• 更新日 : 2023年9月19日

起業の基礎-起業したいけどアイデアがない人はどうすべき?

起業したいけどアイデアがない人が実践すべきこととは?

起業したいけどアイデアがないときは、無理にアイデアをひねり出す必要はありません。起業は無理に行うものではなく、進んで行うものです。やりたいことを自然に行うことで成功が見えてきます。

インターネットで好きなものを見ているときにも、何か思い浮かぶかもしれません。また、思い浮かばなくても既存のアイデアを組み合わせるだけでも、起業につながることがあります。アイデアがないときに実践したいことを紹介します。ぜひ参考にしてください。

そもそも起業とは

起業とは、新しい事業やサービスを立ち上げる行為やプロセスを意味します。個人事業主や株式会社などの会社形態や事業規模は問いません。

類似した言葉に「開業」がありますが、開業は特定の職種や専門職が独自の事業所や店舗を持つ行為を指します。例えば、医師がクリニックを開設したり税理士が独立して自分の会計事務所を立ち上げたりする場合に使われることが多いです。

①個人事業主として起業

個人事業主として起業する場合、法人を設立せずに、個人の責任のもとで事業を行います。法人を設立する場合と比較して初期費用が低く抑えられるため、手軽に始めることができます。しかし、事業に関連する借入や債務はすべて本人の責任となるため、事業の失敗が直接個人の財産に影響する点に注意が必要です。飲食業や製造業など、多岐にわたる業種でこの形態が採用されています。

②会社を設立して起業

法人として会社を設立する場合、「株式会社」「合同会社」「合資会社」「合名会社」のいずれかの形態を取ります。法人化するメリットは、クライアントや銀行から社会的信頼が得られやすい点です。個人事業主と比べて、銀行からの融資や投資家からの出資も受けやすくなるでしょう。また、法人税は利益が増えても原則一定税率であるため、税金対策の面でも優れています。ただし、会社設立には設立初期の煩雑な手続きや法的義務が伴います。また、経営に関する決定を行う際は株主や取締役との合意が必要です。

そもそも起業にオリジナルのアイデアは必要?

起業にオリジナルのアイデアは不要です。「オリジナルのアイデアがないと起業できない」という固定概念を失くせば、気軽に起業できるようになります。

例えば、すでにビジネスとして誰かが始めているものであっても、良いと思えるものがあるときは活用しましょう。ただし、商圏や名称が被らないことなどには注意が必要です。アイデアを盗用するのは知的財産権などを犯すことにもなるため、ビジネスとして形にする前に確認しておきましょう。

起業したいけどアイデアがない人が実践すべきこととは?

起業のアイデアが浮かばないときは、まずは自分自身が困っていることに注目してみましょう。悩みを解決するアイデアをビジネスにすれば、同じような困りごとで悩んでいる方のニーズに応えられます。

また、既存のビジネスのなかで、良いと思えるものを新しいビジネスに仕上げるのも1つの方法です。既存のビジネスをいくつか組み合わせること、既存のビジネスとオリジナルのアイデアを組み合わせることでも、新しいビジネスを創り出せます。

起業したいけどアイデアがない人におすすめの事業は?

どうしても起業のアイデアが浮かばないときには、次のビジネスを検討してみましょう。

  • インターネットで始められる事業
  • 趣味を活かせる事業
  • 移動店舗での飲食店経営

それぞれのビジネスのポイントを説明します。

インターネットで始められる事業

YouTuberやコンサルタント、オンライン秘書、ウェブデザイナーなど、インターネットだけで始められる事業は多数あります。いずれもインターネット環境とパソコンなどのインターネットデバイスさえあれば開始できるため、初期投資がほぼ不要でリスクは少ない事業です。

趣味を活かせる事業

趣味を活かせる事業なら、楽しみながらできるため、収益が上がらなくても負担感が少ないというメリットがあります。手作り品を販売するハンドメイド作家やフォトグラファー、イラストレーター、メイクアップアーティストなど、趣味や得意な作業を活かして収入を得る仕事は多数あります。

