- 更新日 : 2023年7月21日
資本金が実際にはないのは違法?すぐに使ってもいい?
会社は設立時に株式を発行し、資本金を用意する必要があります。では、この資本金は戻ってくるお金なのでしょうか。また、すぐ引き出すことができる、使っていいお金なのでしょうか。さらに、資本金が足りない場合、見せ金でいいのかなどの疑問もあるでしょう。
ここでは、資本金を増やさない理由なども含めて、資本金について詳しく解説します。
目次
資本金が実際にはなくても会社設立はできる?
はじめに、資本金が実際にはなくても、会社設立ができるのかどうかについて見ていきましょう。
会社設立の際の見せ金は違法
見せ金とは、簡単にいうと、実際にはお金がないのに、あるように見せる行為のことです。
会社設立の際の見せ金とは、会社設立時に他社から資金を借りて資本金とし、その後すぐに借りた資金を返済する行為のことです。つまり、資本金をあるように見せかける行為のことで、これは違法行為となります。
会社設立の際の見せ金については、次のページで詳しく解説しています。こちらを、ご参照ください。
そもそも資本金とは?
次に、資本金について見ていきましょう。資本金とは、会社設立時に最初に用意するお金のことで、株式会社の場合、株主が会社に払い込んだお金のことです。資本金は会社設立時だけでなく、設立後も増資という形で増やすことができます。
資本金は、いわば、その会社がどれだけの資本力を持っているのか示す値であるため、一般的に資本金の金額が高いほど、第三者からの信用も高くなります。
資本金については、次のページで詳しく解説しています。こちらをご参照ください。
資本金に関するよくある疑問
ここからは、資本金に関するよくある質問を見ていきましょう。
口座に払込みした資本金は使っていい?
資本金として振り込まれたお金は通常、事業資金や資産の購入などに使われます。会社の設立時には、事業資金や資産の購入などでお金が必要です。会社を設立した後は、自由に資本金を使うことができます。
なお、財務諸表に記載される資本金は、あくまで出資を受けたことを示すものです。実際に金がいくら残っているのかを示すものではありません。
資本金は個人に貸し出してもいい?
会社を設立した後であれば、資本金として出資を受けたお金の使い道は、ある程度自由です。通常、資本金は会社設立後の事業で使うものです。事業に影響が出ない程度であれば、個人に貸し出すことも可能です。
資本金を現金で用意できない場合は?
資本金を現金で用意できない場合は、所有している資産を出資することもできます。これを、現物出資といいます。
現物出資として出資できる資産は、現金化できる資産です。例えば、不動産や車両、有価証券、備品などは現物出資できます。
現物出資には、定款への記載などの規制もあり、発起人のみが現物出資ができたり、場合によっては、裁判所選任の検査役による財産価値の評価が必要だったりするので注意しましょう。
資本金がなくなったら会社は潰れる?
資本金は、あくまで、出資を受けたことを示すものです。実際の金がいくら残っているのかを示すものではありません。そのため、財務諸表に記載される資本金の数字は通常、なくなりません。
また、資本金として出資を受けたお金がなくなった場合、すぐに会社が潰れることはありません。通常、資金がなくなる前に、銀行で融資を受けたり、売上などの現金を伴う収入があったりするためです。
資本金を増やす理由・増やさない理由は?
一般的に、ある程度の資本金があったほうが、金融機関や取引先からの信用は高くなります。今は少額の資本金から会社を設立することができますが、銀行などから融資を受けたり、取引先を増やしたりするには、会社設立後に一定程度の資本金まで増やしたほうが良いと言えます。
一方、資本金が多くなると、税金も高くなります。例えば、資本金が1,000万円未満で一定の要件を満たす場合は、設立後2年間は消費税が免税となります。
また、資本金1億円以下の場合は、法人税の軽減税率の適用を受けられたり、事業税の外形標準課税が免除されたりと、税の優遇措置を受けることが可能です。そのため、あえて資本金を1,000万円未満や1億円以下にするケースも多いです。
資本金0円でも会社設立できる?
一般的に、会社は株主などの出資者から出資を受けて設立するため、資本金が存在します。しかし、最低資本金の概念が撤廃されたため、理論上、資本金1円でも会社の設立は可能です。合同会社などは出資額を資本金ではなく、その他資本剰余金などにすることができるため、理論上資本金0円にすることもできます)。
ただし、資本金が少ないと、取引先からの信用や法人口座の開設に影響が出るなどのデメリットもあります。資本金の額を決める際には、資本金が少ないときのメリット・デメリットをしっかりと把握しておく必要があります。
資本金が少ない状態での会社設立については、次のページで詳しく解説しています。こちらをご参照ください。
会社設立には資本金が重要
通常、会社の設立には資本金が必要です。しかし、会社設立の際の見せ金は違法であるなどの注意点もあります。
会社の設立の際に気になるのが、資本金の額をいくらにするのかということです。理論上、資本金1円でも会社の設立は可能です。しかし、資本金が少ないと、取引先からの信用や法人口座の開設に影響が出るなどのデメリットもあります。また、資本金が多すぎると、税金が高くなる可能性もあります。
資本金を決める際には、税金のことや融資のことなども考えて、自社の事業形態に合った金額にすることが重要です。
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