• 作成日 : 2025年1月30日

フランチャイズの開業資金を調達する方法は?銀行融資や補助金について解説

フランチャイズオーナーとして開業するには、さまざまな初期費用の支払いに備えておく必要があります。資金の調達方法としては、日本政策金融公庫や銀行からの融資が一般的ですが、自己資金ゼロの状態でも資金調達できるかどうか気になる方もいることでしょう。

本記事では、フランチャイズの資金調達方法や初期費用の詳細、注意点について解説します。

フランチャイズオーナーが開業資金を調達する方法

フランチャイズオーナーが開業するには、ある程度まとまった資金の準備が必要です。開業資金はどのように調達できるか、主な資金調達方法を紹介します。

自己資金を用意する方法

自己資金とは、フランチャイズオーナー個人の資産から捻出する金銭のことです。開業者の配偶者や親族から集めた資金も含まれます。開業資金の調達方法として融資を受ける方法もありますが、審査に通過して希望する額の融資を受けられるという保証はありません。自己資金として貯蓄したものがあれば、必要なときにすぐ用意できるので何かと安心です。フランチャイズ開業後の返済が必要ないので、返済のことを考えずに事業に勤しむことができます。

日本政策金融公庫の融資を活用する方法

日本政策金融公庫は、日本政府が出資している公的な金融機関です。民間の金融機関では融資が難しい小規模事業者や中小企業者への融資が充実しています。

フランチャイズ開業時に利用しやすいのが、新規開業資金の制度です。創業期で資金調達が難しい小規模事業者の資金調達を支援しています。日本政策公庫の大きな特徴は、原則として無担保・無保証人で融資を利用できることです。設備資金は20年以内(うち据置期間は5年以内)、運転資金は原則10年以内であり、長期の返済にも対応しています。ただし、自己資金やクラウドファンディングなど、融資を受けられるまでに時間を要することがあるため、早期の準備が必要です。

銀行からの融資を活用する方法

地方銀行や信用銀行などの民間の銀行から融資を受ける方法もあります。フランチャイズの開業は、本部のノウハウなども引き継がれることから、知名度の高いフランチャイズや評判の良いフランチャイズの開業であれば、事業実績がなくてもある程度の信用を得られるのがメリットです。

しかし、日本政策金融公庫と比べると融資の判断が難しい可能性もあります。信用面を強化できる保証協会を交えた融資を検討するのもおすすめです。

補助金や助成金を活用する方法

国や自治体の補助金や助成金制度を活用する方法も考えられます。補助金には、ITツール導入経費を支援するIT導入補助金、自治体による創業者向けの補助金、助成金には特定の条件で従業員を雇用した場合の厚生労働省の助成金などがあります。

補助金や助成金の特徴の一つとして、原則として返済が必要ない点です。ただし、書類の作成や必要書類の準備、手続きに手間や時間がかかります。また、基本的に経費を支払った後に給付されるため、開業のための初期費用の資金調達先としては適切とは言えません。そのため、開業直後に難航する資金繰りの調整に役立ちます。

クラウドファンディングを活用する方法

クラウドファンディングは、経営方針に賛同する個人にお金を出してもらい資金を調達する方法です。資金提供者が製品を購入できる購入型、資金提供者がお金を貸す融資型、資金提供者に株式が発行される株式投資型、寄付型などがあります。

クラウドファンディングのメリットは、個人に対してアプローチできることです。単なる資金調達の方法としてだけでなく、企業のブランディングや認知度向上にも役立ちます。ただし、賛同を得られないと資金調達が難しいため、クラウドファンディングを行う前に経営プランや独自性などを明確にすることが求められるでしょう。

フランチャイズの開業に必要な初期費用

フランチャイズの開業に必要な初期費用は、開業する業種などで異なります。ここでは、フランチャイズの店舗開業を前提に、開業時に発生する費用について紹介します。

フランチャイズ本部に支払う加盟金や保証金

加盟金は、フランチャイズに加盟する場合に発生する費用です。ブランドの使用対価や経営ノウハウの取得などの対価として、フランチャイズ本部に支払います。フランチャイズの業態や規模によって異なりますが、数十万円から数百万円が目安と言われています。

一般的に、すでに支払った加盟金については返還できない旨が契約に盛り込まれます。ただし、加盟金は、金額やフランチャイザーが提供した情報の内容、開業支援の質と量などの要素を総合的に評価した結果、対価として不適切であるとみなされた場合は、一部が返還されることもあります。加盟金の返還の請求は難しいため、加盟金の支払い前に必要な事項などをよく確認しておくようにしましょう。

保証金とは、フランチャイズ本部に一時的に預けておく金銭のことです。フランチャイズ本部に支払うロイヤリティなどの支払いが滞った場合の補てんとして活用されます。保証金は、預り金の扱いとなっているため、契約終了や契約解除時には返還されるのが一般的です。

