• 作成日 : 2025年1月23日

建設業の資金調達におすすめの創業融資とは?審査で重要なポイントも解説

建設業を設立する際の資金調達では、日本政策金融公庫の融資制度や信用保証協会の「信用保証制度」を利用し、創業融資を受けることができます。融資を受ける際は審査に通るための重要なポイントがあるため、チェックしておきましょう。

本記事では、建設業の創業融資について、必要書類や融資に成功するポイントを解説します。

建設業の資金調達におすすめの創業融資とは

建設業の設立時におすすめの創業融資は、次の2つです。

  • 日本政策金融公庫の「創業融資」「新規開業資金」
  • 信用保証協会の「信用保証制度」

それぞれの特徴について、解説します。

日本政策金融公庫の「創業融資」「新規開業資金」

日本政策金融公庫は、民間金融機関の取り組みを補完し、 事業者を支援する政策金融機関です。幅広い方の創業・スタートアップを支援するため、創業融資を用意しています。 事業開始から2期未満(税務申告2期未満)の方を対象に、担保および保証人の必要なく融資を行う制度です。

申請から融資実行までのスピードが速く、1ヶ月半ほどで融資が実行されるため、迅速に資金調達ができます。

利率は原則として0.65%(雇用の拡大を図る場合は0.9%)引下げています。

日本政策金融公庫では、さらに「新規開業資金」の制度を設け、次のいずれかに該当する場合は通常よりも有利な条件で融資を行っています。

  • 女性、若者、シニアの方で創業する
  • 廃業歴等があり、創業に再チャレンジする
  • 中小会計を適用して創業する

新たに事業を始めるため、または事業開始後に必要になる設備資金および運転資金を融資しており、設備資金は20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金は原則10年以内(うち据置期間5年以内)と長期返済が可能です。

信用保証協会の「信用保証制度」

信用保証制度は、中小企業や小規模事業者が金融機関から事業資金を調達する際、信用保証協会が債務保証をする制度です。

ニーズに応じた多様な保証制度を用意しており、連帯保証人・担保がなくても利用できます。取引金融機関のプロパー融資と保証付融資を併用し、融資枠の拡大を図ることも可能です。

債務保証を受けることで、創業時でも金融機関から融資を受けやすくなることがメリットです。

建設業の創業融資に必要な書類

建設業の創業融資を利用する場合、融資申請書をはじめ、必要になる書類が多数あります。

ここでは、融資を受ける際に必要な書類を解説します。

融資申請書

融資申請書(借入申込書)は、融資の申し込みに必ず必要な書類です。申込人名や申込金額、借入希望日、返済期間、資金使途など、必要事項を漏れなく記入します。全国にある日本政策金融公庫の各支店で受け取れるほか、ホームページからダウンロードすることもできます。

ダウンロードする場合は、表面および裏面を両面印刷するか、2枚出力して提出します。インターネットからも申し込みでき、その場合は申請書が不要です。

資金繰り表

資金繰り表とは、創業後の月別売上高や売上原価(仕入高)、経費、利益とその算出根拠を記入する書類です。会社の現金と預金通帳残高の1年の動きについて、予定を作成します。

金融機関は借入金を返済するための現金が会社に確保されるかという点を重視しており、現金の動きがわかる資金繰り表が求められます。資金繰りの計画がしっかりできているかがチェックされるでしょう。

創業計画書

創業計画書は、設立する会社の事業計画を確認するために必要な書類です。次のような項目を記載します。

  • 創業の動機
  • 経営者の略歴等
  • 取扱商品・サービス
  • 取引先・取引関係等
  • 従業員
  • 借入の状況
  • 必要な資金と調達方法
  • 事業の見通し

創業時は会社の実績がなく、創業計画書によって事業の将来性を判断します。担当者は計画書の内容を精査して融資が可能かを判断するため、十分に考え、適切な内容にする必要があります。

事業計画書の作成は事業者にとっても、事業の強みや弱み、見通しを客観的に確認できる機会にもなるでしょう。

納税証明書

創業融資を受けるためには、納税証明書が必要です。日本政策金融公庫の創業融資は公的融資の性質があり、原則として税金の滞納がない人が利用できる制度です。そのため、納税状況を確認する目的で証明書が求められます。

また、返済能力を確認するという目的もあります。税金の滞納がある場合、借入金の返済ができない可能性があるためです。

許認可が確認できる書類

建設業を開業する場合は、「一般建設業」「特定建設業」などの許可証を取得しなければなりません。そのため、創業融資を受けるときは事業の規模に応じた許可証の提出が必要です。

