- 作成日 : 2024年9月20日
パチンコ店経営で起業するには?必要な手続きや注意すべきポイントを解説
近年のパチンコ店の数は、減少傾向です。景気このような状況ですが、これから新しくパチンコ店を開業するのであれば、どのようなビジネスモデルがあるか、どのような手続きが必要かなどを知ったうえで戦略を立てるのが成功のコツと言えるでしょう。本記事では、パチンコ店経営を立ち上げる際に知っておきたいことを解説します。
目次
パチンコ店経営で起業できる?
「パチンコ店」は、法律上「遊技場」と呼ばれ、利用客に娯楽を提供する場という立ち位置です。パチンコ店に設置しているパチンコ・パチスロ機は「遊技機」と呼ばれ、「パチンコ店営業や遊技機については「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(以下、風営法)」、風営法施行規則、遊技機規則、都道府県条例などで規制されています。これらにより、賭博に類する行為、または著しく射幸心をそそるような行為は禁止されており、パチンコ店の営業や遊技機は「技術介入性」があるものでなければなりません。
また、技術介入性とは利用客の技術によって玉の獲得数などの結果が変わること指し、技術を排除し、偶然性により結果が変わるものはギャンブルとなります。つまり、パチンコが「遊技」ではなく「賭博」となってしまうことを防ぐための規定なのです。
パチンコ店では利用客が出玉を最終的に現金化しますが、これはパチンコ屋が出玉数に応じて客に渡した景品を、客がパチンコ店とは別の店舗である景品交換所で買い取ってもらうというシステムになっていることはよく知られています。あくまでもパチンコ店は、利用客に娯楽を提供する場として営業しており、その主な売り上げはパチンコ玉やパチスロメダルの「貸玉料」なのです。
警察庁の発表によると、2023年12月における全国のパチンコやスロットマシンなどの機械を設置する「遊技場(パチンコ店)」は、約7,000店でした。ピークだった1995年の約18,000店と比べると半数以上減少して、30兆円だった市場規模も2022年には15兆円を下回っています。このような観点から、パチンコ業界の現在の市場は厳しいのがわかるでしょう。
とはいえ、パチンコは、日本に定着している娯楽の一つです。パチンコメーカーも新たな利用客を呼び込むための機械づくりに日々努力し、店に一定の利用客がいれば、安定した利益が得られます。パチンコ店の経営に関わるなど、ある程度ノウハウを持つ人が独立開業するケースなどであれば起業かつ安定経営も実現できるでしょう。
パチンコ店の主なビジネスモデル
パチンコ店を開業するなら、「どこに店を構えるか」でビジネスモデルが大きく変わってきます。パチンコ店は、地域密着型(都市型)と郊外大店舗型の2つあります。前者は独立開業系に適し、後者は大手のフランチャイズ店の展開が目立つ傾向です。
地域密着型は、住宅の多い駅前であれば高齢者が遊びやすいシステムを取り入れたり、地域イベントに参加したりして、地域に溶け込むことが大切になってきます。全面禁煙として誰もが入りやすい雰囲気をつくる、徹底して不正対策を行う、上質な接客やサービスを心がけることなど、地域の「憩いの場」として顧客を増やすことで売上の増加が期待できます。
一方、郊外型は広大な敷地に駐車場と広い店舗を構え、何かのついでや暇つぶしでなく、パチンコのためにわざわざ来店する客層が多めです。ゆっくりパチンコを楽しんでもらうため、家族で気軽に来店できるようにするため、カフェやレストラン、託児所などを併設したアミューズメント施設として、顧客の開拓に努めています。
なお、郊外型は、起業者自身が所有する土地にパチンコ店を開くパターンも多く、その場合、大手のフランチャイジーとなることで、運営方法や資金調達、最新の機械の購入や雇用など本部のノウハウを使え、開業がしやすくなります。ただし、登録料や本部へのロイヤリティーが発生するので、運営に責任を持たなくてはなりません。
パチンコ店を開く際に必要な手続き
パチンコ店を開業するまでの手続きは以下のとおりになります。
開店場所を決める
パチンコ店は、風営法第2条4号の「まあじやん屋、ぱちんこ屋その他設備を設けて客に射幸心をそそるおそれのある遊技をさせる営業」にあたるため、開業には同法の第3条により、店の所在地を管轄する都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません。そのため、通常の小売店などであれば立地条件や価格などを、いわば事業者の都合で場所を決められるところ、パチンコ店は同法または管轄自治体の条例により、例えば、学校や病院の近くには開店できないといった規制があります。
自身の所有地であっても同様です。したがって、物件を探す段階ですでに許可の基準について知っておく必要があります。
