- 更新日 : 2023年12月5日
経営コンサルタントとは?資格や必要性を解説!
企業が直面するさまざまな課題に対し適時適切な助言を行うこと。社長を筆頭とする経営陣や現場の社員に対し、戦略立案、マーケティング、財務会計、製造、調達、人事、法務などの企業運営のための重要なファンクションにおける各種のソリューションを提供すること。経営コンサルタントは会社を健全に経済合理的に運営する上で有用な存在です。本記事では、経営コンサルタントの仕事の本質や、経営コンサルタントになるための方法などを含めて解説します。
目次
経営コンサルタントとは?
経営コンサルタントとは、企業などに対し、経営に関するコンサルティングを提供する人のことです。コンサルティング(consulting)とは、ケンブリッジ大学英語辞典によると、「giving advice on a particular subject(特定の課題に関する専門的なアドバイスを提供する活動またはビジネスのこと)」と定義されています。多くの企業は経営上の何らかの課題を抱えています。そうした課題を解決するための具体的なソリューションを提供する人が経営コンサルタントです。
経営コンサルタントと公認会計士の違い
経営コンサルタントと公認会計士の違いは何でしょうか。公認会計士とは、日本公認会計士協会によると、開業登録をしたのちに監査・会計のスペシャリストとして、独占業務である「監査」を行うほか、「会計」、「税務」、「コンサルティング」を行う人です。公認会計士は会計のプロフェッショナルであり、独占業務として企業などの監査を行います。一方、経営コンサルタントは、企業が抱えるさまざまな課題に対するソリューションを提供する人です。
経営コンサルタントとアナリストの違い
経営コンサルタントとアナリストの違いは何でしょうか。アナリストとは、企業経営や市場、競合企業や顧客などに関する何らかの課題やテーマを分析し、企業が置かれた現状や課題などを明らかにする人です。経営コンサルタントも、企業が抱える課題を把握するために分析を行いますが、単に分析することに留まらずに、明らかにされた課題に対して何らかのソリューションを提供する点がアナリストとの違いです。また、経営コンサルタントがアナリストと協業するケースもあります。
経営コンサルタントとリサーチャーの違い
アナリストと似た職種としてリサーチャーがあります。リサーチャーとは、文字通りリサーチをする人のことです。リサーチ(research)とは、オックスフォード大学英語辞典によると、「事実を明らかにし、かつ新たな結論に到達するための要素やソースの学習およびシステマティックな調査」のことです(邦訳筆者)。事実を明らかにすることがリサーチャーの仕事の要諦です。なお、経営コンサルタントにおいても、仕事を遂行するためのタスクとしてリサーチの仕事を行う場合が多くあります。
経営コンサルタントの仕事内容
では、実際の経営コンサルタントの仕事内容はどのようなものでしょうか。一口に経営コンサルタントといっても、その専門性はさまざまです。最近は、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)やAIといったハイテク領域で活躍する経営コンサルタントも登場しています。専門性は違うにせよ、多くの経営コンサルタントが以下のような仕事をしています。
企業分析の実施
多くの経営コンサルタントが行っているのが企業分析の実施です。経営コンサルタントは企業の現状と課題を把握するため、各種のフレームワークを用いて企業分析を行います。具体的には、企業の強みや弱み・経営環境などを分析するSWOT分析、企業のミッションや戦略などを分析するMOST分析、ビジネスプロセスを分析するBPM分析、企業を政治や経済、技術・法律などの側面から分析するPESTLE分析などのフレームワークを用いてさまざまな角度から分析します。
経営戦略の策定
多くの経営コンサルタントが企業の経営戦略の策定に携わっています。企業分析の結果、明らかにされた企業の現状と課題をもとに、企業が進むべき方向性やゴールを明らかにし、ゴールを実現するための企業戦略を策定するためのアドバイスを行います。なお、経営コンサルタントは企業の経営戦略策定のためのアドバイスを行いますが、経営戦略採択の意思決定は行いません。経営戦略採択の意思決定は通常、経営コンサルタントではなく企業の経営トップが行います。
マーケティング戦略の策定
