• 作成日 : 2024年10月4日

リフォーム会社を起業するには?必要な手続きや注意すべきポイントを解説

近年のリフォームは単なる改修の領域にとどまりません。ライフスタイルに応じてリフォームし住環境を変化させたい、より安心安全な住まいにしたいといった目的が多様化していることもあり、近年、受注高が伸びています。

こちらの記事では、リフォーム会社の概要や必要な手続き、経営の注意点などを以下に解説します。

リフォーム会社で起業できる?

建築用語としての「リフォーム」の意味合いは、住宅の改善・改良のことです。例えば、老朽化した建物の壁の塗り直しやユニットバスの交換などがこれに該当します。

しかし、最近は建物内部を大幅に改修するといった「リノベーション」を手がける会社も多くなりました。コロナ禍をきっかけに在宅ワークが一般化し、自宅にワークスペースを設ける、通勤機会が減ったことで郊外の広い築年数の長い住宅に引越し、改修するといったケースが増え、空き家、団地の空き部屋問題の解決法の一つとしても、リノベーションは脚光を浴びています。

このように、厳密にはリフォームとリノベーションは違う意味を持つものの、実際にはどちらもリフォーム会社と名乗っていることが多いのが現状です。リフォーム会社の設立者も、保有資格や会社の規模、市場のニーズなどを総合して、どのような「リフォーム」を行う会社にするかを判断することになるでしょう。

リフォーム業界の市場規模は今後も増加すると予想されていること、ビジネス形態によっては手続きが難しくなく業界参入しやすいことなどから、起業にあたりリフォーム会社を選択するのであれば、まさに今が適切なタイミングといえるでしょう。

一方で、2023年のリフォーム会社の倒産はここ20年で最多となっています(※2023年1月~10月期、東京商工リサーチ調べ)。開業するのであれば、入念に市場調査を行い、最適な¥ビジネスプランを確立することが大切です。

リフォーム会社の主なビジネスモデル

リフォーム会社にはいくつかのビジネスモデルがありますが、そのうち主なものを紹介します。

一人会社で専門業種に特化する

設立者がすでに企業などでリフォーム実務の経験を持ち、経営のノウハウもおおむね把握しているのであれば、一人親方(個人事業主)または一人社長(法人)として起業するのが、資金面も手続き面でも負担が少ない方法です。会社にすると設立手続きが個人事業主より複雑ですが、法人税制度による節税ができる、社会的な信頼度が増すといったメリットがあります。

いずれにせよ最初は1名、従業員がいても少人数の形となることから、まずは特定の業種を専門とした業者で開業することになるでしょう。例えば、設立者が給水装置工事主任技術者の資格を持っていれば、水回りリフォームを専門に事業展開するといった形です。

規模の大きいリフォームや複数の業種を扱う

大手企業の下請け工事や一軒の建物のリノベーションを行うには、さまざまな種類の工事が必要です。受注額も高額になるため、建設業許可を取得したうえで工事に必要な資格取得者や従業員を確保し、ある程度の規模を構えた会社にしておく必要があるでしょう。取引先や人脈、市場調査、資金調達などから判断し、経営の目処がつくのであれば十分に開業可能です。

大手企業のフランチャイジーとなる

名の知れた大手のリフォーム会社に登録し、加盟店(フランチャイジー)として開業する方法です。本部(フランチャイザー)のネームバリューがあるので、第三者からも覚えてもらいやすく、一定の信用度も得られます。また、本部から運営の方法などの指導が受けられるため、リフォーム業の経験があまりない場合でも安心して開業できるでしょう。ただし、登録料やロイヤリティの支払いが必要です。

工事を外注で行う

自分の会社でリフォームの営業や相談、契約を行い、工事に関しては全て外注する方法です。例えば自身がリノベーションデザイナーとして顧客の希望を聞き、どのように仕上げるかを決め、実際の施工は提携する建設業者が請け負うというようなパターンが考えられます。

