらも記入するスペースに限りがあるため、ターゲットに向けたメインメニューから記入しましょう。

メニュー内容から、「誰に何をどのように提供するのか」が伝わるように工夫します。専門用語を避けて、わかりやすい言葉で書くことがコツです。

取引先・取引関係

取引先や取引関係の欄には、商品やサービスの仕入れ先だけでなく、見込み客のリストなどがあるとさらによいでしょう。個人情報のため細かく記入する必要はありませんが、面談時に見せられるように準備しておいてください。

取引先については、固有名詞で記入します。美容室で使う商品や物販する商品の仕入先を記入することで、しっかりと準備してきたことをアピールできます。扱う商品の特徴を聞かれたときに、適切に答えられるようにしておきましょう。

従業員

事業計画を立てる際は、従業員の数も重要です。経費のなかで人件費は大きな割合を占めるため、従業員の数は必ずチェックされます。店舗の広さや想定客数に見合った従業員数になっているのかを確認します。

開業時は、可能な限り少ない従業員で店舗を回すことが鉄則です。美容室であれば、一人で開業するのも一つの方法です。無理のない人員計画を立てることで、資金繰りもうまくいきやすくなります。

借入の状況

借入の状況は、正直に記入することが重要です。資金調達のために、借入がないように偽って記入してはいけません。

こちらの欄には、事業とは関係のない車や住宅ローンもすべて記入します。借入金がないに越したことはありませんが、返済額を見越した事業計画を立てることで、担当者にも納得してもらえます。

ただし、消費者ローンやカードローンなど金利の高い借金がある場合はマイナスと捉えられるため、こういった借金は早めに返済しておきましょう。

必要な資金と調達方法

必要な資金と調達方法は、なぜこの金額の融資が必要なのかを示す項目で、事業計画書のなかで最も重要といえます。通常、この項目には設備資金運転資金の2つの欄があります。

設備資金とは、事業を始めるときに必要な資金です。美容室の場合は、主に次のものが含まれます。

  • 店舗の敷金や保証金
  • 店舗の改装工事費
  • 店舗の設備費用(洗濯機・冷蔵庫・電子レンジなど)
  • 美容器具費用(シャンプー台・鏡・施術用の机・椅子など)
  • 開業材料費消耗品一式・シャンプー・カラー剤・化粧品など)
  • 広告宣伝費(ポスターやチラシなどの印刷物・webサイトの作成費用など)

改装費や賃貸関連の費用を計上する場合は、業者からの見積書や賃貸借契約書などを提出します。

一方、運転資金とは日々の事業活動に必要な資金です。運転資金の目安は、通常3〜4ヶ月ほどの原価や経費の合計です。この数字は、事業の見通しとの整合性を考えて記入する必要があります。主な運転資金は、次のとおりです。

  • 火災保険料
  • 従業員の給料
  • 物販の仕入費
  • 電気・ガス・水道代
  • 店舗の賃料

店舗経営に慣れた経営者であれば、ざっくりとした数字でも後からの調整が可能ですが、初めて経営する方は、正確な数値を算出する慎重さが必要です。「後からなんとかなるだろう」という甘い見込みでは、店舗運営はすぐに行き詰まります。

こちらの項目では自己資金についても記入しますが、自己資金が半分ほど、借入が半分ほど、というのがバランスの取れた資金計画といえます。そのためにも、ある程度の自己資金を貯める必要があるでしょう。

事業の見通し

事業計画書では、事業の見通しを月単位で記入します。表やグラフを用いてわかりやすく説明したものを別途用意すると、担当者に熱意が伝わります。

創業してすぐに黒字というのは難しいですが、半年ほどで黒字になるのが理想的です。そのため、半年から1年ほどで黒字になる計画を立てる必要があります。もちろん、根拠のある数字を示すことが前提です。

経費は、余裕があるように多めに計上します。担当者は、売上と経費から融資金をきちんと返せるのかどうかを判断します。事業の見通しについては、事項でより詳しく説明しましょう。

事業計画書の事業(利益)の見通しの考え方

融資の審査では、現実的な収支計画であるのかどうかをみられます。きちんとした収支計画を立てるためには、売上高や粗利、営業利益などの意味を理解し算出する必要があります。もちろん経営者にとっても必須な知識です。ここでは、事業収支計画を立てるために必要な売上高や粗利、営業利益について詳しく説明します。

売上高の算出

まずは、売上高の算出です。売上高を算出する式は、次のとおりです。

売上高=客数✕客単価

客数は、店舗の座席をベースにして、1日に何回転するのかを予測します。自分の実務経験や他店舗のデータを参考にして、より客観的な数値を算出しましょう。また、曜日や時間帯、繁忙期と閑散期などを考慮することも大切です。

