• 作成日 : 2023年4月14日

うどん屋を開業するには?必要な許可・資格、資金調達などについて解説!

うどん屋を開業するには?必要な許可・資格、資金調達などについて解説!

うどん屋を開業するにあたり、食品衛生責任者と飲食店営業許可が必要です。また、開業するために消防署や警察署などでの手続きが必要になることがあります。

うどん屋の開業のためにどのような流れで準備を進めていくとよいのでしょうか。この記事では、独立した店舗やフランチャイズなどのうどん屋を開業する方法のほか、開業にかかる費用の目安や資金調達方法、成功する人と失敗する人の違いについて説明していきます。

うどん屋を開業する方法は?

うどん屋を開業する方法として、店舗で開業する方法フランチャイズで開業する方法移動販売車で開業する方法があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

店舗で開業する方法

うどん屋は、営業用の店舗を用意して開業することが多い業態です。独立型の店舗を借りたり、商業施設のスペースを借りたりして開業します。物件を新築して店舗にすることもできますが、貸店舗や貸スペースを利用する場合と比べて初期費用がかかります。

フランチャイズで開業する方法

うどん屋のフランチャイズを展開している本部とフランチャイズ契約を結び開業する方法もあります。フランチャイズは、加盟店になるための初期費用やロイヤリティーのようなランニングコストなどがかかりますが、本部のブランドやメニューをそのまま使用できるのが特長です。

移動販売車で開業する方法

移動販売車でうどん屋を開業する方法もあります。移動販売は、別途うどんの仕込み場所の確保などが必要になりますが、場所の確保ができれば、販売場所を固定せずにさまざまな場所に出向いて営業できるのが特長です。人が多く集まるイベントなどでも出店しやすい営業方法です。

うどん屋の開業に必要な手続きは?

うどん屋を開業するためにはどのような手続きが必要になるのでしょうか。手続きの場所ごとに必要な手続きを説明します。

保健所での手続き

詳細は後述しますが、うどん屋を開業するためには、管轄の保健所から飲食店営業許可を受けなければなりません。営業許可を得るには保健所への申請が必須です。

しかし、申請しても保健所の定める要件を満たした設備でないと申請が通らないことがあります。スムーズに申請手続きを進めるためにも、内装工事前などの早い段階で保健所に事前相談をしに行きましょう。事前相談で、店舗や移動販売車などで必要な設備や構造などの詳しい条件を確認して工事に反映できるようにしておきます。

工事の完成が近づいたら、申請書のほか、設備の配置図や平面図、食品衛生責任者の資格証明書類など必要な書類を準備して保健所で申請を行います。

その後、保健所の担当者による実地審査が行われ、問題がなければ営業許可がもらえる流れです。営業許可が下りなかった場合は、指摘された部分の改善などを行って再度調査をしてもらいます。

消防署での手続き

消防署では、次のような書類の届け出を行わなければならないケースがあります。

  • 火を使用する設備等の設置届
  • 防火対象設備使用開始届
  • 防火管理者選任届

火を使用する設備等の設置届」は、火災のおそれがある、厨房(ちゅうぼう)設備や給湯湯沸設備、ボイラー、などの特定の設備を設置して使用する場合に必要な届け出です。設備の図面を添付して届け出をします。

防火対象設備使用開始届」は、防火対象物(火災予防行政の主な対象になる建築物等)を使用したり、使用形態を変更したりする場合に必要な届け出です。ビル内の物件を改装工事して飲食店営業する場合、居ぬき物件を以前とは違う形態で利用する場合などに届け出をします。工事開始7日前までに届け出が必要です。

防火管理者選任届」は、建物や店舗の収容人数が30人を超える場合に必要な届け出です。要件に該当する場合は、防火管理講習修了者など防火管理ができる防火管理者を設置して届け出なければなりません。

警察署での手続き

うどん屋でお酒を提供しない場合は不要ですが、深夜12時を超えて営業し、かつお酒も提供する場合は、「深夜における酒類提供飲食店営業開始届け出書」を警察署に提出する必要があります。この場合、風営法の対象となり、さまざまな提出書類が求められることがあります。

税務署での手続き

個人が開業する場合は、管轄の税務署に「個人事業の開業・廃業等届け出書(開業届)」を提出します。提出しないことによる罰則はないものの、提出すれば事業を開始したことの証明になります。事業融資を受けたい場合は必ず届け出をしておきましょう。スタッフを雇用する場合は、「給与支払事務所等の開設届け出書」も提出します。

