• 作成日 : 2023年6月2日

経営会議はなぜ開く?目的や運営方法、議事録やあるべき姿などを解説

経営会議はなぜ開く?目的や運営方法、議事録やあるべき姿などを解説

「会社の現状や立ち位置を確認する」「会社が直面する課題に対するソリューションを検討する」「経営戦略に関するテーマや経営上の命題に関してアイデアを出し合う」など、事業を遂行する上で、企業はさまざまな問題やチャレンジに直面します。そうした問題やチャレンジについて経営陣が一丸となって議論するための場が経営会議です。

本記事では、経営会議の目的や運営方法、さらには経営会議のあるべき姿など、経営会議の基本について解説します。

経営会議とは何か?

経営会議の一般的な定義は存在しませんが、経営会議とは、会社の経営に携わる人による、会社の経営に関する意思決定や意見表明、あるいは意思表示を行うための会議といってよいでしょう。通常、経営会議には代表取締役などの経営トップや取締役、社外取締役、執行役員、各部署の部門長などが参加します。経営会議とは、経営チームメンバー全員による会社が直面する各種の課題解決のための「集合知」を生み出す場であるといっても良いかもしれません。

参加者が会社の現状や今後を確認し共有する大切な場

経営会議は、会議への参加者が会社の現状や今後を確認して共有する大切な場です。最近はリモートワークを導入する機運が高まっており、実際に在宅でリモート会議に参加するケースなどが増えてきています。

一方、ポストコロナを迎えた今日、対面での会議を再開する企業が増えてきています。メンバー同士が近くなり、情報共有や伝達が素早いリアルな会議の良さが改めて見直されているのでしょう。リアルタイムで会社の現状を共有できるのが経営会議のメリットです。

取締役会との違い

経営会議と並んで、会社の経営に携わる人による会議として取締役会があります。経営会議と取締役会との違いは何でしょうか。まず、取締役会設置会社の場合、取締役会は法律で開催が義務づけられている一方、経営会議にはそれがありません。

例えば、取締役会設置会社の場合、取締役会は最低3カ月に1回開催して議事録を作成する必要があります。一方、経営会議の開催は任意で行われ、開催頻度なども自由に設定できます。また、話し合われる内容も経営会議の方がより自由でオープンです。

経営会議の運営方法

経営会議を開催する以上は、できるだけ効率的で効果的な内容にしたいものです。経営会議をただ何となく開催するとか、あるいは惰性で開催し続けるといったことがないように注意する必要があります。

企業の業種や業態、または経営会議の参加人数などにかかわらず、実際に経営会議を運営するに際しては、以下のポイントを守ることが重要になります。

決められた頻度で定期的に開催する

第一のポイントは、経営会議を決められた頻度で定期的に開催することです。例えば、毎月第一金曜日に開催する、毎月10日に開催するといった、あらかじめ開催日を決めておくのです。そうすることによって、経営会議の参加者が準備やリサーチなどの事前作業をするスケジューリングが可能になり、経営会議の内容をより濃くすることができるようになるからです。なお、開催の頻度は、月1回から始めてみて、様子を見ながら増減させるようにすると良いでしょう。

必要な参加者を厳選する

第二のポイントは、経営会議に必要な参加者を厳選することです。基本的に経営会議は誰でも自由に参加して発言できるオープンディスカッションではなく、そうあるべきでもありません。

経営会議に必要な参加者は会議に参加できるポジションにいる必要があり、また会議で有益な発言をしたり議論を促したりできる資質の持ち主である必要があります。例えば、社員全員に意見を聞きたい場合は、そのための会議を別途開催すべきです。経営会議の参加者は厳選する必要があります。

資料や議題を事前に共有しておく

第三のポイントは、経営会議の資料や議題を事前に共有しておくことです。資料や議題を事前に共有しておくことで、会議の参加者へ準備する時間的余裕を与え、結果的に会議の内容をより濃くすることができるからです。

特に経営戦略や人事、予算といった重要なテーマを会議のアジェンダとする場合、事前共有なしに実りのある議論を行うことは困難です。また、難しい内容のテーマであれば、参加者による事前の共有期間を長くすることを考えましょう。

限られた時間で効率良く進行する

第四のポイントは、限られた時間で効率良く進行することです。時間に制限を設けず、長々と議論をし続けるといった事態は絶対に避けたいものです。時間をあらかじめ設定しておき、1時間なら1時間、2時間なら2時間のリミットを設定してメリハリつけて進行するのがポイントです。

また、経営会議の参加者が多い場合などは、発言者の発言時間にあらかじめ制限を設けておくと良いでしょう。また、経営会議の開始時間を参加者全員が順守する必要があることは言うまでもありません。

議事録や資料を残す

第五のポイントは、経営会議の議事録や資料を残すことです。特に議事録を作成して関係者で共有することで、議論の争点が明確になり、発言者の発言や意見などを「見える化」することができるようになります。

なお、最近は会議の内容をAIが音声認識して文書化してアーカイブにするといったサービスが利用可能です。議事録を作成するスタッフがいない、または現在の議事録の内容に満足できていないといった場合は、利用を検討してみてもいいでしょう。また、議事録も資料も、紙ベースでの保管よりもデジタル化してアーカイブにする方が良いでしょう。

経営会議を意義あるものにするには

経営会議を開催する以上は、経営会議を可能な限り意義あるものにしたいものです。経営会議は、基本的には経営に携わる人が参加して開催されるので、経営会議を意義あるものにできなければ、時間や労力などの膨大なリソースの無駄遣いとなってしまいます。そうした無駄遣いを防ぐためには、以下に挙げるポイントを守ることが重要になります。

