- 更新日 : 2023年11月30日
グループホームを開業するには?必要な資格・費用や資金調達方法を解説!
障害がある方や認知症など、支援が必要な方の住まいである「グループホーム」の開業を検討する際は必要な申請や資格を確認しなければなりません。また、資金をどう調達するかについても考える必要があります。
今回はグループホーム開業の際に必要な準備についてご紹介します。どのような申請が必要か、資金調達方法や申し込める補助金、そして単独もしくはフランチャイズといった開業の形態についてもご紹介しますので参考にしてください。
目次
障害者グループホームの種類は?
はじめに、障害者グループホームの4つの種類について押さえておきましょう。
- 介護サービス包括型
- 外部サービス利用型
- 日中サービス支援型
- サテライト型
介護サービス包括型
主に夜間や休日にグループホームの職員が以下のサービスを提供します。
- 入浴・食事・トイレの介護
- 家事(掃除・洗濯・調理など)
- 就労先等への連絡
- 日常生活の支援
介護サービス包括型のグループホームは障害が比較的重い方が利用することが多い施設です。
外部サービス利用型
外部サービス利用型は、介護サービス包括型グループホームで行うサービスを、職員だけでなく外部スタッフの手も借りながら行う施設です。外部スタッフはヘルパー事業所などから派遣されます。
外部サービス利用型グループホームは認知症の症状や障害が比較的軽い人が利用することが多い施設です。
日中サービス支援型
日中サービス支援型グループホームは、夜間や休日にサービスを提供する介護サービス包括型や外部サービス利用型とは異なり、日中も介護が必要な方のための施設です。また、一時的な宿泊で使われることもあります。
手厚い介護が必要になるため、人数も他の種類のグループホームより多めに配置されます。
サテライト型
グループホーム近くのアパートやワンルームマンションで一人暮らしをする障害者を支援するタイプのものです。必要があればグループホームが支援しないといけないため、サテライト型施設(アパート・マンション)単独で運営することはできません。また、サテライト型施設には以下の設備基準があります。
入居定員 | 1人 |
---|---|
部屋の面積 | 7.43㎡(収納部分を除く) |
設備 | ・日常生活に必要な設備 ・サテライト型住居の利用者から適切に通報を受けることができる通信機器(携帯電話可) |
利用制限が原則3年となっていることも理解しておきましょう。
グループホームを開業するには?
グループホーム開業までの流れは以下のとおりとなっています。
- 法人を作る
- 資金調達
- 設置基準に適合する施設作り
- 事業者指定を受ける
では、一つずつ確認していきましょう。
1.法人を作る
グループホームは個人事業主のまま運営することはできず、必ず法人が運営しなければなりません。法人格を持った「株式会社」や「合同会社」、「社会福祉法人」、「一般社団法人」、「NPO法人」などを設立しましょう。すでに法人である場合は、改めて別の法人を設立する必要はありません。
2.資金調達
どうやって設立資金や当面の運営資金を調達するかも考えてください。なお、グループホーム設立には数百万円~1,000万円ほどかかるのが一般的です。
主な資金調達方法には次のようなものがあります。
- 自己資金
- 国・自治体の補助金や助成金
- 金融機関の融資
- 日本政策金融公庫の融資
資金調達の方法については後ほど詳しくご紹介します。
3.設置基準に適合する施設作り
グループホームは「障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)」という法律で規定された福祉サービスです。この法律では設置基準を都道府県の条例で定めるとされているため、それに沿った施設作りが求められます。以下の表で設置基準の一部をご紹介します(千葉県船橋市の例)。
人員に関する基準 | ・必要な知識や経験を持つ管理者を1名置くこと ・サービス管理責任者を「利用者30人につき1名」以上置くこと など |
---|---|
設備に関する基準 | ・利用者が家族や地域住民との交流ができる地域に設置すること ・最低定員を事業所全体で4名以上とすること ・1つの居室の定員を原則1名とすること など |
運営に関する基準 | 事業者は「個別支援計画」を作り、それに基づきサービスを提供すること など |
4.事業者指定を受ける
グループホームは設備や人員さえ整っていれば、すぐに開業できるというものではありません。事業所の開設を予定する都道府県(中核市以上の場合は市)の事業者指定を受ける必要があります。事業者指定の申請をする場合は、以下のような事項が記載された書類を提出しましょう。
など
申請書の書式は決められているため、各都道府県ホームページ・担当部署等で事前に確認してください。
グループホームの開業に必要な資格は?
