• 更新日 : 2024年5月28日

農業の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例を解説

就農や営農で融資が必要なときに作成するのが、農業の事業計画書です。農業の事業計画書には、創業の目的・作る予定の農産物・事業の見通しなどを記載する必要があります。融資の担当者はこの書類をもとに審査するため、わかりやすく、かつ熱意が伝わるように記載しなければなりません。

本記事では、農業の事業計画書の書き方や記入例を、テンプレートをもとにして解説します。テンプレートは以下から無料でダウンロード可能です。

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事業計画書_テンプレート

農業の事業計画書とは?

農業の事業計画書は、事業全体の概要や目的、農業における項目を示す重要な文書です創業や起業時など、融資や支出の協力を得ようとするときに必要な資料でもあります。

農業の事業計画書の提出先は、金融機関や投資家・起業家支援サービスなどです。

農業の事業計画書では、作りたい農産物と生産量・農地の確保方法・必要経費の調達方法などが重視されます。事業計画書を作成するときには、具体的な根拠や数値を示すことで提出先からの理解も得やすくなります。

たとえば、農林水産省の「令和5年農業構造動態調査結果」によると、農業経営体の1経営体当たりの経営耕地面積は3.4ha(北海道34.0ha、都府県2.4ha)です。前年に比べてわずかに増加(北海道0.9ha、都府県0.1ha)していることがわかります。

出典:令和5年農業構造動態調査結果」(農林水産省)

このように、調査結果を参考にしながら、どのような事業を行いたいのか具体化していくとよいでしょう。

農業の事業計画書のひな形、テンプレート

農業の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例を解説

農業の事業計画書のひな形・テンプレートは、公認会計士が監修したものを以下のリンクから無料でダウンロード可能です。このテンプレートに従って記入するだけで、簡単に事業計画書を作成できます。ぜひ、ご活用ください。

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農業の事業計画書の書き方・記入例

農業の事業所計画書の主な記載項目は、8つあります。

  • 創業の動機・目的
  • 職歴・事業実績
  • 取扱商品・サービス
  • 取引先・取引関係
  • 従業員
  • 借入の状況
  • 必要な資金と調達方法
  • 事業の見通し(月平均)

事業計画書を書くときは、ただ想いをぶつけるのではなく、計画をわかりやすく説得力のある文章を書くことが重要です。それぞれの項目の書き方について、詳しく説明します。

創業の動機・目的

農業の事業計画書における「創業の動機・目的」では「なぜ農業を始めようとするのか」背景や理由を記載しましょう。

具体的な目的は、将来のビジョンや成果を示し、事業の方向性を明確にすることにあります。そのため、農業に関する実績や経験や起業するまでにどのような準備をしてきたのかを記載しましょう。

積み上げてきた実績や経験が農業に活かせることを、金融機関の担当者にアピールできれば信頼性が増します。

職歴・事業実績

職務・事業実績には、農業に関する職歴や実績を記載するようにしましょう。過去の農業に関する職歴や事業実績を具体的に記載し、得たスキルや知識・ノウハウを明確にすることで、相手からの信頼を得られます。農業に関する職歴や実績以外でも、農業に関連する資格や経験などを記載することも重要です。

また、ホームセンターで農機具販売をしていた・農業資材専門店で働いていた場合は、勤務先の名前を記載すると、さらなるアピールにつながるでしょう。

取扱商品・サービス

取扱商品やサービスは「どのような商品(農産物や加工品など)を扱うのか」を明確に記載しましょう。セールスポイントにおいては「なぜその商品を提供するのか」をアピールします。

たとえば、トマトであれば「通常よりも大玉で甘いトマト」「大きさがふぞろいなものはトマトジュースやケチャップに加工して、フードロスにつなげる」などが挙げられます。

取引先・取引関係

取引先・取引関係では、農業事業において取引している、または取引を希望する顧客や取引先について詳細に書きます。顧客や取引先の名称・業種・シェア率などを明確に記載しましょう。

事業開始時は、販売や仕入れを確保しておくことが成功の鍵です。具体的な取引があると審査でも有利になります。

従業員

従業員欄では、3ヶ月以上の雇用を予定している従業員の数を記載します。法人の場合は常勤役員を含め、会社登記簿と相違がないように注意しましょう。なお、法人として農地を所有するためには、役員の過半数が農業従事者であることが求められています。