また、多くの経営コンサルタントが企業のマーケティング計画の策定に携わっています。企業のマーケティング計画とは、どのような製品やサービスを、どのような顧客に対して、どのようにして販売するかといった一連のプロセスを定めたものです。特にどのようにして販売するかという課題は多くの企業にとって難しい課題であり、外部の経営コンサルタントによるアドバイスが強く求められています。IT企業に特化した経営コンサルタントにとっても、マーケティング戦略策定は重要な仕事です。
財務計画の策定
特に中小企業を対象にしている経営コンサルタントの場合、企業の財務計画の策定も重要な仕事です。中小企業の多くは、税理士や公認会計士に依頼して損益計算書やバランスシートなどの財務諸表を作成していますが、税理士や公認会計士は財務諸表を作成してくれるものの、将来キャッシュフロー計画や、資金調達の具体的なスキームなどについてはアドバイスしてくれません。中小企業にとって財務計画は大きな悩みの種であり、経営コンサルタントがその悩みに対して助言を行っています。
事業再生計画の策定
また、最近は企業の事業再生計画の策定に携わる経営コンサルタントが増えています。企業の事業再生計画とは、経営破綻の可能性がある、または実際に経営破綻した企業の事業を再生させるための具体的なスキームを示した事業計画です。債権債務の整理、各債権者との調整、人員計画の策定、DIPファイナンスなども含めた資金調達計画の策定、M&Aなどの事業再編スキームの策定など、やるべき仕事は多岐にわたります。コロナ禍で多くの中小企業の経営が悪化しましたが、その結果、事業再生に携わる経営コンサルタントに対するニーズが増加しています。
経営コンサルタントになるには?
ところで、経営コンサルタントになるにはどうすればいいでしょうか。経営コンサルタントになるには特定の資格や免許などは必要なく、「経営コンサルタント」を自称すれば直ちになれます。ただし問題は、そうした自称「経営コンサルタント」がクライアントを獲得できるかです。クライアントは通常、経営コンサルタントの経歴や実績をチェックした上で仕事を依頼するかを決定します。十分な経歴や実績がない経営コンサルタントがクライアントから仕事を獲得することは困難でしょう。
資格は必要か?
経営コンサルタントになるには特定の資格は必要ありません。ただし、上述したように、十分な経歴や実績がない経営コンサルタントが仕事を獲得することは難しいでしょう。ですので、「MBA(経営学修士)」「中小企業診断士」「公認会計士」「弁護士」などの有資格者は有利です。経営コンサルタントの仕事を始めて日が浅い方は、そうした資格を獲得しておくと仕事がとりやすくなるでしょう。
何らかの専門的なスキルや知識が必要
経営コンサルタントになるには特定の資格は必要ありませんが、何らかの専門的なスキルや知識は必要です。特に企業が欲しがる知識やノウハウを提供できる経営コンサルタントは、仕事を獲りやすいでしょう。例えば、マーケティングの領域といった特定の業務カテゴリーにおいても、ソーシャルメディアを使ったマーケティングに強い、あるいは財務の領域においてベンチャーファイナンスや事業再生ファイナンスなどに特化しているといったコンサルタントは引く手あまたでしょう。
ロジカルシンキングも必須
あらゆる専門性を越えて、すべての経営コンサルタントに求められるスキルがロジカルシンキングです。ロジカルシンキングとは、物事を論理的に捉え、説明できる思考方法です。経営コンサルタントの仕事は、事実をベースにした問題解決の具体策を提案することが基本です。事実をベースにせず、感情論で意思決定をしたり、裏づけのないソリューションを提示したりといったことは避けなければなりません。ロジカルシンキングができない人は、経営コンサルタントとして機能しないでしょう。
経営コンサルタントの仕事のやりがい
経営コンサルタントの仕事をしている人の多くは、自分の仕事を楽しんでいると言われています。コンサルティングファームなどの組織に属する経営コンサルタントも、個人で開業している経営コンサルタントも、多くは経営コンサルタントという仕事を楽しみ、やりがいを感じています。経営コンサルタントの仕事のやりがいとは、どのようなものなのでしょうか。
クライアント企業とともに自分も成長できる
経営コンサルタントの仕事のやりがいの一つは、クライアント企業とともに自分も成長できることです。経営コンサルタントは、クライアント企業が抱える課題を解決するのが仕事です。そうした課題を解決することは、同時に解決するためのスキルを身につけることになり、結果的に自分の成長につながります。そうした経験を積めば積むほど自分のスキルが磨かれてゆき、コンサルタントとして大きく成長できることになります。特に困難な課題を解決できた経験は、大きな成長につながるでしょう。
