• 作成日 : 2024年8月29日

【2024年】創業時の助成金・補助金一覧、国や自治体の支援制度

創業したばかりの会社やスタートアップ企業などでも利用できる助成金や補助金はあります。具体的にどのような助成金や補助金の申請ができるのか、今回は国や東京都、地方自治体の支援制度について紹介します。

創業時の助成金・補助金とは?

創業時の助成金・補助金とは、創業したばかりの会社でも利用できる助成金や補助金のことです。

助成金や補助金の中には、創業から間もない事業者に焦点を当てた内容の支援制度もあります。

補助金と助成金の違い

助成金も補助金も、国や地方自治体の支援制度で、公的な資金が財源となっている点は共通しています。

助成金は、要件を満たしたうえで申請することで基本的に決められた額を受給できる制度です。主なものとして、厚生労働省による雇用関係助成金制度があります。

補助金は、全体の補助金の額や採択数が基本的に決まっている制度です。

採択数の範囲内などで支給されるため、申請しても採択されないと受給できません。

主に政策目的を達成するための支援制度で、技術革新やIT化を支援する補助金や地方創生をサポートする補助金などがあります。

創業時に申請できる主な助成金・補助金

創業から間もない会社でも申請できる助成金や補助金として、主なものを7つ取り上げます。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金とは、非正規雇用の従業員の処遇改善や正社員化を支援する厚生労働省の助成金です。

2024年度(令和6年度)のキャリアアップ助成金には、以下のコースが設けられています。

  • 正社員化コース
  • 障害者正社員化コース
  • 賃金規定等改定コース:非正規労働者の賃金規定などを改定して一定程度賃金を増額させた場合
  • 賃金規定等共通化コース:非正規労働者と正社員について共通の賃金規定などを規定した場合
  • 賞与・退職金制度導入コース:非正規労働者の賞与や退職金制度を設けた場合
  • 社会保険適用処遇改善コース:非正規労働者の社会保険の適用と賃上げを実施した場合※2026年3月31日まで

創業時の申請で検討できるのは、賃金規定の整備が条件になる賃金規定等共通化コースや賞与・退職金制度の整備が条件になる賞与・退職金制度導入コースなどです。例えば、中小企業が賃金規定等共通化コースの要件を満たして申請した場合、1事業所当たり60万円の助成金を受給できます。

※助成金の額は、コースや企業の区分、取り組みの内容で異なります。

キャリアアップ助成金|厚生労働省

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)

人材確保等支援助成金は、労働環境の向上に取り組む事業主や事業協同組合などを支援する厚生労働省の助成金です。

建設分野に特化したコース、テレワークコースなどがあります。

人材確保等支援助成金の中でも雇用管理制度助成コースは、諸手当の制度やメンター制度、研修制度などの導入により雇用管理の改善に取り組む事業者向けの制度です。

申請後に助成金の対象となる雇用管理制度を導入し、実施期間と実施期間終了から1年を経過するまでの期間を比較した離職率が一定程度低下した場合に受給できます。

目標達成による助成金の額は57万円です。

※2022年4月1日より新期の整備計画の受付を休止しています。

人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)|厚生労働省

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金(一般型)は、常時使用する従業員20人以下の製造業者など、小規模事業者の制度変更に伴う取り組みを支援する制度です。

働き方改革やインボイス制度など、制度変更による販路開拓の取り組みで発生した経費の補助を目的とします。

2024年の第16回公募では、以下の申請類型について募集がありました。

  • 通常枠:商工会議所の支援を受け販路開拓などに取り組む事業者が対象
  • 賃金引上げ枠:販路開拓に加え一定以上の賃上げを実施する事業者が対象
  • 卒業枠:販路開拓に加え小規模事業者の枠を超えて事業を拡大する事業者が対象
  • 後継者支援枠:販路開拓に加えアトツギ甲子園でファイナリストなどになった事業者が対象
  • 創業枠:開業から3年以内の販路開拓に取り組む事業者が対象

