• 作成日 : 2025年2月20日

有限会社における法人登記とは?確認方法や変更に必要な手続きを解説

有限会社における法人登記は、会社の重要事項を法務局に届け出て公示し、取引の安全と円滑化を図るための制度です。

本記事では、有限会社の法人登記に関する基本的な知識から、確認方法、変更手続きまでを詳しく解説します。

有限会社における法人登記とは?

有限会社における法人登記は、会社の基本的な情報を法務局に届け出て公示する制度です。法人登記することによって、取引先や債権者などの利害関係人が会社の基本情報を確認できるようになります。

しかし、2006年の会社法施行により、有限会社を巡る状況には大きな変化がありました。

有限会社の新規登記はできない

2006年5月1日の会社法施行に伴い、有限会社法が廃止されたため、有限会社の新規登記は一切認められなくなりました。これ以降、中小規模の会社を設立する場合は、株式会社や合同会社などの形態を選択することになったのです。

ただし、会社法施行前に設立された有限会社は、「特例有限会社」として存続が認められています。

有限会社でも登記事項の変更には申請が必要

特例有限会社として存続している会社においても、役員の変更や本店移転等で登記事項に変更が生じた場合には、変更登記の申請が求められます。

変更登記は、変更が生じてから原則として2週間以内に管轄法務局への変更登記申請が必要です。

登記事項の変更を怠った場合

登記事項の変更を怠ると、法的なリスクが生じます。

会社法第976条第1号によれば、変更登記を怠った場合、100万円以下の過料に処せられる可能性があります。また、登記を怠ったことにより第三者に損害を与えた場合、損害賠償責任を負う可能性も否定できません。そのため、登記事項に変更が生じた場合は、速やかに変更登記を行うことが重要です。

なお、12年以上登記の変更がない場合でも、特例有限会社は休眠会社としての解散みなしの対象とはならない点にも注意しましょう。

有限会社の法人登記を確認するには?

有限会社の法人登記情報を確認する方法としては、以下の3つの方法があります。

  • 法務局に出向く
  • 郵送
  • オンライン

法務局に出向く

管轄の法務局に直接出向いて、登記事項証明書を取得する方法です。法務局の窓口で申請書に必要事項を記入し、手数料を支払えば、その場で登記事項証明書を受け取れます。

手数料は1通につき600円です。この方法は、即日で証明書を入手できる点が利点ですが、法務局の営業時間内に訪問する必要があります。

郵送

郵送での交付申請も可能です。法務局のウェブサイトから申請書をダウンロードし、必要事項を記入の上、手数料分の収入印紙と返信用封筒を同封して法務局に送付します。

法務局に直接行く必要がない点が便利ですが、証明書の到着までは数日~1週間程度かかります。

オンライン

法務省が提供する「登記・供託オンライン申請システム」を利用すれば、インターネットを通じて登記事項証明書の交付請求ができます。

また、「登記情報提供サービス」では、登記情報の閲覧も可能です。ただし、このサービスで閲覧できる情報には証明文や公印等が付加されないため、法的な証明力はありません。

2024年10月から代表取締役等の住所非表示が可能に

2024年10月1日から、代表取締役等の住所を登記事項証明書に表示しない取扱いが可能になりました。これは個人情報保護の観点から導入される制度で、申出により住所を非公開にすることができます。

ただし、利害関係人は裁判所の許可を得たうえで住所情報の取得が可能です。

有限会社の法人登記の変更は自分でできる?

有限会社の法人登記の変更は、原則として自分で行うことが可能です。ただし、手続きの複雑さや時間的制約などを考慮すると、専門家に依頼するケースも多くあります。

登記変更を自分で行うメリット

登記変更を自分で行うメリットは、コストが抑えられる点です。専門家に依頼する場合と比べて、大幅に費用を抑えられます。また、自社の登記事項について詳しく理解できるようになり、今後の変更手続きにも役立ちます。

さらに、緊急を要する変更の場合、自らインターネットで手続きを行うことで迅速な対応が可能です。

登記変更を自分で行うデメリット

一方で、自分で登記変更を行うことにはデメリットもあります。まず、手続きの複雑さや専門知識の必要性から、誤りを犯すリスクが高い点が挙げられるでしょう。登記申請が却下されると、再申請に時間と手間がかかることになります。