このほか、一定水準の帳簿の作成と保存により正しい申告をする場合に優遇措置を認めた青色申告制度があります。青色申告特別控除事業所得や不動産所得から一定額を限度に控除を受けられる所得計算に有利な制度)などの特典がある青色申告を選択する場合は、「青色申告承認申請書」もあわせて提出するとよいでしょう。

青色申告を選択する場合で、配偶者や親族に支払う給与のうち労働対価としての相当額を必要経費にしたい場合は、「青色事業専従者給与に関する届け出」もあわせて行います。(※白色申告の場合、専従者給与は配偶者なら最大で年間86万円、それ以外の親族は年間50万円までの控除に制限され、それ以上は必要経費にできません。)

なお、ここまで個人で開業する場合について説明してきましたが、法人として開業する場合は開業届に代わり「法人設立届け出書」の提出が必要です。法人開設の場合は、法務局で商業登記の申請手続きも別途行わなくてはなりません。

労働基準監督署での手続き

法人か個人かにかかわらず、従業員を1人以上雇用する場合、事業主には労災保険と雇用保険の加入義務があります。労災保険は業務上の傷病などに対して労働者や遺族を保護するための制度、雇用保険は労働者が失業した場合の生活の安定や再就職を支援するための制度です。

労災保険は、従業員を1人以上雇用することになった日の翌日から10日以内に労働基準監督署で、雇用保険は新たに従業員を雇用して10日以内に公共職業安定所(ハローワーク)で加入手続きを行います。雇用保険は一週間の所定労働時間が20時間未満のパート従業員や、雇用期間の見込みが30日以内の短期アルバイト従業員は対象になりません。

また、加入義務が発生するかどうかは雇用形態や雇用時間などで変わりますが、従業員の社会保険(健康保険や厚生年金)の加入が義務付けられるケースもあります。雇用する従業員を社会保険に加入させるときは、年金事務所で加入手続きが必要です。

うどん屋の開業に必要な許可・資格は?

うどん屋の開業に必須なのが、「飲食店営業許可」と「食品衛生責任者」の選任です。防火管理者の資格は全てのうどん屋で必須でないものの、収容人数が30人を超える場所で営業する場合は必須になります。

飲食店営業許可

飲食店営業許可は、食品衛生法に基づく許認可で、食品を調理して客に飲食させる場合に必要です。うどん屋を開業する場合は、保健所から飲食店営業許可を受ける必要があります。

なお、営業許可には麺類製造業というものもありますが、自家製麺を施設内で製造して調理して提供する場合には、飲食店営業許可だけでよく、麺類製造業の許可は必要ありません。

ただし、飲食店営業許可を受けた施設で製造した麺を継続的に包装して販売するような場合は、麺類製造業の許可も別に必要になりますので注意しましょう。

食品衛生責任者

食品衛生法により、飲食物を扱う事業を行う場合には食品衛生責任者の設置が義務付けられています。食品衛生責任者は、事業場において衛生管理を行う役割があり、指定の講習会を受講することで取得できる資格です。

なお、栄養士や調理師などの特定の資格がある場合は受講を免除されるため、保健所に食品衛生責任者の届け出をするだけで済みます。

うどん屋の開業に必要な費用の目安は?

うどん屋の開業に必要な資金は、出店エリアやお店の規模などにもよりますが、だいたい1000万円~1500万円が目安とされています。開業に必要になる主な費用は次のとおりです。

店舗取得費

店舗取得費とは、店舗を借りるために必要な初月の家賃のほか、初期費用として発生する敷金や礼金、仲介手数料などのことです。事業用物件は、敷金や礼金として家賃の数カ月~一年分が求められることもあり初期負担が大きくなりやすいので注意が必要です。回転率を上げるためにある程度広い物件を契約することもありますので、開業費用の中でも大きな出費になります。

工事費

開業前に業者に外装や内装工事を依頼する場合、設計費や工事費が発生します。どの程度業者に外注するかにもよりますが、数百万円以上を目安に考えておくとよいでしょう。

厨房機器や空調機器など

厨房機器や空調機器など営業に必要な機器のほか、椅子やテーブル、食器などの備品、原材料や調味料などの仕入、オープンを告知するための宣伝広告費なども必要です。

うどん屋の開業資金の調達方法は?

