- 更新日 : 2021年5月6日
バーチャルオフィスで法人登記する際の注意点

最近さまざまな形態のコワーキングスペースが作られ、その中で住所だけ借りる「バーチャルオフィス」という形態も増えてきました。今回は、法人設立をする際のバーチャルオフィスの利用について解説していきます。
バーチャルオフィスとは?
まずバーチャルオフィスは、実際にオフィスがあるわけではありません(仕事をしたり、お客さまと打合せする場所としてのオフィス)。
あくまで、個人事業として開業届を出す際の住所地や、法人設立する際の本店所在地として登記をするための「住所を借りる」というもの。これが「バーチャルオフィス」です。
バーチャルオフィスで登記ができるか
結論から言うと、バーチャルオフィスでの登記は可能です。本店所在地の登記場所に特に制限はありません。
ただ、一点気を付けなければならないところは、同一住所に同じ法人名で法人設立をすることはできないので、登記をする前に管轄の法務局で、類似商号がないかは調べなければなりません。
登記したときのメリット、注意点
バーチャルオフィスは実際にオフィスを借りるわけではないので、初期費用やランニングコストが低いことが大きなメリットとなります。本店所在地宛てに、さまざまな郵便物が届きますので、その郵便物の転送を自動で行ってくれるのか、もしくは、自分で取りにいかなければならないのか、など細かな点は事前に確認が必要です。
融資や銀行口座の開設に影響はある?
バーチャルオフィスで登記したからといって必ずしも、融資や銀行口座の開設に不利になるということはないでしょう。イニシャルやランニングコストを下げ、自社に資金を残すことによって営業費をかけることができるなど、他のメリットが生まれます。
オフィスが必要のない事業であることを説明できれば、融資申し込みでデメリットが発生することはありません。重要なことは、事業内容や将来性であり、その会社が信頼できるものかどうかということです。
銀行口座の開設においてもバーチャルオフィスであることから口座開設を受けられない、ということはありません。しかし、去年から口座開設においては暴力団対策法等の関係で厳しくなっていますので、審査に多少時間がかかる可能性はあります。
登記後に住所を変更する方法・費用
本店所在地は、登記後いつでも移転することが可能です。「本店所在地の移転の登記」をするだけです。この登記は移転先の本店所在地が、移転前の本店所在地と同じ法務局の管轄内であれば3万円の登録免許税がかかります。管轄外であれば6万円です。
専門家に依頼するのであれば、約3~4万円の報酬がかかるので、諸費用込みで6万5000円~10万円程度かかるでしょう。
設立時に作成した定款の中で、最小行政区画までで本店所在地を決めているのか、現在の住所地で地番まで決まっているのか、株主総会が必要になるか、ならないかでも変わります。
専門家に依頼するのであればすぐ判断できますが、もしご自身で登記をするようであれば事前に時間の余裕をもって、法務局の商業登記相談窓口に相談に行ってください。
まれに、書類が足りなくて本店移転をしたかった日付に登記ができないことがあります。また商業登記の相談窓口は混んでいることが多いので、相談に行く際は事前に電話で予約を取ることをおすすめします。
おわりに
バーチャルオフィスと聞くと不安に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、都内一等地のような信用力のあるエリアにオフィスの住所を構えたり、フリーで仕事をされているかたなどは、自宅住所を公開する必要がないので、セキュリティ面でも安心があります。
最近では利用する法人も増えていますので、来客がないような業態であれば、経費削減の方法のひとつとなるはずです。
よくある質問
バーチャルオフィスとは?
バーチャルオフィスとは、個人事業として開業届を出す際の住所地や、法人設立する際の本店所在地として登記をするための「住所を借りる」というものです。詳しくはこちらをご覧ください。
バーチャルオフィスで登記ができる?
バーチャルオフィスでの登記は可能です。本店所在地の登記場所に特に制限はありません。詳しくはこちらをご覧ください。
バーチャルオフィスで法人登記する際の注意点は?
同一住所に同じ法人名で法人設立をすることはできないので、登記をする前に管轄の法務局で、類似商号がないかは調べなければなりません。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。