• 更新日 : 2024年6月12日

児童発達支援の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例を解説

児童発達支援の事業計画書を書くときは、ひな形、テンプレートの活用がおすすめです。書くべきことが決まっているため、何を書けばいいのか考える手間がかかりません。

また、事業計画書は金融機関からの融資を受ける際に必要なので、ひな形、テンプレートを活用したほうが過不足なく情報を伝えられるでしょう。本記事では、児童発達支援の事業計画書の書き方を解説します。

※事業計画書のテンプレートをお探しで当記事を訪れられた方は、こちらをご活用ください▼

児童発達支援向けの事業計画書・創業計画書テンプレート・作成例のダウンロード方法

事業計画書_テンプレート

児童発達支援の事業計画書とは?

児童発達支援の事業計画書の概要を押さえるために、下記3つの事柄を知っておきましょう。

  • 児童発達支援事業者の指定申請に使用する
  • 事業の見通しを立てる
  • 金融機関からの融資を受ける

児童発達支援事業者の指定申請に使用する

児童発達支援の事業計画書は、指定申請にあたって事業計画にまつわる面談を行う際、情報を整理するために必要です。創業動機や創設者の職歴、取扱商品などを記載します。児童発達支援事業を行うためには、児童福祉法に基づき、都道府県又は市町村から指定を受けなければなりません。

出典:横浜市「障害児通所支援事業の開始を検討されている方へ」

事業の見通しを立てる

児童発達支援の事業計画書を作成すると、創業当初から1年後程度までの事業の見通しがわかります。売上高や想定している経費などを記載し、月平均の利益を算出するからです。

たとえば、開業資金に1,000万円かけて月売上が200万円だと仮定しましょう。毎月の経費が150万円だった場合、開業資金を回収するまでは1年8ヶ月かかります。算出した数字の根拠も記載し、本当に実現できる見通しなのか確かめながら作成してください。

金融機関からの融資を受ける

事業をはじめる際は、金融機関から融資を受けるケースが多くあります。金融機関が融資の可否を判断する際、多くのケースで事業計画書を見て、将来利益を上げられるかチェックします。

金融機関からの借入を考えているなら、銀行に成長性のある事業だと示さなければなりません。2024年4月現在、児童発達支援は総費用額・利用児童数・請求事業所数いずれも増加傾向にあります。

たとえば、厚生労働省の「児童発達支援・放課後等デイサービスの現状等について」によると、2012年の利用児童数は1ヶ月あたり約4.7万人だったのに対し、2021年は約14万人と9年間で3倍になりました。

この現状からも、児童発達支援は成長が期待できる事業だといえるでしょう。

出典:厚生労働省「児童発達支援・放課後等デイサービスの現状等について」

児童発達支援の事業計画書のひな形、テンプレート

児童発達支援の事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例を解説

児童発達支援の事業計画書は、ひな形を用意している自治体もあります。自分の住んでいる地域にひな形があるか確かめてみましょう。

無料登録後のページにある「会社設立ナビ」にて、児童発達支援向け事業計画書を含む、40種類以上の事業計画書をダウンロードしていただきますので、ぜひお気軽にご利用ください。

児童発達支援の事業計画書の書き方・記入例

児童発達支援の事業計画書の書き方を具体例付きで解説します。

  • 創業の動機・目的
  • 職歴・事業実績
  • 取扱商品・サービス
  • 取引先・取引関係
  • 従業員
  • 借入の状況
  • 必要な資金と調達方法
  • 事業の見通し(月平均)

創業の動機・目的

なぜ児童発達支援を行うのか、事業主の創業動機や目的を記載します。事業内容の公共性や経営者の考え方をアピールできるため、これまでの経験や地域の問題を起点に記載してみてください。

職歴・事業実績

職歴の項目では最終学歴から現職までの過程を示します。企業に勤めていた方は、勤務先や役職、資格なども記載しましょう。

たとえば「社会福祉法人〇〇に14年間勤務」のように、具体的に表します。すでに事業を起こした経験がある方は、事業の実績も記載してください。

取扱商品・サービス

取扱商品・サービスの欄では、主に下記3つの内容を記載します。

  • 取扱商品・サービスの内容
  • セールスポイント・販売ターゲット・戦略
  • 競合・市場などの分析

まずは児童発達支援で何を商品・サービスとするのか記載しましょう。たとえば「通所する児童に対する支援」「児童の家族に対する支援」のように、誰に対して何をするのか明確にします。

セールスポイントを記載する際は、他社にはない独自性を言語化してください。競合・市場の分析では、地域の特性や周辺の環境などを基に、児童発達支援の需要が見込まれる根拠を記載しましょう。

取引先・取引関係

販売先・仕入先・外注先・人件費の支払について記載する項目です。基本的に販売先は個人となるため「〇〇駅周辺の一般個人」のような形式で記載するとよいでしょう。

人件費の支払では締め日と給料の支払日を設定し、ボーナスがある場合は何月に支給するのか記載してください。

従業員

従業員の項目には、常勤役員の人数と従業員数を記載します。従業員数は3ヶ月以上継続して雇用する方を対象としてください。また、従業員の中で家族従業員とパート従業員がいる場合は、その人数も記載しましょう。