客単価は、提供するメニューをもとに算出するとより正確な数値を割り出せます。ターゲットとする客層がよく利用するオーダーを想定し、金額をかければ客単価になります。

審査の担当者から、数値の根拠を問われることを想定し、どのように算出したのかをきちんと理解し説明できるようにしておきましょう。

粗利の算出

次に、粗利の算出です。粗利とは、その名前のとおりざっくりとした売上のことを指します。総売上から、シャンプーやカラー液剤などの原価や経費などを差し引いたものです。

粗利=売上高−仕入高

美容室で使うシャンプーやカラー液剤は、一人のお客様に商品のすべてを使うわけではなく、必要な分のみを利用します。そのため、メニューごとに商品の何%ほどを利用するのかを予想し、仕入高を算出しなければなりません。

物販では、商品そのものを販売することになるため、取引先に仕入値を確認しましょう。

営業利益の算出

最後に、営業利益を算出します。営業利益とは、先程の粗利から諸経費を差し引いたものです。

諸経費には、家賃や人件費、水道光熱費通信費、月々の融資の返済額、保険料、ホームページの制作費、広告宣伝費などが含まれます。大きな割合を占める人件費や家賃の割合は、とくに重要です。以下は、一般的な美容室の人件費や水道光熱費、家賃のおおよその目安です。

  • 人件費:売上高の50%以下
  • 水道光熱費:売上高の5%以下
  • 家賃:売上高の10%以下

自分の経験から、どのくらいの数値が妥当なのかを考えてみてください。

月次・年次を立てる

月次での営業利益が算出できたら、年次での収支シミュレーションを作成してみましょう。運転資金に余裕があればよいのですが、運転資金が枯渇してしまうと、経営を続けるのは難しくなります。

年次での収支計画をシミュレーションできると、どのくらいの期間で軌道に乗せなければならないのかがわかります。運転資金で賄える期間を把握するためにも、年次での収支計画は欠かせません。

根拠のある数値をもとに日単位から月単位、年単位まで収支計画を作成することにより、融資担当者のどのような質問にも適切に回答できるようになります。より具体的で、かつ現実的な収支計画の作成こそが、ビジネス成功への鍵です。

融資担当者が美容室開業の事業計画書で確認するポイント

融資担当者が事業計画を確認する場合、とくに次の3つのポイントに注目します。

  • 経営者としての資質は?
  • 財政状態は健全か?
  • 収支の見通しは良好か?

それぞれのポイントについて、詳しく解説します。

経営者としての資質は?

事業計画書でみられるのは、美容師としての技術力だけでなく、経営者としての資質があるかどうかです。

開業すれば、経営者として組織をマネジメントしなければなりません。自分のお客様を満足させるだけでなく、従業員が快適に働ける環境づくりも大切です。また、売上や経費の収支バランスについての確認も欠かせません。

トータルなマネジメント力をアピールするために、美容室の運営や経営に携わった経歴がわかる事業計画書を作成しましょう。

財政状態は健全か?

財政状態が、健全かどうかも重要です。事業計画書では、必要な資金や調達方法、負債とのバランスをみられます。開業当時から負債が大きい場合、比例して毎月の返済額も大きくなるため、財政状態の健全さを欠くと判断されかねません。そのため、準備段階から負債を減らす工夫が大事です。

たとえば店舗の改装であれば、より安く請け負ってくれる業者を探したり自分でDIYしたりすることで、初期費用を大幅に減らせるでしょう。

また財政状態が健全であれば、資金繰りが楽になり、経営が初めての方にとっても大きな安心材料になります。

収支の見通しは良好か?

融資の担当者は、収支の見通しが良好かどうかに注目します。開業当時の数値は、ある程度算出されていても、先々の収支をきちんと計算できていない方が少なくありません。

融資を長い期間かけて返済する場合、長期間に及ぶ収支計画がなによりも大事になってきます。美容室で働いた経験から、さまざまな状況を想定して、何度もシミュレーションを行うことが大切です。このシミュレーションは、問題が発生した場合や今後の経営において助けになることでしょう。

これから事業計画書を作成する場合は、次の記事を参考にしてください。

また、美容院に関する情報は、以下の記事でも詳しく解説しています。

美容室開業や経営を成功に導く事業計画書を作成しよう!

美容室を開業する場合、事業計画書は重要です。融資を受けるときだけでなく、事業収支を把握するうえで大いに役立ちます。開業すれば、美容師としてだけでなく、経営者目線で店舗を運営していかなければなりません。借りた融資を返済するためにどれほどの売上が必要なのか、また月々の経費はどれくらいなのか、などをきちんと理解するために、時間をかけて丁寧な事業計画書を作成することが大切です。


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