• 更新日 : 2024年4月22日

NPO法人の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例やコツを解説

事業計画書は、特定非営利活動法人(NPO法人)を設立するために提出が求められる書類の一つです。NPO法人における事業計画書の目的や書き方、作成時の注意点などをテンプレートと共にこの記事で詳しく解説します。

NPO法人を設立するには?

NPO法人とは?

NPO法人は、「特定非営利活動促進法(いわゆるNPO法)」に基づき、20種類の特定非営利活動の分野に該当し、「不特定かつ多数のものの利益に寄与すること」を目的とする活動を行う団体が、法人格を取得したものです。

「ボランティア活動」をはじめとするこのような社会貢献活動を行う市民団体は多く存在しますが、NPO法人という法人格を得ることで社会的な信頼性が高まったり、助成金や寄付金を受けやすくなったりするというメリットがあります。

NPO法人の大きな特徴は非営利、つまり利益を追求することを目的としないところにあります。もちろん社会貢献活動と並行し、事業を行って収益を得てもよいのですが、その収益は次の事業活動のために使われなければなりません。この点が、事業で得た利益を構成員に分配する株式会社などの他の法人と大きく違うのです。

NPO法人を設立する条件

一般的には、いきなり一からNPO法人を設立するのでなく、これまで一定期間継続して社会貢献活動を行っていた任意団体が、前述のメリットなどを考慮して「そろそろNPO法人になっておこう」という形が多いかと思います。

とはいえ、どのような団体でもNPO法人になれるわけではありません。まずは自分たちの活動がNPO法に規定された20の「特定非営利活動」分野のどれかに属していることが必要です。もっとも、各分野は例えば「まちづくりの推進を図る活動」や「地域安全活動」のように抽象的な記載となっているため、通常の社会貢献活動であれば、だいたいどれかの分野には当てはまるでしょう。

ただし、NPO法人格を得るには都道府県など所轄庁の認証が必要です。認証を得るためには形式的手続きに加え、自身の団体がいかに公益性ある活動をするのか(既にしているのか)、またなぜ法人格が必要なのかを所轄庁に対し、しっかり説明できなければなりません。したがって、NPO法人を設立するためには、団体内での話し合いはもちろん、必要であれば専門家の助言を得るなどして、そのあたりをまとめておくことが求められます。

NPO法人を設立する流れ

NPO法人は、まず設立認証を得るための書類を準備します。主な必要書類は

  • 定款
  • 役員や社員の名簿(NPO法人設立には最低でも社員が10名必要)
  • 設立趣旨書
  • 事業計画書・活動予算書

などとなっています。

書類が全て準備できたら所轄庁に設立認証の申請を行います。この際、担当者から口頭で団体の公益性や法人格の必要性について説明を求められることもあります。その後、書類の一部が公開された後、原則2か月以内に認証か不認証かが決定され、無事認証となれば、法務局で設立登記を行い、法人成立となります。

時間はかかりますが、認証のための費用は不要です。また他の法人と違い、NPO法人は登記に際し登録免許税は一切かかりません。ただし、収益事業を行う場合は法人所得税や地方税などを納める必要があります。

NPO法人についての詳細は以下の記事をご覧ください。

NPO法人設立で事業計画書を書く目的とは?

事業計画書とは、通常、開業する際に、開業の目的や事業内容、法人自身の強みや事業の方向性などをまとめた書類をいいます。事業が開業後計画性および継続性をもって展開していけるかを開業者自身が客観的に確認するのに役立ちます。また、融資申請の提出書類としても使用します。

一方、NPO法人の場合、事業計画書は法人認証申請の際に必要書類の一つとなるため、事業継続性の確認や融資申請などを目的にしているのではなく、作成しなければならないものであり、作成方法もあらかじめフォーマットが決められていることが多いのです。

