- 更新日 : 2026年7月15日
ケーキ屋の開業方法は?必要な営業許可や資金、手続きを解説
ケーキ屋の開業には700万〜1,500万円の初期費用と菓子製造業許可が必要です。
- 初期費用700万〜1,500万円
- 菓子製造業許可と食品衛生責任者必須
- 月100万〜300万円の運営費
Q. ケーキ屋は資格がなくても開業できる?
A. パティシエ資格は不要ですが、食品衛生責任者の設置と菓子製造業許可の取得が必要です。
個人事業主としてケーキ屋の開業を考えた場合、まずはどの程度の資金が必要なのかを考える必要があります。また、営業許可や開店までの手続きについても把握しておかなければなりません。
この記事では個人事業主がケーキ屋の開業をするまでの手続きや資金について解説します。開業資金の目安、そして儲けについてもご紹介しますので参考にしてください。
目次
ケーキ屋の開業資金の目安は?
ケーキ屋の開業資金は、物件取得費、内装工事費、製菓設備費、ショーケース、包装資材、材料仕入れ費などで構成されます。小規模店舗でも数百万円規模の資金が必要になり、開業後は家賃や人件費、材料費などのランニングコストも継続して発生します。
初期費用は700万〜1,500万円程度が目安になる
ケーキ屋の初期費用は、小規模店舗で700万〜1,500万円程度が一つの目安です。テイクアウト専門の小さな店舗であれば700万〜1,000万円程度に抑えられる場合もありますが、イートインスペースを設ける場合や、スケルトン物件から厨房・売場を整える場合は1,500万円を超えることもあります。
主な内訳は、以下のとおりです。
- 物件取得費:100万〜300万円程度
- 内装工事費:200万〜600万円程度
- オーブン・ミキサー・冷蔵庫などの製菓設備費:200万〜500万円程度
- 冷蔵ショーケース・レジ・陳列棚などの販売設備費:100万〜300万円程度
- 型、ボウル、天板、調理器具などの備品費:30万〜100万円程度
- 小麦粉、卵、乳製品、果物などの初期仕入れ費:30万〜100万円程度
- 箱、袋、保冷剤、ラベルなどの包装資材費:20万〜80万円程度
- 看板、Webサイト、SNS広告などの広告宣伝費:20万〜100万円程度
- 営業許可申請や各種手続きにかかる費用:数万円〜数十万円程度
ケーキ屋では、製造用の厨房設備と、商品をきれいに見せる冷蔵ショーケースが重要です。設備費を抑えすぎると製造量や品質管理に影響するため、販売計画に合った投資が必要です。
ランニングコストは月100万〜300万円程度を見込む
開業後のランニングコストは、店舗規模や製造量、スタッフ数によって変わりますが、月100万〜300万円程度を見込んでおくとよいでしょう。ケーキ屋は、乳製品、卵、チョコレート、果物などの材料費に加え、冷蔵・冷凍設備を常時稼働させるため、水道光熱費もかかりやすい業態です。
主な内訳は、以下のとおりです。
ケーキ屋は季節イベントによって売上が伸びやすい一方、売れ残りによる廃棄ロスも発生しやすい業態です。材料費だけでなく、廃棄率や予約販売の割合も含めて収支を管理しましょう。
開業資金とは別に3〜6か月分の運転資金を用意する
ケーキ屋は、開業直後から十分な来店数を確保できるとは限りません。そのため、初期費用とは別に3〜6か月分の運転資金を用意しておくことが重要です。
運転資金の目安は、以下のように考えます。
- 月のランニングコストが100万円の場合:300万〜600万円程度
- 月のランニングコストが150万円の場合:450万〜900万円程度
- 月のランニングコストが200万円の場合:600万〜1,200万円程度
開業時に内装や製菓設備へ資金を使いすぎると、開業後の家賃、材料費、人件費の支払いに困る可能性があります。資金計画では、初期費用、毎月の固定費、材料費、廃棄ロス、借入返済額を分けて試算しましょう。
ケーキ屋開業に必要な資格・許認可は?
