• 更新日 : 2022年5月31日

会社設立時の資本金はいくらから?金額の決め方、払込方法について解説!

会社設立時の資本金はいくらから?金額の決め方、払込方法について解説!

株式会社や持分会社(合同会社等)の利益追求をする法人は、出資をする人がいなければ設立することができません。それでは会社設立に必要な資本金(出資額)はいくらから認められるのでしょうか。資本金1円での設立に問題はないのでしょうか?

今回は、運転資金などを見越した資本金額の決め方、資本準備金借入金の取扱い、資本金を入金するために必要な発起人個人の口座の準備や通帳コピー、払込証明書の作成、資本金入金時の仕訳まで解説していきます。

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資本金とは?

株式会社などには、必ず「持ち主」=「出資者」がいます。必ずしもこの出資者と経営者が同一とは限りませんが、ここでは出資者と経営者が同一なものとして解説していきます。

資本金とは、事業者が準備した会社の運転資金(設備投資含む)のことをいいます。平成18年に商法(会社法)の改正があり、会社を設立登記する際の資本金は1円からでもできることになりました。

それ以前は、株式会社1,000万円以上、有限会社300万円以上という基準がありましたが、現在では少ない資金でも登記できることとなっています。では実際のところ、いくらくらいの資本金で会社を設立すればいいのでしょう。

資本金の最低金額はいくらから?1円でもいい?

会社設立直後はもちろん決算書がありません。なので、取引先や銀行が会社の信用度をはかるには、資本金がどれくらいあるのかを見るしかないのです。資本金を1円で設立したとして、その会社は一体その資本金で何ができるでしょう。

会社を大きくするために1円で投資できるものがあるでしょうか。事業者の自己資金があるといっても口先だけで取引先は確認のしようがありません。

「商品を買いたい」といってもそれを買うお金がどこにあるのかわからなければ、商品は売ってもらえません。ちゃんと「安定した経営ができます」という証拠を提示するためにも、ある程度の資本金は計上したほうがよいでしょう。

資本金=信用度

銀行融資を受けるにも、資本金が大切です。お金が返ってこなさそうな会社に融資はしませんよね。創業時には各銀行で「創業融資」という枠があります。各金融機関でいくらまで、と決まっていますが、さらに自己資金「〇分の〇」という基準が設けられています。

たとえば日本政策金融公庫では、初期投資および運転資金に対して自己資金10分の1の基準となっているので、100万円の自己資金で最大900万円の融資が受けられます。ただし、これはあくまで「最大」であって必ず受けられるわけではありません。

事業計画の内容から回収可能性を考えて融資額を決定していくのです。融資額に対して自己資金の比率が高ければ高いほど回収可能性が高い、と判断してもらえます。

初期投資と運転資金も銀行借り入れに頼る会社なのか、初期投資とある程度の期間の運転資金を準備したうえで、「何かあったときのために」借入をしておく会社なのかで、金融機関の印象が変わってきます。

あくまで「安すぎる」資本金では、取引先からも金融機関からも信用を得られないと考えたほうがいいでしょう。

許認可が取れない場合もある

事業によっては最低資本要件が決められているものもあります。例としては有料職業紹介事業(500万円以上)、一般労働者派遣事業(2,000万円以上)があげられます。

資本金を決める前に、まず許認可が必要か、それには資本要件がないのか、といったことは調べておかなければなりません。

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会社設立時の資本金額の決め方は?

会社設立時の資本金が少なすぎると信用力などの面でデメリットがあると紹介しましたが、どのような基準で決めるとよいのでしょうか。資本金額の決め方のポイントや資本準備金や借入金との関係を解説します。

初期投資と半年分の運転資金を資本金として用意する

まずは、初期投資と運転資金でどれくらいかかるのかが基準になります。初期投資に満たない金額で設立することももちろん可能ですが、そうすると足りない金額は事業者が自己資金から会社に資金を融通しなければなりません。

会社にお金を貸す形にすると、役員借入金となって貸借対照表の負債の部に勘定されます。役員借入金が増えると、会社の自己資本比率総資産額に対する自己資本金額の割合)は下がってしまいます。

自己資本比率の計算のもとになる自己資本は資本金などで構成されるため、自己資本比率が低いということは、返済が必要な他人資本の多い財政面でのバランスが悪い会社と見られる可能性が高くなります。そのため、会社設立時にきちんと事業計画書を作成し、初期投資および半年分の運転資金くらいは資本金として計上している会社も多いです。

法人住民税などの税金面を考慮する

法人は、その名の通り「法によって生まれた人格」です。私たちのような人間のことを法律上は「自然人」といいます。私たち自然人は、必ずどこかに居住地を置いてそこに住んでおり、その住んでいる地に「住民税」を支払っています(ふるさと納税は特例です)。

法人も「人」である以上、住んでいる地に住民税を支払わなければなりません。この住んでいる地というのは本店所在地や、営業所がある地域になります。この住民税をどれくらい課税するのか、基準のひとつになっているのが資本金です。

法人住民税の額は法人税割と均等割の2種類で構成されており、法人割は法人税額に対して一定の割合で税額が決まります。均等割は、法人の資本金額や常時雇用する従業員数によって課税されるものです。赤字の場合、法人税額はゼロになるため法人税割は発生しませんが、均等割は赤字でも発生します。

法人住民税の均等割のうち、最低ラインになるのが資本金1,000万円以下です。資本金が1,000万円以下のとき、均等割の額は、従業員が50人以下の事業所で7万円(都道府県民税2万円、市町村民税5万円)、従業員が50人超の事業所で14万円(都道府県民税2万円、市町村民税12万円)になります。法人住民税の均等割を最低基準で抑えておくために初期投資が多額にかかっても、資本金を1,000万円としている会社もあります。

