- 更新日 : 2023年8月29日
コインパーキング経営の方法は?収入・費用の目安や月極駐車場との違いも解説
コインパーキングは、車両のロック装置や精算機を設置することによって無人でも経営できる駐車場で、土地活用の方法の一つです。この記事では、コインパーキングと月極駐車場の違いや管理委託などの経営方式、コインパーキングのメリット・デメリット、収入や費用の目安などについて解説します。
目次
コインパーキング経営の方法とは?
コインパーキングの経営方法は複数あります。代表的なのが直接経営、管理委託、一括借り上げです。
直接経営
コインパーキングの土地所有者自身が直接経営する方法です。コインパーキングは無人であるため「業務負担は大きくないのでは」と思われるかもしれませんが、清掃や設備の修繕、トラブル対応など、細かい管理業務が発生します。直接経営に携わることで全体的なコストを抑えられる可能性もありますが、会社が副業的に行う場合は別途人件費などがかかり、かえってコストが大きくなることもあります。
管理委託
コインパーキングの設備を土地所有者が準備して、清掃やトラブル対応などの管理業務を管理会社に委託する方法です。管理費を支払う必要がありますが、自社で管理する手間を省けます。基本的には、コインパーキングの利用料から管理費を差し引いた分が、土地所有者に毎月支払われる仕組みです。
一括借り上げ
所有する更地などをコインパーキング会社に貸し出して、賃料を得る方法です。コインパーキングの設置や管理は土地を借りるコインパーキング会社がすべて行うため、実際に経営に携わることはありません。契約期間中はすぐに更地にできないといった制限があるので、土地活用をしたい場合は注意が必要です。
コインパーキング経営と月極駐車場経営の違いは?
コインパーキングのように駐車場として土地活用をする方法に、月極駐車場があります。コインパーキングと月極駐車場の主な違いは、必要な設備と収入形態です。
コインパーキングを経営するには車両ロック装置や精算機、ゲートなどの設備が必要で、地面も舗装するのが一般的です。一方、月極駐車場では設備がほとんど必要ありません。駐車できる区画や車止めなどを置けば、駐車場として使用できるからです。地面は砂利敷でも構いません。
収入形態も大きく異なります。コインパーキングは、日々の利用台数や利用時間で収入が変わります。一方、月極駐車場は契約数に応じて毎月一定の賃料を受け取れるため、コインパーキングと比べると収入が安定しやすいといえます。
コインパーキング経営のメリットは?
コインパーキング経営は、土地活用や初期投資額の面でメリットがあります。
土地活用ができる
コインパーキング経営のメリットは、狭い土地や多少変わった形の土地でも利用しやすいことです。
土地活用のために賃貸物件を建てる場合、ある程度の広さや適した形状が必要になりますが、コインパーキングなら土地の広さや形状はあまり問われません。
もちろん、車の出し入れのしやすさなど使い勝手は確認する必要がありますが、他の土地活用法と比べると利用しやすいでしょう。
コインパーキングに設置するものも精算機や車両のロック装置などに限られるため、撤去しやすいこともメリットです。コインパーキングから転用する際の利便性も高いといえます。
初期費用が少ない
初期費用を抑えつつ土地活用ができることも、コインパーキングのメリットです。コインパーキングに必要な設備は多くないため、住居や事務所用建物の賃貸などと比較すると、少額の投資で始められます。
一括借り上げの場合は、コインパーキング会社が土地を借りて機器を設置することになるため、初期費用ゼロでのスタートも可能です。
コインパーキング経営のデメリットは?
他の土地活用と比べると、コインパーキング経営には以下のようなデメリットがあります。
税金面での優遇が少ない
コインパーキング経営において、税金面での優遇はほとんど期待できません。例えば土地を取得してコインパーキングにした場合、土地に対して固定資産税と都市計画税が課されます。
アパート経営やマンション経営などの住宅地の場合、200平方メートル以下の住宅地については、固定資産税が6分の1(200平方メートルを超える部分は3分の1)に軽減されます。都市計画税についても3分の1から3分の2の軽減が行われるため、住宅地として運用したほうが節税効果は高くなります。
一方、コインパーキングには住宅地のような特例は適用されないため、原則に則った固定資産税や都市計画税が課されることになります。
立地に左右されやすい
コインパーキングは、広くない土地や変わった形状の土地も活用できると説明しましたが、ニーズのある立地でないと収益は上がりにくいです。
需要が高い土地として、駅前や繁華街、オフィス街、観光地などが挙げられます。需要のある場所に土地を所有している場合はよいのですが、需要のない土地の場合は他の土地活用法を考えたほうがよいケースもあります。
使いやすさも重要です。前面の道路幅があまり広くなかったり、見つけにくい場所にあったりすると、ニーズのある場所でも利用率が下がる可能性があります。
コインパーキング経営の収入・費用の目安は?