ケーキ屋を開業する際、パティシエ資格や製菓衛生師の資格が必須というわけではありません。ただし、食品を製造・販売する以上、食品衛生責任者の設置や、保健所の営業許可が必要です。販売方法やイートインの有無によって必要な許可が変わるため、開業前に管轄の保健所へ相談しましょう。
食品衛生責任者
ケーキ屋を営業するには、店舗ごとに食品衛生責任者を置く必要があります。食品衛生責任者は、食材の管理、厨房や設備の衛生管理、従業員への衛生指導などを担う責任者です。調理師、栄養士、製菓衛生師などの資格を持つ人は食品衛生責任者になれる場合があります。資格がない場合でも、各自治体や食品衛生協会などが実施する食品衛生責任者養成講習会を受講すれば取得できます。
菓子製造業許可
ケーキ、焼き菓子、パンなどを店舗で製造して販売する場合は、原則として「菓子製造業」の営業許可が必要です。東京都保健医療局の営業許可種類一覧でも、菓子製造業は食品衛生法上の許可業種として示されています。許可を受けるには、厨房の区画、手洗い設備、シンク、冷蔵・冷凍設備、保管設備など、施設基準を満たす必要があります。物件契約や内装工事の前に、図面を持って保健所へ相談しておきましょう。
参考:改正食品衛生法の営業許可と届出(令和3年6月1日から施行)|東京都保健医療局
飲食店営業許可
店内でケーキ以外の食事を調理して提供する場合や、カフェ営業を本格的に行う場合は、飲食店営業許可が必要になることがあります。一方で、自治体によっては、菓子製造業の許可を受けた施設で、購入した菓子やパンに飲料を添えて施設内で提供する場合、飲食店営業許可を要しないと案内している例もあります。営業形態によって扱いが変わるため、イートインを設ける場合は必ず保健所に確認しましょう。
菓子製造業許可や飲食店営業許可の申請は、保健所窓口のほか、厚生労働省の食品衛生申請等システムからオンラインで行うこともできます。このシステムは、営業許可申請、営業届出、食品等自主回収報告などをオンラインで行うための仕組みです。
ケーキ屋開業の流れは?
ケーキ屋を開業するには、コンセプト設計、資金計画、物件選び、設備準備、営業許可の取得、集客準備を順番に進める必要があります。ケーキ屋は、製造設備や冷蔵管理、衛生基準が重要になるため、物件契約や内装工事の前に保健所へ相談しておきましょう。
1. コンセプトとターゲットを決める
まず、どのようなケーキ屋にするのかを明確にします。テイクアウト専門、カフェ併設型、焼き菓子中心、記念日向けホールケーキ中心、ギフト需要向けなど、業態によって必要な設備や商品構成が変わります。あわせて、ファミリー層、会社員、学生、観光客、ギフト利用者など、主なターゲットを決めましょう。コンセプトが曖昧だと、物件選びや価格設定、商品開発に一貫性がなくなりやすくなります。
2. 事業計画と資金計画を作成する
開業費用と毎月の運営費を見積もります。ケーキ屋では、物件取得費、内装工事費、オーブン・ミキサー・冷蔵庫などの製菓設備費、ショーケース、包装資材、材料仕入れ費、広告費などが必要です。開業後は、家賃、人件費、材料費、水道光熱費、包装資材費も継続して発生します。融資を利用する場合は、想定客数、客単価、月商、原価率、返済計画を事業計画書にまとめておきましょう。
3. 物件を選び、保健所に事前相談する
ケーキ屋は、製造スペースと販売スペースの両方が必要になるため、物件選びが重要です。駅前や住宅街、商業施設周辺など、ターゲットが来店しやすい立地を選びましょう。物件契約前には、菓子製造業許可に必要な厨房区画、手洗い設備、シンク、冷蔵・冷凍設備、換気設備などを満たせるか確認します。後から改修費が増えないよう、図面を持って管轄の保健所に相談しておくことが大切です。
4. 製菓設備・内装・商品メニューを準備する
物件が決まったら、オーブン、ミキサー、冷蔵庫、冷凍庫、作業台、ショーケース、レジ、包装資材などを準備します。あわせて、ショートケーキ、チョコレートケーキ、焼き菓子、季節商品、ホールケーキなどの商品構成を決めます。ケーキ屋は廃棄ロスが出やすいため、最初から品数を増やしすぎず、売れ筋を見ながら調整することが重要です。
5. 営業許可を取得し、集客準備をして開業する
ケーキを製造・販売する場合は、原則として菓子製造業許可が必要です。カフェ営業を行う場合は、飲食店営業許可が必要になることもあります。許可取得後は、Googleビジネスプロフィール、Instagram、Webサイト、予約フォーム、チラシなどで開業告知を行いましょう。開業後は、売れ筋商品、廃棄率、客単価、リピート率を確認しながら、商品構成や販売数を改善していくことが大切です。
ケーキ屋は儲かる?平均年収は?
