• 作成日 : 2022年7月29日

飲食店を開業するにはどんな準備が必要?開業資金についても解説!

飲食店を開業するにはどんな準備が必要?開業資金についても解説!

新型コロナウィルスのパンデミックが収束の兆しを見せる中、主要都市部を中心に飲食店の新規開業件数が増加しています。起業や新規開業の業種として飲食業は人気がありますが、実際に飲食店を開業するに際し、どのような準備や手続きをすればいいのでしょうか。本記事では、飲食店の開業方法について、具体的な進め方を解説します。また、飲食店の開業に成功する人、失敗する人の特徴や、飲食店を開業するために必要なスキルや能力などについても言及します。

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飲食店の開業に必要な準備とは?

飲食店の開業に必要な準備は、大まかに下記のフェーズで構成されます。

  1. コンセプトを設計する
  2. 事業計画を立てる
  3. 開業資金を調達する
  4. 開業準備をする
  5. 開業の届け出をする

飲食店の開業準備

つまり、どのような店をつくるのかというイメージを明確にし、それを実際につくるための計画を立て、それに必要な資金を調達し、資格や営業許可などを取得して開業準備を進め、役所などへ開業の届け出をするという流れになります。

なお、開業にかかる期間ですが、物件の取得から内外装工事の実施、厨房機器の設置や開業届などの一連の工程を合わせると、少なくとも2~3カ月程度は見ておいたほうがいいでしょう。一般論として、ゼロベースで飲食店を開業するよりも、いわゆる居抜物件で開業するほうが、開業にかかる時間が短くなる可能性があります。

また、実際の開業に際しては、従業員の雇用やトレーニング、仕入先の開拓、集客のための宣伝広告・マーケティングなどにも相応の時間とコストの投入が必要になります。特に従業員の雇用については、昨今の人材不足の影響などもあり、想定以上の時間がかかる可能性があります。開業スケジュールが確定したら、可能な限り前倒しして採用活動を展開すべきでしょう。

では、以下に各フェーズの詳細を解説します。

1. コンセプトを設計する

飲食店の開業に必要な最初の準備はコンセプトの設計です。ところで、コンセプトとは何でしょうか。コンセプトとは、どのような店で、どのような料理や飲み物を、どのような人たちを対象に、どのようなサービスとともに、どのくらいの価格で提供するかという具体的なイメージのことです。コンセプトなしに飲食店を開業すると、設計図なしに住宅を建設するのと同様、混沌とした状態に陥ってしまいます。

コンセプトは、可能な限り具体的でわかりやすいほうがいいでしょう。例えば、ラーメン店を開店する場合でも、単に「ラーメン店を開店する」というのではなく、

  • カウンター席オンリーの15坪程度のお店で
  • 博多風とんこつ細麺ラーメンを主力メニューに
  • 近隣オフィスエリアのビジネスパーソンや近所の大学生をメインターゲットに
  • ポイント還元アプリやモバイルオーダリングシステムとともに
  • 平均客単価800円程度で提供する

といったイメージで、オリジナリティのあるキャッチーなコンセプトを練り上げれば、人々の関心を集め、記憶に残る店づくりにつながります。

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2. 事業計画を立てる

飲食店の開業に必要な第二の準備は事業計画の策定です。事業計画には通常、以下の情報が含まれます。これらの情報を明確にし、ドキュメントに落とし込んだものが事業計画書です。

創業の動機

創業の動機とは、なぜ飲食店の開業を決めたのかという具体的な理由です。提供する料理やサービスへの思い入れなどに触れてもいいでしょう。

店のコンセプト

上述した店のコンセプトを、可能な限り詳細に記載します。

店舗情報

出店場所に関する情報を記載します。また、店の大きさや構造・デザインなどに関する情報があればなおいいでしょう。

雇用計画

新規採用予定者数などの情報を含む、雇用計画を記載します。

資金計画

開業に必要な資金の額、資金用途、自己資金額、借入予定額、返済方法などの情報を記載します。

収支計画

開業後の収支計画を記載します。一般的には月次ベースで、最低でも開業後1年間の収支計画を記載します。

3. メニューを開発する

飲食店の開業に必要な第三の準備はメニューの開発です。設計したコンセプトに基づき、具体的なメニューを考えます。以下にメニュー開発の際のポイントを挙げます。

ターゲットのニーズを予想し、それに合わせる

1つ目のポイントは、ターゲットのニーズを予想し、それに合わせることです。上述の例で言うと、「近隣オフィスエリアのビジネスパーソンや近所の大学生をメインターゲットに」した場合、一定頻度で食べても飽きない、オーソドックな細麺のとんこつラーメンが好まれると予想されます。よって、看板メニューは細麺のとんこつラーメンにし、トッピングなどを複数用意して来店客の個別ニーズに合わせるという方針が考えられます。

