• 作成日 : 2024年10月25日

リフォーム会社が創業融資を受けるには?起業の自己資金や審査のコツを解説

リフォーム会社の設立には初期費用や当面の運転資金などまとまった金額が必要です。これらの資金は、金融機関や自治体の創業融資を利用して調達することが一般的ですが、申請には事前準備が必要です。

この記事では、リフォーム会社として創業融資を受けるための方法や手順、必要な準備についてご説明します。

リフォーム会社が創業融資を受けるには?

特に建築や不動産業界で働いている場合、リフォームで起業や独立を考えるケースもあるでしょう。ただ、仲介や営業に特化した会社ではなく、自社でリフォームの施工まで担当する場合、設備や人材の確保のためにまとまった初期費用が必要です。

金融機関や日本政策金融公庫の創業融資を活用することで、初期費用や当面の運転資金を確保できます。

ただし、創業融資は申し込んでも必ず受けられるわけではありません。まずはリフォーム会社設立や必要な許認可の取得が必須です。融資審査が通るように具体的な事業計画の策定や自己資金の準備なども必要となります。

会社の設立

まずは会社設立の手続きを行いましょう。会社を設立するには法人の種類に合わせて定款の作成や公証役場での認証が求められます。

会社の形態については、一般的に株式会社か合同会社を選ぶことが多いです。法務局に会社設立の登記申請を行い、設立後には税務署や都道府県税事務所への開業届出が必要です。

個人事業主としてスタートするという方法もありますが、法人化すると金融機関から融資や社会的な信用が得やすいといったメリットがあります。

社会保険の加入

会社設立後、従業員を雇う場合には社会保険の加入が義務づけられており、以下の5種類が対象となります。

この中でも、健康保険・厚生年金・介護保険の3種類を狭い意味での「社会保険」と呼ぶこともあります。

社会保険へ加入することで従業員が安心して働ける環境を整えることができるだけでなく、会社の対外的な信用力も高まります。加えて社会保険の未加入は法令違反となり、罰則が科される可能性があるため、忘れずに加入手続きを進めてください。

建設業の許可

リフォーム会社として業務を行う時、建設業の許可が必要となる場合があります。特に請負金額500万円以上の工事1件を請け負う場合、建設業許可を取得しなければなりません。

個人向けのリフォームが主体で扱う金額がそれほど大きくなくても、会社に一定以上の資金力や信用力があるというアピールにもなるので、会社として起業するのなら建設業許可は取得しておくとよいでしょう。

建設業許可を取得するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 営業所に専任の技術者を置く(一般建設業と特定建設業で対象となる条件が異なる)
  • 一定以上の自己資本資金調達能力、経営実績等がある(一般建設業と特定建設業で対象となる条件が異なる)
  • 経営業務管理体制が満たせる
  • 請負契約に対して誠実性がある
  • 許可を受けようとする者(申請者、役員、法手代理人等)が欠格要因に当てはまらないこと(建設業法違反等)

リフォーム会社が利用できる主な創業融資

リフォーム会社が創業時に利用できる融資には、日本政策金融公庫や金融機関、地方自治体などが提供するものがあります。

創業融資を活用することで、スムーズに事業を始められ、開業直後の運転資金をまかなうことができます。ここからはそれぞれの融資制度を具体的に解説します。

日本政策金融公庫の創業融資制度

日本政策金融公庫は政府系の金融機関で、リフォーム業をこれから始めようとする新規事業者に対しても融資を提供しています。日本政策金融公庫の「新規開業資金」は、新しく開業する起業予定者または創業からおおむね7年以内の事業主あるいは中小企業が対象となります。

自己資金が少ない場合でも利用できる制度であり、担保や保証人なしで融資を受けられるのがメリットです。

新規開業資金には様々な種類があます。主なものを挙げると、下記の3つです。

  • 中小企業の会計を適用して創業する人を対象とするもの
  • 女性、若者、シニアを対象とするもの
  • 廃業歴がある人を対象とするもの

これらの融資を受けるためには、明確な事業計画書と予測財務書類の提出が求められます。また、リフォーム業における過去の経験や技術力を具体的に説明することで、審査の通過率を上げることが期待できます。

金融機関からの融資

一般的な銀行や信用金庫などの金融機関も、リフォーム会社に対して融資を行っています。金融機関からの融資を受ける際には、融資審査に通過するために、確かな事業計画や安定した収益見通しを提示することが重要です。また、創業融資を検討する場合、自己資金の割合が重視されるため事前に自己資金を準備しておかなければなりません。

さらに、金融機関ごとに異なる融資条件や利率が設定されているため、複数の機関に問い合わせをして、ご自身に適した融資先を選ぶことが重要です。創業時の融資は事業の安定的な立ち上げを有利に進める鍵となりえます。