会議のゴールをあらかじめ決めておく

まず、経営会議のゴールをあらかじめ決めておくことが重要です。例えば、「不採算の米国孫会社A社の今後の取り扱いについて」がアジェンダであった場合、「米国孫会社A社の今後の取り扱いを①清算、②子会社B社との合併、③休眠の、いずれかにすることを選択する」という風にゴールを決めておくのです。ゴールを決めておかないと、アジェンダを巡っての議論が延々と繰り替えされ、堂々巡りする可能性が高くなります。

各部署へのヒアリングを事前に済ませておく

また、会議のアジェンダに関連する各部署へのヒアリングを事前に済ませておくこともポイントです。特に人事などのセンシティブなアジェンダを取り扱う場合、この点は非常に重要になります。

例えば、「カスタマーサポートチームに対する顧客満足度が低い件について」というアジェンダで議論をする場合、チームリーダーへヒアリングするとともに、チームメンバーにも可能な限り多くヒアリングする必要があります。そして、ヒアリングした内容については、会議の開催前に関係者全員で共有しておく必要があります。

闊達(かったつ)な意見交換を促す

また、会議の参加者に闊達な意見交換を促すことも重要です。例えば、社長がワンマンでがなり立てる上意下達式の「一方的議論」や、発言に対して軒並みネガティブな反応を示す「ネガティブ議論」などは避けたいものです。

参加者に気軽に自由に発言してもらい、それに対して前向きで建設的な反論を与えるといった「議論のポジティブフィードバック」が醸成されるのが理想的です。また、参加者によるネガティブな発言や批判的意見などが出された場合なども、発言者にペナルティーを与えないといった配慮をすることも必要です。

決定したことは必ず実行する

さらに、経営会議で決定したことは必ず実行することが肝要です。経営会議での決定事項は経営陣による意思決定であり、会社の総意です。会社の総意が実行されないと、コーポレートガバナンスにモラルハザードが生じ、会社の統治そのものに悪影響を与えかねないからです。

また、経営会議そのものの権威性を失墜させ、経営会議に対する信頼を失わせることになりかねません。「経営会議で決定されたことは必ず実行される」という信頼感こそ、経営会議の権威性を保たせるのです。

進行役がいた方が良いのはなぜ?

ところで、経営会議の進行には進行役がいた方が良いのでしょうか。結論からいえば進行役がいた方が良いでしょう。進行役は英語でファシリテーター(Facilitator)といいますが、ファシリテーターとは、ケンブリッジ英語辞書によると、「人々や組織が何かを行うことをより簡単にできるように助けたり、議論や提案を通じて問題解決方法を探すのを手伝ったりする人」です。ファシリテーターが介在することで、より円滑な会議の進行が可能になります。

会議を円滑に実施させるため

ファシリテーターとは、「人々や組織が何かを行うことをより簡単にできるように助けたり、議論や提案を通じて問題解決方法を探すのを手伝ったりする人」ですので、会議においても議事が円滑に進行するためのファシリテーションを行います。

ファシリテーター自身は会議の参加者ではなく、議論において発言はしませんが、発言者の発言内容を確認したり、論点を強調してわかりやすくしたり、あるいは発言者の発言を補足・補強するなどして会議全体を盛り上げます。

意見が対立した時の調整役として

ファシリテーターは基本的にニュートラル(中立)の立場ですので、参加者同士で意見が対立した時に調整役として機能します。ファシリテーターが存在していない状態で意見が対立すると、単なる非難の応酬が果てしなく続く状態になりかねません。

特に重要なテーマで意見が対立すると、議論が白熱して議論そのものが崩壊する可能性が生じます。一方、ファシリテーターが介在することで、それぞれの意見を整理し、論点を明確化するなどして事態の鎮静化が図れるようになります。

参加者全員を議論に参加させるため

また、ファシリテーターが存在することで、会議の参加者全員を議論に参加させることが可能になります。ファシリテーターが存在していないと、発言は特定の参加者に集中しがちになり、議論の内容も偏ってしまいがちになります。

ファシリテーターが存在することで、一人ひとりに発言を促し、議論に積極的に参加してもらえるようになります。参加者全員が議論に加わることで、参加者の会議に対するシンパシーを呼び起こし、参加者意識を高めることが可能になります。

経営会議での議論を企業経営に活かそう

経営会議の目的や運営方法、さらには経営会議のあるべき姿などの、経営会議の基本について解説しました。経営会議での決定事項は経営陣による意思決定であり、会社の総意であると上述しましたが、経営会議での決定事項は、実際に実行されてはじめて意味を持ちます。

経営会議において議論を尽くし、参加者全員の英知を結集して得られた「集合知」を実践する。経営会議での議論を実際の経営に活かすよう、常に心がけてください。

よくある質問

経営会議の理想的な開催頻度は?

経営会議の理想的な開催頻度を示すデータなどはありませんが、上場企業を含む多くの企業が毎月1回経営会議を開催しているようです。なお、経営会議は任意で開催されるため、何回でも開催できます。詳しくはこちらをご覧ください。

社長が進行役をすると良くないですか?

会議の進行役(ファシリテーター)は、可能な限り中立の立場である必要があります。社長は、社内の立場的には絶対的な権力者であるため、ファシリテーターとしては適切ではないと考えられます。詳しくはこちらをご覧ください。


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