- 更新日 : 2024年5月28日
フランチャイズの事業計画書の書き方!ひな形を基に利益の見通しも解説
事業計画書とは、今後どのように事業を運用するかというビジネスプランをまとめたものです。一般的に事業計画書が必要とされるのは、金融機関からの融資時です。
この記事では、各種フランチャイズ事業を展開するにあたり、事業計画書に初めて取り組む方向けに事業計画の書き方について解説しています。
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・フランチャイズ向けの事業計画書・創業計画書テンプレート・作成例のダウンロード方法
目次
フランチャイズ開業に事業計画書は必要?
フランチャイズで事業を展開する際、自己資金だけでは足りず金融機関などで融資を受けたいときには事業計画書が求められます。したがって、潤沢な自己資金がある場合を除き、事業計画書は必要になる場合が多いです。
そもそもフランチャイズ事業とは、本部のブランドのもとに商品やサービスを提供する権利を、本部から有償で提供するしくみです。本部は加盟店に対してブランドやノウハウの提供、経営支援などを行い、一方、加盟店は本部からの指導に従って事業を展開します。
加盟にあたっては、本部から長年の経験によって蓄積された事業マニュアル等が示されますが、事業計画書の作成は再度マニュアルを見直す機会ともなります。展開しようとしている事業の目的などが本部の考え方と一致しているか、再度よく確かめておきましょう。
フランチャイズ向け事業計画書のひな形、テンプレート
事業計画書について融資元から書式を提示された場合は、それに従って作成します。しかし、決まった書式がない場合には、それぞれの業界の特徴を活かして独自の事業計画書を作成するのがよいでしょう。
記載すべき事項の漏れを防ぐためにもテンプレートの利用をおすすめします。フランチャイズ向けの事業計画書として、次の例が参考になるでしょう。
無料登録後のページにある「会社設立ナビ」にて、40種類以上の事業計画書をダウンロードしていただきますので、ぜひお気軽にご利用ください。
フランチャイズの事業計画書の書き方・記入例
ここでは、新規にフランチャイズ加盟店となる場合に自己資金が足りず、借入する場合を想定して事業計画書の記入例を見ていきましょう。
創業の動機・目的
創業の動機とは、事業を始めるに至ったきっかけを簡潔に記載します。また、目的には、「どのような事業にしたいか」「どんな付加価値が可能か」などを記載します。専門用語を使うのではなく、第三者に説明しやすく記載するのがよいでしょう。
フランチャイズ事業の特徴として次の3点が挙げられます。
- 本部の商標やブランドの利用権がある
- 本部の経営ノウハウを活用できる
- 本部の指導・援助を受けられる
ブランド力や支援をバックに優位な立場で事業展開できることがフランチャイズのメリットです。その点も意識して記載するとよいでしょう。
経営者の職歴・事業実績
経営者自身の経歴や資格などについて記載します。関係する業界での経験については具体的な数値を交えて分かりやすく記載するとよいでしょう。
取扱商品・サービス・戦略・現状分析
取り扱う主な商品やサービスについて、本部マニュアル等で内容をよく確認しながら記載しましょう。
事業戦略として、ターゲットとする顧客層や集客方法、営業時間、サービス内容などを簡潔に記載します。立地において駅やモールなど人の集まりがある場合にはそれらを意識した記載は具体的で説得力があると言えます。
現状分析では、顧客の志向や地域性、競合他社との比較における優位性などをアピールします。
取引先・取引関係
販売先については、ターゲットとする顧客を想定して記載します。仕入先については、本部の指定業者か否かの区別をしておくと、第三者からみて分かりやすいと言えます。また、従業員として派遣要員を利用する場合には、外注先として記載します。
従業員
従業員を雇う場合や家族従業員がいる場合にはそれぞれ分けて記載します。従業員数が多い場合、資金繰りにも影響しますので、支払日や賞与の予定があれば書いておきます。
借入の状況
事業計画書作成時点で、すでに個人的な借入金があればすべて記載します。というのも、個人的な借金返済も事業でまかなうことになるからです。また、過去における事業実績がないため、個人的な評価も審査の対象とされるためです。
回収計画を考える際には、事業における返済とあわせて個人の借入も返済するわけですから、売上計画もそれに見合うものでなければなりません。
必要な資金と調達方法
必要な資金は、設備投資と運転資金について記載します。本部に支払う加盟金、保証金なども含まれ、店舗設備などについては予め業者から見積書を入手しておきましょう。特に店舗を賃借する場合には、敷金などの初期費用もよく確認しましょう。
運転資金とは、事業が安定するまでに必要なお金です。必要額は業界や規模によって異なりますが、運転資金が不足すると支払いができず、経営が危機に陥ります。事業計画書には結果のみを記載しますが、個々の計算明細はしっかり持っておきましょう。
資金の調達方法については、必要な資金をどこから、どのような形で調達するのかを記載します。親族や配偶者からの借入であっても借入可能な金額については了解を得ておきましょう。最終的に、必要な資金の合計と調達資金の合計が一致するように調整します。
事業の見通し
事業開始後の月平均の売上高や必要経費を損益計算書の形で表します。
当初はまとまったお金が必要になりますが、「1年後または軌道に乗った後」についての月平均の損益計算書も記載します。記載する数値は月平均ですので、季節的な売上変動なども予測した年間の計算をしておき、12で割って平均を求めます。
軌道に乗る前と後ではどこがどのように異なるのか、考え方を明らかにしておきます。
事業計画書の事業(利益)の見通しの考え方
前項の「事業の見通し」の考え方について補足しておきます。利益の計算については、次の式が成立するように記載していきます。
事業の見通しについて一つの考え方を示しておきます。
(表計算ソフトなどを使って、1月から12月までの簡単な損益計算書を横に並べたものを作っておき、最終的に平均値を求めます。)
まず、固定的な必要経費(人件費、家賃、利息)に減価償却費などを加えて、売上高に関係なくかかる費用を計算します。年払いや半年払いの費用などがあれば該当月に入れていきます。本部へのロイヤルティなどは、売上高に対する定率方式の場合は変動費として計算に入れます。
次に売上高を計算します。売上高は業界、立地、規模などによって大きく変動しますので、本部のデータやできれば専門家の支援を基に計画値を求めることをおすすめします。
最後に、売上高に比例して変動する売上原価をメインとする変動費を計算します。計画値における売上原価とは仕入れのことであり、売上高に占める原価の割合を原価率と言います。実際には商品によって原価率は異なるものの、計画の段階では原価率を20〜40%ぐらいに設定しつつ、調整するとよいでしょう。ロイヤルティ、営業費用など固定費として入れなかったものは変動費として考えます。
実際はさらに、プライベート支出として税金、健康保険料、プライベートでの返済も考慮して結果、赤字になると返済能力があるとは読み取れませんのでよく考えましょう。
フランチャイズの良さを活かした活用を!
フランチャイズの場合、一般的には本部から種々の支援があります。本部が提示した開業提案書などがあれば、それらを大いに参考にしましょう。
フランチャイズ店は、消費者からは本部の「支店」のように見られがちですが、個人事業主の独立した事業です。加盟金やロイヤルティに基づいた営業ノウハウやブランド力を活かしきって、効率のよい事業につながるようしっかり準備しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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