うどん屋開業のための資金を自己資金や家族などから借りたお金で全てまかなう方法もありますが、うどん屋開業には先述したようにまとまった資金が必要です。状況に合わせて融資を活用していくとよいでしょう。ここでは、代表的な資金調達の方法をいくつか取り上げます。

日本政策金融公庫の新創業融資制度を利用する

日本政策金融公庫は、日本政府の政策金融機関です。中小の事業者に対して、直接的な融資や信用保証協会への信用保険などによる支援を行っています。事業を新たに始めた事業者向けの融資に「新創業融資制度」があります。

一部の事業者を除き一定の自己資金を用意する必要がありますが、担保や保証人が原則不要です。融資限度額も3000万円と、まとまった資金を調達できる可能性があるのがポイントです。

制度融資を利用する

制度融資は、地方自治体と民間金融機関などの連携により実施されている制度です。融資が受けられる上限額や利息などの条件は地方自治体で異なります。資金調達の前に、どのような制度融資が出店エリアで行われているかも確認しておくとよいでしょう。

銀行などの金融機関から融資を受ける

地方銀行などの民間の金融機関で融資を受ける方法もあります。ただし、日本政策金融公庫や制度融資とは異なり、営利目的で融資が行われますので、金融機関によっては「回収リスクが高い」「過去の事業実績がない」などの理由で融資を受けられないこともあります。

まずは公的な融資制度などを利用して、資金が不足する場合や開業からある程度時間が経過して追加で資金調達を受けたい場合などに活用するのがおすすめです。

うどん屋の開業に成功する人・失敗する人の違いは?

うどん屋を開業しても、成功する店と失敗する店が出てきます。どのような点が明暗を分けるのでしょうか。うどん屋の開業に成功しやすい人と失敗しやすい人の特徴をそれぞれ紹介します。

うどん屋の開業に成功する人の特徴

うどん屋の開業に成功しやすい人は、どのようなうどん屋にしていくかコンセプトをしっかり持っています。開業前にコンセプトを定めてから営業をスタートすることをおすすめします。コンセプトがしっかりしていると仕入原料を選ぶ基準も定めやすいですし、メニューの作成もしやすいでしょう。

また、成功する人は無駄のない集客を実践しています。チラシやコミュニティーペーパーのほか、グルメサイトやSNSなどさまざまな宣伝方法がありますが、ターゲット層に刺さらなければ広告を打ってもあまり効果が出ないまま、コストばかりがかさみます。集客方法も定期的に見直して、より良い方法に更新していってください。

さらに、うどん屋の開業に成功する人はスタッフの教育や採用にも力を入れています。スタッフの接客態度は店のイメージにも関わるためです。店舗営業とは別に研修の時間を設けるなど工夫をしましょう。

うどん屋の開業に失敗する人の特徴

うどん屋の開業に失敗しやすい人は立地をしっかり分析せずにイメージだけで決めてしまうことがあります。人気の競合やチェーン店が多い場所、駐車場がなく車で来られない場所、狭くてゆっくり食事ができない場所など、ターゲット層とずれた場所を選ぶと集客は難しいでしょう。

また、失敗するケースには、スタッフの教育に無関心な人もよく見られます。接客態度も顧客満足を形成する重要な要素ですので人材教育がされていないと客の定着率が悪くなることがあります。

資金計画も重要です。お金の管理がうまくできていないと、直近で出ていくお金が予測できず資金繰りが厳しくなることもあります。キャッシュレス決済も増えていますので、そうした要素も含めて開業からある程度の期間までの資金計画を立て、資金繰りに問題はないか定期的に見直しましょう。

必要な手続きや資格を知ってうどん屋を開業しよう

うどん屋の開業では、飲食店営業許可や食品衛生責任者の資格を有するものの設置が義務付けられています。ほかにも、出店する場所などによって消防署での手続きが必要であったり、従業員の雇用に伴い労働基準監督署での手続きが必要になったりしますので、今回の記事で紹介した手続きなどをよく確認して開業準備を進めていきましょう。

よくある質問

うどん屋を開業する方法は?

店舗で開業する方法、フランチャイズで開業する方法、移動販売車で開業する方法があります。詳しくはこちらをご覧ください。

うどん屋の開業に必要な費用の目安は?

出店エリアやお店の規模などで変わりますが、1000万円~1500万円がおおまかな目安とされています。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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