参考:e-Gov 法令検索|風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
店舗の建設および機械・設備の設置
場所が見つかったら店舗を建設し、設備を整えます。パチンコ店では、他の業種に比べると設備に非常に初期費用がかかります。遊技機は、高価なもので1台あたり数百万円しますが、それを相当な台数設置しなければなりません。他にも玉貸機や監視システム、顧客サービスのための施設など多くの設備が必要です。
風営法に基づく許可申請には、店舗の構造や設備を実際にでき上がった内容で記載します。その内容をもとに審査されるため、こちらも許可基準について十分に注意したうえで準備をすすめましょう。
法人の設立登記(会社組織とする場合)
パチンコ店を会社組織として運営する場合は、法人の設立登記を行っておきます。
会社設立の手続きに関しては、以下の記事をご参考ください。
営業許可の取得
前述したとおり、パチンコ店の営業許可はすでに店舗ができた状態にし、さらに従業員まで確保済みといった、明日からでも開店できるような体制になって、初めて申請が可能となります。風営法許可の基準は厳しく、立入検査により不備があれば再検査となったり、大きな不備が見つかれば指導を受け、是正されない場合は申請取り下げを勧告されたりします。
なお、許可には以下の4つの基準があります。
- 人的基準:一定の犯罪歴、反社会勢力との接点がないこと、成年被後見人などの身分がないこと、薬物などの中毒者でないことなどが必要
- 場所的基準:都市計画法上の用途地域において、原則「住居地域」でないこと、「保全対象施設」から一定以上離れていること
- 構造的基準…健全かつ安全な環境であること、例えば、施設内が一定以上の明るさを保つことや、施設内に鍵付きの個室を設けないこと など
- 遊技機基準…「風俗営業法施行規則」などで、「著しく射幸心をそそるおそれのある遊技」の設置を禁止している
以上の項目を全て満たしていれば、必要な書類を作成および取得して申請します。内容に問題がなければ、申請してから40~50日ほどで許可が受けられ、開業が可能になります。
なお、風営法の許可申請はかなり複雑なため、風営法許可の経験豊富な行政書士に手続きの一切を任せることをおすすめします。
パチンコ店を開く際に必要な資金
パチンコ店を一から立ち上げる場合、相当額の資金が必要です。起業者所有の土地で郊外型、平均的な規模(300~400台)を例に考えてみます。
- 建物建設費:2~3億円
- 内装・電気、冷暖房など建物付属設備工事:1~2億円
- 遊技機購入:2,000~3,000万円
- 島(遊技機周辺機器および関連工事):1~2億円
- 当座の運転資金…4,000~5,000万円
- 景品仕入代:5,000万円~
- 広告費その他:5,000万円~
合計、5億円~8億円前後になります。規模や立地条件次第では10億円以上必要というケースも少なくありません。
これだけの規模だと、開業資金の大部分を融資に頼ることになりますから、資金調達の方法は開業にあたって最重要課題になります。
パチンコ店を経営する際の注意点
パチンコ店は一定の利用客を確保できれば売上額は大きく、初期投資を比較的短期間で回収することも可能ですが、金額が大きいため、開業には十分注意が必要です。
ビジネスプランを入念に練る
初期費用がかかるうえ、決して上り調子とはいえない市場ですから、商圏や競合店などの市場調査や長短期の売上計画、採算性、資金調達と返済方法等のシミュレーションを十分に行ったうえで、勝算が確実に見込めるとの結論が得られたら、初めて開業準備に取り掛かりましょう。決して勇み足にならないことです。
営業許可を確実に取得する
前述のとおり、パチンコ店の風営法にかかる営業許可を得るのは簡単なことではありません。しかも店舗や従業員の確保まで全部済ませてからの許可申請なので、万一にも許可が下りないというケースは避けなければなりません。
まずは、開業を考えた時点で自治体や所轄警察署に行き、開店予定地の用途地域、建築等の法規制をクリアできるか相談し、分からないところはしっかり確認しましょう。また、地域によっては自主規制を設けている場合があるので、開店予定地区の遊技業協同組合にも必ず相談しましょう。
パチンコ店の開業にはまず採算性と許可条件を確認!
パチンコ店の新規開業は非常に費用と手間がかかるため、採算がとれるか徹底して市場調査を行いましょう。また、営業許可の要件が厳しいため、立地を含め全ての要件を本当に満たせるか、必ず店舗建設前に各方面に問い合わせて確認しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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