もっとも、例えば通常の事業計画書の「開業の目的」や「団体の売り」はNPO法人の場合「設立趣旨書」に、また、事業内容や方向性は「認証申請書」の「定款に記載された目的」欄に記入する内容と同じものといえるでしょう。ですからNPO法人設立にあたっても、通常の事業計画書的な書類をまず作成し、全体の流れを確認するという方法を採るのも一つの手かもしれません。

NPOの事業計画書のひな形、テンプレート

NPO法人設立時に必要な事業計画書の作成例です。認証申請の際は設立初年度と翌年度の2年分の計画書が求められます。

事業計画書作成例

こちらは兵庫県の作成例ですが、全国どの所轄庁でも内容的に似たようなフォーマットとなっています。

すぐに使えるテンプレートをご用意しました。記入例も記載していますので、それを参考にしていただければスムーズに事業計画書が作成できます。

NPOの事業計画書の書き方・記入例

基本方針

NPO法人となった後、どのような形で事業を展開していくかを記入します。
既に社会貢献活動をしてきた団体で、特に新たなプロジェクトなどがなければ無理に盛らず、「これまでより活動の頻度や範囲を増やす」程度でも構いません。一方、一から新たに設立する団体は、法人としての基盤を築くための具体的な方針を書くことをお勧めします。

特定非営利活動に係る事業

初年度に実施予定の非営利(社会貢献)事業を全て記載します。

記載内容は各事業につき、

  • 事業名
  • 事業内容
  • 実施時期
  • 実施場所
  • 受益対象者数とその範囲
  • 収益見込み

です。他に事業費用や事業従事者数を記載する場合もあります。

実施時期以下の項目は、未定であれば大まかな予定でも構いません。

その他の事業

NPO法人の事業費に充てるために行う非営利活動に係る事業以外の事業を、「その他の事業」といいます。定款で「その他の事業」を行うと定めている場合は当該事業についてその内容や、収益見込みなどを記載します。

その他

一般的には以上のフォーマットとなりますが、兵庫県の作成例のように、所轄庁によっては別途「事業実施体制」などの記載を求められることがあります。

NPOの事業計画書の作成ポイント、注意点

NPO法人設立のための事業計画書は、他の業種のように融資を受ける目的で作成するというものではありませんが、自身の団体がこれからどのような社会貢献活動を行っていくのかをアピールする意味で、設立趣旨書と並んで力を入れて作成すべき書類です。

とはいえ、NPO法人が事業を実施し、法人を維持していくためにはお金が不可欠です。活動費用をどうするのか、会員の会費や寄付金のみで賄うのか、他の事業で収益を上げるのか、活動費に人件費は含まれるのか、あるいは全てボランティア(無償)なのか……。このあたりを明確にするため、設立認証申請の際は、事業計画書とは別に、設立後2年間分の「活動予算書」を提出することになっています。

NPO法人の活動費用は、他の法人と違い、会費や寄付金、そして助成金も重要な収益となってきます。NPO法人であることを条件とした助成金制度もありますが、数や額に限りがあるため、まずご自身の団体の活動内容に合った助成金制度を選び、制度の実施団体に自分たちが行おうとする事業がいかに社会的問題に取り組み、解決を図るものかを、具体的に訴えかける必要があります。NPO法人を対象とした助成金制度は多くありますが、ハードルもそれなりに高いといえます。

※事業計画書についての詳細な作成手続については、こちらをご覧ください。

NPO法人設立時の事業計画書で、予定事業をしっかりアピールしよう

NPO法人は、公益性ある社会活動を行う団体が法人格を有したもので、社会的な信用性を得られる、助成金などが申請しやすくなるといった設立メリットがあります。設立認証には2か月以上の期間を見ておいたほうがよいでしょう。

事業計画書は認証申請時の提出書類の一つとして、自身のNPO法人が行う予定の事業内容を具体的にアピールする重要な役目を担います。他の提出書類同様、丁寧に吟味して作成しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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