• 更新日 : 2024年10月9日

アパート経営の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例を解説

大家としてアパート経営を行うにあたり、不動産の購入や資金調達、想定する入居者層、収支計画など事業構想を形にしたものが事業計画書です。自身の考えを整理するために作成するほか、金融機関などから融資を受ける際に提出する必要があります。

ここでは、テンプレート(ひな形)を基に、事業計画書の書き方を解説します。

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アパート経営向けの事業計画書・創業計画書テンプレート・作成例のダウンロード方法

事業計画書_テンプレート

アパート経営の事業計画書のひな形、テンプレート

アパート経営の事業計画書のひな形、テンプレート

画像:アパート経営向け事業計画書のテンプレート(こちらからダウンロード可能)

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アパート経営の事業計画とは?

事業計画書は、事業を進めるうえで「いつ、何をすべきか」「将来の見通しはどうなるのか」を整理したものです。事業計画書を作成する目的は主に2つあります。

プロセスの整理や進捗チェックのため

これから会社を設立してアパート経営を行うには、不動産の選定や購入、資金調達、入居者の募集、不動産の管理などさまざまなプロセスがあります。

また、不動産に資金を投入してから利益が出るまでに、どれぐらい期間が必要か把握することも必要です。事業計画書を作成することで、経営者自身の頭の中を整理して見通しを立てたり、実際に事業を行うなかで進捗具合をチェックしたりできます。

資金調達のため

会社を設立し、不動産を購入してアパート経営を始める際、自己資金だけでは賄えないケースは少なくありません。金融機関からの融資や投資家からの出資、国や自治体からの補助金など第三者から資金を調達する際、事業計画書を提出する必要があります。

事業計画書の中で資金を提供する側が見るのは、実現性のある計画を立てているかという点です。さらに、融資を行う金融機関は滞りなく返済できるかという点を重視し、投資家は投資先が将来的に成長を見込めるかという点を重視します。そのため、根拠のある収支計画を立てることが重要です。

また、アパート経営では不動産の稼ぐ力が収益を左右します。融資者・出資者は事業計画書に記載されている不動産の立地や築年、設備などを見て資金提供を判断するため、土地や建物の選定には十分時間をかけましょう。

アパート経営の事業計画書の書き方・記入例

それでは、テンプレート(ひな形)にしたがって、アパート経営の事業計画書の記入例を解説します。ご紹介するテンプレートは会社を設立し、保有する土地に新たに賃貸アパートを建築するために金融機関から融資を受けることを想定しています。

創業の動機・目的

会社を設立し、アパート経営を始めるきっかけや目的を書きます。記入例では、不動産業界で経験を積んだことを述べ、十分な知識と経験を持ったうえで事業を展開することをアピールしています。

また、アパート経営の対象となる不動産の取得状況や、今後取得したい不動産の立地や経営したい物件の棟数なども記入すると、持続的・安定的な経営を目指していることが伝わります。

職歴・事業実績

履歴書と同じ要領で、経営者の職歴を時系列でまとめます。不動産業にかかわる資格を取得していれば、記載しておくとよいでしょう。

取扱商品・サービス

「取扱商品・サービスの内容」には、提供する商品やサービスの内容を記載します。アパート経営の場合は「不動産の賃貸」と事業内容を書いておけばよいでしょう。

「セールスポイント 販売ターゲット・戦略」には、自社が提供する商品やサービスの独自性や強み、「誰にどうやって販売するのか」といったことを記載します。アパート経営の場合、不動産の立地や物件の内装、設備の特徴、そこから導き出されたターゲットとする入居者像を書きます。

「競合・市場などの分析」では、賃貸事業を行う不動産の環境や競合物件の分析を記載します。「アパートを建設しようとしている土地に、大学の誘致が進んでいる」など、自社にとってビジネスチャンスがあることをアピールできれば理想的です。

取引先・取引関係

販売先・仕入先・外注先をそれぞれ記載します。アパート経営の場合、販売先は入居者なので、想定する入居者層を書きます。また、物件の管理を外部業者に委託することが決まっている場合は、外注先として挙げておきましょう。

従業員

従業員を雇用する予定がある場合は記載します。家族を従業員として雇用する場合も「家族従業員」に入れておく必要があります。今回のケースでは、従業員を雇用する予定がないため「0」としています。

借入の状況

法人代表者の個人としての借入金があれば、記載します。会社設立時に融資を受ける際、会社に実績がないので、代表者個人の状況も評価対象になります。

必要な資金と調達方法

まず、事業資金を「設備資金」と「運転資金」に分けて記載します。今回の事例の場合、アパートの建築費用は設備資金、実際にアパート経営を行うなかで発生する諸経費を運転資金としています。

次に事業資金の調達方法を記載します。自己資金、家族などから提供を受ける資金、金融機関から借入に分けて、それぞれから調達する金額を記入し、事業資金と金額を一致させます。

事業の見通し

収支計画書の体裁で事業の見通しを記載します。収支計画は創業当初と創業1年後に分け、それぞれ具体的な数字で示します。

アパート経営の場合、売上高を構成するのは家賃と礼金です。また、経費として発生するのは支払利息や管理費、税金などです。各項目について、根拠を示しながら具体的な金額を算出しましょう。

アパート経営の事業計画書作成のポイント

アパート経営の事業計画書を作成する際、もっとも気を付けなければならないことは詳細な収支計画を立てることです。

毎月の家賃収入や管理費、税金の支払い、借入金の返済・返済利息などキャッシュフローを把握する必要があります。数年ごとに発生する修繕費も忘れずに想定しましょう。

なお、今回示した事業計画書では、満室を想定した収支計画を示していますが、実際に賃貸業を始めると常に満室になるとは限りません。満室以外のパターンも考えて、複数の入居率について収支をシミュレーションを行い、記載しておくことが望ましいでしょう。

また、アパートを建てた費用は数十年かけて減価償却を行います。収支計画で経費を計算する際は、減価償却費を忘れないように計上しましょう。減価償却費は年間で100万円単位になることもあるため、計上を忘れると収支が正確に出せなくなり、見通しを誤るおそれがあります。

アパート経営についての詳細は下記の記事をご覧ください。

事業推進の指針として事業計画書を活用しよう

会社を設立してアパート経営を行う際、土地や建物の購入・建設のために融資を受けるには事業計画書が必要になります。金融機関が融資の可否を決定する際、融資先がアパート経営で収益を出し、貸した資金を滞りなく返済できるか判断する材料として事業計画書を見るからです。

なお、事業計画書を作成する意義は融資のためだけではありません。創業時に経営者自身の頭の中を可視化し、収支をシミュレーションする事業計画書は、事業を進めていくなかで思うようにいかない事態に直面した際、方向修正の参考になります。

立地や物件のスペックなど、検討を重ねてアパート経営をスタートさせても、想定通りにいかないことがたくさんあります。事業推進の指針として、事業計画書をぜひ活用してください。


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