• 作成日 : 2022年7月29日

住所貸しとは?バーチャルオフィスの活用についてもわかりやすく解説

住所貸しとは?バーチャルオフィスの活用についてもわかりやすく解説

住所が必要な人に住所を貸す住所貸し。古くから個人間の契約に基づく住所貸しや、郵便私書箱の提供による住所貸しなどが行われてきました。最近は、法人設立のために住所を借りるケースが増えてきているようです。本記事では、住所貸しの基本について、住所貸しを利用する際の注意点、最近台頭著しいバーチャルオフィスの活用方法やバーチャルオフィスのメリット、さらにバーチャルオフィスを活用する際の注意点なども含めて解説します。

住所貸しとは

住所貸しとは、文字通り住所が必要な人に住所を貸す行為のことです。そもそも「住所」とは何なのか確認しましょう。

民法第22条は、住所について、「各人の生活の本拠をその者の住所とする」と定めています。「生活の本拠」とは、「その者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心」という判断が最高裁判決にてなされています。一般的な解釈をすると、個人にとっての住所とは、その人が生活する中心的拠点であると言えそうです。

一方、個人の住所と同様に、法人にも住所があります。法人を設立する際には、本店所在地として住所を指定する必要があり、この本店所在地として指定した住所が「法人の住所」です。なお、本店所在地には、自宅、賃貸マンション、店舗、事務所などを指定できるほか、レンタルオフィスや後述するバーチャルオフィスなどの住所を指定することも可能です。法律上、法人設立者に本店所在地として住所を貸すことも認められています。これが、現在一般的な意味で使われている法人に対する「住所貸し」です。

現在、法人を設立する際に「住所貸し」で住所を借り、本店所在地として指定している人が少なからずいます。その住所が、設立された法人の住所になります。

会社設立時には本店所在地を決める必要がある

繰り返しになりますが、会社設立時には本店所在地、すなわち「住所」を決める必要があります。では、会社の住所はどのように決めたらいいのでしょうか。

まず、会社の住所を決めるための法的なルールは存在しません。また、会社設立には事務所を構え、そこを住所としなければならないといったルールも存在しません。基本的には好きな場所を会社の住所にすることが可能ですが、以下のファクターを考慮する必要があります。

  • 会社の信用・ブランド
  • 許認可の有無
  • 営業範囲
  • 来客の有無
  • コスト
  • 社員の有無と数

例えば、来客が比較的多く、営業範囲が首都圏中心の建設会社を設立する場合、自宅を住所にするよりは都心部にオフィスを構える方がベターでしょう。そのように各種のファクターを考慮して会社の住所を決める必要があります。

なお、会社設立時の住所の決め方については、こちらの記事も併せてご覧ください。

住所貸しは違法ではない

ところで、住所貸しは違法ではないのでしょうか。住所貸しという行為や事業そのものについては何ら違法性はありません。それゆえ、住所貸しで住所を借りて法人を設立し、事業を開始すること自体はまったく問題ありません。

住所貸しそのものは違法ではないものの、バーチャルオフィスなどの住所貸しから住所を借りて、そこを拠点として利用する詐欺グループなどが違法行為に及ぶことがある点が問題視されているのです。実際に、バーチャルオフィスを拠点にした詐欺グループが、悪質な情報商材などを高額で販売し、警察に逮捕されるといった事件が発生しています。

また、バーチャルオフィスなどの住所貸しから住所を借りて、いわゆるマネーロンダリングを行うケースも散見されます。

住所貸し自体は違法ではなく、住所貸しから住所を借りて犯罪行為に及ぶことが違法なのです。また、人材派遣業や建設業などの業種では実店舗を構える必要があり、住所貸しから住所を借りて業務を行うことができない点にもご注意ください。

住所貸しを行う際の注意点

バーチャルオフィスなどを利用するのではなく、個人間で住所貸しをしても問題ないのでしょうか。個人間で住所貸しをしても特に問題や違法性はありませんが、以下の点に注意する必要があります。

住所が公開される

まずは、会社を設立して法人登記をすると会社の住所が公開される点です。法人の登記簿謄本には本店所在地(住所)が記載されるため、例えば友人の自宅を会社の住所にすると、友人の自宅住所が公開されてしまうことになります。またネットショップなどを運営する場合には、「特定商取引法に基づく表記」に住所を記載する必要があります。

