• 更新日 : 2024年3月14日

飲食店業の会社設立で定款に記載する事業目的の書き方

飲食店業の会社設立で定款に記載する事業目的の書き方

法人設立にはいろいろな手続きがあり、個人の起業に比べて複雑です。会社の種類にかかわらず、法人として登記するために必ず必要となるのが「定款」です。

この記事では、飲食店、飲食、レストラン、バーなどの飲食店業に特化して、定款の考え方を解説し、記載すべき「事業目的」について実例を見ながらご紹介します。

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飲食店業で会社設立をするために必要な手続きとは?

飲食店業において法人を設立するためには、いろいろな手続きがあります。その中でも法人登記のためには各種の書類を揃える必要があります。

なお、ここでは法人登記について説明していますが、共通的なものについての説明にとどまり、事業内容や地域によっては事情が異なる場合があります。費用をかけずに自力で定款を作成したい方も、具体的な手続きについては本店のある地域の行政機関などに相談・確認することをおすすめします。

飲食店業で会社設立をするために必要な書類

会社の組織や活動を定める根本的なルールを明記した「定款」は「会社の憲法」などと言われるように会社の基本となるルールが記載されたものです。定款を登記することによって会社の権利や義務を公示・保護し、法人としてさまざまな取引が円滑に行えます。

新たに会社の株主となる人は、定款の内容を理解し、定款に記載された事項を承認したものとされます。このように考えると、会社における定款の意義は大きなものであると言わざるを得ません。

また、定款の他にも法人設立登記においては、種々の書類が必要となります。例えば、株式会社(取締役会設置なし、発起人2名が設立時の取締役)の設立登記の場合には定款も含め、次に挙げる書類などを法務局に提出しなければなりません。

主な書類名概要
定款会社組織や活動の根本原則を記載した書面
設立登記申請書提出の際は、添付書類を付け登録免許税を支払う
発起人の同意書発起人全員の同意があったことを証明する書面
設立時代表取締役を選定したことを証する書面設立時取締役が定款に定められていない場合に必要
設立時取締役の就任承諾書設立時取締役が発起人であり、定款の作成者として電子署名をしている場合には不要
印鑑証明書設立時取締役が就任承諾書に押した印鑑について市町村長が証明したもの
本人確認証明書設立時監査役を選任した場合に必要
払込みを証する書面払込金受入証明書や金銭の払込み(全額)を証明する旨を記した書面に預金通帳の写しや取引明細票を合わせてとじたもの
資本金の額の計上に関する証明書設立時から資本準備金の計上や現物出資を行うときに必要

参考:商業・法人登記の申請書様式|法務局株式会社設立登記申請書

このような多くの証明書などを一度に準備するのは大変です。例えば、「マネーフォワード クラウド会社設立」を利用すると最大で11種の会社設立に関する書類が自動で準備できます。

定款に入れるべき情報とは

定款に入れるべき情報は、「会社法」で厳密に決められています。定款に入れる項目としては、「絶対的記載事項」「相対的記載事項」「任意的記載事項」の3つがありますが、ここでは「絶対的記載事項」について解説します。

まず、株式会社から解説します。株式会社において「絶対的記載事項」と呼ばれる必ず定款に記載すべき事項は基本的に次の6項目です。

株式会社 絶対的記載事項会社法
条文番号
概要
事業目的第27条1号会社がどのような事業を行うかを記載
商号第27条2号会社の正式名称
本店の所在地第27条3号市町村および東京都の区など
設立に際して出資される財産の価額又はその最低額第27条4号会社の責任財産の目安
発起人の氏名又は名称及び住所第27条5号定款に発起人として署名・捺印した者のみが発起人となる
発行可能株式総数第37条1項株式会社成立の時までに定める

参考:会社法|e-Gov 法令検索

また、合同会社における「絶対的記載事項」は株式会社とは異なり、次のとおりとなります。上の3つは株式会社と同じです。

合同会社 絶対的記載事項会社法
条文番号
概要
事業目的第576条会社がどのような事業を行うかを記載
商号会社の正式名称
本店の所在地市町村および東京都の区など
社員の氏名・名称及び住所社員が複数の場合は全員の氏名、住所が必要
社員が無限責任社員又は有限責任社員のいずれかの別社員の全部を有限責任社員とする旨を記載しなければならない(第576条4項)
社員の出資の目的及びその価額又は評価の標準社員の出資目的や出資形態及び金額を記載