ただし、「取得に費用がかかる」「取得までに時間がかかる」など、融資を受けてからでなければ許認可を取得できないこともあるでしょう。事情がある場合は、担当者に相談してみてください。

登記簿謄本

法人を立ち上げて創業する場合は、法人の存在を証明するために登記簿謄本(登記事項証明書)が必要です。

登記簿謄本は「現在事項証明書」「履歴事項証明書」「閉鎖事項証明書」「 代表者事項証明書」という4種類があり、創業融資の申し込みでは「履歴事項証明書」(全部証明書を選択)の提出を求められるのが一般的です。

登記簿謄本は、法人口座の開設や賃貸借契約など、会社の設立時・設立後のさまざまな場面で提出が必要になります。融資を含め、必要な数を確認して取得するとよいでしょう。

本人確認書類

創業融資を受ける際は、本人確認書類が必要です。運転免許証やマイナンバーカードなど、本人を確認できる書類を用意しましょう。

​​本人確認書類は、原則として顔写真付きのものが必要です。顔写真の入った証明書を用意できない場合は、住民票の写しや健康保険証などで対応してもらえる可能性もあるため、担当者に相談してみましょう。

銀行取引一覧表

ほかの金融機関からの借り入れがある場合、銀行取引一覧表の提出を求められます。特に決まったフォーマットはなく、銀行との取引履歴を一覧にまとめ、「金融機関名」「借入額」「借入残高」「毎月の返済額」などを記載します。

一覧表の提出により、担当者は過去の取引実績を把握でき、融資の返済が滞りなく行えるかを判断できます。

建設業の創業融資にも使える事業計画書・創業計画書テンプレート

マネーフォワード クラウドでは、建設業の創業融資にも使える事業計画書・創業計画書のテンプレートをご用意しております。無料でダウンロードできますので、ぜひお気軽にご利用ください。

建設業の創業融資の審査で重要なポイント

建設業の設立で創業融資を受ける際、次の点をチェックしましょう。

  • 事業に必要な設備資金や運転資金を理解しているか
  • 自己資金を用意できているか
  • 事業計画や融資の返済計画を立てているか

ここでは、審査に通るために重要なポイントについて解説します。

事業に必要な設備資金や運転資金を理解しているか

建設業の設立時は、工具や車両などの設備を購入するために融資を受けることも多いでしょう。資金の用途は厳しくチェックされるため、どのような設備が必要なのか見積もりをとって金額を明らかにし、必要性や売上への貢献度を伝えられるようにしましょう。

また、建設業は工期が長く、受注から入金まで時間がかかるため、運転資金の確保も重要です。どれだけの運転資金が必要なのかを理解し、必要性をアピールできるようにしておきましょう。

自己資金を用意できているか

創業融資では、自己資金がどれだけあるかも審査のポイントです。自己資金が多いほど創業への熱意が感じられ、審査にも有利になります。自己資金が少ないと、経済的な準備が不十分であると判断されやすく、審査に通りにくくなるでしょう。

目安として、開業に必要な費用の3分の1以上用意しておくと、審査に通りやすくなるでしょう。

自己資金が足りない場合、自己資金として認められるお金を押さえることで、自己資金を増やせる可能性があります。

自己資金として認められるのは、次のようなお金です。

  • 配偶者名義の通帳にある預金
  • 生命保険の解約返戻金や車両の売却利益など、保有資産を換金してできたお金
  • 親族から贈与されたお金
  • 自身の退職金

これらのお金であれば自己資金として認められ、融資に通る可能性が高まります。

なお、上記とは別に、建設業許可を取得するためには、500万円以上の自己資本や資金調達能力を証明するなどの要件があります。注意してください。

事業計画や融資の返済計画を立てているか

創業融資では、創業するビジネスが借入金を返済できるだけの利益を上げられるものかどうかを厳しく審査します。そのため、事業計画や融資の返済計画をしっかり立てているかという点がチェックされるでしょう。

そのため、創業計画書を入念に作り上げることが大切です。事業の見通しでは利益がプラスになるように計画を立て、返済が滞りなくできることをアピールしましょう。

建設業の設立時は創業融資を活用しよう

建設業の設立時に必要な資金は、日本政策金融公庫の創業融資がおすすめです。また、信用保証協会の「信用保証制度」を利用すれば、金融機関から融資を受けやすくなるでしょう。

創業融資を受ける際は、創業計画書をはじめ、多くの書類が必要になります。また、融資の審査に通るためには、事業に必要な資金を理解して必要性をアピールすることが大切です。事業計画や融資の返済計画を立て、事業で利益を上げられることをしっかり伝えるようにしましょう。


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