• 更新日 : 2024年9月27日

焼肉屋の事業計画書の書き方とは?テンプレートを基に成功のコツを解説

焼肉屋に特化した事業計画書の書き方は、ポイントを押さえれば難しくありません。この記事では、焼肉屋向けの事業計画書のひな形・テンプレートを例に、各項目に書くべき内容や書き方のポイントをご紹介します。

焼肉屋の事業計画書とは?

コロナ禍では外食産業全体が落ち込んだように、焼肉屋の売り上げにも影響がありました。しかし、コロナ禍からの回復や肉ブームもあり、コロナ前の活気を取り戻しつつあります。
日本フードサービス協会の協会会員を対象にした2024年3月度の「外食産業市場動向調査」によると、ファミリーレストラン(焼肉)の売上高は、前年同月の113.6%でした。

出典:外食産業市場動向調査 2024年3月度 結果報告|一般社団法人日本フードサービス協会

主に首都圏を中心とした高単価な焼肉屋がある一方で、近年はリーズナブルな価格帯で焼肉を楽しめる店舗が人気を集めています。

焼肉屋で事業計画書が必要になる場面は、事業設計や融資などの段階です。

事業の見通しを立てる

焼肉屋の開業で事業計画書を作成する目的の一つは事業設計です。事業計画書で、提供するサービスの内容や強み、開業にかかる資金などを明らかにすることで、どのような焼肉屋にしていきたいのか指針を決めていきます。

金融機関からの融資を受ける

事業計画書は、融資を目的に金融機関に提出する書類としても作成します。事業計画書のどの項目も重要ですが、中でも重視したいのは、焼肉屋を開業するのに必要な設備や導入資金、資金繰りの予測、お店の独自性です。

焼肉屋の事業計画書のひな形、テンプレート

焼肉屋の事業計画書の書き方とは?テンプレートを基に成功のコツを解説

マネーフォワードクラウド会社設立では、焼肉屋に特化したひな形・テンプレートを用意しています。焼肉屋の事業計画書をどのように作成すればよいかがわかります。ぜひご活用ください。

焼肉屋の事業計画書の書き方・記入例

事業計画書のひな形・テンプレートに記載する各項目の記入内容や書き方のポイントをご紹介します。

創業の動機・目的

なぜ開業しようと考えたのか、創業に至った動機や目的を記載します。創業に至るまでの経験や興味などをイメージしながら記載していくとよいでしょう。焼肉屋で働いた経験なども参考になります。

職歴・事業実績

創業者自身の職歴や関連する実績を記載します。直接的に焼肉屋の経営に携わった経験がなくても、関連する飲食業のマネジメント経験などはアピール材料になるでしょう。

取扱商品・サービス

取扱商品やセールスポイント、競合・市場の分析について記載します。

取扱商品・サービスは価格帯がわかるように記載するのがポイントです。「フード単価○○円~」のように、カテゴリー別に単価の目安を記載します。

セールスポイントや戦略は、開業する焼肉屋でアピールしたい部分や経営の方針を示す項目です。産地にこだわるのか、価格にこだわるのか、ボリュームにこだわるのか、競合と勝負できるポイントを記載します。

戦略としては、販売方法や立地など、競合との差別化を図る方法を記載します。焼肉屋なら、ファミリー向けのランチメニューの提供、ディナーを重視したアルコールの提供などが考えられるでしょう。

競合・市場には、周辺の競合店の存在やサービス、どのように差別化を図れるかなどを記載します。

取引先・取引関係

販売先、仕入先、外注について、それぞれ取引先の名称やシェアなどを記載します。焼肉屋の販売先は一般消費者になるため、入金方法別に記載を分けるとわかりやすいでしょう。

また、焼肉屋を開業するには、食肉の仕入先などを確保しておく必要があります。食肉の仕入先には、既知の卸売業者、ネットの卸売業者などが考えられるでしょう。国産牛を使用するか、輸入牛を使用するかなどでも仕入先は異なります。

従業員

常勤役員(法人のみ)や従業員の数を記載する項目です。記載にあたって、どのようなスタッフを雇用するか(プロの料理人は必要かなど)、常時何人で営業するのかなども決めます。

