• 作成日 : 2024年5月23日

デイサービスの事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例を解説

デイサービスの事業計画書は、創業動機や売上高などを記載し、各種申請に使用します。事業計画書の作成にはテンプレートを活用しましょう。

テンプレートは項目が決まっているため、指定や融資を受ける際に具体的な情報を記載できます。本記事では、デイサービスの事業計画書について、目的や書き方などを解説します。事業計画書のテンプレートは、以下からダウンロード可能です。

デイサービスの事業計画書とは?

デイサービスの事業計画書について概要を理解するため、以下の3つのポイントを解説します。

  • 通所介護の指定申請に使用する
  • 事業の見通しを立てる
  • 金融機関からの融資を受ける

通所介護の指定申請に使用する

事業計画書は、自治体に指定申請するために必要な書類です。指定申請とは、新たに開設する施設が指定(許可)を得るために、介護保険法に基づき介護事業者として基準を満たしているか申請することです。デイサービスを開設するには、自治体が審査をしなければなりません。

指定申請では「人員基準」や「設備基準」など、満たすべき基準がさまざまあります。事業計画書に事業概要を具体的に記載してください。

事業の見通しを立てる

事業計画書を作成する際には、事業の見通しを記載します。見通しに関する根拠を基にして「創業当初」と「1年後」の売上高や経費から、想定される利益を算出しましょう。統計資料や同業種の平均的な売上高などを参考に、実現可能な計画なのか確認してください。

金融機関からの融資を受ける

金融機関の担当者が融資を判断する際は、事業計画書を確認します。内容によっては、融資審査に大きな影響を与えるため、担当者がチェックしているポイントを理解しておきましょう。融資担当者は利益だけでなく、創業動機・サービス内容への想い、市場分析や売上高の根拠なども確認しています。

金融機関からの融資を受ける場合はまず、市場があることをデータで示しましょう。たとえば、デイサービスの利用者数は、平成29年度には218万人でしたが、令和2年には244万人と約12%増加しています。

次に、市場を分析したデータを基に、競合と差別化ができるサービス内容や売上高の根拠など、実現可能な計画を立ててください。

出典:厚生労働省|介護分野をめぐる状況について

デイサービスの事業計画書のひな形、テンプレート

デイサービスの事業計画書の書き方は?テンプレートを基に記入例を解説

デイサービスのひな形やテンプレートは、指定の様式を求める自治体もあります。事業を行う場所に応じて、指定がないか確認してみるとよいでしょう。決まった様式がない場合はテンプレートの活用がおすすめです。

マネーフォワードでは、例文付きのテンプレートや定款テンプレートなども用意しています。メールアドレスと会社の設立状況を入力するだけで無料で受け取れるので、活用してみてください。

デイサービスの事業計デイサービスの事業計画書画書の書き方・記入例

以下の8項目について、デイサービスの事業計画書の書き方・具体的な記入例を解説します。

  • 創業の動機・目的
  • 職歴・事業実績
  • 取扱商品・サービス
  • 取引先・取引関係
  • 従業員
  • 借入の状況
  • 必要な資金と調達方法
  • 事業の見通し(月平均)

創業の動機・目的

事業計画書の創業動機や目的は、金融機関の融資担当者が重視するポイントです。創業者がどのような考えや想いを持っているかも、事業の継続力を判断する1つの要素となります。融資担当者にとっては、万が一、返済期間中に事業利益が下がってしまった場合でも事業主が粘り強く事業を継続し、返済を続けていけるのかが重要です。

創業の動機には「利用者のニーズに応えられないという現状を目の当たりにしてきた」「利用者に寄り添った介護サービスを提供したい」など、事業をはじめたきっかけや事業に対する熱い想いを記載しましょう。

職歴・事業実績

事業計画書に職歴や事業実績を記載するのは、融資担当者に代表者の人柄を知ってもらうためです。「勤務先」「役職」「経験年数」「資格」などを詳しく記載し、どのような人間なのか伝えられるようにしましょう。

また、デイサービスに関連する職歴や実績があるかどうかも重視されます。直接的に関係する実績でなく、間接的に関係がある実績でも書くようにしてください。職歴がまったく異なる場合には、資格を取得したり研修に参加したりするなど、学んだことを記載します。

取扱商品・サービス

取扱商品・サービスの内容では、強みや実現可能性を示します。
たとえば「〇〇町周辺で子育てをしている家庭が基本的な利用者と想定〇〇エリア近辺を生活圏にしている60歳以上が主なターゲット」など、ターゲットを具体的に記載し、事業計画書を読んだ方がサービスを想像しやすいようにしましょう。

また、競合・市場などの分析には「〇〇エリアでは顕著に高齢化が進んでいる」のように、実際に調査をおこなったことを記載すると信頼感が生まれます。

取引先・取引関係

取引先・取引関係の項目では「販売先」「仕入先」「外注先」「人件費の支払」を記載します。事業を開始する前に具体的な販売先や仕入先が決まっていると早期に利益を上げやすいため、審査のポイントとなります。

デイサービスの場合は食事や送迎を外注することもありますが、創業時点で仕入先や外注先がない場合、記載する必要はありません。販売先は「一般個人」のように記載するとよいでしょう。

