司法書士が解説「発起人」とは?

会社には、取締役、監査役、会計参与、執行役などの役割を持った人がいます。これらはまとめて会社の機関と呼ばれますが、それとは別に「発起人」が存在します。この発起人は、会社設立の場面でしか登場しませんが、発起人なくして会社の設立は不可能です。今回は発起人の役割や、どういった人がなれるのかなどを解説していきます。

発起人とは?

発起人とは何かを一言で言いますと、実質的には「会社を設立する人」であり、法律的には発起人として「定款に署名または記名押印した人」です。

発起人の役割

発起人には以下のようなさまざまな役割があります。

1.定款の作成
定款には、商号や本店所在地、事業内容などを記載しなければなりません。これらを決定するのも発起人の役割です。

2.出資
発起人は、最低1株上の株式を引き受けなければならず、その株式と引き換えに負担部分について出資をしなければなりません。

3.設立時取締役の選任
発起人は、各人が持つ総議決権の過半数をもって会社設立時の取締役を決めます。監査役を設置する会社であれば、同様に監査役も決めます。法律上は、この取締役等役員の選任をもって発起人の役割は終了し、これ以後の手続きは選任された取締役が行います。
発起人は必ず1株以上の株式を引き受けていますので、会社成立後は株主という立場になります。

発起人の責任

発起人は、なすべき役割とともに、以下のような一定の責任も負っています。

  1. 払込みが仮装された場合や、現物出資の財産が定款に記載された価額に著しく不足する場合には、その不足分を発起人が支払う義務を負います。
  2. 会社の設立手続きについて、発起人が自分の役割を怠り会社に損害を与えた場合には、その損害を賠償する責任を負います。
  3. 会社が成立しなかった場合に発起人は、設立に関する行為について責任を負い、支出した費用を負担しなければなりません。

なお会社成立後、総株主の同意があれば、以上の責任は免除することができます。

株主や取締役との違い

「発起人と株主」あるいは「発起人と取締役」は、その役割やポジションに重なっている部分があるため、混同しないよう違いを明確にしておきましょう。

1.発起人と株主との違い
発起人は、会社が成立するまでの役割であり、会社成立後は株主という立場になるわけですが、発起人であることには変わりありません。一方、株主は会社への出資者であり、発起人でなかった株主が、後から発起人になることはありません。

2.発起人と取締役との違い
発起人はあくまでも、会社が成立するまでの手続きを行う者であり、取締役は会社成立後に会社が利益を上げられるように経営していくのが仕事です。もちろん、発起人が会社成立後に取締役となることも可能で、小規模な会社ではよくあるケースです。

発起人の決定

発起人は自由に決めることができます。資格なども必要なく、自然人のほか、法人も発起人になることができます。ただし、少しだけ注意点があります。

発起人になれない人

海外の国籍を持つ外国人の方はもちろん未成年でもなれますし、極端に言えば一度自己破産をされた方でも発起人になることができます。ただし定款認証の際に、公証役場へ発起人全員の印鑑証明書を提出する必要がありますので、印鑑登録が認められていない15歳未満の未成年者は、発起人になることができません。

法人が発起人になる場合の注意

法人も発起人になることができますが、会社の目的の部分については注意が必要です。

会社は定款に記載された目的の範囲内でしか、権利能力が認められていません。例えば、A社の目的が「不動産の賃貸・管理」で、新たに設立するB社の目的が「食料品の販売」だとします。

「不動産の賃貸・管理」と「食料品の販売」は事業内容として関連性がないので、A社がB社の発起人になるのは、法人としての権利能力の範囲外となり、認められません。

こういう場合には、B社の目的に「不動産の賃貸・管理」を書き加えることによって、A社とB社に関連性を持たせてから、定款の認証を行うという方法があります。

発起人の人数

発起人は1人でも複数でもよく、何人までという上限もありません。発起人1人だけの資金で会社を設立する場合、定款の内容も思うように決められますし、会社成立後は1人株主となり、自分の思うように経営することができます。一方、発起人が複数いれば出資者が多い分、事業開始後の運転資金も豊富で、設備投資も行いやすくなるでしょう。

発起人が複数いる場合の注意点

上記のとおり発起人の人数が多い方が、資金面においてはメリットが大きいのですが、「意見がまとまらない」「出資が予定通りに進まない」など人数が多いゆえのデメリットもあります。資金を多く調達したいという気持ちは理解できますが、まずは確実に理解し合える少人数で出発するのがおすすめです。

おわりに

以上、発起人の役割や責任などについてご説明してきました。発起人はあくまでも会社が成立するまでの存在ではありますが、会社がうまく滑り出せるかどうかは、まずは発起人が滞りなく設立手続きを行えるかどうかにかかっています。
発起人には多くの役割と、重い責任がありますので、そのことを十分に理解した上で手続きを行いましょう。

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監修:外崎健(司法書士)

平成15年に司法書士試験合格後、司法書士事務所に勤務。平成18年より独立開業し、現在はコンサルティング会社の役員としても活動している。
お客さま第一の業務を心がけ、顧問先さまからは会社法務だけではなく、従業員の方のプライベートな部分について相談を受けることも。
会社法務に必要な書類のほか、相続手続、簡裁訴訟代理関係、家事調停書類作成なども担当している。