料理の品数は抑えめに

2つ目のポイントは、料理の品数を抑えめにすることです。新規で開業する場合、特にこれが重要なポイントになります。最初から品数を多くしてしまうと、仕入れコストが増加し、廃棄などのリスクも高まります。料理の品数は後から少しずつ追加していくほうがいいでしょう。

4. 開業資金を調達する

飲食店の開業に必要な第四の準備は開業資金の調達です。以下では、開業資金の調達に関するトピックに言及します。

小さい飲食店なら自己資金0円で開業できる?

ところで、小さい飲食店なら自己資金0円で開業できるでしょうか。自己資金0円、つまり開業資金全額を借入などで調達することは、絶対に不可能とまでは言えないものの、実際には極めて困難であると考えるべきでしょう。特に日本政策金融公庫からの融資により開業資金を調達する場合には、一定額の自己資金の投入が求められます。

一般論としては、飲食店の開業費用などの初期投資はできるだけ抑えるのがポイントになります。そのための方法としては、以下のようなことが挙げられます。

  1. 居抜物件で開業する
  2. ゴーストキッチンで開業する
  3. 中古の調理器具などを利用する

また、雇用する従業員数も必要最小限にして、人件費や社会保険料などをできるだけ抑えることも必要です。

飲食店を開業するための初期投資費用は?

ところで、飲食店を開業するための初期投資費用についてはどう考えればいいのでしょうか。2020年11月に日本政策金融公庫総合研究所が発表した「2020年度新規開業実態調査」によると、2020年度における飲食店の開業費用の平均額は989万円となっています。また、500万円未満で開業した人の全体に占める割合は43.7%で、1991年の調査開始以来もっとも高くなっています。飲食店の新規開業者の半分近くが初期投資費用500万円未満で開業しているのです。

飲食店の開業費用のうち、大きな割合を占めるのが物件取得費用、内外装費用、什器備品購入費用、仕入れ費用などの運転資金です。中でも大きいのが物件取得費用と内外装費用です。これらの費用を抑えることにより、初期投資費用を低く抑えることが可能になります。

飲食店の開業資金の調達方法は?

飲食店の開業資金の調達方法として、もっともポピュラーなものが日本政策金融公庫からの借入です。一定額の自己資金の投入が必要ですが、創業融資などの名目で飲食店の開業資金を積極的に融資しています。

ところで、飲食店の開業資金を一般の金融機関から借入れることは可能でしょうか。答えは、不可能ではないものの、日本政策金融公庫からの借入よりもハードルが高くなります。特に、新規で借入れるのは非常に難しいと言えます。

なお、金融機関からの借入に加え、飲食店の開業時に使える補助金や助成金が多数存在しています。コロナ禍の影響による業態転換などで飲食店を開業する場合に使える補助金なども用意されています。興味のある方は、こちらの記事をご確認ください。

5. 開業に必要な資格は?

ところで、飲食店の開業に必要な資格はあるのでしょうか。一般に、飲食店の開業には調理師免許が必要だと認識している人が少なくないようです。しかし、実際には、飲食店の開業に調理師免許は必要ありません。飲食店の開業には、食品衛生責任者の指定と、規模によっては防火管理者の指定が求められます。特に食品衛生責任者は、飲食業の営業許可を申請する際に必要です。飲食店営業許可なしに飲食店を営業することはできないので、あえて言うなら、食品衛生責任者が開業に必要な資格であると言えるでしょう。

食品衛生責任者

食品衛生責任者は、文字通り飲食店の衛生管理を担う責任者です。飲食店を開業する際に、各店に1人置くことが義務付けられています。食品衛生責任者の資格は、各都道府県の食品衛生協会が開催している6時間の講習を受けて公衆衛生学や衛生法規などを学び、選択式のテストに合格すれば取得できます。なお、講習にかかる費用は1万円程度です。