ケーキ屋の平均年収は、個人経営か法人経営か、店舗規模、立地、製造量、廃棄ロス、人件費によって大きく変わります。公的統計で「ケーキ屋経営者の平均年収」を直接示す資料は限られるため、菓子小売業の収益性を参考にしながら、売上と利益から現実的な目安を考える必要があります。
個人経営のケーキ屋は年収200万〜500万円程度が一つの目安
個人経営の小規模なケーキ屋では、経営者の年収は200万〜500万円程度が一つの目安です。日本政策金融公庫の業種別経営指標では、「菓子小売業(製造小売)」の売上高営業利益率は平均でマイナス4.2%、黒字かつ自己資本プラス企業の平均で3.6%とされています。つまり、すべての店舗が十分な利益を出せているわけではなく、黒字店でも売上に対して残る営業利益は大きくありません。
年商2,000万円なら営業利益は70万円前後にとどまる可能性がある
黒字店の売上高営業利益率3.6%を前提にすると、年商2,000万円の店舗では営業利益は約72万円、年商5,000万円では約180万円、年商1億円では約360万円です。ただし、個人経営では経営者自身の働き分が人件費に含まれていない、または家族労働で支えている場合もあります。そのため、実際の年収は「営業利益+経営者が給与・生活費として取る金額」で考える必要があります。
年収600万円以上を目指すには高単価商品や予約販売が重要
ケーキ屋で年収600万円以上を目指すには、単に販売数を増やすだけでなく、利益率を高める工夫が必要です。誕生日ケーキ、ギフト用焼き菓子、季節イベント商品、予約販売、法人向け手土産などを組み合わせると、客単価を上げやすくなります。
一方で、ケーキ屋は人件費や廃棄ロスの負担が大きく、日本政策金融公庫の同指標でも「菓子小売業(製造小売)」の人件費対売上高比率は平均37.6%とされています。売上を伸ばしても、人件費やロスが増えれば経営者の手取りは増えにくいため、製造数の管理と予約比率の向上が重要です。
ケーキ屋として成功するためのポイントは?
ケーキ屋は、味や見た目の良さだけで成功できるとは限りません。材料費、人件費、廃棄ロス、季節変動を管理しながら、継続的に選ばれる商品づくりと集客を行う必要があります。特に小規模店では、売れ筋商品を見極め、無理なく利益が残る運営にすることが重要です。
看板商品と利益が残る商品を分けて設計する
ケーキ屋では、ショートケーキやホールケーキなどの看板商品が集客につながります。ただし、果物や生クリームを多く使う商品は原価や廃棄リスクが高くなりやすい点に注意が必要です。焼き菓子、ギフト商品、予約制ホールケーキなど、日持ちしやすく利益を確保しやすい商品も組み合わせましょう。
廃棄ロスを前提に製造数を管理する
ケーキ屋で失敗しやすい原因の一つが、作りすぎによる廃棄ロスです。生菓子は日持ちしにくいため、売れ残るとそのまま利益を圧迫します。曜日、天候、イベント、季節ごとの販売数を記録し、製造量を調整することが大切です。予約販売や取り置き注文を増やせば、売れ残りを減らしやすくなります。
イベント需要とリピーター施策を活用する
ケーキ屋は、誕生日、クリスマス、バレンタイン、母の日などのイベント需要を取り込むことが重要です。季節限定商品や予約特典を用意し、InstagramやLINE公式アカウントで事前告知しましょう。また、購入履歴に応じたクーポン、ポイントカード、次回予約の案内を行うことで、再来店につなげやすくなります。
立地に合った販売方法を選ぶ
住宅街なら家族向けのホールケーキや焼き菓子、駅前なら手土産や一人用ケーキ、オフィス街なら差し入れ需要など、立地によって売れる商品は変わります。来店客数が少ない立地では、EC販売、催事出店、法人向け注文、デリバリーなどを組み合わせ、店舗だけに依存しない売上づくりを考えることが大切です。
ケーキ屋経営の確定申告は?
個人事業主としてケーキ屋を経営するのであれば、確定申告が必要です。
ケーキ屋経営で確定申告が必要な場合とは
確定申告は、個人事業やフリーランスの方が得た所得(事業所得)、土地やアパートを賃貸して得た所得(不動産所得)などの合計が所得控除額を超えた場合に行います。基本的に事業を営んでいるのであれば確定申告は必要と考えておきましょう。
確定申告の方法
確定申告は対象となる年の翌年2月16日~3月15日の間に行います。確定申告書に必要事項を記載し、管轄の税務署に提出してください。
提出の方法は以下の通りです。
- 電子申告
- 郵送・持参で申告
確定申告についての詳細は以下もご覧ください。
設備や確定申告についてしっかり理解した上で、ケーキ屋を開業しよう!
個人がケーキ屋を開業する場合、最も不安に思うのが開業資金ではないでしょうか。なるべく節約したいのであれば、中古の機器を選び、内装・外装工事は複数の会社から見積もりを取って納得した上で決定するようにしましょう。
また、開業までには食品衛生管理者、菓子製造業許可や飲食店営業許可など必要な免許や許可がいくつもあります。開業に間に合うように、余裕を持ったスケジュールで申請することを心がけてください。
よくある質問
ケーキ製造販売スペースとイートインスペースを作りたい場合にはどの許可を取ればいい?
菓子製造業許可と飲食店営業許可を取ってください。詳しくはこちらをご覧ください。
食品衛生責任者講習は誰でも受けなければいけない?
調理師、栄養士、製菓衛生師の免許保有者は講習会の受講は不要です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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