- 更新日 : 2024年1月9日
経営改革とは?4種類や支援例も紹介
経営改革は現代のビジネスに不可欠な要素です。競争激化や急速なテクノロジー進化に対応し、組織の持続的な成功を保つため、経営者は経営体制やビジネスモデルを再評価し、変革を進める必要があります。
今回は、経営改革の種類やチェンジマネジメントの重要性、中小企業向け経営革新支援について紹介します。
目次
経営改革とは?
経営改革とは、組織全体の持続的な成長や存続を目指すために、経営体制やビジネスモデルを見直して改革を推し進める経営者などの意思決定と行動を起こすことです。
近年、企業を取り巻く環境や評価は常に変化しています。IT革命やデジタル技術の急速な進歩によって評価が著しく変わるため、競合他社との競争に取り残されないようにしなければなりません。
スピード感がある市場競争の中で生き残るためにも、経営管理や事業環境などを見直して経営改革プランの構築が必要です。
経営改革の種類
経営改革の種類は、下記の通りです。
- グループ経営改革
- 企業経営改革
- 事業経営改革
- 機能経営改革
上記4つの経営改革には多くの特徴があるため、自社でどのような改革が必要なのか、経営理念や事業領域、取組状況などを見直すことで企業価値向上の可能性があります。以下では、4種類の経営改革について解説します。
グループ経営改革
グループ経営改革とは、子会社や孫会社などを有している企業が取り組む経営改革のことです。
もともと日本では、親会社と子会社、関連会社の経営は別で管理されていました。
グループ経営改革では、子会社や孫会社との連携を強化したり、全体の顧客リストを活用したりして企業価値の最適化を目指します。
また、子会社や孫会社を1つにまとめる方法もあります。子会社や孫会社の統合によって、各会社がもつノウハウを活用したり組織力を強化したりする他、より良いアイデアを出すことが狙いです。
企業経営改革
企業経営改革とは、将来的な企業としてのビジョンを明確にしたり、経営戦略や事業戦略の方向性を見直したりして企業の社会的・経済的な価値を向上させる方法です。DX推進や他者企業の買収、吸収合併する方法もあります。
企業は、最終的な目標となる将来的なビジョンを抱えています。将来的なビジョンを変更する場合は、企業活動の方向性をまるごと変更する必要があります。
また、競合他社や市場で取り残されないために、企業戦略の一環として市場調査を行ったりDXを推進したり、他者企業の買収や吸収合併などの改革を検討することもあるでしょう。
事業経営改革
事業経営改革とは、自社で取り組んでいるすべての事業を見直し、必要に応じて事業譲渡などの業務改革を行うことです。
事業戦略を再構築する過程で何らかの問題があった場合、このまま経営していても不利益を被るだけの状態になりかねません。スピード感のある市場競争で生き残るためには、需要がない事業を続けていても意味がないため、事業戦略の見直しをする必要があります。
事業戦略を見直す方法としては、事業譲渡を行い事業を他社に譲渡したり経営資源を見直して無駄を省いたりなどが一般的です。
機能経営改革
機能経営改革とは、自社企業やグループ会社の機能を横断的に見直す改革です。見直す機能として、開発や調達、生産、営業、物流、サービスなどが挙げられます。
横断的に機能を見直すことにより、グループ企業で一部事業の機能を統一化させたり、それぞれの会社がもつノウハウを活かして新たなアイデアを出したりして、機能面を改善していくことが目的です。
経営改革に重要なチェンジマネジメント
チェンジマネジメントとはマネジメント手法の1つで、企業の組織変革を効率良く進めて経営ビジョンを実現するために、経営層だけでなく従業員全員と足並みを揃えて組織改革に取り組みます。
チェンジマネジメントは、個人・プロジェクト・組織とといった単位で行われます。ここでは、経営改革成功のために重要なチェンジマネジメントについて説明します。
個人単位のチェンジマネジメント
個人単位で行われるチェンジマネジメントとは、従業員一人ひとりに変化を促して改革を進める手法です。
個人単位のチェンジマネジメントを行う上で重要になるのが、従業員一人ひとりの変化に対する姿勢・抵抗感によって、アプローチの方法を変えることです。
従業員の中には変化に抵抗を感じない人もいれば、変化を嫌う人や抵抗がありなかなか変化を受け入れられない人もいます。個人単位でのチェンジマネジメントでは、さまざまなタイプの従業員に対してどのようにアプローチやサポートをするかが大事になります。
プロジェクト単位のチェンジマネジメント