なお、調理師免許や栄養士資格などを持っている人は、講習を受講しなくても食品衛生責任者になることが可能です。また、食品衛生責任者の資格を取得した人は、他の都道府県の飲食店の食品衛生責任者になることも可能です。

防火管理者

防火管理者は、文字通り防火管理を担う責任者です。飲食店の場合、収容人数が30人以上の店舗において防火管理者が必要になります。なお、ここで言う収容人数30人には、来店客に加えて店長や店員など従業員の人数も含まれるので注意が必要です。

収容人数30人以上の飲食店の場合、店舗の延べ面積が300平方メートル未満であれば「乙種防火管理者」の届け出が、300平方メートル以上であれば「甲種防火管理者」の届け出が必要です。

防火管理者になるには、防火管理者講習の受講が必要です。防火管理者講習は、店舗の開業地を所管する消防署で行われます。受講には予約が必要で、受講期間は乙種が1日、甲種が2日間です。また、講習には6千円から8千円程度の費用がかかります。

調理師免許は必須資格ではない

上述の通り、飲食店の開業に際し、調理師免許は必須資格ではありません。調理師免許は、各都道府県が行う調理師試験に合格することで得られる国家資格ですが、飲食店の開業には必ずしも取得が求められているわけではありません。ただし、調理師免許の取得者は、上述の通り食品衛生責任者資格を有していると見なされるので、新たに食品衛生責任者の講習を受講したり、テストを受験したりする必要はありません。

なお、調理師免許は、調理専門学校を卒業していなくても取得できます。飲食店で2年以上の調理業務実績があれば調理師試験を受験可能です。

6. 開業届などの書類を提出する

ところで、飲食店の開業に際し、役所などへの手続きはどうすればいいのでしょうか。以下に具体的に記します。

税務署に開業届を提出

まずは税務署に開業届を提出します。特に個人事業で飲食店を開業する場合、開業届の提出が義務となります。開業届は、店の所在地の管轄税務署に開業から1カ月以内に提出する必要があります。開業届の用紙は税務署で入手できるほか、国税庁のホームページからダウンロードできます。

また、青色申告による確定申告を予定している人は、開業届とともに「所得税の青色申告承認申請書」の提出が必要です。なお、開業時に税理士と顧問契約などを締結している場合、税理士の署名が必要です。

飲食店営業許可申請を保健所に提出

飲食店を開業するには、あらかじめ営業許可申請を保健所に提出し、営業許可を受ける必要があります。通常は、店の所在地の管轄保健所に営業許可申請を提出し、検査を受けて合格すると申請から2~3週間程度で営業許可をもらえます。申請に際しては、上述の食品衛生責任者の設置が必要になります。

なお、飲食店の営業許可は、提供する料理の内容によって細分化されています。ほとんどの飲食店は「飲食店営業許可」を取得しますが、喫茶店の場合は「喫茶店営業許可」を、菓子の製造なら「菓子製造業許可」を、アイスクリームの製造なら「アイスクリーム類製造業許可」を、それぞれ取得する必要があります。なお、保健所では営業許可の申請前に事前相談を受け付けているので、自分の店がどの営業許可を取得すればいいのかわからない人は相談してください。

防火管理者選任届を消防署に提出

加えて、防火管理者選任届を消防署に提出する必要があります。提出先は店の所在地の管轄消防署です。上述の通り、収容人数30人以上の飲食店を開業する場合、店舗の延べ面積が300平方メートル未満なら「乙種防火管理者」の届け出が、300平方メートル以上なら「甲種防火管理者」の届け出が、それぞれ必要です。

また、場合によっては防火対象物使用開始届、防火対象物工事等計画届出書、火を使用する設備等の設置届の提出が必要になります。自分のお店が該当するかどうかわからない人は、管轄の消防署に相談してください。

飲食店の開業に成功する人・失敗する人の特徴は?