創業枠については、補助率は3分の2、200万円までの補助が受けられます。また、第16回公募では、インボイス特例により、要件を満たす事業者は50万円が上限額に加算されます。

小規模事業者持続化補助金(一般型)第14回~16回

ものづくり補助金

ものづくり補助金は、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」を正式名称とする中小企業庁による補助金制度です。

働き方改革やインボイス制度などの制度変更に伴い、中小企業者や小規模事業者が革新的なサービスの開発や生産性向上を図る目的で導入した設備導入の支援を目的としています。

2024年の第18次公募では、以下の申請枠の募集が行われました。

  • 省力化(オーダーメイド)枠:人手不足解消のために専門設備などの導入をした事業者が対象
  • 製品・サービス後付加価値化枠:革新的な製品やサービスの開発に取り組む事業者が対象
  • グローバル枠:海外事業のために国内の生産性を高める設備などを導入した事業者が対象

例えば、中小企業が省力化枠を申請する場合の補助率は対象経費の2分の1、補助上限は750万~8,000万円です。

※補助率や補助上限は、申請枠、企業の区分、従業員規模で異なります。

ものづくり補助金総合サイト

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、ウィズコロナ時代において中小企業などによる業態転換や事業再編などの取り組みを支援する経済産業省による制度です。

2024年度の第12回公募では、以下の類型の公募が行われました。

  • 成長分野進出型(通常類型):ポストコロナに対応する大幅な事業再構築に取り組む事業者が対象
  • 成長分野進出型(GX進出型):グリーン成長戦略の14分野の課題解決に取り組む事業者が対象
  • コロナ回復加速化型(通常類型):コロナ化での債務の借り換えを行っている事業者や事業再生に取り組む事業者が対象
  • コロナ回復加速化型(最低賃金類型):コロナ後の最低賃金引き上げで大きな打撃を受けた事業者が対象
  • サプライチェーン強靭化枠:ポストコロナに対応する国内のサプライチェーン強化に取り組む事業者が対象

成長分野進出型(通常類型)の場合、建物や機械装置導入などのための支出に対し、中小企業であれば2分の1または3分の2、3,000万円または4,000万円までの補助を受けられます。

※補助率や補助上限は、企業の区分や類型などで異なります。

事業再構築補助金

IT導入補助金

IT導入補助金は、経営課題の解決のためにITツールを導入する中小企業や小規模事業者を支援する補助金です。

2024年度は、以下の類型が設けられています。

  • 通常枠:自社の課題を解決するITツールを導入する事業者が対象
  • インボイス枠(インボイス対応類型):インボイス制度に対応するITツールを導入する事業者が対象
  • インボイス枠(電子取引類型):インボイス制度に対応する受発注システムを導入する事業者が対象
  • セキュリティ対策推進枠:サイバー攻撃に対処するリスク低減を図る事業者が対象
  • 複数社連携IT導入枠:複数の事業者が連携してITツールを導入する場合が対象

IT導入補助金の対象は、受発注システム、決済システム、会計システム、セキュリティシステム、POSシステム、PCやプリンターなどです。通常型の場合は、補助率2分の1、5万~450万円までの補助が受けられます。

創業と同時にITツールの導入を検討している事業者におすすめの制度です。

IT導入補助金2024

事業承継・引継ぎ補助金

事業承継・引継ぎ補助金は、中小企業者や個人事業主の事業承継などに伴い、新たな取り組みを実施する事業者を支援する制度です。

事業承継や事業再編により起業する場合などに適しています。

申請枠には、以下の枠が設けられています。

  • 経営革新枠:事業承継やM&Aに伴い、新商品の開発や新たな生産方法の確立などの経営革新に取り組む事業者が対象
  • 専門家活用枠:M&A支援機関に登録された専門家にM&Aを委託する事業者が対象
  • 廃業・再チャレンジ枠:廃業後に新たなチャレンジのために法人を設立する事業者や開業する個人が対象