また、通常業務と並行して手続きを行う必要があるため、時間的な負担が大きくなる可能性も否定できません。さらに、法改正などにも対応しなければならないため、常に最新の情報を把握しておく必要があります。

有限会社における法人登記の変更の内容

有限会社における法人登記の変更には、さまざまな内容があります。以下に主な変更内容を解説します。

役員の変更

有限会社の場合は株式会社と異なり、役員の任期がないため、定期的な変更登記は不要です。ただし、役員に変更があった場合は、速やかに登記変更を行わなければなりません。

取締役や監査役の就任、退任、再任などが該当します。

以下のリンクから、役員変更登記申請書(代表取締役など)のテンプレートがダウンロードできます。

役員変更登記申請書(代表取締役など)のテンプレートはこちら

事業内容(目的)の変更

会社の事業内容(目的)を変更する場合、目的変更登記が必要です。新規事業を始める場合や、既存の事業を廃止する場合などが該当します。目的の変更には定款の変更が必要となるため、株主総会(社員総会)の特別決議が必要です。

以下のリンクから、目的変更登記のテンプレートがダウンロードできます。

目的変更登記申請書のテンプレートはこちら

所在地(本店)の変更

本店移転の場合、移転先の住所や建物名など登記変更が求められます。また、同一市区町村内の移転か、他の市区町村への移転かによって、必要な手続きが異なる場合があります。

本店移転登記申請書のテンプレートはこちらから

資本金の変更

資本金を増加または減少させる場合も、登記変更しましょう。資本金の変更には、株主総会(社員総会)の特別決議が必要となります。また、債権者保護手続きが必要な場合もあるため、注意が必要です。

会社の商号変更

会社の商号(社名)を変更する場合も、登記変更が必要です。商号変更には定款の変更が必要となるため、社員総会の特別決議が必要です。また、新しい商号が他の会社と類似していないかなどの確認も必要です。

株券の発行、株式総数の変更

有限会社から特例有限会社に移行した後も、株券の発行や株式総数の変更を行う場合があります。これらの変更にも登記が必要です。株券を発行する場合は、定款の変更と社員総会の決議が必要になります。

有限会社から株式会社への変更

特例有限会社から通常の株式会社への組織変更を行う場合、組織変更計画の作成、社員総会の特別決議、債権者保護手続きなどが必要です。組織変更後は、株式会社としての設立登記変更前の有限会社の解散登記を同時に行います。

有限会社における法人登記の変更手続き

有限会社における法人登記の変更手続きは、原則として登記内容に変更が生じてから2週間以内に手続きする必要があります。

手続きの流れと必要書類を紹介します。

登記変更の流れ

有限会社における法人登記の変更手続きは、一般的に以下の流れで行います。

  1. 変更内容の決定:社内で変更内容を決定し、必要に応じて社員総会を開催
  2. 必要書類の準備:登記申請に必要な書類を準備
  3. 申請書の作成:登記申請書を作成
  4. 法務局への提出:準備した書類を管轄の法務局に提出
  5. 登録免許税の納付:登録免許税を納付
  6. 審査と登記の完了:法務局での審査を経て、登記完了

登記変更に必要な書類

登記変更に必要な書類は、変更内容によって異なりますが、一般的に以下の書類が必要です。

  • 登記申請書
  • 株主総会(社員総会)議事録
  • 定款(変更がある場合)
  • 就任承諾書(役員変更の場合)
  • 印鑑証明書
  • 本人確認証明書
  • 委任状(代理人申請の場合)

有限会社の法人登記変更に役立つひな形・テンプレート

マネーフォワード クラウドでは、有限会社の法人登記変更に役立つひな形・テンプレートを提供しています。下記リンクから無料でダウンロードできますので、自社に合わせてカスタマイズしながらご活用ください。

有限会社の法人変更登記は速やかに実施する必要がある

有限会社における法人登記の変更は、会社法上の義務であり、適切に行うことが重要です。変更事項が生じてから2週間以内に登記申請を行う必要があり、これを怠ると過料などのペナルティの対象となる可能性があります。

登記変更の手続きは自分で行うことも可能ですが、専門的な知識や経験が必要な場合もあります。特に、複雑な変更や重要な事項に関しては、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。


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