プロジェクト単位で行われるチェンジマネジメントとは、特定のプロジェクトおよびプロジェクトに参加しているメンバーに対して変革を促す方法です。プロジェクトに必要な変化・変革を明確にすることで、誰が変化・変革を起こすべきであるかをプロジェクトや個人に気づかせることができます。
メンバー内で変化や変革が必要な人を特定して変化を促すことにより、メンバー一人ひとりが自分の役割に気づき、メンバーで必要な変革を共有していくのがポイントです。
組織単位のチェンジマネジメント
組織単位で行われるチェンジマネジメントとは、ビジネス環境の変化に企業が対応し続けるために、市場分析や需要の動向といった視点から企業の経営体制の改革を促すことです。企業経営者が事業活動の全体を根本から見直すことで、組織レベルの向上を狙います。
組織単位でチェンジマネジメントを成功させるためには、個人単位・プロジェクト単位におけるチェンジマネジメントが必要不可欠です。
中小企業向け経営革新支援の例
中小企業が市場競争での存続を目指すにあたっては、中小企業向けの経営革新支援を受けることがおすすめです。ここからは、中小企業向けの経営革新支援の例を4つ紹介します。
出典:中小企業庁「経営サポート「経営革新支援」
出典:中小企業庁「経営課題を解決します。認定経営革新等支援機関を使ってみませんか」
経営改善計画策定支援事業
経営改善計画策定支援事業とは、経営改善を行う中小企業・小規模事業を対象に金融支援を行う事業のことです。具体的には、経営改善計画策定やモニタリングに必要な費用を支援してくれます。
金融支援が必要になる前の段階でも必要な費用を支援してくれるため、これから経営改善を行い根本的な部分から見直したい企業にもおすすめです。
出典:中小企業庁「経営課題を解決します。認定経営革新等支援機関を使ってみませんか」
出典:中小企業庁「経営改善計画策定支援」
事業承継補助金
事業承継補助金(中小企業生産性革命推進事業:事業承継・引継ぎ補助金)とは、事業承継やM&Aに伴う経営革新やM&Aによる経営資源の引継ぎ、事業の再チャレンジを検討している中小企業・個人事業主を後押しする経営革新支援です。
当支援は、上記の中小企業に加えて同一法人内で承継する予定の後継者候補による取り組みも対象となります。
事業継承や事業再編・事業統合に伴う経費を補助することで、国の経済を活性化させることが目的です。
出典:中小企業庁「経営課題を解決します。認定経営革新等支援機関を使ってみませんか」
出典:中小企業庁「中小企業生産性革命推進事業「事業承継・引継ぎ補助金」(六次締切)の公募要領を公表します」
先端設備導入計画
先端設備導入計画では、中小企業等経営強化法に規定されている中小企業が、設備投資によって労働生産性の向上を図ることを目的としています。
制度を利用するためには、導入促進基本計画の同意を受けた市区町村において新たに設備を導入する中小企業であること、事前確認を受けた計画であることが条件です。計画が認定されると、計画を実行する際に必要な支援が受けられます。
出典:中小企業庁「経営課題を解決します。認定経営革新等支援機関を使ってみませんか」
出典:中小企業庁「先端設備等導入計画策定の手引き( 令和5年度税制改正後 )」
中小企業経営力強化資金
中小企業経営力強化資金とは、認定経営革新等支援機関による指導・助言を受けた中小企業を支援する事業です。具体的には、経営革新や異分野の中小企業と連携した新事業分野の開拓、または会計に関する基本要領・会計の指針に沿って会計処理を行う中小企業の経営力・資金調達力の強化を図る支援です。
支援対象者が事業計画の実施に必要な設備資金および長期運転資金であることが、支援を受ける条件となります。
支援の限度額は7億2千万円です。ただし、中小企業の会計に関する基本容量や会計に関する指針を適用している・適用予定の企業、6か月程度の資金繰り予定表および部門別収支状況表を含む計画書を作成している企業は特別利率になり、2億7千万までとなります。
出典:中小企業庁「経営課題を解決します。認定経営革新等支援機関を使ってみませんか」
出典:日本政策金融公庫「中小企業経営力強化資金」
経営計画の成功には従業員へのサポートと支援制度の活用がポイント
経営改革は、経営者が組織全体の成長や生存を確保するために経営体制やビジネスモデルを変革するプロセスです。日々変化する環境に対応し、競争力を維持するために不可欠です。
経営改革の成功の鍵はチェンジマネジメントにあります。経営改革を進める中小企業向けの経営革新支援もあるため、適宜支援を活用するとよいでしょう。
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