商業的利用の禁止

特に賃貸物件の住所を住所貸しする場合、賃貸借契約の商業的利用の禁止条項に抵触する可能性が生じます。居住用の賃貸物件の場合、多くのケースで商業的利用の禁止がうたわれています。商業利用の事実が発覚すると、最悪の場合、賃貸借契約の解除に発展するリスクがあります。

引っ越しの可能性

また、住所の貸し手が引っ越しをしてしまう可能性にも注意する必要があります。仮に貸し手が引っ越しした場合、その住所を借りられなくなってしまうケースが多いでしょう。当然ながら、本店移転登記や銀行、役所関連の手続きなど、非常に煩雑になります。

バーチャルオフィスとは

では、ここで改めてバーチャルオフィスについて説明します。バーチャルオフィスは1960年代のアメリカで誕生した概念・ビジネスモデルで、個人や企業に対して物理的なオフィスではなくバーチャルなオフィスを提供する仕組みです。バーチャルは「仮想的」と訳されますが、文字通り物理的な空間ではなく、仮想的な空間を提供します。

バーチャルオフィスは「仮想的な空間」ですので、通常はオフィスやデスクは存在しません。バーチャルオフィスで利用者に提供されるのは、通常は住所だけです。

なお、バーチャルオフィスの利用については通常のオフィスの利用と同様、利用料を支払います。利用料の額はバーチャルオフィスの運営会社や場所、付随するサービスなどにより異なります。

レンタルオフィスとの違い

バーチャルオフィスはレンタルオフィスとどう違うのでしょうか。まず、レンタルオフィスにはバーチャルオフィスと違い、物理的なオフィスやデスクが存在します。レンタルオフィスの利用者は家賃や利用料を支払い、オフィスやデスクをレンタルします。物理的なオフィスやデスクの有無がバーチャルオフィスとレンタルオフィスの違いです。

一般的なレンタルオフィスでは、利用者が自由に使えるフリースペースや、複数の会議室、セミナールーム、カフェやラウンジなどが提供されています。また、コピー機やシュレッダーなどのオフィス機器や、バーチャルではないリアルなセクレタリー(秘書)、あるいは飲み放題のビールサーバーなどを用意しているレンタルオフィスも存在します。

バーチャルオフィスを活用するメリット

会社設立時には本店所在地(住所)を決める必要がある旨説明しました。また、本店所在地を決めるにあたっては、特にルールがないことも説明しました。リアルなオフィスを借りる、レンタルオフィスやシェアオフィスを借りる、自宅を会社住所にする等々、特に起業などで会社を設立する際、会社の住所を決める上での選択肢は複数あります。その複数ある選択肢の中からバーチャルオフィスを選ぶ人が少なからずいるのはなぜなのでしょうか。ここでは、特に起業家がバーチャルオフィスを活用するメリットについて、以下の4つの点から説明します。

法人登記ができる

バーチャルオフィスを活用する第一のメリットは、法人登記ができる点です。上述の通り、会社設立時には本店所在地を決める必要があります。逆に言えば、本店所在地が決まらないと法人登記ができないことになります。バーチャルオフィスを活用することで、法人登記が可能になります。また、バーチャルオフィスを活用すれば、自宅を本店所在地にすることで自宅住所が公開されてしまうといった事態を避けることが可能になります。

なお、バーチャルオフィスを使って法人登記をする際には、銀行口座の開設手続きや、郵便物の処理の仕方などに注意する必要があります。バーチャルオフィスを使って法人登記をする際のポイントなどについては、こちらの記事をご確認ください。

様々なサービスが利用できる

また、単に住所を借りるだけでなく、最近のバーチャルオフィスでは下記のような様々なサービスを利用できます。

  • 郵便物受取・保管・転送サービス
  • 宅配便受取サービス
  • 私書箱
  • 電話受付・転送サービス
  • 会員専用会議室
  • セミナールーム
  • ロッカールーム

また、郵便物や宅配便の到着を携帯メールで知らせてくれるサービスや、オンラインによる会議室予約システム、税理士などの専門家によるオンライン相談会などが利用できるバーチャルオフィスもあります。なお、多くのバーチャルオフィスでは、上記のような付帯サービスは別料金になっています。