店舗の物件取得費

物件取得費は、店舗型のフランチャイズを開業する場合に必要な初期費用です。内訳として、土地の購入費、店舗の賃貸に必要な家賃や保証金、火災保険料などがあります。自宅に併設するのが難しい場合や、所有する土地の立地が集客に適さない場合は、物件取得費が発生します。

初期費用の中でも高額になりやすい費用項目です。店舗の規模によっては、数百万円から数千万円程度の資金が必要になる可能性があります。

フランチャイズ本部によっては、物件取得や物件取得費用をサポートしているところもあります。初期費用を抑えたい場合は、フランチャイズ本部の物件取得の支援体制についても確認しておきましょう。

内外装工事費用

内外装工事費用は、店舗を営業できる状態にするために発生する費用です。屋根や壁などの外装整備にかかる費用や、床や天井といった内装の整備費用が含まれます。購入または賃貸契約を結んだ物件に水道や電気が通っていない場合は、水道設備や電気設備の工事も必要です。居抜き物件といって、以前の所有者の設備をそのまま引き継ぐ居抜き物件の場合、内外装工事費用を抑えられる可能性がありますが、衛生基準や建築基準法に適合するよう改修が必要な場合もあるため、注意が必要です。

設備費用

設備費用は、店舗の営業に必要な設備を導入するための費用です。POSレジや商品棚の設置などがあります。飲食系のフランチャイズを開業する場合は、業務用の冷蔵庫や冷凍庫などの厨房機器の導入が必要です。フランチャイズ本部によっては、導入設備の支援を行っていることもあります。開業する業種によって、初期費用に大きな違いが見られる項目です。

フランチャイズの資金調達に融資を活用するときの注意点

前述のフランチャイズの開業で検討できる資金調達方法でも紹介したように、日本政策金融公庫や民間の金融機関から融資を受ける方法もあります。

フランチャイズ開業にはまとまった資金が必要となるため、事業用に高額の借り入れが可能な融資は非常に魅力的な選択肢と言えるでしょう。融資を利用する際に、希望の融資額を受けられるようにするポイントを紹介します。

収益性が見込める事業計画書を作成する

フランチャイズ開業時の段階では業績がないため、事業の将来性が判断するには難しい状況です。そのため、創業者が事業の方向性や展望を示した「事業計画書」を作成し、金融機関に提出する必要があります。

事業計画書作成のポイントは、事業の収益性を明確にすることです。市場のニーズやトレンドを的確に把握し、競合他社の分析などを行ったうえで、売上や経費の見込みを具体的な数字として算出します。その試算した数値をもとに、どの程度の収益が見込めるかを記しましょう。ここで大切なのは、計画書の信頼性と説得力を高めることです。

事業計画書という書類上は財務状況が見えても、実態がそれに伴っていなければ本末転倒です。金融機関からも指摘される部分となるため、できるだけ根拠のある数字を使って毎月の収支や返済の計画を落とし込むようにしましょう。

信頼できるフランチャイズ本部に加盟する

フランチャイズの開業を検討する場合は、信頼できるフランチャイズ本部に加盟することをおすすめします。特に、本部の財政状況については財務諸表などを確認し、安全性を確認しましょう。フランチャイズ本部の財政状況が良くない場合、債務超過や倒産などにより、加盟店もさまざまな影響を受ける可能性があります。また、金融機関からの融資においても不利に働くことがあるため、フランチャイズ本部の財政状況や動向を確認したうえで、加盟契約を進めることが重要です。

開業資金ゼロだと融資が受けられない可能性がある

自己資金で補える開業資金がゼロであったとしても、事業の内容や借入金額次第では融資を受けられる可能性があります。一方、自己資金が不足している場合、融資審査に通らない場合もあるので注意しましょう。日本政策金融公庫や民間の金融機関から融資を受けて開業したい場合は、ある程度の自己資金も用意しておくのが賢明です。

フランチャイズ本部から資金調達のサポートは受けられる?

フランチャイズ本部が提供している支援内容は、多岐にわたります。資金調達のサポートを行っている本部もあれば、支援がない本部もあります。資金調達についてフランチャイズ本部の支援を依頼したい場合は、どのようなサポートが提供されているかよく確認しておきましょう。

フランチャイズの開業では資金調達が重要

業種にもよりますが、店舗型のフランチャイズの開業では、高額な初期費用が発生する場合もあります。自己資金のみでまかなうのが難しい場合は、日本政策金融公庫や民間の金融機関などの融資を活用するのが一般的です。フランチャイズの開業を成功させるには、必要な資金を調達できるようにしておくことも想定しておきましょう。


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