リフォーム会社を開く際に必要な手続き

自分のスキルや経験値、開業は一人か複数人か、準備資金の状況、開業予定の地域における需要などを総合的に考慮し、どのビジネスモデルでいくかを決定したら、開業に必要な手続きを開始します。ここでは建設業許可を取得するケースを例に見ていきましょう。

①場所を決める

業種やターゲットとする顧客などから会社をどこで構えるか、場所を確定します。

②会社を設立する

会社の形態(株式・合同など)が決まったら、それぞれに沿った必要書類を用意し、設立手続きを行います。

会社設立に関する詳細は以下をご参考ください。

③必要な許可を取得する

リフォーム会社に関連する許可として、まず建設業の許可申請があります。建設業の許可とは、自分(の会社)でリフォーム工事を行う場合、個人事業主でも法人でも、1件の受注金額が500万円未満であれば必ずしも取得する必要はありません。しかし、許可があることを条件とする下請案件がある、顧客からの信頼度を高めたいなどの理由で取得するケースもあるようです。

そして、次に、産業廃棄物収集運搬業の許可申請があります。リフォーム工事の施工時に出るさまざまな産業廃棄物は、産業廃棄物収集運搬業許可を持つ業者が専用の処理場に運ばなければなりません。この許可があればリフォーム会社が収集運搬作業まで行うことが可能ですが、リフォーム会社が取得するべきものではありません。種類によっては許可の取得要件が厳しく、取得までにかなり時間と手間がかかることがあるため、余裕を持って準備するのも一つの手です。

④その他

管轄の税務署において法人税の申告を行います。また、従業員がいれば労働保険や健康保険の加入も必要です。

リフォーム会社を開く際に必要な資金

リフォーム業は、ビジネスモデルやどの業種を選択するかにより初期費用は大きく変わってきますが、一人社長の場合であれば、比較的開業資金を抑えることは可能といわれています。

必要な資金はおよそ350万~600万円となります。内訳は以下のとおりです。自宅を事務所にする、仕事に使える車をすでに所持している、などがあればもう少し安くできるでしょう。

  • 物件確保(事務所と倉庫を賃貸で):100万~150万円
  • 設備、機器、道具など:100万~150万円
  • 車両1台:100万~200万円
  • 広告宣伝費:50万~100万円

自己資金で開業できれば一番安心ですが、日本政策金融公庫や民間金融機関の創業融資制度で資金を調達することもできます。また、自治体が行う補助金・助成金制度が利用できれば、こちらは返済不要なのがどうか確認しましょう。フランチャイズでの開業であれば、本部が融資を行うこともあります。

リフォーム会社を経営する際の注意点

当然ながらリフォーム業は開業することがゴールではありません。仕事を継続して受注でき、まずは安定経営を目指し、将来的には事業拡大まで考えられるようになるのが理想です。そのためには、市場調査を日頃から行うことをおすすめします。

リフォームの需要は確かに高まっていますが、最初に述べたようにリフォーム業の倒産件数もまた近年増加しています。どの地域で、どの業種で、誰をターゲットにすればどれくらいの売上が見込めるかを明確に考え、必要であれば専門家にも相談したうえで判断しましょう。

次に、広告宣伝を惜しまないことが大切です。ホームページやSNS、チラシや地域のイベントへの出店など、知名度を上げるために尽力しましょう。

また、リフォーム会社としての信頼度を高めるために、自身の資格について「建設キャリアアップシステム」におけるレベルを上げてから開業するのも一つの手です。

参考:建設市場整備:【CCUSポータル】 能力評価制度について – 国土交通省

リフォーム会社の開業は事前リサーチをしっかりと!

リフォーム会社は、開業自体がそれほど難しいわけではありませんが、同業者が多く、業種やビジネスモデルが多岐にわたるため、方向性や業種、自社の売りなどを明確にしたうえで臨むことが大切です。開業前に、地域のニーズや市場調査を念入りに行うようにしましょう。


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