• 作成日 : 2024年6月14日

取締役会・監査役(業務監査制限)会社の定款とは?ひな形を基に書き方を解説

取締役会・監査役(業務監査制限)会社を設立する際、定款に総則や取締役・代表取締役などを記載します。また、監査役の権限を会計監査に限定する旨も記載しなければなりません。

本記事では、サンプル・ひな形の例を参考に、取締役会・監査役(業務監査制限)会社の定款に記載する絶対的記載事項・相対的記載事項や、定款変更方法を解説します。

取締役会・監査役(業務監査制限)会社の定款とは?

定款とは、会社の基本的なルールにあたる書類です。取締役会・監査役(業務監査制限)会社を設立するにあたって、定款を作成しなければなりません。

定款作成時に別途記載すれば、監査役の業務監査権限を制限して会計監査権限のみを与えられます。業務監査とは、取締役の職務執行が法令や定款に違反していないかチェックする役割で、会計監査とは株主総会に提出する貸借対照表損益計算書などの書類を監査する役割のことです。

定款の記載事項には、絶対的記載事項・相対的記載事項・任意的記載事項があります。ここから、絶対的記載事項の概要や、定款を作成して会社を設立するまでの流れについて確認していきましょう。

定款の必須項目(絶対的記載事項)

定款の必須項目(絶対的記載事項)は、以下のとおりです(会社法第27条)。

  • 目的
  • 商号
  • 本店の所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額・その最低額
  • 発起人の氏名・名称・住所

絶対的記載事項は、記載しないと法律上定款自体が無効となる項目のことです。それに対し、相対的記載事項は定款に記載しないと効力が生じないもの、任意的記載事項は記載するかしないか当事者に任されているものを指します。

参考:e-Gov 会社法 第二十七条

定款作成~会社設立の流れ

定款を作成し、取締役会・監査役(業務監査制限)を設立するまでの流れは、以下のとおりです。

  1. 会社概要を決定する(社名・所在地・資本金・事業目的など)
  2. 定款を作成する
  3. 定款の認証を受ける
  4. 発起人の個人口座に資本金を払込む
  5. 法人設立の登記を申請する

なお、2015年5月1日より、「監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する旨の定款の定めがある旨」が登記事項になりました(会社法第 911 条第3項第17号イ)。つまり、監査役の業務を会計監査に限定する(業務監査権限を与えない)場合は、その旨を登記申請時に記載しなければなりません。

参考:e-Gov 会社法 第九百十一条

取締役会・監査役(業務監査制限)会社の定款テンプレート・ひな形

取締役会・監査役(業務監査制限)会社の定款とは?ひな形を基に書き方を解説

取締役会・監査役(業務監査制限)会社の定款には、盛り込まなければならない事柄がいくつもあります。そこで、定款を作成する際は、テンプレートやひな形を活用することがポイントです。

以下では、取締役会・監査役(業務監査制限)会社における、定款のテンプレートをダウンロードできます。監査役の業務を制限する際に、どのように定款を作成すればよいかわからない方も参考にしてください。

取締役会・監査役(業務監査制限)会社の定款の書き方

取締役会・監査役(業務監査制限)会社の定款を作成する際は、以下の項目を盛り込みましょう。

  • 総則
  • 株式
  • 株主総会
  • 取締役および代表取締役
  • 監査役
  • 計算
  • 附則

それぞれの書き方を紹介します。

総則

定款の「総則」に盛り込む主な内容は、以下のとおりです。

  • 商号
  • 目的
  • 本店所在地(例:本店を●●県●●市に置く)
  • 公告方法
  • 機関構成

主な公告方法として、官報・日刊新聞紙・電子公告が挙げられます。また、取締役会・監査役(業務監査制限)会社の場合、機関構成に株主総会・取締役・取締役会・監査役を設置することを記載しましょう。

株式

定款の「株式」には、主に以下の内容を盛り込みます。

「株式の譲渡制限」には、取締役会の承認を得なければ株式譲渡による取得を認めないことを記載します。また、「基準日」とは、いつの時点で議決権を有する株主が権利を行使できるか定めたものです。