コインパーキング経営を始める前に、収入と費用のバランスもよく見ておく必要があります。収入や費用は駐車場の広さや駐車できる台数などでも変わりますが、ここでは一例を見てみましょう。
まず、コインパーキング経営の収入を見てみましょう。1時間500円の駐車料金で、5台停められる駐車場だとします。常に満車ではないため、最大稼働ではなく現実的な稼働割合で考える必要があります。コインパーキングの稼働率は20~30%といわれているので、稼働率が25%だった場合、1ヵ月あたりの収入額は以下の式で算出できます。
1万5,000円×30日=45万円
次に、コインパーキングの費用を見てみましょう。初期費用として、舗装や精算機、ロック板、満車ランプ、照明器具、監視カメラ、などの費用がかかります。中でも高額なのが、精算機やロック板です。導入するものによりますが、精算機は50万~100万円程度、ロック板は1台10万~30万円程度が相場です。駐車場の規模にもよりますが、数百万円程度は見積もっておいたほうがよいでしょう。
その他、固定資産税や都市計画税、管理費用(自社で管理する場合は人件費)などがランニングコストとしてかかります。ランニングコストは選択する経営方法によって変わるため、しっかり比較検討することをおすすめします。
コインパーキング経営の利益率の計算方法は?
コインパーキング経営では収支のバランスを見ておく必要があると説明しましたが、実際に稼働しないと計算が難しい部分もあります。
投資判断を下す際に目安になるのが、投資額に対する利益率(利回り)です。利回りには表面利回りと実質利回りがあり、それぞれ以下のような計算式で算出します。
実質利回り=(年間賃料-ランニングコスト)÷初期費用×100%
計算で使う年間賃料は、満車時の賃料です。初期費用には土地代金の他、設備の設置にかかった費用や舗装にかかった費用などを含みます。
あくまで満車時を想定した計算であるため、実際に稼働した場合と比べると利回りは高くなります。実際の投資額に対する利回りとはズレがありますが、コインパーキングとして投資する価値があるかどうかを試算する際に活用できるでしょう。
なお、表面利回りと実質利回りの違いは、ランニングコストを考慮するかどうかです。
コインパーキング経営で成功するための方法は?
コインパーキング経営で成功をつかむには、以下の3つのポイントにも注目しましょう。
事前に需要を調査する
コインパーキングの需要がないと、整備したところで売上は上がりません。事前に需要があるかどうか、調査しておくことが大切です。
繁華街や駅前などは需要が高いと説明しましたが、周辺に競合が多い場所だとあまり利用してもらえない可能性もあります。実際に現地に足を運んで利用台数は多いか、交通量は多いか、なども見ておきましょう。
使いやすさを考えて設計する
需要のあるエリアでも、駐車場の使い勝手が悪いと利用率が下がってしまいます。好まれやすいのは平坦な場所、通りやすい道路に面した場所、前面の道路が狭すぎない場所などです。
また、土地効率を最優先するあまりに駐車スペースが狭くなると、駐車しにくくなってしまいます。実際に駐車することをイメージして、利用者が不便を感じないような設計にしましょう。
複数の管理会社を比較する
管理委託を選択する場合は管理会社、一括借り上げを選択する場合はコインパーキングの会社と契約することになります。
管理会社なら管理手数料や管理業務の範囲、コインパーキングの会社なら経営方針や賃料などがそれぞれ異なるので、複数の会社を比較して検討することをおすすめします。
コインパーキング経営は土地活用におすすめ
コインパーキング経営は他の土地活用と比べて、狭い土地や変わった形状の土地でも活用しやすいという特徴があります。また、設置する設備が多くないため撤去が容易で、コインパーキングから別の用途への転用もしやすいです。
将来別の用途に転用する可能性がある場合や、法人の遊休地を活用したい場合などにもおすすめです。
よくある質問
コインパーキング経営の方法とは?
代表的な方法として、土地所有者の直接経営、管理委託による経営、一括借り上げがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
コインパーキング経営の収入・費用の目安は?
コインパーキングの規模によって変わりますが、数百万円の初期費用が必要になる可能性があります。収入は料金や利用率、駐車できる台数によって変わります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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