信用度が上がる

会社の信用度が上がる点もバーチャルオフィスを活用するメリットの1つです。バーチャルオフィスの多くは、東京、大阪、名古屋、博多といった日本各地の主要都市に拠点を置いています。例えば東京では、渋谷、新宿、日本橋、六本木、銀座といった一等商業地の住所を利用できます。一等商業地に住所を置くことが営業活動に有利に働く可能性もあります。初対面の商談相手に対しては、一等商業地に会社の住所があることで相応のインプレッションを与えることができるでしょう。特に地方出身の起業家が東京でビジネスを始めるといった場合に、このメリットは大きいと言えます。

初期費用が抑えられる

起業時の初期投資を抑えられるのもバーチャルオフィス活用のメリットです。例えば、リアルなオフィスを構えて会社を設立した場合、場所や物件の中身にもよりますが、物件取得費用や内外装費、あるいは保証金や家賃などで相当のコストが必要になります。一方、バーチャルオフィスであれば一定額の初期費用だけで済むので、コスト的にも楽です。一般的には、初期費用が数万円程度のバーチャルオフィスが多いようです。

さらに、バーチャルオフィスであれば毎月の利用料も安く抑えられます。リアルなオフィスを構えた場合、毎月相応の家賃を支払う必要が生じます。また、家賃などの固定費に加えて、水道光熱費なども発生します。バーチャルオフィスであればそうした費用は利用料に含まれているので、コストを抑えることが可能です。また、付帯サービスについても、多くのバーチャルオフィスでは利用したサービス分のみの請求になり、負担が軽く済みます。一般的に、利用料として月額5千円から1万円程度を支払うケースが多いようです。

バーチャルオフィスを活用する際の注意点

メリットが多いバーチャルオフィスですが、実際に活用する際には注意点があります。

業種によってはバーチャルオフィスが利用できない

業種によってはバーチャルオフィスを利用できない点が第一の注意点です。例えば、人材派遣業、建設業、不動産業、税理士・司法書士などは業の遂行に必要な許認可を得られない可能性があります。そうした業種に属するケースでは、バーチャルオフィスを利用する前に関係機関に確認しておくべきです。

銀行口座が作れない場合がある

バーチャルオフィスによっては銀行口座が作れない場合がある点が第二の注意点です。特に、過去に詐欺やマネーロンダリングなどの犯罪に使われたことがあるバーチャルオフィスなどでは、銀行口座の開設を拒否されるケースが少なくないようです。中でも、激安系のバーチャルオフィスではそうしたリスクが高いと考えられます。

融資が出にくくなる可能性がある

リアルなオフィスを構える会社よりも、バーチャルオフィスに住所を置く会社の方が、金融機関からの融資が出にくくなる可能性がある点にも注意が必要です。特に過去に犯罪に使われたことがあるバーチャルオフィスでは、そうしたリスクが高くなる傾向があります。

バーチャルオフィスでリーンスタートを

以上、住所貸しの基本について、バーチャルオフィスに関するトピックスを中心に解説しました。スピーディーな法人登記や初期投資を抑えられる点、さらには信用の向上、利用できる多様なサービスなど、バーチャルオフィスは特にスモールスタートでビジネスを始める起業家にはうってつけです。アメリカではスモールスタートでビジネスを始めることをリーンスタートアップと言いますが、バーチャルオフィスは、リーンスタートアップのための優れたビークルであると言えるでしょう。上述のバーチャルオフィスを活用する際の注意点に留意しつつ、バーチャルオフィスを上手に活用し、あなたのビジネスを成功裏にスタートさせてください。

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よくある質問

住所貸しとは?

住所貸しとは、文字通り住所が必要な人に住所を貸す行為のことです。個人や法人に住所を貸すバーチャルオフィスがその代表格です。今日、ビジネスの現場で住所貸しと言えば、まずバーチャルオフィスを指します。詳しくはこちらをご覧ください。

バーチャルオフィスとは?

バーチャルオフィスは、個人や企業に対して物理的なオフィスではなくバーチャルなオフィスを提供する仕組みです。バーチャルは「仮想的」と訳されますが、文字通り物理的な空間ではなく仮想的な空間を提供します。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:前田 健二(経営コンサルタント)

大学卒業と同時に渡米し、ロサンゼルスでビジネスを立ち上げる。帰国後は複数のベンチャー企業のスタートアップ、経営に携わり、2001年、経営コンサルタントとして独立。事業再生、海外市場進出、コンテンツマーケティングなどを中心に指導を行っている。米国のベストセラー『インバウンド マーケティング』(すばる舎リンケージ)の翻訳者。明治学院大学院経済学部経営学科博士課程修了、経営学修士。

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