- 作成日 : 2023年3月31日
テイクアウト専門店を開業するには?メリット・デメリットや許可・手続きを解説
新型コロナウイルス感染拡大による行動制限によってテイクアウト専門店の人気が高まりました。現在では感染状況が落ち着きましたが、自宅で手軽においしい料理が味わえるということで、テイクアウトの需要は依然高いままです。
今回はテイクアウト専門店を開業するメリット・デメリットや開業の流れ、必要な資金や資格、成功させるコツについてご紹介します。
目次
テイクアウト専門店を開業するメリットは?
テイクアウト専門店を開業するメリットとしてまず挙げられるのは比較的小規模でスタートできるという点です。飲食店を開業する場合はお客様が入れるだけの物件を調達し、内装工事を行い、調理設備はもちろんテーブルやいすなどの備品もそろえなければなりません。スタッフも雇用する必要があります。
テイクアウト専門店であれば調理する場所とお客様が待つスペースさえあればいいので、一般的な飲食店よりも小さい物件で開業が可能です。手の込んだ大規模な内装工事や設備の調達も不要です。配膳や接客に人手がいらないため、人件費も抑えることができます。
また、お客様の人数に制限がないのもメリットといえます。飲食店の場合は店内の席数以上のお客様を受け入れることはできません。テイクアウト専門店であれば、キャパシティーという概念がなく、多くのお客様の注文に対応することができます。
テイクアウト専門店を開業するデメリットは?
一方でテイクアウト専門店の開業にはデメリットもあります。飲食店ではその場でお客様に料理を食べていただくのでメニューにバリエーションを持たせられますが、テイクアウトの場合は持ち帰らなければならないため、どうしても提供できる料理に制限ができてしまいます。
客単価が低くなる傾向があるのにも注意が必要です。飲食店なら追加注文を受けやすいソフトドリンクやお酒を提供することで単価を上げることができますが、テイクアウトだとそれも難しくなります。
また、開業資金は低く抑えられますが容器代などの備品も必要となるため、ランニングコストが高くなる可能性もあります。
テイクアウト専門店を開業する方法・流れは?
開業を成功させるためには準備が肝心です。テイクアウト専門店を開業するまでのざっくりとした流れを見ていきましょう。
店舗のコンセプトを決める
まずはお店のコンセプトを決めましょう。候補地の選定や競合調査などを行いながら「どこで開業するのか」「どんな人をターゲットにするのか」「どんな料理を提供するのか」を決めます。
事業計画を立てる
コンセプトが固まったら具体的な事業計画を立てます。開業する目的や必要となる開業資金、ランニングコストの額と内訳、資金調達方法、売上の見込みなどを検討し、一つの事業計画書にまとめましょう。特に融資を受けるなら事業計画は必須です。
資金調達
次に開業に必要となる資金を調達します。自己資金で足りない分は金融機関からの融資を受ける、助成金や補助金を利用する、親族や友人から借りるといった手段で調達します。融資を受ける際には審査がありますので、事業計画や返済計画をしっかりと立てておきましょう。
物件・設備調達
資金調達ができたら物件や設備の選定・調達を行います。特に物件選びは開業後の客足に大きく影響を与えますので、お客様が寄りやすい、ターゲットが多くいる立地を選ぶことが大切です。必要な設備に関しては飲食店ほど多くはありませんが、それでも調理設備や器具、容器など、さまざまなものを調達しなければなりません。
食品衛生責任者・営業許可の取得
飲食物を提供する店舗を開業する場合は、「食品衛生責任者」を設置し、「飲食店営業許可証」を取得しなければなりません。テイクアウト専門店も同様です。食品衛生責任者には調理師など一定の資格を持っているか、講習に参加した人がなれます。飲食店開業許可証は保健所で手続きを行い、交付してもらわなければなりません。日持ちのするそうざい食品など、取り扱う品目によっては、製造業の許可や届出が必要になる場合もあります。
集客
テイクアウト専門店の開業に成功するためには、なんといってもお客様に来てもらう必要があります。まずはお店の存在を知ってもらうところからスタートです。集客の手法はチラシや折込広告、雑誌広告、ホームページやSNS、ネット広告などさまざまあります。
スタッフ採用・教育
一人で運営する場合は問題ありませんが、調理や接客スタッフを雇う場合は求人を出して研修を行わなければなりません。人材を採用して店舗の運営ができるようになるまでには数カ月はかかるので、余裕をもって採用活動を行いましょう。
開店準備
他にもメニューの決定、仕入れ、備品の調達など、さまざまな開店準備が必要となります。抜かりがないようにして開店当日を迎えましょう。
テイクアウト専門店の開業に必要な資金は?