グループホームを開業するだけであれば、特に必要な資格はありません。しかし、開業する方が管理者になるというケースも多いのではないでしょうか。ただ、専門知識や経験がなければ、グループホームを開業できても成功までは難しいかもしれません。福祉の知識や資格を持つ経験者の採用も非常に重要であるといえます。
グループホームの開業にかかる費用は?
グループホームを開業するためには、一般的に数百万~1,000万円程度の費用がかかることをご紹介しました。では、どのような費用がどの程度かかるのか、その内訳についても確認しておきましょう。
法人を設立するための費用
例えば、株式会社を設立するのであれば、登記に関する費用などがかかります。おおよそ30万円程度はかかると見ておきましょう。
物件に関する費用
グループホームは原則1人部屋です。そして最低定員は4名のため、4部屋は必要ということになります。また、トイレ・風呂・キッチン等の設備を備えておかなければなりません。つまり、ある程度の広さがある物件を準備する必要があるということです。グループホームの立地にもよりますが、賃貸の場合、利用者が入居するまでの家賃だけでも数十万円、それに加え、敷金や礼金、保証金などもかかるでしょう。
その他、内装や火災報知器、利用者に必要な設備・備品等を整えるために100万円弱ほどの予算を準備しておいてください。
人件費・運営費
利用者が入居してもすぐに資金が入ってくるわけではありません。また、生活支援員などは利用者が集まる前から雇用しておく必要があります。開業からしばらくの間の人件費・運営費は準備しておきましょう。
グループホームの開業資金を調達する方法は?
グループホームの開業資金を自己資金や金融機関からの融資で準備したいという方もいるでしょう。しかし、それ以外の調達方法もありますので、この機会に確認しておきましょう。
社会福祉施設等施設整備費補助金
社会福祉法人を設立する際に利用できる補助金です。施設整備の際に必要な費用の一部(事業費用の4分の3)が補助されます。
日本政策金融公庫の融資
日本政策金融公庫の融資の利用も検討してみましょう。一般的な金融機関よりも低金利で融資を受けることができます。また、返済期間が長めに設定されているというメリットもあります。
なお、なるべく良い条件で融資を受けたいのであれば、自己資金をある程度準備しておく、実現可能な計画を記載した「事業計画書」を準備する、といった対策を行ってから申し込んでください。
都道府県の補助金・助成金
各都道府県が行っている補助金・助成金制度の利用もおすすめです。例えば、東京都では「東京都知的・身体障害者等グループホーム開設準備経費等補助金」という補助金を出しています。この補助金は、開設前の職員給与、備品購入費用、賃貸物件に関する費用など、グループホーム開設準備時に利用可能です。
グループホームをフランチャイズで開業するメリットは?
グループホームの開業、運営を行う場合、場所決め、利用者集めなどを全て自分で行うという方法以外にも大手グループのフランチャイジーになって開業するという方法もあります。フランチャイズで開業することのメリットを見てみましょう。
本部のアドバイスを受けられる
立地の選び方、職員集め、利用者募集など、開業準備で難しい点があれば、フランチャイズ本部スタッフのアドバイスやサポートが受けられます。
ブランド力を生かせる
大手フランチャイズのグループホームであれば、すでに多くの人に知られている可能性が高いといえます。これから入居先を探す利用者の目に留まりやすいのはもちろん、安心して申し込んでもらえることも期待できます。
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グループホーム開業には十分な準備が必要!
グループホームを開業する場合、法人設立に始まり、法人の定款や登記簿謄本、管理者の職務経歴などさまざまな書類を提出することになります。また、融資を受けたいのであれば、事業計画書の作成や提出も必要です。準備する書類によっては、作成に時間がかかるものや煩雑なものもあるでしょう。
書類や申請の不備で開業を遅らせないよう、申請書類等を提出する前に各都道府県の担当部署に相談しておくことをおすすめします。
そして、フランチャイズでの開業を選択する際は、どの会社を選ぶかも重要です。知名度や規模を確認することも必要ですが、サポート内容、ロイヤリティなどをしっかり比較してから決定するようにしましょう。
よくある質問
グループホームを開業するには?
グループホームを開業するには法人の設立が必要です。個人での開業・運営はできません。詳しくはこちらをご覧ください。
グループホームの開業に必要な資格は?
必要な資格はありませんが、人員基準や設備基準など各種基準を満たす必要があります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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