- 作成日 : 2017年11月30日
NPO法人を設立する前に知っておきたい3つのポイント

特定非営利活動法人=NPO法人。具体的にどんな法人を意味するのか、どうすれば設立できるのか。
ここではNPO法人を設立する前に知っておきたい3つのポイント、「認証NPO法人になるための条件」「NPO法人設立に必要な書類」「認定NPO法人とは何か?」について解説します。
目次
「特定非営利活動」とは?NPO法人設立のための条件
NPO法人として認められるための8つの条件
1.特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること
2.営利を目的としないものであること(※1)
3.社員の資格の得喪に関して、不当な条件を付さないこと
4.役員のうち報酬を受ける者の数が、役員総数の3分の1以下であること
5.宗教活動や政治活動(※2)を主たる目的とするものでないこと
6.特定の公職者(候補者を含む)又は政党を推薦、支持、反対することを目的とするものでないこと
7.暴力団又は暴力団、若しくはその構成員、若しくはその構成員でなくなった日から5年を経過しない者の統制の下にある団体でないこと
8.10人以上の社員を有するものであること
(引用元:内閣府NPOホームページ)
※1 「構成員への収益の分配や財産の還元を目的としない」という意味で、利益を得ること自体を禁止しているわけではありません。
※2 「政治活動」にはロビー活動等は含まれません。
NPO法人を設立しようとするときに、必ず知っておかなくてはいけないのがこの8つの条件です。
所轄の行政機関はこれらの条件を満たす団体に対しては、設立を認証しなくてはいけないとされています。
NPO=特定非営利活動とは?
1〜8の条件のうち、キーワードとなるのは「特定非営利活動」です。これさえ理解しておけば、あとはそれほど難しい内容ではありません。
特定非営利活動を一言で表すと、不特定多数の利益を目的とする活動です。
内閣府NPOホームページでは、「社会教育の推進を図る活動」「災害救援活動」「情報化社会の発展を図る活動」など20種類の分野が挙げられています。NPO法人の設立を検討している人は、自分たちが考えている活動がどの分野に当てはまるのかを確認しておきましょう。
NPO法人設立の流れと必要書類
NPO法人設立の流れ
(出典:特定非営利活動法人(NPO法人)設立までの流れ|内閣府NPOホームページ)
NPO法人の設立までのステップは全部で3段階。1つ目が「申請」です。所轄の行政機関に対して必要な書類を添付した申請書を提出します。
この申請書のうち5種類(定款、役員名簿、設立趣旨書、事業計画書、活動予算書)は、申請書受理日から1カ月間、市民の誰もが自由に見られるようになります(縦覧)。2つ目の段階「認証(または不認証)」に入るのは申請書受理日から3カ月以内。認証か不認証かを決めるのは前述した8つの条件によります。
設立が認証されると3つ目の段階「登記」です。登記手続きを終えればNPO法人として成立することになります。
NPO法人設立のための必要書類
1つ目の段階「申請」で必要な書類は全部で10種類。以下のうち1と2、7と9、そして10の書類が市民に縦覧されます。
1.定款
2.役員名簿(役員の氏名及び住所又は居所並びに各役員についての報酬の有無を記載した名簿)
3.役員の就任承諾書及び誓約書の謄本
4.役員の住所又は居所を証する書面
5.社員のうち 10 人以上の氏名及び住所又は居所を示した書面
6.認証要件に適合することを確認したことを示す書面
7.設立趣旨書
8.設立についての意思の決定を証する議事録の謄本
9.設立当初の事業年度及び翌事業年度の事業計画書
10.設立当初の事業年度及び翌事業年度の活動予算書
(引用元:内閣府NPOホームページ)
認定NPO法人とは何か?
認証NPO法人と認定NPO法人
ここまで紹介してきた条件や必要書類で設立できるのは「認証NPO法人」です。
これに対して認定NPO法人として認定を受けるためには、「経常収入金額のうち5分の1以上を寄付金等収入で占めていること」「寄付金総額3,000円以上の寄付者が年平均100人以上いること」などを定めるパブリック・サポート・テスト(PST)をはじめとする、8つの認定基準を満たしている必要があります。
認定を受けると、主に税制面で優遇措置を受けることができます。
税制優遇措置「みなし寄付金制度」とは
認定NPO法人に認められている税制上の優遇措置に「みなし寄附金制度」があります。
これは認定NPO法人自身が、収益事業に属する資産のうちから、その事業以外の特定非営利活動に関係のある事業に使った金額を、当該収益事業への寄附金とみなす制度です。
限度額は所得金額の50%または200万円のいずれか多い金額の範囲まで。このほかにも個人や法人が認定NPO法人に寄附した場合の優遇措置もあります。
まとめ
NPO法人設立を検討する上で、ここで挙げた3つのポイントはとても重要です。
1つ目の「NPO法人設立のための条件」はNPO法人とは何か、という根本を定義するものです。2つ目の「NPO法人設立のための必要書類」は実務の上で避けては通れない項目でしょう。
効率的な運営を考えるなら3つ目の「認定NPO法人とは何か?」も見逃せません。よく理解した上で、実務に役立ててください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。