移動店舗での飲食店経営

実店舗での経営は、ハイリスクです。初期投資が多いだけでなく維持費もかかるため、簡単には黒字になりません。

初期投資や維持費を抑えた経営を目指すのであれば、移動販売車を使った飲食店経営を検討できます。調理師免許は不要ですが食品衛生責任者は必要なため、講習を受けて取得しておきましょう。

起業したいけどアイデアがない人が使えるフレームワーク

ここでは、アイデアが浮かばないときにおすすめのフレームワークを紹介します。アイデア出しに使ってみましょう。

マンダラート

マンダラートとは、アイデアを広げていく手法です。まずは紙の中央に何か基本となる言葉を記載し、その言葉が中央のマスに入るように3×3のマスを書きましょう。その後、周囲の8つのマスに連想するアイデアや言葉を書きます。

次は、周囲の8つのマスに入った言葉を中央に配置する3×3のマスを記載します。同様の作業を繰り返し、アイデアを深めていきましょう。

SCAMPER法

SCAMPER法とは、アイデアの切り口を考える手法です。1つのアイデアを次の7つの質問に答える形で切り口を変えていきます。

  • 別のものに代用できないか
  • 別のアイデアと結合できないか
  • 類似しているものはないか
  • 修正することでより良いものにならないか
  • 他の使い道はないか
  • 不要なものはないか
  • 並べ替えはできるか

ペルソナ分析

ペルソナ分析とは、ユーザーを具体的に分析する手法です。例えば「大学生が好きそうなスイーツを販売したい」ときは、ターゲットとなる大学生の年齢や居住地、趣味などまで詳しく設定し、どのような行動を取りそうか分析していきます。

起業する際の流れ

起業するための道のりは複雑ですが、必要な準備や事業立ち上げのポイントを把握しておけば、スムーズにビジネスを立ち上げることが可能です。ここでは、起業を検討している方に向けて、起業するまでのステップを解説します。

目的の決定

まずは、「なぜビジネスを始めたいのか」「どのような価値を顧客や社会に提供したいのか」を決定しましょう。目的は「ビジョン」や「ミッション」として表現され、企業の方針や文化を形成する基盤となります。理念や価値観を確立することで、後々のビジネス展開においても方向性を見失わずに事業を進めることができます。

事業内容の決定

次に、どのような事業を行うのかを決定します。市場リサーチや競合分析を行い、自分のスキルや知識を活かせる分野を見つけましょう。また、ターゲットとする顧客層やニーズを明確にすることで、事業の方向性をより鮮明にすることが可能です。起業アイデアがない場合は、市場調査や既存のビジネスモデルのアレンジ、自分の得意分野、興味があることをベースに考えることもできます。

起業計画の具体化

ビジネスプランが決まったら、会社の基本情報の決定を行います。市場規模やターゲット、売上予測などのデータをもとに事業計画を策定しましょう。計画書は外部の投資家やパートナーを説得するツールとしても使用されるため、詳細かつ具体的に書くことが必要です。

資金調達

多くの起業家が直面するのがお金の問題です。ビジネスをスタートするための初期投資や毎月の運転資金、従業員を雇うための人件費、オフィスの設備費・賃貸料など、多くの経費が発生します。自己資金や銀行からの融資、エンジェル投資家・ベンチャーキャピタルからの出資などから、ビジネスの規模や段階に応じて適切な資金調達の方法を選びましょう。

設立手続き

起業には多くの手続きが必要です。「個人事業主」か「法人」かによって、必要な手続きや書類が異なります。

個人事業主として起業する場合は、事業を始めてから1か月以内に税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出します。青色申告を希望する場合は「所得税の青色申告承認申請書」も一緒に提出しましょう。なお、青色申告の手続きは、申告しようとする年の3月15日が期限となります。

出典:国税庁「A1-5 個人事業の開業届出・廃業届出等手続」「A1-9 所得税の青色申告承認申請手続」

法人として起業する場合は、以下の手順で会社を設立させます。

(1)会社の基本情報を設定する

会社名や事業内容、所在地、資本金の額、代表者の名前など、会社の基盤となる情報を整えます。

(2)実印を作成する

会社の実印を作成します。法人としての契約や重要な文書を締結する際に必要です。

(3)定款を作成する

定款(ていかん)とは、会社の構成や運営に関する基本的なルールを定めた文書のことです。会社の目的や業務内容、組織の形態、取締役の選任方法などを詳細に記載することが求められます。