経営革新枠の場合、設備費や外注費、マーケティング調査費などが補助の対象経費となります。補助枠は2分の1または3分の2、補助上限は600万~800万円です。

※補助率や補助上限は条件などで異なります。

事業承継・引継ぎ補助金

東京都で創業する人向けの助成金・補助金

東京都で会社を設立する場合には、どのような助成金や補助金を申請できるのでしょうか。創業者向けに東京都の主な助成金・補助金を紹介します。

創業助成事業

東京都の創業助成事業は、都内に創業を予定している人や創業から5年未満の中小企業者などを対象にした助成制度です。

都内での開業率12%を2030年までに達成することを目的として実施されています。

助成対象経費は賃借料や器具備品購入費など、創業初期に要する経費です。400万円までを上限に支出した経費の3分の2までの助成金を受給できます。

年間採択予定数は200件で、TOKYO創業ステーションの事業計画書策定支援の終了者など、舗賃借料以外の対象経費の助成額の一定の要件を満たす場合に申請できます。

令和6年度第1回 創業助成事業募集のお知らせ|東京都

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業

若手・女性リーダー応援プログラム助成事業は、都内の商店街で開業を予定している女性や39歳以下の男性を対象にした助成事業です。

都内商店街の後継者の確保と商店街の活性化を目的としています。

助成対象の経費は、店舗新装・改装工事費、設備導入費、店舗賃借料などです。

助成率は4分の3で、店舗賃借料以外の対象経費の助成額上限は400万円、店舗賃借料の助成額は1年目・2年目・3年目で変動します。

合計で844万円までを上限とします。

令和6年度「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」「商店街起業・承継支援事業」募集のご案内|東京都

商店街起業・承継支援事業

商店街起業・承継支援事業も、上記と同様に都内の商店街の活性化や後継者の発掘を目的とした助成事業です。

助成対象となる経費は若手・女性リーダー応援プログラム助成事業と同様です。助成率や助成額は少し下がり、助成率は対象経費の3分の2、助成限度額は合計で694万円となります。

令和6年度「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」「商店街起業・承継支援事業」募集のご案内|東京都

東京都23区で​利用できる​補助金

東京都のほか、東京都内の23区でも区別にさまざまな補助金や助成事業が実施されています。例えば以下の制度があります。

  • 中小企業ホームページ作成費補助金(中央区):創業者や創業1年未満の事業者を対象にホームページ制作費用の一部を助成
  • 新規開業賃料補助(港区):事務所の賃料3分の1まで、最大5万円を1年間補助
  • 文京区チャレンジショップ支援事業(文京区):商店街の空き店舗で創業する人を対象に家賃の2分の1、月5万円を限度に補助
  • 【助成】創業促進助成事業(江戸川区):創業を予定している人や創業から間もない人を対象に事業に必要な経費の一部を補助
  • 創業スタートアップ助成事業(杉並区):創業当初の事務所家賃やホームページ作成費用の一部を補助 など

創業・成長支援プログラム|東京都産業労働局 東京都創業NET

 

各自治体の助成金・補助金

東京都以外の地方自治体でも、創業者を支援する制度が設けられています。主要都市で実施されている助成金や補助金の制度をいくつか紹介します。

さっぽろ新規創業促進補助金(北海道札幌市)

さっぽろ新規創業促進補助金は、札幌市による特定創業支援等事業を修了して法人登記を行った事業者を対象とした制度です。

札幌市創業支援等事業では、会社設立での登録免許税を半分に軽減する事業を実施しています。

当補助金は、登録免許税の残りの自己負担分と定款認証手数料相当額を補助金として支給する制度です。

これにより、実質的に法人登記のための負担ゼロで会社設立ができる仕組みとなっています。

さっぽろ新規創業促進補助金|札幌市

千葉市創業支援補助金(千葉県千葉市)