出版やセミナーなどでも活躍できる
経営コンサルティングに加えて、出版やセミナーなどでも活躍できるのもやりがいのひとつです。多くの経営コンサルタントが、自分の知識やスキルを書籍にまとめて出版しています。また、同様にセミナーで自分の知識やスキルを世に伝えています。経営コンサルタントの仕事は出版とセミナーとセットにしやすく、そうすることで新規クライアントを獲得するマーケティングスキームとして活用できます。また、出版やセミナーをすることでコンサルティングとは別の収入が獲得できます。
人脈が広がる
人脈が広がるのも経営コンサルタントの仕事のやりがいになります。経営コンサルタントの仕事は多くの人と一緒に行います。経営トップを含めた経営陣を筆頭に、マーケティング、財務、人事、生産などのそれぞれの現場で働く社員、クライアント企業の取引先、仕入れなどの取引先、顧客、株主、税理士、公認会計士、弁護士、金融機関の担当者など、枚挙にいとまがありません。そうした人々と一緒に働くことで人間関係が構築でき、ひいては自分の人脈となってゆきます。経営コンサルタントの仕事を長く続けるほど、そうした人脈がどんどん広がってゆきます。
会社設立時には経営コンサルタントに相談した方がよい?その必要性
会社を設立するときには経営コンサルタントに相談した方がよいでしょうか?特にこれまでに会社を経営した経験がない、あるいは初めて起業するという人は、経営コンサルタントに相談した方がよいでしょう。
「自社の製品やサービスをどのように売っていけばよいのかわからない」「資金調達の仕方がわからない」「優秀な人材をどのように確保するのか知りたい」「仕入れの仕方や在庫の適正化の方法を知りたい」など、会社設立時にはわからないことや知りたいことが多いです。そんなとき、経営コンサルタントに相談してそれぞれの課題や悩みについてのアドバイスを得ることができます。特に未経験の領域やテーマについての課題に対しては、経営コンサルタントの知見を活用することが有効です。
経営コンサルタントを活用する目的・メリット
企業が経営コンサルタントを活用する目的やメリットは何でしょうか。経営コンサルタントに仕事を依頼すると、当然のことながら手数料を支払う必要が生じます。経営コンサルタントの中には、非常な高額の報酬を請求する人も少なからずいます。特に大手コンサルティングファームのトップクラスのコンサルタントになると、驚くような金額を提示してきます。企業がそのような負担をしてまで経営コンサルタントを活用する理由は何でしょうか。
社内にはない外部の知見やスキルを利用できる
企業が経営コンサルタントを活用する最大の目的・メリットは、社内にはない外部の知見やスキルを利用できることです。例えば、新規事業として生成AIのビジネスを立ち上げようという場合、社内にノウハウがなければ立ち上げそのものが困難です。生成AIのビジネスに精通した経営コンサルタントを雇うことで、経営コンサルタントが持つ知見やスキルを活用することが可能になります。また、人脈が豊富な経営コンサルタントを雇えば、その経営コンサルタントの人脈を活用できます。
自社の経営状況を客観視できる
また、自社の経営状況を客観視できることも経営コンサルタントを活用するメリットです。ほとんどの経営コンサルタントは、コンサルティングを実施する上で対象となるテーマにおいてクライアント企業の分析を行います。例えば、SWOT分析などを活用して、クライアント企業の強み、弱み、事業における機会と脅威などをそれぞれ分析して結果を明示します。それにより、往々にして主観視してしまいがちな自社の経営状況を客観視できるようになります。
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経営コンサルタントを上手に活用してビジネスを成長させよう
以上、経営コンサルタントの仕事の本質や、経営コンサルタントになるための方法などを含めて解説しました。現代は「VUCA」の時代といわれ、不確実性が高く未来の予測が困難な時代であるとされています。「VUCA」で先が読めない時代であるからこそ、外部の経営コンサルタントの知見やスキルを活用することが有効になります。「VUCA」の時代をうまく生き抜き、ビジネスを成長させるために、経営コンサルタントを上手に活用しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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