地方自治体による制度融資

各地方自治体も経済の活性化などを目的として地元で事業を始める企業に対して制度融資を提供。制度融資は自治体が金融機関と連携して実施するもので、自治体が利子補給や信用保証を行う場合もあります。融資プランの内容は自治体によって異なりますので、各自治体の公式サイトや役所の窓口などでご確認ください。

例えば、東京都では女性・若者(39歳以下)シニア(55歳以上)を対象にした創業サポート事業や、各区が主催するビジネスプランコンテストなども開催しています。

商工会議所によるマル経融資

「マル経融資(小規模事業者経営改善資金)」とは、小規模企業向けの無担保・無保証人で利用することができる融資制度です。商工会議所の経営指導を受けている小規模事業者が利用でき、日本政策金融公庫から融資を受けることができます。

マル経融資の利用条件は以下の通りです。

  • 常時使用する従業員が20人以下の法人または個人事業主
    (商業・サービス業(宿泊業と娯楽業を除く)は5人以下)
  • 直近1年以上、商工会議所、商工会などの地区内で事業を行っている
  • 商工会議所の経営、金融に関する指導を原則6カ月以上受けていて、事業改善に取り組んでいる
  • 税金を完納している
  • 日本政策金融公庫の非対象業種などに該当していない

なお融資上限金額は2,000万円で、担保・保証人は不要です。

補助金・助成金

創業時には融資だけでなく、補助金や助成金を活用することも有効な資金調達の手段です。リフォーム業に特化したものは少ないものの、地域活性化や新技術導入、雇用促進に関する補助金や助成金は幅広く存在しています。

例えば、「小規模事業者持続化補助金」や「ものづくり補助金」などは、リフォーム業においても設備投資や新規顧客の獲得に役立つでしょう。

これらの補助金や助成金は、返済不要であるため、財務負担を軽減しながら事業拡大を図ることが可能です。ただし、申請には細かい条件や事務手続きが必要となるため、早めに準備を進めなければなりません。

リフォーム業が創業融資を受けるために必要な自己資金

リフォーム業で創業融資を受けるためには一般的に総融資額の30%程度の自己資金が必要とされています。自己資金が少ない場合でも融資を受ける方法はありますが、審査は厳しくなるため、しっかりとした対策が必要です。

 自己資金なしの場合

自己資金がない場合でもリフォーム業で創業融資を受けることはまったくの不可能というわけではありません。ただし、融資審査はかなり厳しくなるため、いくつかの重要な対策を講じる必要があります。

まず、自己資金がない場合は事業計画書を特に充実させ、しっかりとした収益見込みを示すことが重要です。例えば、リフォーム業における過去の経験や業界での実績を具体的に示し、将来的に安定した売上が見込めることを強調する必要があります。すでに営業所や設備などに投資している場合、それらが「みなし自己資金」として扱われることもあるでしょう。

親族や友人からの借り入れやクラウドファンディングを活用して少しでも自己資金を増やすことも有効な手段です。融資を受けやすくするためには、資金調達の幅を広げることも視野に入れた方がよいでしょう。

リフォーム業が創業融資を受ける流れ

リフォーム業で創業融資を受けるにはしっかりとした準備と計画が必要です。ここからは事業計画書の作成から融資申請、資機材の調達、登記手続きまでの流れをご紹介し、それぞれのステップにかかる期間も併せて説明します。

事業計画書の作成

まず、創業融資の申請には事業計画書が必要です。リフォーム業では具体的なサービス内容、ターゲット市場、売上の見通しなどを詳細に記載しなければなりません。また、競合他社との差別化ポイントやリスク管理の方法も盛り込みましょう。

事業計画書は金融機関に対して事業の成長性や収益性を示す重要な資料となります。事業計画書の作成には1〜2か月かかることが一般的ですが、専門家のサポートを受けることで、質の高いものを短期間で作成可能です。

資金調達の手続き

事業計画書が完成したら次は融資申請の準備へ移ります。融資の申込みの際には、自己資金や必要な資金額を明確にし、その用途を説明する資料も必要です。

日本政策金融公庫や金融機関、地方自治体の融資制度を利用する場合、申請から審査までの期間は1〜2カ月程度かかることが多いでしょう。

事前に各融資機関の条件や必要書類を確認し、スムーズに手続きを進めます。資金調達を成功させるためにはしっかりとした準備が求められますが、審査が通れば安定した事業スタートができるでしょう。