借入の状況

事業やプライベートの借入状況を記載します。下記の内容で借入がある方は、借入残高と年間返済額を記載してください。

  • 事業
  • 住宅
  • 教育
  • カード
  • その他

必要な資金と調達方法

必要な資金は設備資金と運転資金に分かれます。設備資金とは、物件や什器にかかる費用のことです。見積先と金額、資金調達の方法を明確にしてください。運転資金とは人件費や消耗品の仕入、広告宣伝費などのことを指します。それぞれの金額と資金調達の方法を記載しましょう。

事業の見通し(月平均)

月平均で見込んでいる売上高と、1年後を目安に軌道に乗ったあとの売上高を記載してください。次に売上原価を記載します。売上原価とは、売れた商品・サービスにかかった費用のことです。最後に人件費や家賃などの経費を記載します。

ここまで漏れなく記載できたら、それぞれの金額の根拠を示しましょう。たとえば、売上高を200万円と仮定するなら「平均単価2万円×利用者数1日4人×25日=2000万円」のような形で根拠を示します。金融機関は算出した金額が根拠のある数字に基づいているかチェックするので、矛盾がない見通しを立ててください。

児童発達支援の事業計画書作成のポイント

児童発達支援の事業計画書を作成する際のポイントについて解説します。下記6つのポイントを押さえてください。

  • 事業を行う理念を明確にする
  • 事業のコンセプトを明確にする
  • 商圏調査を行う
  • 報酬体系について理解しておく
  • 損益分岐点を想定する
  • 制度の改定を把握しておく

事業を行う理念を明確にする

なぜ児童発達支援を行うのか、創業動機・目的欄に理念を記載しましょう。銀行は審査の際に事業内容の公共性や経営者の考え方もチェックします。事業の方向性を決める理念を明確にすると、定性的な面でも評価してもらえるでしょう。

事業のコンセプトを明確にする

他社との差別化を図るために、事業のコンセプトを明確にしましょう。たとえば「完全マンツーマンの個別療育」「運動×小集団療育」のようにコンセプトを打ち出していると、魅力的に見えます。

地域住民の特性を調査し環境に合ったコンセプトを打ち出せると、より顧客にとって魅力的な児童発達支援となります。

商圏調査を行う

顧客になり得る層に対して的確な訴求をできるように、商圏調査を行います。商圏調査では、下記の内容を調査してみましょう。

  • 店舗を構える地域の人口・世帯数※1
  • 交通アクセスの状況※1
  • 商圏内顧客のライフスタイルや価値観※2
  • 商圏内顧客の所得層※2
  • 競合店の情報※2

地域の人口や世帯数は役所のデータを参照してみましょう。その他の情報は、実際に街を散策したり競合店に出向いたりしてみてください。

※1出典:中小企業庁「平成15年度 実践行動マニュアル」
※2出典:J-Net21「自店の商圏を正確に把握したいと思っていますが、どうしたらよいですか?」

報酬体系について理解しておく

児童発達支援事業の主な収入源は、政府からの給付費※1です。サービス利用者からは費用の1割程度しか払われない※2ため、開業してすぐにキャッシュを手に入れられるわけではありません。

給付費の請求は、報酬が発生している月の翌月10日まで※3に行います。報酬は翌々月の支払になると理解しておきましょう。飲食業などその他の事業とは売上の入金時期が異なるため、開業直後に人件費や家賃が支払えないような事態は避けてください。

※1出典:厚生労働省「令和2年障害福祉サービス等経営実態調査結果」
※2出典:障害福祉情報サービスかながわ「利用者負担のしくみ」
※3出典:e-gov法令検索「障害児通所給付費等の請求に関する内閣府令」

損益分岐点を想定する

事業計画書の作成において、いつ黒字化するのか明確にしておくことは重要な要素となります。損益分岐点を計算するときに大切なのは、初期費用を最低限に抑えることです。

たとえば、集客の見込みが立っていないにもかかわらず、従業員を大量に採用すると、人件費がかさむおそれがあります。しかし、人員配置基準と呼ばれる最低限の基準が決まっているため、極端に少ない人員にはできません。

また「豪華な設備にしよう」と内装にこだわりすぎると、黒字化までに時間がかかってしまうでしょう。早く黒字化できるよう、事業計画書作成の段階から損益分岐点を意識してください。

制度の改定を把握しておく

児童発達支援事業の報酬基準は障害者総合支援制度に基づいて決められています。しかし、頻繁に制度改定が起こるため、事業者はルールチェンジが起きていないか都度確認しなければなりません。直近だと2024年2月に厚生労働省が「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容 (案)」を発表しました。

出典:厚生労働省「令和6年度障害福祉サービス等報酬改定における主な改定内容 (案)」

正しく事業計画書を記載し児童発達支援事業をはじめよう

事業計画書は、指定申請や金融機関への融資を依頼する際に必要な書類です。根拠のない絵空事を記載してしまうと、そもそも事業をはじめられないかもしれません。

児童発達支援の事業計画書を作成する際は、テンプレートの活用が有効です。事業計画書だけでなく、定款のテンプレートも用意しているので、あわせて活用してみてください。テンプレートは以下から無料でダウンロードできます。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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