参考:会社法|e-Gov 法令検索

飲食店業の場合の事業目的の書き方例

では、飲食店業に範囲を限定して定款の内容を見ていきましょう。

定款の「事業目的」とは

事業目的とは、その会社がどのような事業を行うかを記載したものです。

そもそも会社は、定款の「事業目的」に記載された事業範囲にある事業しか行うことができず、事業目的外の事業を行った場合にはその行為について株主など会社の利害者から「無効」を主張される可能性もあります。

したがって、会社の事業目的は事業として行っているものや将来的に展開予定の事業に留めておく必要があります。

飲食店業の場合の「事業目的」の考え方

事業目的として定款に記載するには、具体的で明確な表現を用いることが重要です。そして、食事がメインとなる飲食店業の場合には、「飲食店営業許可」が必要となるため、定款の事業目的には「飲食業を営むこと」が明示されていることが大切です。

また、飲食店の営業範囲を事業目的に含めることが一般的であり、料理や飲み物の種類や販売形式などが含まれます。したがって事業目的として、シンプルに「飲食に関する事業」や「飲食店業」「飲食チェーン店の経営」でも特に問題はありません。

後になって新たな事業を追加する場合には、既存の事業は変えずに、事業目的を追加する方法もあります(追加の場合には変更登記が必要です)。

ケース別事業目的の書き方のポイント・記載例

飲食店は提供する料理のジャンルや客層によって、さまざまな業態に分類されます。飲食店業における事業目的の書き方のポイントとしては、業態を明らかにした上で、提供する料理のジャンルを明確に記載しましょう。

以下、飲食店の業態別の例や記載例を見ていきましょう。

業態例事業目的の例
和食店和食店の経営(和食全般の提供)など
中華料理店中華料理店の経営(ラーメン・餃子)など
洋食店洋食店の経営(ステーキ・ハンバーグ)など
その他飲食店の経営、飲食店及び喫茶店の経営、居酒屋の経営(和食・洋食・中華の提供)、居酒屋の経営(宴会・会席)など

例えば、株式会社大戸屋ホールディングスは、「飲食店の経営」「フランチャイズシステムによる飲食店の加盟店募集および加盟店に対する経営指導」などを定款に記載しています。

引用:大戸屋ホールディングス[2705]:定款 2021/02/18 2021年2月24日(適時開示)日経会社情報DIGITAL|日本経済新聞

業態例事業目的の例
イタリアンレストランイタリアンレストランの経営(パスタ・ピザ)など
フレンチレストランフレンチレストランの経営(コース料理)など
その他菓子の販売及び飲食店業、カフェおよびレストラン等の飲食店の経営 など

日本経済新聞社のサイトに掲載された各企業の定款を見てみると、株式会社サイゼリヤは「1. 飲食店の経営」「2. 食料品の製造及び販売」(中略)「15.上記に付帯関連する一切の事業」となっています。

引用:サイゼリヤ[7581]:定款 2022/11/29 2022年11月29日(適時開示)日経会社情報DIGITAL|日本経済新聞

また、日本マクドナルドホールディングス株式会社では、「(1) 次の事業を営む会社の株式を所有することにより、当該会社の事業活動を支配・管理すること。」「①飲食店の開拓、取得、所有、運営及び改廃」「②飲食物の販売」(中略)「(3)前各号に付帯する一切の事業」としています。

引用:日本マクドナルドホールディングス[2702]:定款 2022/09/01 2022年9月1日(適時開示)日経会社情報DIGITAL|日本経済新聞

どちらも大企業なので目的だけでもかなりの量があります。

定款の事業目的を記載する際に気を付けるべきこと

定款の事業目的を記載するにあたって、気を付けるべきこととして「わかりやすさ」が挙げられます。

事業目的だけではありませんが、あまりに複雑で難解な内容を書いたために、株主などが理解できない場合、会社が不利益を被ることも考えられます。設立したばかりなのに事業目的があまりに多いと、どれがメインの事業かわからず、取引先や株主から信用を得にくいというリスクもあります。