資機材の調達

資金が確保できたらリフォーム業に必要な資機材の調達を進めます。施工サービスによっては専門的な工具や車両、作業場所を確保しなければなりません。

調達する機材の品質や価格をしっかりと検討し、信頼できる業者を選定することが重要です。資機材をすべてそろえるまでには1〜2カ月程度の期間を見込んでおくとよいでしょう。

また、必要なものがそろった後には従業員のトレーニングや使用マニュアルの整備も行い、スムーズな業務運営を目指します。

登記手続き

リフォーム業を始めるにあたり法人として事業を行う場合は、登記手続きが必要です。会社設立に関する書類や定款(会社の基本規則)を準備し、法務局に申請。この手続きには、数週間から1か月程度かかることが一般的です。また、リフォーム業の場合、建設業許可を取得する必要がある場合もあるため、併せて確認しておきましょう。

登記手続きが完了したら会社名義での銀行口座開設や各種契約手続きをして事業の準備が整います。

リフォーム業が創業融資を受ける時に必要な書類

リフォーム業で創業融資を受ける際には、いくつかの重要な書類があります。これらの書類は融資審査の判断資料となるため、正確かつ丁寧に作成しましょう。ここでは、必要な書類と記入のコツを解説します。

事業計画書

事業計画書とはリフォーム業をどのように展開し、収益を上げるのかを詳細に示す書類です。計画書には、

  • 事業の概要
  • 対象となる市場
  • 競合分析
  • 収支予測

などを記載します。具体的な目標や実現可能性のある収益見込みを示すことが、融資審査を通過するための重要なポイントです。信頼性の高いデータにもとづき、客観的に将来の事業展開を示しましょう。

創業計画書

創業計画書は日本政策金融公庫が求める書類の一つで、事業開始に至るまでの詳細なステップや創業の動機を記載します。

なぜリフォーム業を選んだのか、どのような背景や経験があるのかを明確に示しましょう。また、今後の成長戦略や、どのように社会に貢献するのかも強調することが大切です。

定款

定款は会社の基本的なルールや運営方針を記載した書類で、法人として会社を設立する場合に必要です。

  • 会社の名称
  • 所在地
  • 事業内容
  • 役員構成

などが記載されます。審査を受ける前には定款の不備ないことを確認し、必要に応じて専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。

これらの書類はすべて重要な審査材料となるので、正確に作成し、しっかりと準備を整えることが融資成功への鍵となります。

リフォーム業が創業融資を受ける時に必要な書類

リフォーム業で創業融資を受ける際には事業計画書の提出が求められます。こちらのテンプレートを基に現実的かつ具体的な事業計画を作成しましょう。

また、株式会社や合同会社などの法人を設立する際には定款も作成しなければなりません。定款は融資を受ける際にも必要となります。こちらのテンプレートをもとに作成されることをおすすめします。

リフォーム業の創業融資の審査で特に確認されるポイント

リフォーム業で創業融資を受ける際には、他の業種とは異なる特有の審査ポイントがあります。ここからは審査の難易度が高い理由や審査に通るためのコツを以下に解説します。

事業の安定性

リフォーム業は原材料価格や人件費など市場の変化から影響を受けやすく審査では事業の安定性が特に重視されます。社会情勢や顧客層のニーズ、リフォーム業界のトレンドを踏まえ、安定した収益が見込める事業計画を立てることが重要です。審査時には実績や信頼できる取引先との契約があると有利に働きます。

自己資金の比率

リフォーム業は初期投資が必要な業種であり、自己資金の割合が審査に大きな影響を与えます。自己資金が少ないと融資の返済能力が疑問視されるため、できる限り多くの資金を用意することが推奨されます。また、自己資金が少ない場合は、他の資金調達手段を並行して検討することが有効です。

資格・許認可の有無

リフォーム業を営むには建設業許可や必要な資格が求められる場合があります。融資審査においても、これらの許認可の有無は重要な判断材料となるのです。許可を取得済みであること、または取得予定が明確であることを示すことで、信頼性が高まります。

事業主の経験と実績

リフォーム業は専門的なスキルや経験が求められるため、事業主の過去の実績や経験が審査において大きく評価されます。リフォーム業界でのキャリアや成功事例を示すことで、融資担当者に信頼感を与えることができ、審査通過の可能性が高まります。

リフォーム会社創業時には必要な認可を得て融資に申込もう

リフォーム業界で起業時に創業融資を受けるためには、事前の準備が重要です。一般的な会社設立、社会保険加入手続きに加え、扱う施工内容に合わせた建設業許可の取得も必要なので、独立や起業を決めた際には余裕を持って準備を進めましょう。

自己資金が少ない、実績が乏しい、魅力的な事業計画書が作成できないといったお悩みをお持ちの方はまずはプロに相談してみるのもおすすめです。


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