前述のとおりテイクアウト専門店は一般的な飲食店よりも比較的安価で開業することが可能です。飲食店の開業資金の平均は900万円ほど。一方テイクアウト専門店の場合は500万円~が相場です。とはいえ、多くの人にとっては大金といえますので、資金調達に関してはしっかりと計画を立てておきましょう。
また、店舗の規模や立地、提供する料理などによって開業資金は大きく変わってきます。当面の運転資金を含めて1000万円ほどは準備しておきたいところです。
テイクアウト専門店の開業に必要な資格は?
こちらも先ほどご紹介しましたが、テイクアウト専門店を含め飲食店を開業するためには「飲食店営業許可証」を取得しなければなりません。所管する保健所に手続きを行い、検査を受けて交付してもらいます。手続きから交付までには2~3週間かかるので、余裕を見ておくことが大切です。
また、飲食店には「食品衛生責任者」を設置する必要があります。こちらは所定の講習を受けることで取得することが可能です。
他にも調理師や栄養士などの資格を取得すれば、お客様からの信頼感や安心感がアップし、集客が有利になる可能性があります。
テイクアウト専門店を成功させるコツは?
最後にテイクアウト専門店の開業・経営に成功するためのポイントをご紹介します。ぜひ以下のことを意識して準備を進めていきましょう。
物件選びにこだわる
繰り返しになりますが、テイクアウト専門店で特に重要となるのは立地です。ターゲットとなるお客様が立ち寄りやすい立地にある物件を選びましょう。
たとえば会社勤めの方がランチとして購入することを前提とするならオフィスビル街、会社帰りの人がターゲットになるなら駅チカ、主婦・主夫層なら商業施設の中や隣接した場所というように、ターゲットによって適した立地が全く異なります。
良い物件を選ぶためにも、事業計画でしっかりとお店のコンセプトやターゲットを考えましょう。
売れるものを選ぶ
お店のコンセプトや事業計画を考える際に「これを売りたい」「こだわった料理を提供したい」という想いがあるかと思います。しかし、いくら自信がある料理、こだわり抜いた料理を提供しても、売れなければ意味がありません。
テイクアウトの定番といえばハンバーガーやホットドッグ、唐揚げなどです。これらはやはり気軽に食べられる、持ち運びがしやすいなどの理由で需要が高いため、提供している店舗も多いのです。また、ターゲットによっても売れるものは異なります。
「何を提供したいのか」といった想いも大切ですが、それと同じくらい「何が売れるのか」も重要です。
お店の存在を知ってもらう
テイクアウト専門店を開業するには集客が必要不可欠です。前述のように、チラシや折込広告、Webなど、さまざまな方法を使って、まずはお店の存在を知ってもらうことが大切となります。
加えてテイクアウト専門店の場合はUber Eatsや出前館などのデリバリーサービスの利用もおすすめです。デリバリーを利用することで、より販路を広げることができます。また、テイクアウトの予約もできるので、認知度アップや利便性の向上にもつながります。
スモールスタートならデリバリー専門店がおすすめ
「飲食事業に携ってみたいけど開業資金が心配」「うまくいくかどうか不安」と思われているのなら、デリバリー専門店がいいかもしれません。一般的な飲食店と比較すると少ない資金で、小規模から開業することができます。繁盛して多店舗化すれば、高収入を得られるかもしれません。
一方で、飲食事業は難易度が高く、廃業する店舗も少なくありません。特に個人経営のお店は知名度の点でどうしても大手チェーンと比べると不利になります。失敗しないためにも、今回ご紹介したポイントを意識して準備を進めていきましょう。
よくある質問
テイクアウト専門店を開業するメリットは?
比較的少ない資金で開業できること、席数によるキャパシティーの上限がないことなどが挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
テイクアウト専門店を開業するデメリットは?
提供できるメニューに制限がある点、客単価が低くなりがちな点が挙げられます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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