節税対策として資本準備金に振り分けることもできる

資本準備金は、会社設立時に出資を受けた額のうち資本金に組み入れなかった額、資本剰余金を取り崩して配当する際に法律上積立てなければならない額などをいいます。

会社は、会社設立や増資などで出資を受けたときは、払込額のうち2分の1を超えない金額については資本金ではなく資本準備金に計上できます。つまり、出資額の最大半分を資本準備金にできるということです。

資本準備金は資本金と同じように自己資本であり性質は似ていますが、資本金ではないため、資本金額を基準とする課税に対して節税効果を得られます。たとえば、資本準備金を活用して資本金を少なくすることで、資本金を基準とした中小企業の法人税の課税の特例が認められたり、設立後の消費税の一定期間の免税が認められたりします。

資本準備金について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

借入金は資本金として計算できないため注意

会社設立後に、返済の予定がない役員借入金を組み替える方法はありますが、設立時に役員からの借入金や金融機関などからの借入金を利用して資本金にすることはできません。

資本金は返済の必要がない自己資本で、借入金は返済の必要がある他人資本だからです。借入金は他人資本として、借入金や長期借入金などの勘定科目で貸借対照表上に表示することになります。もし借入金を資本金とした場合は、見せ金とみなされ、法律に抵触することがあります。

設立時にある程度の額を資本金としたいときは、出資者を募るか、出資をする設立者自身が資本金に組み込める額をある程度準備しておかなくてはなりません。

会社設立時の資本金の払込方法は?

資本金額の決め方について説明してきましたが、資本金を決めたら、どのようにして資本金を払い込めばよいのでしょうか。会社設立時の資本金の払い込み方を3つのステップに分けて説明します。

発起人個人の口座を用意して資本金を払い込む

1株以上の設立時発行株式を引き受け、設立後は会社の株主になる人を発起人といいます。会社を設立するときは、発起人の定めた銀行(発起人の個人口座)などに資本金となる金銭を発起人自身が払い込まなくてはなりません。

資本金払い込みの時点では会社の銀行口座は存在していませんので、発起人個人の銀行口座などが必要になることに注意しましょう。資本金の払い込みは、会社設立で取り決めた株式の引受数に基づいて行われます。

発起人個人の銀行口座・通帳のコピーをとる

資本金の払い込みが完了したら、所定の口座に会社設立時に取り決めた金額が振り込まれた証明が必要です。通帳があれば払い込み内容と金額がわかるページ、銀行口座番号などが記載されたページのコピーをとります。

インターネットバンキングを利用して払い込んだ場合は、銀行口座番号や名義人、払い込みの内容や金額がわかる明細書などのページを代わりに印刷します。

払込証明書を作成する

払込証明書は、出資金の払い込みを証明するための書類です。払込金額の総額、払込株数、1株あたりの払込金額、払込日付、本店所在地、会社名、代表取締役の氏名を記載して作成します。

会社設立時の資本金の払い込み方法について詳しく知りたい方は、こちらの記事もご参照ください。

資本金を入金したときの仕訳は?

資本金の入金は発起人個人の銀行口座などに行われます。入金時点では会社の銀行口座が存在していないため、以下の仕訳例のように、一旦法人に帰属する現金として受け、貸方に資本金(資本準備金がある場合は資本準備金も記載)をもってきます。

(例)会社設立にあたり、発起人が資本金100万円を発起人の個人口座に払い込んだ。なお、全額を資本金にするものとする。

借方
貸方
現金
1,000,000円
資本金
1,000,000円

次の仕訳は、発起人の個人口座の資金を、会社の預金口座に入金したときの仕訳です。資本金を当座預金以外の資産に充てた場合は、建物や土地などの資産の科目に振り替えます。

(例)会社の当座預金を開設したため、会社設立時に払い込まれた資本金100万円を当座預金に全額払い込んだ。

借方
貸方
当座預金
1,000,000円
現金
1,000,000円

会社設立時の資本金額は慎重に検討しましょう

資本金を考えるうえではさまざまな基準がありますが、決めるときには前述の順位で考えてみてはいかがでしょうか。

1.初期投資と運転資金 2.受けたい融資金額 3.許認可が取れるか

それらをすべてクリアしたうえで、1,000万円以下で済むのであれば、税負担が大きくなるので1,000万円以下で十分問題ないかと思います。

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よくある質問

資本金とは?

資本金とは、事業者が準備した会社の運転資金(設備投資含む)のことです。詳しくはこちらをご覧ください。

資本金はいくらにすべき?

1.初期投資と運転資金 2.受けたい融資金額 3.許認可が取れるかの観点から資本金の金額を考えるとよいでしょう。詳しくはこちらをご覧ください。

資本金によって税金が変わる?

法人住民税のうち均等割は、会社の資本金の額と常時雇用している従業員の人数でその金額が決まります。法人住民税の均等割の最低金額は資本金1000万円以下、従業員数50人以下で7万円です。詳しくはこちらをご覧ください。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岩波 竜太郎 (公認会計士 / 税理士 / 経営学修士)

公認会計士・税理士・経営学修士。大手監査法人、ベンチャー企業を経て、2015年に独立開業。大手監査法人での海外経験や管理本部長としての幅広い経験を武器に会計アドバイザリー業務を主たる業務として行うとともに、東証1部上場企業である株式会社OrchestraHoldingsの社外役員をはじめ、経営アドバイザーとして複数の企業に関与。Webメディア等の記事執筆・監修業務も積極的に行っている。

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