従業員

従業員の項目で記載する内容は以下の4つです。

  • 常勤役員の人数
  • 従業員数(3か月以上継続雇用者)
  • うち家族従業員数
  • うちパート従業員数

家族従業員数とパート従業員数は、従業員数の人数にもカウントし、それぞれの人数も別途記載します。

デイサービスの場合、人員配置基準があるため基準を下回らないよう注意してください。しかし、人員が多すぎても人件費がかかってしまいます。事業を成功させるには、適正な人数をよく検討し人員を決めましょう。

借入の状況

借入の状況の項目を空欄で提出できれば、融資担当者の印象は最もよいでしょう。しかし、すでに借入があっても審査に落ちるとは限らないため、偽りなく記載してください。

 

金融機関は「借入先」「借入金の用途」「借入残高」「年間返済額」などを基に、融資をするか判断します。

 必要な資金と調達方法

必要な資金と調達方法の項目では「何のための資金なのか」「資金の用意は現実的であるか」が判断されます。

必要な資金は「設備資金」と「運転資金」に分けて記載します。立ち上げ当初は、設備資金をできる限り抑え、実現可能な計画を示してください。また、デイサービスでは、キャッシュポイント(収益が発生するタイミング)がサービス提供月の翌々月となるため、3~4か月ほどの運転資金が必要です。

事業の見通し(月平均)

事業の見通しの項目は「創業当初」と「1年後または軌道に乗った後」の売上高や経費を記載し、利益を計算します。調査結果に基づき、利用者数やサービス単価を間違いなく計算し「見通しに関する根拠」を記載してください。

1年後に利用者が増える想定で計算する場合は「同業種の成長率を考慮の上、創業当初の約1.3倍に増加見込み」のように、増加する理由とどれくらい増えるのかを記載すると丁寧です。

効果的なデイサービスの事業計画書作成のポイント

デイサービスの事業計画書を作成する際のポイントは以下の5つです。

  • デイサービスの基本方針を明確にする
  • 商圏調査を行う
  • 制度の改定を把握しておく
  • 利用者に寄り添ったサービスを提供する
  • 地域の保健・福祉・医療と連携をする

デイサービスの基本方針を明確にする

長期に安定してデイサービスを行うためには、基本方針の制定が必要です。利用者や利用者家族に安心して利用してもらうためにも、基本方針を明確にした上で、質の高い介護であると示しましょう。たとえば「日常でできることを増やすサポート」「食から健康をサポート」など、具体的に決めると施設のアピールができ、他社との差別化にもつながります。

商圏調査を行う

商圏調査では、新たに開設する施設の場所から利用者が通所可能な範囲までを調査します。商圏調査を行うことで、経営戦略を立てやすくなるためです。
主な調査内容は以下のとおりです。

  • 人口
  • 世帯数
  • ターゲットとする高齢者の数
  • 競合施設の特性

とくに、ターゲットとなる高齢者の数は十分に調査しましょう。「近隣に利用する高齢者がいない」となると、開設しても安定した事業がおこなえません。
人口や世帯数、高齢者の人数は総務省が整備しているポータルサイト「政府統計の総合窓口」で調べられます。

参考:総務省|政府統計の総合窓口

制度の改定を把握しておく

2024年4月1日にデイサービスの介護報酬改定※1が施行されました。介護報酬の改定は、介護事業者の収入に大きな影響を与えるため、制度の改定を把握しておきましょう。

デイサービスの収入源は主に、自治体から受け取る介護保険収入と利用者が支払う保険外収入の2つ※2です。原則、 報酬基準額の9割を自治体から受け取り、残りの1割を利用者から受け取る形式になります。

つまり、制度の改定で介護報酬基準額が変動すると、同時に売上高も変動するということです。

※1 出典:厚生労働省|令和6年度介護報酬改定における改定事項について
※2 出典:厚生労働省|介護報酬の仕組みについて

利用者に寄り添ったサービスを提供する

市場や競合を調査すると、利用者が求めているサービスも理解できます。競合に負けずに事業を続けていくためには、利用者が「不満に思っていること」「困っていること」を解決できるサービスができないか検討してみてください。

たとえば「人材育成にも注力し、利用者により良いサービスを提供する」「定期的に利用者やその家族にアンケートを実施して改善すべき点を調査」など、質の高い介護ができれば利用者や利用者家族の助けになるでしょう。

地域の保健・福祉・医療と連携をする

厚生労働省は介護保険事業計画の策定・実施を通じて「住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築の実現」を掲げています。
保健や福祉・医療との連携は、利用者のQOLを高めるために不可欠だからです。地域と上手く連携できない場合、利用者のケアに支障をきたす可能性も考えられるでしょう。

出典:厚生労働省|地域包括ケアシステム

実現可能な事業計画書を作成しよう

デイサービスは、成長産業として今後も市場が拡大していく見込みです。ゆえに、競合が増えていくことも考えられます。指定申請や融資申請のためだけに事業計画書を作成するのではなく「事業を継続していけるのか」「他社と差別化できているのか」など、事業の実現性を高めるためにも役立てましょう。

事業計画書の作成にはテンプレートを活用して各項目を記載しながら、調査やオリジナリティが足りないと感じる部分は、練り直すことも必要です。

テンプレートには、事業計画書の記入見本も用意しているので、ぜひ参考にしてください。テンプレートは以下から無料でダウンロードできます。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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