将来に向かって若干の幅を持たせ「関連する一切の事業」を事業目的に付け足すのが一般的です。

事業目的を記載する際に気を付けるべきこと

定款に事業目的を記載するにあたって、気を付けるべきことについて見ていきましょう。

定款作成から登記までの流れ(株式会社・合同会社)

そもそも登記とは、種々の物事を整理し、紛争を防ぐための重要なプロセスです。会社設立登記によって、定款に記載された会社の名称や本店所在地、取締役、事業目的などを明らかにし、その会社が法的に存在することが証明されます。

また、会社設立登記により出資額や株式の発行に関する情報が提供され、その会社の財政状態と資金源に関する証拠が提示されることにもなります。

株式会社と合同会社について法人設立登記の流れについて概要は次のとおりです。

法人設立登記に必要な準備株式会社合同会社
<法人の基本情報の決定>
商号、資本金の額、事業目的、決算期、本店所在地、発起人および右記事項の決定
設立時役員
発行株式数など
業務執行役員など
<会社実印の作成>
オンライン申請の場合、実印の提出は任意
設立時代表取締役のものを作成代表社員のものを作成
<定款の作成>
(定款の認証は株式会社のみ)
定款認証嘱託のための準備→定款認証
<資本金の金融機関への払込>発起人が準備し、発起人の個人口座へ振込社員が準備し、社員の個人口座へ振込

参考: 法人設立ワンストップサービス|デジタル庁

以上の流れを経て、法務局にて設立登記の申請をします。

法務局への申請時には登録免許税として15万円以上(資本金による)かかります。実際の申請には、株式会社では取締役会設置会社かどうか、合同会社では業務執行しない社員がいるかどうかによって添付資料が異なります。

飲食店業で会社設立をする場合に必要な許認可・届出

飲食店業を始める場合、法務局に法人の設立登記をする以外にも、さまざまな許認可や届出が必要となります。

飲食業店に関する主な許認可の一覧は次のとおりです。

許認可等の種類提出先概要
飲食店営業許可保健所立地や設備に関する許可
許可取得後、内容に変更があれば届出が必要。
行政が定めた施設基準に合致した施設において、設備等が基準どおりに維持管理されていることが必要。図面や証明の添付が必要※
防火管理者選任届消防署建物の収容人員が30人以上の場合に必要
防火対象物使用開始届出書消防署新たに防火対象物、防火対象物の一部を使用する場合に必要
火を使用する設備等の設置届出書消防署一定以上の厨房施設を有する場合に必要
深夜酒類提供飲食店営業開始届警察署深夜0時から午前6時までの時間帯に酒類を提供する場合に必要(アルコールがメイン)

参考:営業許可・届出の概要|東京都保健医療局食品関係営業許可申請の手引(東京都)

※法人の登記簿謄本が必要となるため、提出は法人登記後となります。

開設する飲食店の種類や地域、事業の範囲により必要なものが異なりますし、保健所などには工事着工前に相談する必要もあります。したがって、事前にそれぞれの提出先に相談し、手続きの内容を把握しておきましょう。

この他、税務署や社会保険関連の手続きについても期限が決められているものがありますので、事前によく調べるようにしておきましょう。

飲食店業で会社設立をする際のポイント

飲食店業はお客様の健康と安全に直結する業界とも言えます。したがって、衛生管理や消防・建築・労働などの法令を厳守することが必須となります。

衛生管理者や防火管理者などの資格を取得するのはもちろんのこと、スタッフへの衛生教育や、変更の際の届出などの管理を怠らず、 衛生管理と法令遵守を徹底することに尽きます。

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マネーフォワード クラウド会社設立では、会社設立のステップは大きく3つとなっており、フォームに沿って入力などをするだけで会社設立の一連の手続きができます。

STEP1書類作成
会社設立に必要な情報を入力し、定款を作成します。

  • 会社種類、会社名、本店所在地
  • 代表者や出資金
  • 事業目的
    (事業目的は自由入力することも、候補一覧から選択することもできます。)
  • 資本金と決算期 など
STEP2登記に関する手続き(必要な証明書をアップロードできます。)
STEP3会社設立後の手続き

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