ところで、飲食店の開業に成功する人・失敗する人の特徴は何でしょうか。飲食店の開業2年後の廃業率は50%に達するとされていますが、それでも成功している人は存在します。以下に、飲食店の開業に成功する人・失敗する人の特徴を挙げます。

コスト意識

第一の特徴はコスト意識です。高いコスト意識を持つことなく飲食店の開業を成功させることは困難です。当然ながら成功する人のコスト意識は高く、失敗する人のコスト意識は低い傾向があります。

ニーズへの対応力

第二の特徴はニーズへの対応力です。成功する人は往々にして顧客ニーズを読むのがうまく、失敗する人の多くはそうでないように見受けられます。成功する人は顧客ニーズを先取りし、それにさらなるバリューを加えて顧客に提案しています。

マーケティング力

第三の特徴はマーケティング力です。成功する人はマーケティングの重要性を理解し、集客や広告宣伝などをおろそかにしません。一方、失敗する人はそうしたことを理解せず、集客のための具体的なアクションを起こしません。特に小規模・零細飲食店の経営者にそういう人が多いように見受けられます。

飲食店を開業するために必要なスキル・能力は?

実際に飲食店を開業するにあたり、必要なスキル・能力は何でしょうか。以下にまとめてみます。

飲食業の実務経験

まずは飲食業の実務経験です。飲食業の実務経験なしにいきなり飲食店を開業することは非常に危険です。特に、脱サラして飲食店を開業するといったケースで飲食業の実務経験がないという人には、まずは実際に飲食店で働いてみることをおすすめします。その場合、可能な限りキッチンとフロアの両方を、さらに可能であればマネジメントレベルのポジションを経験してみるといいでしょう。特に、小規模のお店で経営全般を経験できれば非常に強力な経営ノウハウを得られるでしょう。

数字に強い

次に求められるのは数字に強いことです。例えば、下記のようなものが挙げられます。

  • 原価計算
  • 在庫管理
  • POS分析・マーケティング分析
  • 需要予測
  • ロス管理

飲食業は意外と数字を扱うシーンが多い業界です。多くの飲食店経営者はこうした数値管理をおろそかにしており、本来得られるはずの利益やベネフィットを大きく逸失しています。特に経営のマネジメントレベルへ近づくほど、こうした数値管理は重要になってきます。

また、開業時の資金計画の策定や開業後の資金繰り管理など、お金に関するスキルも、飲食店を開業するうえではあったほうが望ましいと言えるでしょう。

飲食店の開業に向けた準備を怠らないようにしましょう

以上、飲食店の開業方法について、具体的な進め方を解説しました。今後実際に飲食店の開業を予定されている方に参考にしていただければ幸いです。

上述したように、飲食業は廃業率が総じて高く、競争が激しいハイリスクな業界です。最近はコロナ禍の影響などもあり、この業界は全般的に業績悪化に拍車がかかっています。一方で、飲食業は人に食を提供するという、人間の生存と本能に直結する極めてベーシックでエッセンシャルな業種でもあります。飲食店の開業を目指す方は、飲食業が持つそうした基本機能を満たしつつ、「新しい味の提供」「思い出になる料理とサービス」「かつてないダイニング経験」といった、顧客に新たなバリューを与えるお店づくりを目指してください。

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よくある質問

飲食店の開業に必要な準備とは?

飲食店の開業に必要な準備は、①コンセプトを設計する、②事業計画を立てる、③メニューを開発する、④開業資金を調達する、の4つで構成されています。中でも特に重要なのがコンセプトの設計と事業計画の策定です。詳しくはこちらをご覧ください。

飲食店の開業に必要な資格は?

飲食店の開業に必要な資格は「食品衛生責任者」です。飲食業を開業するには飲食業営業許可が必要ですが、その申請時に食品衛生責任者の指定が求められます。店によっては防火管理者選任届を提出する必要もあります。 詳しくはこちらをご覧ください。

飲食店の開業に失敗する人の特徴は?

飲食店の開業に失敗する人には、①コスト意識が低い、②ニーズへの対応力が弱い、③マーケティング力がない、という特徴があります。特にマーケティング力のなさは致命的で、お店の健全でサステナブルな経営を困難にします。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:前田 健二(経営コンサルタント)

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスでビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年、経営コンサルタントとして独立。事業再生、海外市場進出、コンテンツマーケティングなどを中心に指導を行っている。米国のベストセラー『インバウンド マーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学院経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

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