(4)必要な資本金(出資金)を払い込む

設定した資本金(出資金)を金融機関に払い込みます。最低1円から設立可能ですが、資本金が低すぎると金融機関から信用を得にくいです。

(5)登記申請する

法務局への登記申請を進めます。この登記により、正式に法人としてのスタートを切ることができます。

起業の成功例

ここでは、独自のアイデアで起業に成功した企業を3社取り上げて説明します。これから起業を考えている方は、ぜひ参考にしてください。

合同会社 西谷(青森県弘前市)

青森県弘前市に拠点を置く『たびすけ』は、日本では珍しい「着地型観光」の旅行会社です。着地型観光とは、観光地自身が地域の特色を生かした観光商品を発信することです。りんごの剪定や雪かき体験、ご当地アイスツアーなど、大手旅行会社が取り組めないユニークなコンテンツを提供しています。また、高齢者のための移動支援サービスの提供や介護資格を持つスタッフの採用により、誰もが楽しめる旅を目指しています。

起業のきっかけは、代表の西谷雷佐氏がアメリカの大学に留学していたときに出会った友人の存在です。車いすの友人が、他の同級生たちと一緒にバスケットボールを楽しむ光景が特別視されていないことに、カルチャーショックを受けたそうです。「日本でも体の不自由な人が思う存分楽しめる生活を送る支援をしたい」という思いから、バリアフリーを重視した旅行会社を設立しました。

出典:中小企業庁「第1節 起業・創業に成功した事例」

軒先株式会社(東京都千代田区)

「軒先株式会社」は、空きスペースのマッチングサービスを手掛けている会社です。サービスを通じて、使われていない小規模スペースを持つ人々と、スペースを一時的に利用したい人々を繋げます。貸主は少ないスペースから収入を得られ、利用者は短期的なスペース利用が可能となります。

起業のきっかけは、創業者の西浦明子氏自身の経験からです。西浦氏が過去に雑貨をテスト販売する際、短期利用可能な店舗がなく困った経験をもとに「そのニーズに応えるサービスを作りたい」と考え、事業を開始しました。リーマンショック後の不動産の空き物件増加を背景に、急成長を遂げました。

出典:J-Net21(中小企業基盤整備機構)「貸スペース検索・予約サイトの運営【軒先株式会社】」/

株式会社アッテミー(大阪府大阪市)

「株式会社アッテミー」は、高校生と求人を出したい企業を繋ぐコンサルティングサービスです。高校生向けのセミナーや職場見学、ブログ発信、インターンシップなど、学生たちが実社会を知るプログラムを数多く展開しています。

起業のきっかけは、代表の吉田優子氏が楽天に勤務していたときの経験からです。学歴に関係なく売上を伸ばすネットショップのオーナーたちを見て、「ビジネスは学歴じゃない」と痛感したそうです。多様な働き方や生き方が求められる現代に、高校生が大学進学以外の選択肢を知るべきだと考え、ビジネスをスタートさせました。

出典:J-Net21(中小企業基盤整備機構)「高校生と仕事の出会いをつくる、高校生向け就活支援【株式会社アッテミー】」

アイデアがなくても起業は可能!

アイデアがなくても起業できます。既存のビジネスモデルのなかから活用できそうなものを参考にしたり、いくつかのビジネスモデルを組み合わせたりするのも1つの方法です。

また、自分自身が悩んでいることをビジネス化するのもおすすめです。まずは一歩を踏み出してみましょう。

よくある質問

起業したいけどアイデアがない人が実践すべきこととは?

困りごとから起業のヒントを見つけられます。また、既存のアイデアを組み合わせたり、既存のアイデアにオリジナルのアイデアをプラスしたりするだけでも、新しいビジネスになります。詳しくはこちらをご覧ください。

起業したいけどアイデアがない人が使えるフレームワークは?

アイデアを広げるフレームワークとしては、マンダラートなどが利用できます。他にも、アイデアの切り口に注目したSCAMPER法や、ユーザーを分析するペルソナ分析なども活用できます。詳しくはこちらをご覧ください。


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