株主総会

定款の「株主総会」に盛り込む内容は、主に以下のとおりです。

  • 招集時期(例:毎事業年度の終了後3ヶ月以内に招集する)
  • 招集通知
  • 招集権者
  • 株主総会の議長
  • 株主総会の決議
  • 決議の省略
  • 議事録

「株主総会の決議」では、株主総会の決議に必要な株主の人数を記載します。また、「議事録」に記載するのは、議事録の作成方法や備え置きの期間などです。

取締役および代表取締役

定款の「取締役および代表取締役」には、以下の項目を記載します。

  • 取締役の員数
  • 取締役の選任
  • 取締役の解任
  • 取締役の任期
  • 代表取締役および社長
  • 取締役会の招集権者および議長

「代表取締役および社長」には、代表取締役の定め方や業務などを盛り込みます。また、その他の役員(取締役会長・取締役副社長・専務取締役・常務取締役)の定数なども、ここに記載しましょう。

そのほか、株主総会と同様に「取締役会の決議方法」や「議事録」などについても記載します。

監査役

定款の「監査役」に記載する項目は、主に以下のとおりです。

  • 監査役の員数および選任
  • 監査役の報酬および退職慰労金

また、取締役会・監査役(業務監査制限)会社は定款で監査役の役割を制限することを記載しなければなりません。そこで、「会計に関する事項のみについて監査する権限を有する」などの文言を盛り込むことが一般的です。

計算

定款の「計算」には、以下の項目を記載します。

  • 事業年度(例:毎年●月1日から翌年●月末日までの年1期とする)
  • 剰余金の配当

「剰余金の配当」では、配当の対象者を記載します(例:毎事業年度末日時点で最終の株主名簿に記載または記録された株主または登録株式執権者)。また、剰余金の配当が一定期間経過しても受領されない場合の対応についても記載が必要です。

附則

定款の「附則」に記載する項目は、主に以下のとおりです。

  • 設立に際して出資される財産の価額
    (例:出資される財産の価格は、金●●●万円とする)
  • 最初の事業年度
  • 設立時取締役
  • 発起人の氏名
  • 法令の準拠
    (例:この定款に規定のない事項は、全て会社法およびそのほかの法令に従う)

「附則」まで記載したら、最後に作成日の日付や発起人の住所氏名を記入し、押印しましょう。

取締役会・監査役(業務監査制限)会社の「事業目的」の記載例

取締役会・監査役(業務監査制限)会社が定款に記載する「事業目的」は、業種によってさまざまです。

たとえば、飲食業であれば以下のような事業目的が考えられます。

  • 飲食店の経営
  • 外食事業展開
  • 飲食店開発の企画およびコンサルティング

また、製造業における主な事業目的は以下のとおりです。

  • 日用品の製造
  • 機械およびその部品の設計、製作並びに販売
  • アパレル製品の企画・製造・販売

さらに、サービス業では以下のような事業目的が挙げられます。

なお、事業目的を設定する際は、適法性・営利性・明確性を意識することが重要です。

取締役会・監査役(業務監査制限)会社の定款の変更方法

事業内容が変わる、監査役の権限を制限するなどで定款を変更する際は、株主総会の特別決議で承認を得なければなりません。定款変更の都度、株主総会を招集するには手間がかかるため、急ぎでない限りはある程度項目をまとめてから進めた方がよいでしょう。また、変更する項目によっては、変更登記の申請も必要です。

定款の変更方法について、詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。

取締役会・監査役(業務監査制限)会社の定款を電子申請するには

取締役会・監査役(業務監査制限)会社の定款は、PDFファイル形式で保存してオンライン手続き(電子申請)できます。

電子申請する場合、紙で申請する場合と異なり収入印紙代がかからない点がメリットです。ただし、認証手数料はかかる点に注意しましょう。

電子申請の詳しい内容については、以下のサイトを確認してください。

取締役会・監査役(業務監査制限)会社も定款作成が必要

取締役会・監査役(業務監査制限)会社も、設立にあたって定款を作成します。また、監査役の役割を会計監査に限定する旨を定款に盛り込まなければなりません。

定款を作成する際は、法的に無効とされることを防ぐため、必ず絶対的記載事項を記載しましょう。一から定款を作成するのに手間がかかる場合は、テンプレートなどの活用も検討してください。


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