• 更新日 : 2024年11月7日

【会社設立後の手続き税務編】税務署・自治体で行う手続きと必要書類

会社設立の手続きは設立登記までで終わりではありません。設立後も税務関係、社会保険関係、労働保険関係の手続きが残っています。税務関係手続きは主に税務署で行いますが、地方税に関しては自治体への届け出が必要です。ここではこの会社設立後の税務関係の手続きと必要書類について解説します。

会社設立後に税務署で行う手続き【その1】

上記の書類が会社設立後、税務署に提出する書類です。以下でそれぞれの書類について解説します。

法人設立届出書とは?

法人設立届出書とは、設立した会社の概要を税務署に届け出るための書類です。代表者氏名・住所のほか、事業目的や事業開始年月日などを記入します。添付書類として「定款の写し等」が必要です 。提出時には法人設立届出書を一番上にして「定款の写し等」、「その他書類」の順に並べて提出します。

提出期限は会社設立後2ヶ月以内となっています。仮に法人設立届出書の提出期限を過ぎても罰則はありませんが、会社の設立の情報が税務署に正確に伝わらないため、法人税の申告書関連の書類をはじめ、税務署からの書類が送付されてこないことになります。申告漏れや確認漏れの原因になりますので、提出期限の超過に気づいたら早めに提出するようにしましょう。

青色申告の承認申請書とは?

青色申告の承認申請書とは、法人として青色申告で法人税を納めるために事前に提出が必要な書類です。申告時に提出する帳簿の種類などを記入します。申請時 に提出する帳簿は「仕訳帳」「総勘定元帳」「補助元帳」が基本です。 法人税の申告には青色申告の他に事務負担の軽い「白色申告」もありますが、欠損金の繰越控除制度など節税面でのメリットが大きいのは青色申告となっています。できるだけ青色申告を選択するようにしましょう。

提出期限は会社設立後3ヶ月を経過する日の前日、または最初の事業年度の末日の前日のうち、いずれか早い方となっています。 期限を過ぎて提出を行った場合は、事業年度の第1期から青色申告を適用できません。仮に、設立直後の提出期限を過ぎ、事業年度2期目の前日までに青色申告承認申請書を提出した場合は、1期目は白色申告、2期目以降青色申告適用となります。

会社設立後に税務署で行う手続き【その2】

給与支払事務所等の開設届出書とは?

給与支払事務所等の開設届出書とは、法人として従業員等に給与を支払うために提出が必要な書類です。開業時に従業員がいない場合には提出する必要はありませんが、後日従業員を雇い入れることになった場合には提出が必要です。提出期限は従業員の雇用から 1ヶ月以内となっています。

給与支払事務所等の開設届出書は、提出期限を過ぎても罰則はありませんが、税務署から源泉徴収税の納付書が届かないなどのデメリットがあります。源泉徴収税の納付自体はe-Taxの利用や税務署の窓口で納付もできますが、納付書が届かないことにより、納付を忘れてしまうことも考えられます。適切に納付するためにも、気づいたら早めに提出しましょう。

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書とは?

源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書は、会社の判断で任意に行うものです。通常、従業員などに支払う報酬から天引きした源泉徴収税は、報酬支払日の翌月10日までに納付しなければなりません。しかし、当該申請書を提出すれば納付時期は年2回、1~6月分を7月10日までに、7~12月分を翌1月20日までにまとめて納付ができるようになります。事務手続きにあまり時間をかけられない小規模事業者は、事務作業が減りますので、申請を検討しても良いかもしれません。

ただし、申請できるのは給与の支給人員が常時10人未満の事業者に限られます。また、提出期限の定めはなく、年度の途中に提出しても問題はありません。提出の翌月の給与から特例が適用されますので、事業開始から適用を受けたいときは、初回の給与支払月が到来する前に申請を済ませておきましょう。

棚卸資産の評価方法の届出書・減価償却資産の償却方法の届出書とは?

棚卸資産の評価方法の届出書とは、商品や製品、仕掛品など、在庫として残る資産の評価方法を事業者側が選定する際に提出する書類です。棚卸資産の評価方法の法定評価方法は「最終仕入原価法」とされていますが、他の評価方法を採用したい場合には、届け出を行う必要があります。

この届出書の提出は各社が必要に応じて行うものとなっています。棚卸資産の提出期限は最初の確定申告の提出期限(仮決算による中間申告書を提出する場合は中間申告書の提出期限) とされており、届出署を提出しない場合には法定評価方法である「最終仕入原価法」 で評価されます。棚卸資産の評価方法の選択によって利益の額も変動しますので、特定の棚卸資産の評価方法を第1期から採用したい場合は、提出期限までに届け出を行いましょう。

減価償却資産の償却方法の届出書とは?

減価償却資産の償却方法の届出書とは、減価償却資産の償却方法を届け出るための書類です。減価償却資産の償却方法は、資産の区分ごとに「法定償却方法」が決められています。法人が所有する法定償却方法以外の減価償却を適用したい場合には「減価償却資産の償却方法の届出書」を税務署に提出することで、償却方法の変更を行えます。

提出期限は、最初の確定申告の提出期限(仮決算による中間申告書を提出する場合は中間申告書の提出期限)と同じです。未提出の場合は法定償却方法を適用するものとして処理されます。特定の資産評価について、第1期から任意の方法で減価償却を行いたい場合は、提出期限までに届け出を行いましょう。

自治体への届け出も必要!

地方税関連の手続きは、都道府県及び市町村に対して行います。提出が必要な書類は各自治体に提出する法人設立届出書および定款の写し等です。自治体によっては「登記事項証明書」の提出も求められる場合があります。

都道府県の場合は税事務所の「法人事業課(住民税課)」、市町村は役場の法人住民税担当が提出先です。提出期限は各自治体によって異なるため、提出先の窓口に確認しておく必要があります。

会社設立後の手続きの準備を忘れずに

会社設立後の税務関係手続きには、節税面でのメリットの大きいものもいくつかあります。棚卸資産の評価方法の届出書・減価償却資産の償却方法の届出書などは、自社にとって届け出るメリットが大きいのかどうかの判断も必要でしょう。また提出期限が定められている手続きも少なくありません。会社設立の手続きが終わったらすぐにこれらの手続きに移れるよう、あらかじめ準備しておきましょう。

よくある質問

会社設立後の税務関係の手続きで、必要になる書類は?

法人設立届出書・青色申告の承認申請書・給与支払事務所等の開設届出書・源泉徴収税の納期の特例の承認に関する申請書です。棚卸資産の評価方法の届出書・減価償却資産の償却方法の届出書は自社にとって必要かどうか判断しましょう。詳しくはこちらをご覧ください。

自治体への届け出も必要?

自治体への届け出も必要です。地方税関連の手続きは都道府県及び市町村に対して行います。詳しくはこちらをご覧ください。詳しくはこちらをご覧ください。

自治体への届け出で必要な書類は?

必要なのは各自治体に提出する法人設立届出書と、それに添付する定款の写し等と登記事項証明書です。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

書類の関連記事

新着記事