借り入れの状況

借入金がある場合に記載する項目です。経営者個人の住宅ローンや自動車ローンなどについても記載します。

必要な資金と調達方法

必要な資金について、設備資金(店舗や内装工事費など)、運転資金(仕入れや人件費など)の内訳と見積金額、資金調達方法を記載します。

焼肉屋の場合、業務用冷蔵庫やシンクなどの厨房設備のほか、客席の設備についても検討する必要があります。卓上用にどのような設備を設置するか決め、設備ごとに業者に見積もりをお願いしておきましょう。

事業の見通し(月平均)

焼肉屋の経営の見通しとして、売上高、仕入原価(食肉などの仕入れ)、経費の内訳について、創業当初と創業から1年後(または軌道に乗ったあと)の月の予測値を記載します。

収支の見通しを立てるには、平均客単価や原価率、雇用するスタッフの数などの計算の根拠となる要素が必要です。根拠となる値を基に、店の規模や提供価格などに適した予想を立てていきます。

焼肉屋の事業計画書成功のポイント

焼肉屋の開業で事業計画書を作成するときに意識したいポイントを4つ取り上げます。

コンセプトを明確にする

焼肉屋は、異業種からの参入や大手の出店拡大もあり、競争が激しくなっています。コロナ禍から脱しても物価高の影響は続いていることから、価格だけで勝負するのは厳しいといえるでしょう。

そのため、精度の高いコンセプトを設定して事業計画書に落とし込んでいくことが重要です。精度の高いコンセプトとは、ターゲット層の需要を把握し、かつターゲット層が満足できるようなお店としての指針です。

コンセプトをしっかりと打ち出している焼肉屋の例として、1人客のニーズに対応する席やメニューを置いた例、特定の種類の肉のみを置くことでプレミアム感を演出した例などがあります。

立地調査を行い商圏や競合を把握する

立地調査は、出店の候補地を調査することです。立地調査では、見込み顧客の生活範囲である商圏の把握、商圏内に存在する同業他社の把握、候補地の特性を把握します。候補地の特性の把握とは、交通状況やアクセスの良さなどを実際に確認することです。

商売を成功させるには、立地が重要といわれます。実際に金融機関に提出する事業計画書には、競合や市場の分析に項目もあるため、実態に沿って内容を記載するためにも立地調査は欠かせません。

また、立地調査により商圏の特性や競合の動向を探ることによって、どのような方向性でサービスを提供すべきかイメージしやすくなります。

客観的な売上予測・価格設定をする

事業計画書には、収支の予測を立てる項目があります。どの程度の売り上げや利益が見込まれるかは、事業を継続する上で、さらに融資を受ける際に重要なため、現実とかけ離れないように客観的な視点で予測する必要があります。

収支予測の根拠となるのは、さまざまな予測値です。開業する店舗の席数から、客席の稼働率、平均客数、平均単価の予測値を計算し、現実味のある収支予測を行います。

価格設定については、売れるメニューと売れないメニュー、利益の出るメニューと出ないメニューがあるため、バランスを見て決めることも重要です。無理に一律の原価に収めるのではなく、「お1人さま1品限り」などの原価率の高い集客メニューを置くことも検討します。

独自のメニューやサービスで差別化する

焼肉屋を一から開業するには、オリジナリティーを打ち出し、他店と差別化を図ることも重要です。大手の存在も考えると、同じような商品やサービスを打ち出しても集客は難航してしまいます。

ターゲット層を意識して、ファミリー層向けにはアレルギー対応や子ども用メニューの充実を図る、ヘルシー志向の客層向けに野菜を使ったメニューを充実させる、目玉商品として特別な肉をメニューに加える、などの独自性を検討します。

事業計画書で焼肉屋の経営の指針を整理しよう

気軽に利用しやすい大手焼肉店の拡大などもあり、焼肉屋の競争は激しくなっています。焼肉屋の開業を成功させるには、事業計画をしっかり練ることが重要です。そのためにも、現実的で客観性のある事業計画書の作成が必要になるでしょう。本記事でもご紹介したコンセプトの設定やオリジナリティーも意識し、経営の指針となる事業計画書を作成しましょう。

焼肉屋の開業のための費用や開業の流れは、下記の記事で詳しくご紹介しています。

税理士コメント
焼肉店はどちらかというと家族等グループで行く傾向があり、1組の顧客のもたらす売上高は大きいと言えます。肉やドリンクの原価率を考えると、飲食店の中でも低コストを目指せる業種の一つであるでしょう。
安定的な需要と高い収益性を武器に、店の個性が顧客に受け入れられると他店との差別化もクリアできるでしょう。


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