千葉市創業支援補助金は、創業予定者や創業から2年以内の事業者で、特定創業支援等事業の全日程を受講した千葉市内の事業者を対象にした支援制度です。

創業に必要な申請書の作成費用のほか、工事や設備費用など事業活動に直接必要な経費を補助対象としています。補助率は2分の1で、補助金の上限は30万円です。

千葉市創業支援補助金のご案内|千葉市

名古屋市スタートアップ企業支援補助金(愛知県名古屋市)

名古屋市で新たに創業する人、または名古屋市内で創業して5年以内の中小企業者で新たな取り組みをする事業者を支援する制度です。

公的支援機関や金融機関などからの支援を受けていることなどが補助の要件です。

補助対象の経費の範囲は幅広く、人件費、店舗の借入費、設備費、マーケティング調査費、広告宣伝費、外注費、官公庁への申請書類作成費用などを対象としています。

補助率は3分の1で、100万円を上限に補助を受けられます。採択実績は年間30~50件前後です。

令和6年度名古屋市スタートアップ企業支援補助金のご案内|名古屋市

大阪起業家グローインアップ補助金(大阪府)

大阪府による支援事業で、大阪府の事業者または大阪府で創業しようとする人のうち、ビジネスプランコンテストの優勝者と準優勝者を対象とした事業です。

創業に必要な経費として、創立費開業費、事務所賃借料、設備費、外注費、調査研究費、広告宣伝費、研究開発費などを補助対象としています。

補助率は2分の1で、補助上限額は50万~100万円です。

大阪起業家グローイングアップ補助金|大阪府

福岡市新規創業促進補助金(福岡県福岡市)

特定創業支援等事業を受講後に法人登記手続きをする福岡市内に創業する事業者を対象とした事業です。

国による特定創業支援等事業を活用した支援で、これにより登録免許税の半額減免を受けた事業者を対象とします。

株式会社を設立する場合の補助額は75,000円、合同会社を設立する場合の補助額は30,000円で、登録免許税の負担を実質ゼロで創業できる仕組みです。

令和6年度福岡市新規創業促進補助金について|福岡市

創業時の助成金・補助金の注意点

創業に伴い助成金や補助金を利用する場合の注意点を4つ紹介します。

後払いが基本

補助金や助成金は、基本的に後払いで支払われます。例えば、特定の経費の一部を補助する補助金の場合、対象となる経費を事業者が一旦負担しなければなりません。その後、補助対象経費の確認などが行われ、問題がなければ支給される仕組みです。助成金や補助金によっては給付までに数か月から1年ほどかかるケースもあります。資金繰りには余裕を持たせて活用するようにしましょう。

採択されないと支給されない

補助金などは全体の予算が決まっており、予算の範囲内で支給する対象者を決める事業もあります。そのため、要件を満たしたうえで申請しても採択されず、補助金や助成金を受給できないケースもあります。あくまでも補助的な支援制度として活用するのがよいでしょう。事業再構築補助金など、支援事業によっては過去の採択結果を公式サイトで確認できるものもあります。

募集期間が限られる

助成金や補助金は、募集期間が決まっているものも多く存在します。例えば、国の補助金の募集期間はおおむね1か月程度です。手続きを開始する前に、公式サイトなどで募集開始や終了のスケジュールを確認することをおすすめします。

申請には準備が必要

申請する助成金や補助金によって、提出しなければならない書類は異なります。例えば、応募申請書のほか、事業計画書や経費明細書などが必要です。また、交付を受ける際にも、実績報告書や請求書などの書類の提出が求められることがあります。申請や受給にあたっては、応募要項で必要書類を漏れなくチェックして作成するための準備の時間が必要です。

創業前に申請できる助成金や補助金を確認しておこう

創業時には多額の支出が生じることもあります。

助成金や補助金は基本的に後払いであるものの、受給額をほかの事業資金に回せることから、経営の安定化に役立ちます。

今回紹介したように創業時や創業後間もなく申請できる助成金や補助金もあるため、活用できそうなものの詳細を確認してみてはいかがでしょうか。

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