従業員の雇用計画は見込みでも構いません。ただし、現実味のない人員計画はうそとみなされるおそれがあるので、無理のない計画を立てましょう。

借入の状況

借り入れの状況では、正直な情報を記載しましょう。資金調達のために、借金があるのにないように見せかけることは絶対にしてはいけません。

融資申込時の個人的なローンや借入に関しては、一般的に融資に影響しないとされます。しかし、事業性融資やノンバンクからの借入は、審査に影響を与える可能性が高い傾向がみられます。

また、代表者の個人情報に問題がある場合は融資が難しくなるため、問題解決まで申請を控えることも検討しましょう。

必要な資金と調達方法

必要な資金と調達方法では、左側に事業に使う予定の資金支出、右側に調達方法を記載します。設備資金(事業を立ち上げるための初期費用)は有効な見積書の金額にもとづき、運転資金(事業の継続的な運営に必要な費用)は運営に必要な費用を見積もって記載しましょう。

調達方法には、自己資金や家族からの借入・日本政策金融公庫からの借入などを記載し、必要資金と調達方法の合計金額を一致させます。自己資金は事業のために用意した金額で、親族からの借入は自己資金とはみなされません。

金融機関からの借入を希望する場合は、その金額を記入します。複数の金融機関から借入れする場合は、他方の金額とともに必ず併記しましょう。

事業の見通し(月平均)

事業の見通しでは、月ごとの収益と支出を予測して記載します。収益は、農産物や加工品の予想販売量と価格にもとづいて計算し、支出は生産資材や労働費などを考慮して見積もりましょう。利益は収益から費用を差し引いて算出し、前提条件やリスクも明示します。

事業の見通しに記載する費用は、多めに計上しましょう。「利益(売上から経費を差し引いた金額)」に税金を考慮した額を差し引き、その残額が借入金の返済元金以上の額になると、安定した経営ができるようになります。

農業の事業計画書作成のポイント

農業の事業計画書作成時のポイントを3つ紹介します。

  • 独自の強みやコンセプトを明確にする
  • 実現可能な計画を作成する
  • 金額・数値に根拠がある

独自の強みやコンセプトを明確にする

自らの農業ビジネスを差別化し、顧客を引きつけるためには、独自の強みやコンセプトが必要です。

たとえば「有機栽培にこだわった野菜の提供」・「地域の伝統的な農産物を活用した加工品の提供」などが挙げられます。また、JAに農作物を卸すことで安定した販路を確保することも、一つのビジネスモデルと言えるでしょう。

事業内容を明確にすることで、集客につなげるだけでなく、資金調達の際にも魅力を伝えて「投資する価値がある」と認識してもらえます。

実現可能な計画を作成する

実現可能な計画を作成するためには、リアルな数字を使って、条件や仮定を具体的に記載しましょう。さらに、条件や仮定が市場に受け入れられる根拠を明確化します。

たとえば、トライアル販売による実績やアンケート結果の数字を算出し、市場に受け入れられると証明することが重要です。

これらのポイントを踏まえた実現可能な計画は、信頼性が高く、投資家の関心を引きます。

金額・数値に根拠がある

金額や数値を示す際は、根拠が不可欠です。記載された金額や数値の根拠が不明確な場合、単なる希望的観測になってしまいます。事業計画書どおりに実施することにより、これまでの推移をもとにしてどのように変化するのかを、客観的に見て明確化する必要があります。

また、将来的な予測の場合には、計画を実施して予測どおりに行ったときと、予想どおりに行かなかったときを併記することが重要です。

経済の変動が激しい現代では、過去の実績や市場動向にもとづく予測を提供し、将来の変動に柔軟に対応できるような計画が欠かせません。

事業計画書を正しく書いて農業を成功させよう

農業の事業計画書は、創業や起業時など、融資や支出の協力を得ようとするときに必要な資料です。農業を始めるときや事業を拡大したいときには、莫大な費用がかかります。そのため、事実にもとづきながら、正しく記載することが重要です。

農業を始めるときには、事業所計画書の他にも多くの準備が必要になります。詳細については下記の記事にて紹介しているので、ぜひあわせてご覧ください。


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