• 更新日 : 2022年8月10日

電子定款の作り方・認証の流れを徹底解説

PDFファイルによる電子定款で定款申請ができるということはご存知でしょうか。印紙税法からすると電子定款は文書扱いにはならないため、収入印紙4万円が不要になる一方、作成および認証手続きには時間もコストもかかります。しかし、必要な機器や数万円もするPDF変換ソフトを持っていない場合には、電子認証のみを司法書士や行政書士に依頼することで費用の一部をセーブすることが可能です。

電子定款とは

定款とは会社の目的や業務執行、組織などの基本規則を記したものです。定款は、それに記されているかどうかで法的効力が大きく異なる内容も含まれており、会社を設立する手続きの際には必ず作成・認証されなければなりません。以前は書面による定款のみでしたが、PDF化された電子定款が認められるようになりました。

電子定款のメリットは、紙の定款の作成時には必要な印紙代がかからないことです。印紙税は4万円にもなりますので経費節約になります。

電子定款を作成する事前準備

電子定款をつくる前に、定款の内容を作成しなければいけません。Wordファイルなどで定款をつくったら、早速電子定款にする準備を始めましょう。

電子定款は認証申請を一度してしまうと、訂正や再申請に手間がかかりますので、注意が必要です。株式会社を設立する際には、約5万円の申請料を再度支払うことにもなりかねませんので、訂正がないように、念には念を重ねておくことが必要です。

おすすめは、定款を作成した時点で、一度公証役場や法務局にチェックしてもらうことです。プロの目で、定款に誤りなどがないかをチェックしてもらうと良いと思います。

チェックしてもらうためには、事前に会社設立の定款チェックの依頼を、電話などでお願いしておくといいでしょう。直接行けない場合には、FAXなどでも依頼できます。

また、電子定款をつくる際には、機材やソフトも必要になります。PDFファイルの作成をする際にも、署名が可能なソフトでなければいけませんので、Adobe Acrobatなどのソフトを購入する必要があります。

ICカードリーダライタや、住基カード、電子証明書も必要になりますので、きちんと準備してからとりかかりましょう。

住基カードなどを持っていなければ、一から作らなければいけません。ただし、平成28年1月より導入が決定されたマイナンバー制度の影響で、住民基本台帳カードの新規発行は行われていないようです。そのため、個人番号カードをつくる必要性が出てきますので注意してください。

また、Adobe Acrobatのソフトや、カードリーダライタなどの機器を購入すると、印紙代の4万円相当に値することもあります。電子定款にするかどうかは、これらの機材をもともと持っている場合にのみしか、メリットは感じられないかもしれません。

電子定款の作り方

定款のドラフトにOKが出たら、電子定款の作成です。まず、清書した定款を電子署名が可能なPDF作成ソフトを使ってPDFに変換します。無料で入手できるAdobe Readerでは、電子定款を作成することはできないので注意しましょう。PDFに変換した電子定款に電子署名を加えるには、電子証明書を市区町村の交付窓口で取得することが必要です。

電子署名は実印を捺印すること、電子証明書は実印の印鑑証明書のようなもので、発行してもらうには、1.電子証明書の交付を依頼する申請書、2.個人番号カード、3.交付手数料が必要となります。

住民基本台帳カード(住基カード)や個人番号カードは電子証明書の保存に使用されるため、扱いには細心の注意が必要です。

準備が済んだら、公的個人認証サービスに対応しているICカードリーダライタを使い、住基カードや個人番号カードに保存された電子証明書を読み込みます。ICカードリーダライタを購入予定の方は、どのタイプのICカードリーダライタが必要か事前に確認が必要です。

あとは、法務省登記・供託オンライン申請システム上で無料配布されているPDF署名プラグインソフトを使って、保存した電子証明書を電子定款に埋め込み、電子定款を送信します。なお、電子定款への電子署名は代表者の署名のみで有効となります。

登記・供託オンライン申請システムのサイト

電子定款の送信後、公証役場で定款を受け取る際には、あらかじめ電話で訪問日時を伝えておく必要があります。また、以下の物を持っていかないと、定款を受け取れません。

・USBメモリなどの記録媒体
・電子定款をプリントアウトしたもの2通
・発起人など、全員の印鑑証明書
・電子署名をした発起人以外の委任状
・認証手数料 5万円
・身分証明書
・印鑑

以上のものを持って公証役場に行き、定款を受け取りましょう。この手順を終えることで、無事、定款の作成が完了します。

ここまでの作り方を確認して、手順が大変だと思われた人も多いかもしれませんが、行政書士や電子定款の作成代行サービスなどもあるようです。自身で行うのが難しく感じた場合は、プロに依頼するのもひとつの手です。

会社設立登記の依頼は、意外と費用は高くありません。基本的には1万円から数万円の費用で引き受けてくれる業者がほとんどですので、依頼をしたほうが、確実で安心かもしれません。

まとめ

電子定款の申請は、インターネット上の手続きですべてが完了するわけではなく、認証された電子定款は公証役場で受け取らなければなりません。印紙税の4万円を省けるというメリットもあり、今後は利用者が増えていくことが予想されます。少し面倒な点もありますが、機材や住基カードが揃っているのなら、自身で電子定款づくりに挑戦してみてもいいでしょう。電子定款が当然になるその前に、どうやって作成をするのか、作り方を知っておくと、将来役に立つかもしれません。

また、現在ほとんどの公証役場で電子定款の申請が可能となっていますが、設立する会社を管轄する公証人役場が電子定款を扱っているか、念のため確認したほうが良いでしょう。

よくある質問

電子定款とは?

会社の目的や業務執行、組織などの基本規則を記した定款をPDF化したものです。詳しくはこちらをご覧ください。

電子定款を作る前に注意すべきポイントは?

電子定款は認証申請を一度してしまうと、訂正や再申請に手間がかかりますので、定款を作成した時点で、一度公証役場や法務局にチェックしてもらうのがおすすめです。詳しくはこちらをご覧ください。

電子定款の作り方は?

清書した定款をPDFに変換し電子証明書を市区町村の交付窓口で取得、電子署名を加えます。その後保存した電子証明書を電子定款に埋め込み送信。公証役場で受け取ります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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