• 更新日 : 2021年5月6日

会社設立時か設立後か?税理士に依頼するタイミング・相場・メリットとは

これから会社を設立しようと考えている方の中には、税理士を雇うのか雇わないのか、雇うとすればいつ頃から雇えばいいのか、と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

一概に、この時点で税理士を雇うのがベストだと言い切ることは難しいですが、今回は税理士に依頼するメリットについて、「会社設立時」と「設立後」に分けて解説していきます。

会社設立時から税理士に依頼するメリット

ではまず、会社設立の際に税理士に依頼するとどんなメリットがあるのかを、見ていきましょう。

1.設立手続きを代行して行ってくれる

webで「設立代行」と検索すると、税理士事務所でも会社設立の代行を格安で請け負っているところが多く見られます。

本来、会社設立において定款認証の代行は行政書士、法務局への登記申請は司法書士と決まっており、税理士は上記の会社設立代行業をできません。

つまり、税理士事務所は行政書士や司法書士と提携していて、設立代行業務は提携している他の士業に委託しています。

そして設立後、会社の税務顧問を引き受けるのが本当の目的でしょう。

2. 決算期をいつにするかのアドバイスをくれる

決算期をいつにするかは、実は節税に関わる重要な決定事項です。個人の場合は一律12月で締めなければなりませんが、会社の場合は決算期を自由に決められるのです。

・売上予想を分析して、決算期に関するアドバイスをくれる

設立手続きを行う場合、決算期を決めることになりますので、設立手続き前に税理士を雇うと決算期に関するアドバイスをもらえます。

例えば、事業の特質から特に7月、8月の夏の時期に売上が伸びる業種の場合、決算期を8月、9月にすると、最後まで通年の利益予想が立てにくく、前もっての納税額の予想が難しくなります。

上記のような場合は、売上が伸びる前の5月、6月くらいを決算期にすることで、4月くらいに利益予想が可能になり、その後、経費を調整することで節税まで可能となります。

設立手続き時点で決算期を決めなければならないので、一度設立手続きを行うと、決算期の変更は容易ではありません。そう考えると、設立前に税理士のアドバイスをもらえることは有効と考えられます。

消費税の課税事業者となる時期についてアドバイスをくれる

消費税について当初の2期間、売上に関係なく免税事業者となることは、多くの方がご存じだと思います。設立初年度に売上が1千万円を超えると、設立3年目から消費税課税事業者となります。

しかし、消費税の課税事業者の判定には「特定期間による判定」というものもあって、事業開始から決算までが12カ月の場合、上半期で売上が1千万円かつ給与支給額が合計1千万円を超えると2期目(設立2年目)から消費税課税事業者となってしまいます。

つまり、この要件に該当してしまうと、消費税の課税事業者となるタイミングが1年早まるということです。

ただし、「特定期間による判定」には例外があり、設立初年度が7カ月以下の場合は最初の6カ月以内で売上が1千万円かつ、給与支給額が合計1千万円を超えた場合でも2期目も消費税免税事業者となります(3期目は課税事業者となります)。

つまり設立後、最初の6カ月で売上が1千万円かつ給与支給額が合計1千万円を超えることが見込まれる場合、決算期を設立日から7カ月以内にすることで、2期目に課税事業者とならずに済むのです。

こういった規定も、設立手続きを行う前に税理士のアドバイスがなければ、気が付きにくいと思われます。

会社設立後1年から2年後に税理士を雇うメリット

会社設立当初は税理士に依頼しなかった方も、事業が軌道に乗ってきたタイミングや、1期目の確定申告が近づいてきたタイミングで税理士に相談する場合が多いでしょう。

会社設立後1年から2年後に税理士を雇うメリット・デメリットというものはありません。むしろ、そのタイミングで税理士を雇う必要があると言えます。

法人税の決算申告は、個人の確定申告より複雑で作成書類も多くなっているため、ご自身で法人税申告書や法人地方税申告書を作成するのは難しいものです。やはり、税理士に頼むのが適切でしょう。

いつの時点で税理士を雇うのがいいのか?

自社の経理部で税務知識のある従業員を雇う場合でなければ、会社事業を行ううえで税理士との顧問契約は必須だと筆者は考えます。

前述のようにいずれは税理士が必要になるのですから、できるだけ早く、できれば設立前に雇うことをお勧めします。そういった点から考えると、税理士事務所が行っている会社設立代行を検討してみるのもひとつの方法と言えます。

税務顧問料の相場について

相場は、会社の規模、業種、従業員の数などによって変わるので一概には言えませんが、年間顧問料を1年間の売上予想金額を基準にしている税理士事務所が多いです。

例えば、領収書等の資料の整理や記帳代行、決算書・申告書の作成、定期的な会社訪問、随時税務の相談を受け付けるなど、すべて”込み込み”の場合、売上の5%~8%が年間顧問料の相場です。

上記の内、決算書・申告書の作成、定期的な会社訪問、随時の税務の相談は税理士事務所が行い、資料整理、会計記帳などは自社で行う場合で売上の3%~6%が年間顧問料になると考えていいでしょう。

まとめ

会社設立時・設立後のいずれであっても、会社経営を行う限り税理士との付き合いは必要になってきます。設立前にまずは税理士に直接会って、いろいろ聞いてみてはいかがでしょうか。

会計や税金計算を任せるだけが税理士ではありません。きっと、経営相談もできるビジネスパートナーとして、経営者の強い味方になってくれることと思います。

よくある質問

会社設立時から税理士に依頼するメリットは?

設立手続きを代行して行ってくれる、決算期をいつにするかのアドバイスをくれるといったメリットがあります。詳しくはこちらをご覧ください。

会社設立後1年から2年後に税理士を雇うメリットは?

個人でやるにはハードルの高い法人税の決算申告のサポートをしてくれます。詳しくはこちらをご覧ください。

税務顧問料の相場は?

相場は、会社の規模、業種、従業員の数などによって変わるので一概には言えませんが、年間顧問料を1年間の売上予想金額を基準にしている税理士事務所が多いです。詳しくはこちらをご覧ください。


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